ウルトラセブン 作品リスト 7

タイトル登場宇宙人/怪獣
第25話「零下140度の対決」ポール星人ガンダー
脚本 金城哲夫  特殊技術 高野宏一  監督 満田かずほ

地球防衛軍が異常寒波に包まれた。気温、零下120度。 パトロールしていたダンのポインターも動かなくなってしまい、ダンは徒歩で基地に帰ることを余儀なくされる。 冬のないM78星雲から来た彼は、寒さに非常に弱かった。ダンは苦しみながら基地に向かう。
一方、防衛軍基地の原子炉が何者かに破壊された。冷凍光線を吐く怪獣が動力ケーブルをボロボロにしていたのだ。 そのため基地の全機能が麻痺してしまい、超兵器類の使用もできなくなる。空調も停まってしまい、寒波のせいで隊員たちが次々と倒れていく。
片や、意識朦朧としつつも基地に向かっていたダンはポール星人の声を聞く。今までの地球の氷河期をもたらしていたポール星人が、また氷河期をもたらそうとしているのだ。 そしてダンは基地が危ないことを知るが、ウルトラアイがない。ダンはウルトラアイを懸命に捜す。
ついに基地内部の気温が零下140度になった。そして怪獣ガンダーが地上に現れる。ダンはミクラスを放つ。 懸命に戦うミクラスだが、この低温では分が悪い。やがてミクラスは力尽きる。
長官はついに基地の放棄を決意した。が、フルハシたちは必死に動力室の修理を続ける。 その頃、ついにダンはウルトラアイを見つけ出していた。だが変身したものの、戦う力が残っていない。 セブンは残り少ないエネルギーで、エネルギーを補充すべく太陽へと飛ぶ。またフルハシたちの力で、動力室もついに復活した。
ガンダーを討つべく、ウルトラホークが飛び立つ。そしてエネルギーを補充したセブンもまた現れる。 セブンはアイスラッガーでガンダーを切り裂いた。ポール星人は地球人の忍耐力の前に氷河期再来を断念し、去っていったのだった。

中盤のターニングポイント。今回の戦いでウルトラセブンのエネルギーが尽き、これからはビームランプを点滅させながらエネルギー切れにおびえる(?)戦いを続けることになる。 これはセブンにピンチをもたらすことで緊迫感を高めようという番組強化策なのだが、あんな小さいビームランプが点滅してても分からんぞ。ちょっと企画倒れ気味?  しかし今回の事件は、最終回への伏線にもなってたりする。とにかく重要なエピソードである。
冒頭、ポインターがエンストしたと連絡してきたダンに対して、隊長やアンヌはポインターを捨てて早く帰って来いと気楽に言う。 しかしちょっと待て! その頃、外気温は零下120度だって自分達で言っとったろーが! こんなの、寒さに弱いM78星雲人でなくても死んでしまうわい!  ううむ、自分達はエアコンの効いた部屋にいるからのんきなものか。ウルトラ警備隊、やはり恐るべし。
しかしダン、苦しそうだけど結構がんばって歩いていたし、ウルトラアイを無くしたことに気付いて引き返したりしてずっと歩き詰め。 零下120度とか140度とかいう恐ろしい気温の中で、しかも隊員服だけでコートも着ずに…。な、なんか寒さに弱いとか言いつつ、地球人よりやっぱり凄くない?
もっと凄いのは、雪の中に落としたウルトラアイを見つけ出してしまうところ。普通に考えたら、見つけるのは不可能だが。 凄い猛吹雪の中、なぜか雪の上に見えるように落ちてたし、これが主人公特権の御都合主義というやつか。
ちなみに、動力室を直しながら眠りそうになるムカイ班長を演じるのは、第10話でイカルス星人を演じた山本廉。 おおイカルス星人め、地球防衛軍に入り込んで動力室を修理していたとは侮れない奴。(ぉぃ)
しかしその動力室。零下140度の中、石油ストーブを使うというのも凄いものがあるぞ。確実に動く暖房器具がそれしかないというのも分かるのだが。…って、ほとんど役に立ってなかったけど。
更に凄いのが、フルハシがドリルでガタガタやってたら動力室が直ってしまったというところ。 あれ? 断線したケーブルを接続するとかするんじゃないの?
「基地は再び復活した」
なんて、何回復活してるのか分からんナレーションが流れるし、とにかく不思議な基地だ。
もひとつ言うと、倒れて眠ってしまいアンヌが起こそうとする隊員を演じるのは金城哲夫。こんなところにも出ているとは。
第26話「超兵器R1号」ギエロン星獣
脚本 若槻文三  特殊技術 的場徹  監督 鈴木俊継

地球防衛軍によって、惑星攻撃用超兵器・R1号が開発された。実験用でありながら、水爆8千個の威力があるという。 これがあれば地球に侵略者も来なくなるだろう。ウルトラ警備隊の面々は明るく話し合う。が、ダンの顔つきは険しい。
地球を守るためなら何をしてもいいのか。侵略者は更なる破壊兵器を作り出すかもしれない。 それなら我々はもっと凄い超兵器を作ればいいというフルハシ。が、ダンは悲しげだ。
「それは…血を吐きながら続ける、悲しいマラソンですよ」
だがそんなダンをよそに、R1号は生物のいない星・ギエロン星へと発射された。 そして実験は無事に成功し、ギエロン星は消滅した。が、その時、ギエロン星から何かが地球に向かって飛び立っていた。 それは、R1号の爆発にも耐えたギエロン星の生物、ギエロン星獣だった。
地球に降り立ったギエロン星獣。しかしホークの新型爆弾によって、ギエロン星獣はあっけなくバラバラになる。 油断はできない、更なる超兵器が必要だと話し合う防衛軍の面々。それを聞くダンの顔色は憂鬱なままだ。
だがギエロン星獣は再生し、東京へと向かう。ウルトラ警備隊が迎え撃つが、ギエロン星獣はR1号から吸収した放射能を吐いて暴れ回る。 そしてウルトラ警備隊の攻撃は全く効かない。ダンはウルトラセブンに変身する。
しかしギエロン星獣はアイスラッガーをもはね返してしまう。セブンの旗色は悪い。 そこでセブンは接近戦に持ちこみ、武器の翼を引きちぎる。そしてアイスラッガーで首を切り裂き、ギエロン星獣は絶命した。
タケナカ参謀達は今回の事件での反省から、R2号の開発中止を決意するのだった。

セブン屈指の名エピソードのひとつで、非常に有名な名セリフ「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」を聞くことができる。 背景としてはもちろん米ソ冷戦時代における軍拡競争があり、それに対する批判なわけだが…って、え?  米ソ冷戦って何かって? ひょ、ひょっとしてあなた、ソビエト連邦って国をご存知ない?
…などという時代になりつつあるのかもしれないね、今は。しかし今になっても本エピソードは全く色あせることはない。 力に力で対抗しようとする限り、いつまでもこの悲しいマラソンは続くわけなのだ。
いつものエピソードだったら、なんだが常軌を逸した(?)ウルトラ警備隊の言動が目につくのだが、今回はちょっと違う。 ウルトラ警備隊というよりは、地球人の常軌を逸した言動といった印象がある。 それはつまり、宇宙人であるダンの視点から彼らを見ているからそうなるわけで、客観的に地球を見ることができる本作ならではのこと。 だからこういうエピソードが特に名作になるわけやね。
しかし、なんかこのエピソードを根本から揺るがすようなことを言うけど、ダンが兵器開発に反対するのはいいんだけど、これってまたダンの若さというか青さなんだな。 それって単なるきれいごと。上もそれを認めるわけだけど、じゃあ地球防衛はどうするのかということに関して答えは出ていない。 だからこそ人類ははるか昔からこのマラソンを続けているわけで、そのことに答えを出さない限り何の説得力もない話とも言えるんだな、今回は。
が、そういうことも踏まえて、いかにもめでたく終わったかのようにわざと見せかけていると見れば、自虐的な皮肉を裏に込めた名結末とも取れる…かな?
ちなみに今回登場するギエロン星獣、「星獣」などという聞きなれない呼び名が使われている。 星から来るのは普通は「星人」だが、どう見ても怪獣なのでこの新しい言葉が作り出されたのだ。
第27話「サイボーグ作戦」ボーグ星人
脚本 藤川桂介  特殊技術 的場徹  監督 鈴木俊継

ソガの後輩である地球防衛軍の野川隊員が突如消息を絶った。一緒にいた婚約者の早苗だけが発見され、ソガは近くの朝日沼に不審を抱く。 しかしウルトラ警備隊の調査も虚しく、何の手がかりも見つからなかった。
だが、野川は突然帰ってきた。皆は安心するが、ダンはその死人のような様子が気になり、その後を追う。 そこでは何人もの隊員たちが倒されており、ダンはウルトラ警備隊の仲間を呼び野川を探す。 やがて野川が見つかるが、彼は何かを仕掛けている様子だ。彼はダンに語る。なんと午前6時に防衛軍基地が大爆発し、地球はボーグ星人のものになるという。
それを知ったウルトラ警備隊は野川を捕らえ、基地内に仕掛けられた爆弾を探す。 また、野川は脳に仕掛けられた催眠プレートによってボーグ星人に操られていたことが判明する。
隊長は彼のうわごとから朝日沼に着目し、ホーク1号で発進する。そして沼に熱ミサイルを撃ち込み、沼を干上がらせる。 果たしてそこにはボーグ星人の円盤が隠れていた。隊長はマグネチック7で円盤を粉砕する。
しかしボーグ星人は円盤から逃れており、防衛軍に潜入して野川を始末しようとする。 が、ダンがその企みを阻止し、正体を現したボーグ星人に対してセブンに変身して立ち向かう。
ただひとつ見つからなかった最後の爆弾はダンの体に仕掛けられていた。 ダンはボーグ星人をアイスラッガーで倒し、ボーグ星人の計画はついに失敗に終わった。
数週間後、野川と早苗の結婚式が無事に行なわれたのであった。

ウルトラ警備隊に通報だ。なんと女が倒れているという。…おい、それって警察か救急車の領分じゃないのか? 通報する相手を完全に間違えてるぞ。 しかしそこで断りもせず、颯爽と出動するダンとソガ。だからそれってウルトラ警備隊の仕事じゃないだろうが! うぅむ、相変わらず謎な連中だ…。
こんなウルトラ警備隊も謎なら、ボーグ星人も謎。たかだか地球防衛軍の下っ端に過ぎない野川隊員を使って基地を爆破しようとする。 まあ確かに下っ端なら逆に怪しまれないという面もあるかもしんないけど、爆弾を仕掛けるのは普通は重要施設じゃないの?  下っ端がそんなところをうろついていたらやっぱり怪しまれると思うのだが。
しかも操られている野川は思いきり挙動不審で、ダンにすぐに怪しまれる始末。 おまけにご丁寧に計画を全てベラベラとしゃべってしまう。 更に、いくつも仕掛けた爆弾は、基地を爆破するにはどうもひとつで充分だったようだ。 だったら、ひとつこっそりと仕掛ければ見つからなかったのではないか?
なんかボーグ星人って、適当に沼に着陸して最初に目についた防衛軍の隊員を使って、かなりいいかげんな人間操作システムを使って、非常にアバウトな爆破計画を実行しようとしたように見えるんですが。 お前地球をなめとんのか。
片やウルトラ警備隊、なんか普段は謎な連中だが、いざ戦いとなると相変わらず凄い。いいかげんなボーグ星人とは比べ物にならない。 ボーグ星人が隠れている沼の水を干上がらせて円盤を露出させ、ホーク1号で攻撃を加え、それでは駄目だと見切った途端に新型爆弾で一気に粉砕!  全く無駄がない。もしボーグ星人が円盤から逃げ出していなければ、セブンの出番はなし。
しかしいくら効率がいいとは言え、円盤が隠れるほどの巨大な沼を何のためらいもなく干上がらせてしまうとは…ああ、貴重な自然が消えていく…。キリヤマ隊長、やっぱり凄い人です。
第28話「700キロを突っ走れ!」キル星人恐竜戦車
脚本 上原正三  特殊技術 高野宏一  監督 満田かずほ

ニトログリセリンの数百倍の破壊力を持つ超高性能火薬スパイナー。 その輸送が謎の敵に妨害され、ウルトラ警備隊に輸送任務が命じられた。 そこでダンは、ラリーに紛れ込んで陸路で輸送することを発案する。
ダンとアマギは車にスパイナーを積んで発進する。だが、次々に敵の妨害が襲いかかる。 その罠をくぐり抜ける二人だが、アマギの様子がおかしい。 アマギが小さい頃花火工場の爆発があり、それを目の当たりにしたアマギは爆発物恐怖症になったのだ。 ダンはそんなアマギを激励し、二人は先を急ぐ。
その晩、二人は車からおびき出され、その間にスパイナーに時限爆弾が仕掛けられる。 キリヤマは、恐怖ですくんでいるアマギに時限装置解除を命じる。アマギはなんとかそれをやり遂げ、恐怖を克服する。
そして二人は目的地の実験場にたどり着くが、なんとアマギたちが運んでいたのは偽物で、本物は隊長達が運んでいたのだった。 そしてスパイナーの実験が開始された。が、その時恐竜戦車が現れ、スパイナーを奪い取った。 近くに作業員がいるため、スパイナーを爆発させるわけにもいかない。そこでダンが作業員を救助に向かうが、生き埋めにされてしまう。
なおも迫り来る恐竜戦車。その時、地中からウルトラセブンが現れた。セブンは作業員を救助し、恐竜戦車に立ち向かう。 セブンは恐竜戦車のパワーの前に苦戦を強いられる。だがセブンは、恐竜戦車がスパイナーを踏みつけた時にスパイナーを爆発させ、恐竜戦車を粉砕したのだった。

よっぽど暇なのか、どうやら二人で休暇を取ってデートしているらしいダンとアンヌ。どんどんお近づきになっているようですなあ、このお二人さん。 で、お二人さん、自分の顔よりデカいせんべいをほおばりながら、ラリーの映画に見入る。 …こらぁ、映画館でせんべい食うなあっ! 案の定、周りからドひんしゅく買いまくり。しかもその後、遊園地でわたあめ片手にコーヒーカップに乗りながら映画の気分が抜けずに
「ブルーン、ブルルルルーン!」
…ホントにただのガキだな、ダンって。無邪気でほほえましいくらいだ。
そして任務でちゃっかり念願のラリーに参加。が、任務は任務。次々と敵が襲い来る。
正面衝突しそうになったバイクをとっさにかわし、ダンは走り去るバイクをドアを開けざま一撃で仕留める。するとバイクは大爆発。なんとそれは人間爆弾だったのだ。恐ろしいことだ。 …って、ちょっと待て。人間爆弾だったから良かった(?)ものの、そのバイクに乗ってたのが宇宙人に雇われたただのチンピラ地球人だったらお前ただの人殺しだぞ!  ううっ、ダンってば、過激派集団ウルトラ警備隊の空気に完全に染まってる。そっちの方がよっぽど恐ろしいことだ。
更に夜、敵を見失ってしまった。と、ダンが目で合図すると、いきなりソガは木陰を撃つ。するとそこに潜んでいた敵が崩れ落ちる。かっこいい!  …って、あのー。それは確かに敵とおぼしき車に乗ってた奴ですが、どう見たってただの人間だし、武器も持ってなかったのにいきなり殺して良かったんでしょうか?  先手必勝、殺られる前に殺る。やはりさすがのウルトラ警備隊ですなあ。
ちなみに今回登場したスパイナー。上原正三のお気に入りなのか、「帰ってきたウルトラマン」第5,6話でも高性能火薬として登場する。 ひょっとして同一物なのだろうか?

続きを読む
ウルトラセブンのメインページに戻る
ウルトラシリーズメインページに戻る
特撮のトップページに戻る