大怪獣空中戦ガメラ対ギャオス

1967年3月15日公開
カラー,ワイド
本編87分

解説

旧ガメラシリーズではなかなかの名(迷?)作。 この作品に登場するギャオスは、ガメラの敵怪獣では非常に人気が高い。 コウモリを思わせるシンプルなフォルムや超音波メスというシャープな武器を持つといった点が人気の秘密ではなかろうか。 新作の「ガメラ 大怪獣空中決戦」でもガメラの敵として現れていることからも人気があることが分かる。

この作品の見所は、ギャオスに対する人間側の作戦の数々と、要所要所を締めるガメラとギャオスの死闘。 と書くと手に汗握る大活劇のようなんだけど、そこは大映、そんな単純なものじゃない。 この映画はガメラ映画の中でも大映イズム全開の作品なのだ。 ストーリーを見てもらえれば分かるが、なんと子供一人がストーリーを進行させている。 子供受けさせるためなんだろうけど、まさにこの目的のために手段を選ばず説得力皆無のストーリーを展開する、これこそがガメラ映画の味なのだ。 いや、説得力皆無を通り越して説明不能と言えるかもしれない。なぜそういう展開になるのか理解できないんだから。これだよ、これ。

この作品、私は個人的には旧ガメラシリーズ最高傑作だと思っている。 ガメラを見るならこれしかないって。 新作ガメラなんか見てる暇があったらぜひこれを見るべし。

登場怪獣

ギャオス

身長65m、体重25t。か、軽い。「ウルトラQ」リトラと比べてみよう。

マッハ3.5で飛行する肉食怪獣。血が大好き。 口から300万サイクルの超音波メスを放ち、あらゆる物体を切断する。 胸からは黄色い噴霧を放ち、この霧には消火作用がある。(どう進化したらこんな能力が身に付くのか?)

強力な再生能力を持ち、多少の体の欠損なら再生してしまう。 しかし夜行性であり紫外線に弱く、紫外線を浴び続けると細胞が収縮して死んでしまう。

ストーリー

突如日本列島を地震が襲い、その影響で富士山までもが噴火する。しかもそこへ溶岩にひかれてガメラが現れる。 その付近で高速道路を建設中だった現場の堤主任は地震の影響を心配するが、
「富士山が噴火しようがガメラがやって来ようが工事遅延の言い訳はならんのだ!」
と叱られ、渋々工事を再開する。 しかし現場では村人が立ち退き反対運動を起こしており、何かにつけて工事の妨害を行なうのだった。 しかし彼らの真意は立ち退き料の吊り上げだった。

付近の山で青い怪光が目撃された。調査団のヘリが現場に向かうが、謎の怪光線によってヘリは切断される。 村長の息子、英一少年はその山に登るが、謎の大怪獣が出現。英一は窮地に陥る。 そこにガメラが現れ、怪獣と対決する。怪獣は怪光線を放ち、ガメラの皮膚をやすやすと切断する。 英一を守るのが先決と判断したガメラは、英一を背中に乗せて逃げ出す。 遊園地に着陸したガメラ。堤主任は観覧車を使ってガメラの背中から英一を助け出す。

自衛隊では謎の怪獣についての対策を検討していた。 怪獣は英一によってギャオスと名付けられた。 そして生物学の権威である青木博士は実際見てもいないギャオスについて、その武器が超音波メスであることや山の怪光の正体が怒りの表現であることを分析する。 即座に自衛隊が出動し、空中から攻撃をかける。 しかしギャオスの超音波メスの前になすすべはなく、即座に撤退する。

ギャオス騒ぎで牛や馬が逃げ出すなど、村は混乱していた。 工事現場からも避難が始まる。そこへ英一が現れる。 英一の、おやつ前にはギャオスは出ないから平気だという言葉を聞き、青木博士はギャオスが夜行性だとようやく気づく

そこで夜間でも明るくし、照明弾を打ち上げてギャオスに備えるが、怒ったギャオスは飛び立ち名古屋に上陸。 そこへガメラが傷を治して到着。ギャオスと戦いになる。 夜明け前、ギャオスは逃げ出そうとするがガメラに足を食いつかれて逃げ出せない。 ギャオスはやむを得ず自分の足を超音波メスで切断して逃げ出す。

切断されたギャオスの足が発見されるが、足はみるみる縮んでいく。 研究の結果、ギャオスの細胞は紫外線に極めて弱いことが明らかになる。 そこでギャオスを日光に当てる手段が検討される。 ギャオスを夜明けまで足止めしておけばよいのだが、いい方法が思い付かない。 そんな折、対策本部に英一が遊びに来る。 その英一の言葉をヒントにして、ギャオスをグルグル回してめまいを起こさせようという案が出る。

ギャオスを足止めすべく、ホテル屋上の回転盤が改造された。 一方、血液を好むギャオスをおびき出すために味や匂いが血液そっくりの液体が開発される。 青木博士は完成した液体を一目見ただけで
「人間の体液にそっくりだ」
と感激する。

かくして回転作戦は実施された。匂いにつられてホテルにやってきたギャオス。そして回転が始まる。 するとギャオスは飛び立とうともせず目を回してひっくり返りもせず、回転盤の上で回っている。 だが回転盤が耐え切れず、オーバーヒートで停止してしまう。ギャオスは逃げ延びた。

ギャオスのせいで生活がめちゃくちゃになった村人たちは、もう待てないとばかり道路公団に立ち退き料を請求する。 だが高速道路建設は中止だという。村人たちは立ち退き料吊り上げの発案者である村長をなじる。

英一はガメラさえ来ればギャオスをやっつけてくれるのにと言う。 ガメラは火が好きだから、山火事を起こせばガメラは来るというのだ。 そう簡単に山火事など起こせないという姉に対し、
「簡単だよ、うちの山を燃やせばいいよ」
と軽く言う
。 村長は欲の皮が突っ張っていたのを恥じ、孫の言葉を自衛隊に提言する。

2億円の森林資源の損失をかえりみず、自衛隊によって山火事が起こされた。 そしてガメラはやって来た。ギャオスと再び対戦だ。 ガメラはギャオスを富士の火口に引きずり込み、勝利した。 ギャオスの断末魔の超音波メスが虚空に消えていく。

スタッフ

企画...仲野和正
製作...永田秀雄
脚本...高橋二三
監督...湯浅憲明
音楽...山内正

キャスト

堤志郎...本郷功次郎
金丸すみ子...笠原玲子
青木博士...北原義郎
金丸辰衛門...上田吉二郎
金丸英一...阿部尚之

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