AX286N

メーカー:SHARP
CPU:80286/12MHz
RAM:3MB
HDD:20MB
シャープ初のノートパソコン。コンセプト的には今のスリムノートパソコンに似ている。その名のとおりAX仕様のマシン。

1992年5月某日

 日本橋のOAシステムプラザにて、展示処分品を買う。ボーナス一括にして、ちょっとビビる。持って帰ってみると、マニュアルやらバッテリやらが欠品で、電話すると親切に対応してくれたが、後日もう一台が欠品扱いで残っていた。

1992年某月某日

 ポケコンジャーナルの記事を参考に、シャープの電子手帳用フロッピードライブCE-70FDを外部FDDとして使えるよう、アダプタを作る。アダプタといってもRS-232Cレベルコンバータ。特定のファイル名でモトローラSフォーマットのテキストファイルを保存したフロッピーを挿し込み、電源を入れると、それを読みこんで以後ROMの代わりに動作するという仕組みを利用している。普段は電子手帳用の4ピンI/Fのプロトコルで動いているのだが、記事のプログラムを読み込ませると一般的な調歩同期のプロトコルに変わるのである。パソコン側ではそのプロトコルでFDDと通信し、ファイルを読み書きする。そのソフトはLSI-C86で書いた。

1992年8月某日

 大陸書房の倒産を知る。程なく、いくつかの本屋などに「PCフォーラム」というムックが大量に並ぶ。倒産に伴う、財産処分らしい。全8巻中7巻を確保する。残りの1巻は電子手帳の話だったので、とくにこだわらない。
 読んでみると、AXでDOS/Vを走らせる話もあったりして興味深い。いろいろ拡張を画策してみる。

1992年某月某日

 アイビットにメモリとフロッピードライブと拡張バッテリを注文する。次いで、J&Pに「PCフォーラム」で紹介のあったソニーのAXマシン用DOS5/Vの取り寄せを注文する。
 ソニーのDOS5/Vはしばらくして入手。パッケージを開けると、そのまま未開封のIBMのDOS5/Vが入っていて笑える。アイビットのオプション品は、出張のついでに受け取る。
 家に戻ると早速メモリ増設。増設分の半分を「拡張メモリ」にまわす(残りはEMS)ようBIOS設定してあげて、DOS/Vのシステムディスクで起動。すると、見事にJEGAをVGAとだまされて日本語の画面が現れる。パレットの数が足らないせいもありトーフで表示される文字列もあるが、もちろんそうでないのもあり、そのままでは使えないことはわかっていても感動する。
 次にシステムディスクをいじって、ディスプレイドライバをソニーのものと入れ替え、フォントもソニーのものを読み込むようにする。これで起動すると、全く問題なく使用できるDOSが目の前に出現した。そこで、早速インストール。カナ漢字変換は使い慣れているものがいいということで、AX-DOS3.21のVJE-βをそのまま使用。このあたりは、DOS/VにもAXの文化が残っているということか。
 フォント二種類、ドライバ二種類ということで、自由に選べるようにCONFIG.SYSを書き換えて、起動時に選択できるようにする。ただ、このままでは日本語モードが遅く、AXの快活さが失われているのが残念。

1992年某月某日

 NIFTYの会議室にて、MODEJD.SYSなるドライバが発表される。英語モードでこれが動くと、AX日本語モードにしてくれるドライバである。早速導入。やはり比べるとAXの方が速い。MODEJD.SYSを組み込んだ上でDOS/Vのドライバも組みこんでみると、英語モードがAX日本語モードとなる。ある意味、これが日本語AT互換機環境として本来あるべき姿かもしれない。

1993年1月某日

 出張のついでに立ち寄った秋葉原にて、120MBHDD(後のHD0)とディスク圧縮ツールであるSTACKERを購入。HDDを交換してみるが、そのうち20MBしか認識せず、交換は断念。
 HDDの交換ができなかったことで、STACKERはますます重要になる。インストールそのものは順調。合計38MB相当ぐらいの容量はありがたい。

1993年1月某日

 またNIFTYの会議室にて、FONTAX.SYSとFONTJEGA.SYSというドライバが発表される。いずれもJEGAの漢字ROMを動的に読み出して、$DISP.SYSに渡すデータを作るもの。当初はFONTAX.SYSの方が開発が進んでいたのだが、少し前に発売になった「DOS/Vスーパードライバーズ」のHi-Textに対応できるFONTJEGA.SYSを常用することに決定。
 DOS/VスーパードライバーズはIBMのドライバを使わなくても日本語表示環境を構築でき、多種のビデオカードに最適化して高速化を図ったのがウリなのだが、実際に使用してみるとIBMのものより遅い。前後して発売されたIBMの「DOS/V Extention」の方がいいかもしれない。ただ、パレットなどきっちりAXに合わせてあるだけに、V-Text環境としてはこちらを使うことになる。
 といいつつ、CONFIG.SYSを編集してありとあらゆる組み合わせで起動できるようにする。

1993年某月某日

 CPU換装を夢見、某業者に送るが以下省略。

1993年某月某日

 突然、起動しなくなる。PHILOS44Cもあることだし、特に急いで修理する必要もない。

1994年某月某日

 だんだん埃をかぶり不憫になってきたので、修理を依頼する。25000円でなんとか修理できた。
 修理完了を知らせる電話の中で、担当が「IBMのDOSを使用するとBIOSを破壊するので使わないように」などと意味不明のコメントを発する。ソニーが自社のAX用にDOS/Vを発売していることを告げても聞かない。アホらしくなって適当に答え、切る。その障害が事実なら「シャープは他社とは違うAXを作っている」ということになり、それまで宣伝してきたこと(AX規格という共通性)を否定することになる。つまりユーザーを騙してきたとも等しい。実際にはMS-DOSのMSDOS.SYSとPC-DOSのIBMDOS.SYSは本質的に異なるところはないわけで、IBM DOS5/Vを動かせないのならAX-DOS5も動かせないことになる。まぁメーカーの担当者のほうがユーザーよりもスキルが低いことはままあるのだが…。
 やむなく3.21に戻そうかと思ったがまぁ了見の狭い担当者の言うことを聞く義務はないと、またDOS/Vで環境整備をする。対向でPHILOS44Cもあることだし、インターリンクやTrantorのminiSCSIplusも必要に応じて使いたいと思い、それらも選択できるようCONFIG.SYSを編集する。が、あまりに凝りすぎて
  1. DOS/V・AX・英語モード選択
  2. DOS/Vモードなら、IBM純正・IBM純正拡張・スーパードライバーズ・ソニーを選択
  3. IBM純正/ソニーのドライバなら、IBM・ソニー・JEGAフォントを選択
  4. スーパードライバーズ/IBM純正拡張ドライバなら、IBM・JEGAフォント選択
  5. どのモードでも、最後にインターリンクとminiSCSIplusの使用可不可を選択
をどんどん選択せねばならず、我ながらあきれる。