FPGAプロトタイプボードをさがせ
そもそも、昔から評価ボードとか入門キットなどと言われるものは、こんな製品のように、LEDが数個ついてシリアルポートがあって…というようなスペックで数万円というようなのが相場でした。確かに、取っ掛かりから複雑なロジックの設計を要求するものは初心者には荷が重いでしょうが、その次のステップのためには機能が低かったり工作が必要だったりで、場合によっては不適当なこともあったのではないでしょうか。
しかしここ数年のFPGA単価下落を反映し、特に低価格品の普及とその費用対効果を印象づけるためか、低価格ながら高機能である評価ボードが次々と登場したことで、そのイメージが変わりつつあります。
特にSpartan-3スタータキットの登場は我々レトロPC愛好者には福音とも言える出来事であり、こんなのとかこんなのとかが次々と試みられるようになってくるきっかけになりました。実際のところ、VGA信号やPS/2キーボードのデータ受信などはそう難解なものではなく、むしろ初心者の第2ステップとしても敷居が低いのではないかと思います。具体的なI/Fを備えることで、枝葉末節とも言えるコネクタ取り付けの手間を省き、本題であるFPGAロジック実装にすぐ取り組めるということもあるのではないでしょうか。
ここではレトロPC再現用プラットフォームとして最適なものを探すべく、私が購入してみたものを挙げています(購入予定のものも含む)。その選定基準は、
としています。
全般的に、ザイリンクス製FPGAを採用したボードの方が多く見つかりますね。アルテラ製FPGA採用ボードは比較的小規模でも価格が高かったのですが、最近は少しずつその状況も改善されつつあるように思えます。がんばれがんばれ。
安価でもI/Oは十分、購入例多し
Spartan-3 Starter Kit
Digilent/Xilinx
スタータキットの革命児、これだけ安ければ失敗しても後悔しない
2004年7月、安定供給が可能になったSpartan-3チップを使って、安価な開発キットを提供するとザイリンクスが発表しました。ほどなく、オンラインストアや代理店から日本円にして15000円以下での購入が可能になりました。またこれを顧客に販促用品として提供する代理店もありました。
なんといっても、20万システムゲートの容量がありながら$99という価格はあまりに魅力的です。これまではもっと少ない容量のFPGAを搭載して数万円というのが相場でしたから、「とりあえず手にいれて実験しよう」という人が次々と購入していきました。
このキットの優れているところは、ボードの機能もさることながら、電源とJTAGケーブルまで添付されていることです。当時Spartan-IIEをプログラミングしていた手製ケーブルがSpartan-3ではあちこちで問題を起こしていたこともあり、安定して使えるケーブルが求められていました。Digilent製のこのケーブルは安価でありながらスマートにまとまり、それでいて安定していると評判になりました。
Z80コアを入れても半分以上の容量が余っており、いろいろな実験をするにも申し分ありません。ここではひとつひとつを紹介することはしませんが、サーチエンジンでざっと探しても多数の人がそれぞれの目的で使っている様子がわかると思います。
安くてオススメ、でも多少の拡張は必要
キーボード・VGA・シリアルに、FPGAだけでは足らない分のRAMを外部に接続と、レトロPC再現には十分の機能。但しVGAはデジタル8色、シリアルはハードフローなし、音声出力なしとちょっと凝ったことをしたければすぐ拡張を考えないといけなくなります。幸いにして3つも拡張ポートがありますので、どうとでもやりようがあるとは言えますが…。
設計を担当したと思われるDigilentからは、ダイサイズが大きいXC3S400とXC3S1000を用いたボードが発売されています。I/O類など全く同じで、より大きな回路を実装したいという目的にはぴったりです。こちらにもJTAGケーブルと電源が付属します。XC3S1000モデルは生産数が少ないのか、よく売り切れになります。見当たらなくても、しばらく待てば手に入るようになるはずです。
やはり安さからすればとても薦めやすい製品なので、高価でない拡張方法が望まれます。もっとも、Spartan-3Eスタータキットが十分な性能を持っていれば総合的にはそちらが安くつくはずなのですが。
スペック
使用デバイス | XC3S200(XC3S200モデル) XC3S400(XC3S400・Digilent直販モデル) XC3S1000(XC3S1000・Digilent直販モデル) |
Configlation ROM | XCF02S(XC3S200モデル) XCF02S?(XC3S400モデル) XCF04S(XC3S1000モデル) |
ROM | なし |
RAM | 1MB(SRAM) |
VGA | 8色 |
PS/2 | 1 |
サウンド | なし |
シリアル | 1 |
その他I/F | 40ピンコネクタ×3 |
添付品 | JTAG3ダウンロードケーブル、ACアダプタ プログラマブルロジックハンドブック(Xilinx直販モデル) リソースCD、ISE WebPack(Xilinx直販モデル) ISE&EDK Evaluation(Xilinx直販モデル・購入時期によってはないものもある) |
価格 | $99(XC3S200モデル) $119(XC3S400モデル) $149(XC3S1000モデル) |
参考サイト |
ステレオスピーカ搭載でI/Oに申し分なし、ConfigROM非搭載が惜しまれる
LiveDesign Evaluation Kit
Altium
本当はCAD評価用ボードです
アルティウムはなじみが薄くても、プリント基板CAD・Protelには覚えのある人も少なくないはず。以前トランジスタ技術誌の特集にて評価版が添付され、それが目的で購入した人もいることでしょう。現在アルティウムでは基板CADだけでなく、回路や搭載するFPGAの中身、それをSoCと捉えた時の搭載マイコン用ファームまで一貫して設計・デバッグできる「LiveDesign」というシステムを発売しています。これはそのCADの一部機能を体験できる、ソフトウェアの評価キットなのです。
LiveDesignでは、FPGAロジック開発において標準プロトタイプボードを定義しCADがそのボードと連携して各種デバッグが行なえるよう工夫されています。その標準プロトタイプボードは「NanoBoard」と呼ばれており、よく使われるであろう周辺回路とFPGAのモジュールから構成されています。モジュールは交換可能で、半導体ベンダから独立している強みを生かし、ザイリンクス・アルテラ・ラティス各社の主要なシリーズのいろいろなサイズのFPGAを取りそろえてあって、真に開発するターゲットに使用するデバイスを選んでロジック開発をすることができます。NanoBoardは複数連結可能で、FPGAを複数使用するターゲットにも対応しています。FPGAを開発している間別の人が基板を設計すれば、開発期間短縮も図れます。基板が先にできあがったら、NanoBoardをスルーする形でJTAGポートをターゲットに接続することで、引き続き同じ環境でデバッグすることができます。
このキットではボードがNanoBoardの代わりをするわけですが、NanoBoardそのものではないので画面には未接続と表示されます。それでもCADは使用することができます。またNanoBoardの代わりということで、ほぼ同じ回路構成ながらザイリンクス製FPGAを使用したボードとアルテラ製FPGAを使用したものが同じ価格で用意されています。CADも各デバイスで専用というわけではないので、ここでもLiveDesignの特徴がよくわかるのではないかと思います。
他に例を見ないスピーカ搭載、これで回路の保持さえできれば…
ボードを見ると、目立つところにあるスピーカ。ΔΣ方式のD/Aコンバータを構成することで、外部に特別なチップがなくてもアナログ音声が出せるようになっています(FPGA外部にLPFは必要。基板に搭載ずみ)。2チャンネルありますので、ステレオ音声が出力できます。
またRAMもアドレス・データバスが独立して2つあるので、より柔軟にメモリアクセスが可能です。VGAは9ビットの抵抗ラダー式D/Aコンバータ。いろいろI/Oがついているせいか拡張コネクタが寂しいですが、基本的には十分でしょう。
一番の問題は、ボードがCADと密接に連携することを体験させるキットであるがために、ConfigROMを搭載していないこと。ボード上にダウンロードケーブルと同じ回路があるのでこのキットとWebPackだけで開発はできますが、遊ぶためにはPCと接続しておく必要があります。別の手は考えていますが、なんにしても面倒ですねぇ。まぁ目的違いのことをしようとしているから仕方ないのですが。そういった意味で、本来の目的でない使い方をしたい人には薦めにくい製品です。
スペック
使用デバイス | XC3S400またはXC3S1000(Xilinxモデル) EP1C12(Alteraモデル) |
Configlation ROM | なし |
ROM | なし |
RAM | 256K×16bit×2(SRAM) |
VGA | 512色 |
PS/2 | 2 |
サウンド | スピーカ×2 Line OUT, Headphone OUT |
シリアル | 1 |
その他I/F | 20ピンコネクタ×2 |
添付品 | パラレルケーブル、ACアダプタ、拡張用ケーブル LiveDesign Evaluation CD |
価格 | $99(日本法人の販売価格は19800円) |
参考サイト |
レトロPC再現には最適なボード、購入方法にやや難あり
Spartan-3 FPGA Micromodule + Retrocomputing Carrier Board
Trenz Electronic
小さな基板とそのものズバリのボード
Trenz Electronicはドイツのボードメーカー。事務処理にてやりとりしたメールの主の名が社長のものだったことからして、どちらかというと零細メーカーなのではないかと思われます。「朱雀」などをOEM販売するなどもしていますが、その一方で自ら開発したボードを販売してもいます。
Micromoduleはまさに凸の形をした変ったボードで、その出っ張りの部分にはUSBのAコネクタがついていて、そのままPCのUSBコネクタに突っ込めるようになっています。もっともちゃんと動くようにするにはFPGAにロジックを入れる必要があるわけですが。
一方Retrocomputing Carrier Boardはそれ自体ロジックを持てないI/Oボードで、Micromoduleを載せ替えて回路規模の大小に柔軟に対応しています。Micromoduleは窪みにはまるように取付けられるのでUSBコネクタが使えなくなりますが、キャリアボードにUSBコネクタがありますので問題はありません。
Micromoduleには出荷時にPONGゲームが入れられており、名前どおりレトロPCの再現にぴったりのスペックを体現しています。
ええっ、VISA使えないんですか…?
MicromoduleにあるUSBチップはPHY部のみで、エンドポイントはFPGA内に作る必要があります。最初のXC3S200モデルではUSB Aコネクタがないものもあったようですが、現在のラインナップではXC3S400以上のモデルしかないようです。キャリアボードとつながるコネクタは重ねて接続できるようにしてあり、端子の使い方を工夫すれば複数のFPGAを並べることも可能かと思われます。
キャリアボードはVGA・シリアルの他、なんとジョイスティックコネクタまであって、アタリ規格のジョイスティックが接続できるようになっています。ジョイスティックがなくても、ボード上にそれに対応するボタンがあります。
コンパクトフラッシュコネクタはTrueIDEモードではなく通常のPCカードATAを想定して構成されています。FPGAから電源制御もできますので、いわゆる活線挿抜も可能と考えられます。
実はオンライン購入の際にカードが使えるからとそれで申込んだのですが、先方が取り引きしているところは日本のカードからの引き落としができないとのことで、急遽銀行振り込みということになってしまいました。手数料もこちら持ち、送料と合わせると倍ぐらいかかってしまったことになります。また距離もあるので、送料もそれなりに高くつきました(航空便だったのでものすごい速さで届きましたが)。どこかが代理店として大量に仕入れてくれない限りは、気軽に薦めるわけにはいきませんね。
※その後、ここと同系列らしきショップで日本からのカードが決済に使用できたとの報告がありました。ダメな場合にはその旨連絡が来ますので、一度挑戦してみるのも一つの方法かもしれませんね。
スペック
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次期本命、安価なわりにはI/Oが豊富
Spartan-3E Starter Kit
Digilent/Xilinx
スペックは紆余曲折の末高レベルで決定
読んで字のごとく、Spartan-3スタータキットに続くFPGA入門キットの第2弾です。Spartan-3のがよほど人気だったらしく、2005年前半時点でデバイスが本格的にアナウンスされた直後くらいに早くも仮のスペックと価格が公表されたほどです。その後何度かスペックが書き変わり、さらには何度もリリース予定が変更されて、ようやく2006年3月から出荷が開始されました。期待に違わず高スペックで、いろいろ遊べそうです。
2005年11月頃からのキャンペーンで、スタータキットに先立ちサンプルパックなるものが登場しました。Spartan-3の時はスタータキットが安かったので代理店などが販促用として顧客に無料進呈することもできたのでしょうが、Spartan-3Eのスタータキットでは価格が上がったため、代わりの販促用としてサンプルパックが作られたのではないかと考えられます。サンプルパック裏面には次のステップとしてスタータキットが紹介されており、より高度な試用のためにこちらに誘導しようという意図が感じられます。
サウンドに使えるか?アナログ入出力搭載、100ピンコネクタの相手は入手可能?
FPGAのサイズが倍以上になって、値段もそこそことなれば次期本命は間違いなし。しかもROMもRAMも大きくて、LAN(PHYのみ)もあるし、USBからダウンロードできるとなるとかなり利便性は高まります。VGAの仕様のことは差し引いても、かなり期待していいのではないでしょうか?
ただ、残念ながらまたサウンドの搭載が見送りに。といってもアナログ入出力が搭載され、カタログ値2Mデータ/秒での出力が可能に(セトリング時間は7μ秒必要なのでレートはもっと低くなるが、それでも140kデータ/秒となる)なることから、アンプ回路を付け足せばサウンド出力用として使用できそうです。4chもあるので、ステレオ出力もできそうですね。
それと、これまで40ピンコネクタで接続されていた拡張ボードが、なんと高密度100ピンコネクタで接続されることに。これ基板側は千鳥のパターンを用意しないとコネクタが取付けられないのですが、そういうユニバーサル基板は種類が限られ、さらにはそのコネクタそのものもパーツ屋で手に入るかは不明。今回もDigilentで設計しているようですので、専用ユニバーサル基板がそちらから提供される可能性もありますが、果たしてどうなることやら…。
WebPackで設計できる最大の大きさが7.1iまではXC3S500Eまでだったのが、8.1iはBaseX相当となって制限がなくなったこともあって、Digilentからダイサイズのみが違うボードが発売されています(回路図によれば、XC3S1200Eの搭載も可能なようですがラインアップされてませんね)。
スペック
使用デバイス | XC3S500E(XC3S500Eモデル) XC3S1600E(XC3S1600Eモデル) XC2C64 |
Configlation ROM | XCF04S(XC3S1600Eモデルは2個) |
ROM | 16Mbit(SPI Flash) 32Mbit(Flash) |
RAM | 32MB(DDR SDRAM) |
VGA | 8色 |
PS/2 | 1 |
サウンド | なし |
シリアル | 1(コネクタは2つ) |
その他I/F | Ethernet PHY(10/100Mbps) 100ピンコネクタ 6ピンコネクタ×3 アナログ出力×4 アナログ入力×2 LCD |
添付品 | ACアダプタ、ISE&EDK Evaluation リソースCD、USBケーブル |
価格 | $149(XC3S500Eモデル) $295(XC3S1600Eモデル) |
参考サイト |
Spartan-3E Starter Kit |
スタータキット第3弾、I/Oはさらに充実
Spartan-3A Starter Kit
Digilent/Xilinx
スタータキットは新デバイスの牽引役?
2006年暮れにSpartan-3Aが発表されて間もなくこのスタータキットも発表。Spartan-3シリーズは3Lを除くどのシリーズでもスタータキットを発売するとは、それだけユーザ層の開拓に積極的ということなのでしょうか。Spartan-3Aはそれほどの大容量化を狙わない代わりにI/Oを充実させたモデル。それをアピールするにはデバイス単体よりも具体的なボードの方がより効果的と考えているのかもしれないですね。
スタータキット初!ついにサウンドが搭載、多色VGAも
VGAは4096色に対応。サウンド用のミニジャックも搭載されて、レトロPC再現には最適なボードとなりました。採用FPGAも前モデルから増量されてXC3S700Aと、まさに大判振舞い。SDRAMはDDR2に進化。その他のI/Oも前モデルを踏襲していて、機能強化と捉えて差し支えないでしょう。
CQ出版社の組込みシステム開発評価キットにあるような拡張モジュールを取り付けられそうなコネクタもあります。DigilenかXilinxから発売されるモジュールがあるかもしれません。Spartan-3A自体が地味な印象を持ちがちですけど、このボードはこれだけでは終わらないかもしれないですね。
スペック
使用デバイス | XC3S700A XC2C64A |
Configlation ROM | XCF04S |
ROM | 2〜16Mbit(SPI Flash) 32Mbit(Flash) |
RAM | 64MB(DDR2 SDRAM) |
VGA | 4096色 |
PS/2 | 2 |
サウンド | PWM出力 |
シリアル | 1(コネクタは2つ) |
その他I/F | Ethernet PHY(10/100Mbps) 100ピンコネクタ 6ピンコネクタ×3 アナログ出力×4 アナログ入力×2 LCD |
添付品 | ACアダプタ、ISE&EDK Evaluation |
価格 | $199 |
参考サイト | Spartan-3A スタータ キット |
数少ないアルテラ採用ボード、すばらしい仕様なのに5000台限定はもったいない
1chip MSX
MSXアソシエーション
「事件」となったMSXの復活
2003年頃からだんだん騒がしくなってきたMSX、2004年10月にはついに市販品としてMSXのハードウェアが復活すると宣言されました。それもFPGAを核にして、力のある人は誰も知らない理想のMSXをオリジナルで作成することも可能とのこと。期待は高まり、ついに2005年5月から最低5000台・上限10000台の一般予約が始まったのです。
しかしながら、ソフトウェアプレーヤーが多くを占めたMSXファンからはハード剥き出しのスタイルが敬遠され、試作機には2つあったカートリッジスロットがひとつと仕様変更され、実際には破格の19800円という価格が高価だと批判が集まりました。そのため思うように予約数が伸びず、期限の3ヶ月で5000の予約を確保することができませんでした。
しかし関係者の努力はその後も続けられました。9月の東京ゲームショウと10月のALTERA PLD WORLD 2005での新仕様による商品化発表時に12月予約受付けとアナウンスされたもののまた沈黙し、翌2006年8月のコミックマーケット70を前にD4エンタープライズから年内に発売する旨を再び発表しました。その仕様では試作機と同様にカートリッジスロットが2つとされた他、追加オプションとなっていたMSX2が最初から搭載されているボードがクリアケースに収まっているというものでした。「最初からこの仕様だったら予約したものを…」というファンもけっこういるようですね。
MSX以外にも使える!(ただしダウンロードケーブル必須)
レトロPC再現専用ボードだけあって、必要にして十分なI/Oを備えています。カートリッジもROMだけでなくかつてはさまざまなI/Oデバイスを内蔵したものがありましたので、開発担当者はできるだけ問題なく動作するよう腐心したとのことです。
基本的にはConfigROMの書換えをケーブルで行なわず、SDカード経由で行ないます。MSXとしてのプログラムとしてPLDLOAD.COMというユーティリティが用意されていて、FPGAから逆にConfigROMを書き換えられる回路を使用することでケーブルレスでの回路更新を可能にしています。逆にプログラミングポートは当初JTAGであるとの情報は誤りでASモードによるポートが準備されていて、ByteBlasterMV互換ケーブルでは書き込みできません(ByteBlasterII互換ケーブルが必要。回路図は公開されていないが自作不可能ではない)。
漢字ROM・BIOS ROMなどのデータはConfigROMのロジックデータの続きに格納していて、Config後IPLによりSDRAMに読み込まれる仕組みとなっています。残念なのはアンプ回路を搭載しなかったのでサウンドの音量が足らないこと。それ以外はかなり素直なFPGAボードとなっていて、I/Oにさえ注意すれば汎用的に使用できそうです。
今回は5000台限定で生産する予定らしく、増産はどうするつもりかなど明らかではありません。教育用にも使えるとの宣伝ではありますが、故障したときの交換用などの確保は継続的に生産していなければ安心できず、またレトロPC再現にしても「私製新MSX仕様」を発表しようにも一度きりの販売では形成されたコミュニティが成長・拡大するはずもありません。一気に5000台作って最後の100台が腐るよりも、信頼のあるブレッドボードメーカーと組んで継続的に月10台くらいを生産し続ける方がいいと思うのですが…。
スペック
使用デバイス | EP1C12 |
Configlation ROM | EPCS4 |
ROM | なし |
RAM | 32MB(SDRAM) |
VGA | 262144色 |
PS/2 | 1 |
サウンド | OUT×2 |
シリアル | なし |
その他I/F | SD/MMCカード Joystick×2 ROMカートリッジスロット×2 ビデオ出力(S/コンポジット) |
添付品 | ACアダプタ 本体マニュアル 付属CD-ROM(開発環境、各種ソースコード、サンプルとなるソフトウェアを同梱) |
価格 | 19800円 |
参考サイト | 1チップMSX / 予約販売ホームページ 1chipMSX Wiki |
低価格アルテラ採用ボードの決定版、すでにレトロPC実装の実績あり
TREX C1 Multimedia Development Kit
Terasic Technologies
どうも低価格NIOS IIボードとして売りたいようですが…
Terasicは台湾にあるアルテラ専門FPGAボードメーカー。社名に含まれるasicの文字が、彼らの本業を暗示しています。アルテラ純正評価ボードがかなり高価なのに対して、ここは上位モデルも含めてコストパフォーマンスが高いボードを発売しています。DE2と呼ぶ高機能ボード(ザイリンクスでいうとSP305に相当)もそうなのですが、もしかするとTerasicが設計・製造しているのかもしれません。
最近のアルテラはザイリンクス以上にソフトマイコンの売り込みに懸命で、このTREX C1も小規模なNIOS IIボードとして売りたいようなのですが、その安さからアムストラッドCPC互換回路の実装もされるなど、アルテラ系ボードとしては(1chip MSXを除いて)珍しい展開を見せています。
サウンドも実装、1chip MSXのデータも流用可?
注目すべきは、サウンド出力が標準実装されていること。マルチメディア開発キットと銘打つだけのことはあります。TV出力がありますが、VGA出力と併用できない信号の共用のしかたをしているので、これは選択するしかないようです。
同じCyclone使用ということで1chip MSXのデータの流用ができるか期待されるところ。ただFPGAの容量が半減するということでは厳しいでしょうかね。
スペック
使用デバイス | EP1C6 |
Configlation ROM | EP1CS1 |
ROM | 1MB(Flash) |
RAM | 8MB(SDRAM) |
VGA | 4096色 |
PS/2 | 1 |
サウンド | 16bit DAC |
シリアル | 1 |
その他I/F | CompactFlash(True IDE) TV出力 |
添付品 | ACアダプタ USBケーブル Quatus II Web Edition |
価格 | $149 |
参考サイト | Terasic TREX C1 Multimedia Development Kit - US$149 |
ついに登場、メーカー公式スタータキット
CycloneII FPGA スタータ開発キット
Terasic Technologies/Altera
Spartan-3E対抗にふさわしいボードが登場!!
TREX C1を世に送り出したTerasicがAlteraとのコラボレーションにより、ついに公式のスタータキットを発表しました。といってもDE2発売当時からアナウンスされていたDE1ボードが正式にAlteraでも取り扱うことになっただけのようにも思えますが、デバイスとしてのSpartan-3E対CycloneIIの図式がボードとしても展開されるというのは、なかなか好ましいことではないでしょうか。しかも今回は日本でのイベント「ALTERA PLD WORLD 2006」の場でも発表されており、全面的に対抗している様が明らかに見てとれます。
スペックもSpartan-3Eスタータキットと比較して遜色はなく、どちらがオススメ?と聞かれても「好きなのを選べば?」と返してしまいそうなほどです。むしろサウンドがある分Spartan-3Eスタータキットよりも良さそうですね。とすると対抗するのはSpartan-3Aスタータキットでしょうか?
TREX C1より高機能でお値段はほぼ据え置き
TREX C1と比べてもビデオ出力がない以外は同等かそれ以上のスペックがあります。そしてお値段はほぼ同じ$150なのであれば、逆に見るとFPGAの容量増大がうれしいですね。1chip MSXのロジックもあまり変更することなく載せ替えられそうな気がします(サウンドとかも違うので簡単ではないでしょうが、入らないので削るというのよりは楽に考えられるかと)。
1chip MSXの5000台に間に合わなかった人、ひとつ検討してみますか?
スペック
使用デバイス | EP2C20 |
Configlation ROM | EPCS4 |
ROM | 1〜4MB(Flash) |
RAM | 8MB(SDRAM)、512KB(SRAM) |
VGA | 4096色 |
PS/2 | 1 |
サウンド | 24bit CODEC |
シリアル | 1 |
その他I/F | SD/MMCカード 40ピン拡張ポート×2 外部クロック入力 |
添付品 | ACアダプタ USBケーブル Quatus II Web Edition |
価格 | $150 |
参考サイト |
日本アルテラ - Cyclone II FPGA スタータ開発キット TERASIC - Products - FPGA Systems - Altera DE1 - Development and Education Board |