「仕事人アヘン戦争へ行く」

放映

昭和58年12月30日
朝日放送・テレビ朝日系

解説

必殺ブームが爆発していた「必殺仕事人IV」の放映中、年忘れスペシャルとして作られたスペシャル作品。 アヘン戦争を題材に、香港ロケを敢行した豪華なもの。 実はアヘン戦争終了後の話なので、タイトルに偽りありなのだが…。

メインキャストは「必殺仕事人IV」と同一。更に、国定忠治・遠山金四郎・平賀源内・ナポレオン一世と歴史上の人物が多数登場。 おまけに、既に衝撃的自殺を遂げてしまっていた沖雅也が演じる棺桶の錠をバンクフィルムで出演させたりもしている。

今回はなんと鎖国の真っ只中、アヘン商人を追って気球で海外に行くというすさまじいストーリー。 以降のシリーズ・スペシャル版で頻出する荒唐無稽な設定の本格的な始まりとも言えよう。

ストーリー

時は1842年の冬。江戸で唐人踊りの一座に手入れが入る。一座に本物の唐人がいるという。 その騒ぎの最中、秀は襲われそうになった盲目の踊り子を救う。彼女は清国から来た孟春(お春)だった。 一方、おりくは弟子の仕事人・お北が異人の殺し屋と手を組んで何かをたくらんでいることを知る。

秀はお春が仕事人を探していることを知り、仲間に渡りをつける。だがお北に見つかって加代とお春は逃げ回る羽目になり、挙げ句の果てに牢に入る。 お北はアヘン商人と手を組み、貿易商であるお春の父親が政府に命じられてアヘン戦争の際に隠した大量のアヘンを手に入れるため、お春を探しているのだった。

主水は牢屋でお春の話を聞く。仕事料は一万両。アヘン商人たちが江戸に来ていることを知り、その船に乗り込むおりくたち。 だが仕事に行こうとした主水は、牢屋でお春の事情を聞いた平賀源内が作った気球に連れ込まれて清国に向かって飛び立ってしまう。中村家では、主水が神隠しにあったと思って大騒ぎになる。 船に乗り込んだ秀やおりくたちは、お民を人質に取られて船底に捕らわれてしまう。一方、そうとは知らず長崎に留学するため順之助がその船に乗り込む。

嵐のため、主水たちの気球は故障して長崎に降りる。そこでナポレオンと出会う主水たち。ナポレオンは船で清国に送ってくれるという。 片や秀たちは順之助のおかげで助かる。そして棺桶の錠の助言でナポレオンの船に向かう。 彼らはその船で主水たちと合流するが、そこへ異人の殺し屋が襲撃する。さらわれるお春。 平賀源内とナポレオンはその襲撃で命を落とし、お北もまた用無しとして殺されてしまう。

炎上する船から、なんとか小船で脱出した主水たち。主水は順之助に気球を直させ、お民とけがをしたおりくを日本に置いて、清国へと向かう。 清国で主水たちは目立つようにうろつき回り、アヘン商人たちをおびき出そうとする。 果たして異人の殺し屋たちが主水たちの尾行を開始し、彼らの口から主水たちは異人たちのアジトを知る。

そして仕事を行なう仕事人たち。お春も無事に助け出される。 お春は問う。
「どうして口をきいてくれませんか?加代さんに中村さんではありませんか?」
だが主水たちは無言のままだ。
「わかりました。仕事人て名乗れないですね。わすれます」
「でも、最後に顔を、顔をさわらせて下さい」
無言のまま、顔を触らせてやる主水。「さよなら」涙声で孟春が別れを告げる。

かくして主水たちは一万両の金塊を携え、気球で再び江戸に戻る。 だが主水たちが降り立った神社では、せんとりつが主水の帰還を願ってお百度参りを行なっていた。 あわてて身を隠す主水たち。ところがきちんと結んでおかなかった気球は金塊と共に夜空に変えていく。 気球を追う主水。だが時既に遅く、一万両は空の彼方。せんとりつに発見された主水、「一万両…一万両」とうわごとを繰り返すのだった。

登場人物

中村主水...藤田まこと
...三田村邦彦
加代...鮎川いずみ
西順之助...ひかる一平
筆頭同心 田中...山内敏男
広目屋の玉助...梅津栄
お民...林佳子
遠山金四郎...栗塚旭
ナポレオン・ボナパルト...クロード・チアリ
潘文虎...田中浩
国定忠治...近藤正臣
ジョン・ガーデン...ハル・ゴールド
入船屋お北...鰐淵晴子
劉孟春...アグネス・チャン
りつ...白木万里
せん...菅井きん
勇次...中条きよし
平賀源内...宮口精二
おりく...山田五十鈴

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