とある街の宿の一室で、早朝の清々しい空気を室内に迎え入れ、メリルはひとつ伸びをした。 昨日は珍しく報告書を書かずにすんだおかげで、一日ゆっくり休むことができた。気力も充実、とてもさわやかな一日の始まりと言えるだろう。 「毎日がこうでしたら少しはゆとりが持てそうですけれど」 ひとりごちて、メリルは身支度にとりかかった。もともと手際良い彼女は、ほとんど時間をかけずに服を着替えて荷物をまとめる。 最後の荷物をトランクに詰め込んで、メリルは一息ついた。 窓の外から、朝を迎えた街の声が耳に届いてくる。 窓から下を見下ろしてみると、通りを歩く人々の姿が目に入った。道行く人が挨拶を交わしている。ぽつぽつと開き始めている店もある。どこの街でも見掛けられる朝の風景だ。 少しその様子を眺めていたメリルだったが、すぐに窓から離れて部屋を出た。 隣室の扉の前に立ち止まって、ノックを2回。 「ヴァッシュさん、起きていらっしゃいますか?」 いつもならすぐに元気な声が返ってくるのだが、今日は何故か返事が無い。 「ヴァッシュさん?」 ノブに手をかけると、あっさりと回った。ドアが開く。…中はもぬけの空、だった。 |
「ミリィ!ミリィ、起きてちょうだい!」 扉を激しく叩く音と、普段の落ち着きあるメリルらしからぬ慌てた声に、ミリィの意識がようやく半覚醒する。 「はぁ〜いぃ、ちょっと待っててくださいねぇー」 頭に霞がかかった状態だったが、ミリィは起き上がってドアを開けた。その向こうには、既に身支度を整えたメリルが立っている。 「おはよーございますぅ、せんぱい〜」 寝ぼけまなこをこすっている後輩を見るなり、メリルは溜息をついた。 「ミリィったら、また徹夜しましたの?せめて2日に分けてお書きなさいと言ったでしょう」 「あはは、すみません〜。もう少しって思ったら、とまらなくってぇ…」 「…その様子では気づかなかったと思いますけど…ヴァッシュさんを見かけませんでした?」 「え?ヴァッシュさん、ですか?」 ミリィが目を丸くした。ようやく眠気が抜けてきたらしい。 「部屋にいないんですわ。出かける時には声をかけて下さるように、お願いしましたのに」 その時、ミリィの隣の部屋の扉が開いた。 こちらはいつもの黒服姿のウルフウッドが、火のついていない煙草をくわえた姿を見せる。 「どないした、朝から騒々しいやんか」 「あら、ウルフウッドさん。おはようございます」 「おはよーございますぅ、ダーリン」 「おはようさん。…ハニー、なんや眠そうやなぁ」 ウルフウッドはくわえていた煙草を中指と薬指で挟んで口から離す。それを手にしたまま、二人の側に近づいて来た彼に、ミリィは照れ笑いを返す。 「えへへ〜。ちょぉっと徹夜しちゃったんですぅ」 「なんや、ワイに声かけてくれたら朝まで付きおうたったのに」 「えー、でも悪いですよぅ」 「可愛いハニーのためやったら、徹夜のひとつやふたつ大した事あらへんで」 「お話し中すみません、ウルフウッドさん。ヴァッシュさんを見かけませんでした?」 放っておいたらしばらく続きそうな会話である。急いでいることも手伝って、メリルは横から問いかけた。 「いや、ワイもさっき起きたとこや。あいつ朝はえらい早いからなぁ。散歩とちゃうか?」 「…そうですか。とにかく捜してきますわ。ミリィ、あなたも着替えたら手伝って下さいな」 「はい、すぐ着替えますね」 ミリィは普段の口調に戻ると、扉を閉めた。メリルと話しているうちに目も覚めてきたらしい。 「ワイも手伝おか?」 「助かりますわ、お願いしますわね。…本当に、こんな朝早くからどこに行ったんでしょう」 「まぁ、ほっといたらそのうち騒ぎになるやろから、居場所もわかると思うけどな」 「そうなってからでは遅いんですわっ!」 ウルフウッドの呑気な言葉に、メリルは思わず声を荒げる。だが、すぐに我に返ると、顔を赤らめてきびすを返した。 「とにかく、ヴァッシュさんを捜してきます」 メリルが駆け足でその場を去って行く。 「難儀なこっちゃなぁ」 言葉とは裏腹に、ウルフウッドの口元には楽しそうな笑みが浮かんでいた。 |
ヴァッシュの立ち寄りそうな店を回ってはみたものの、ほとんどが開店準備をしているばかりである。彼の姿は杳としてわからなかった。 じっとしているわけにもいかず、メリルはあてもなく街中を歩きまわる。 ──と。 何気なく見上げた場所に、見慣れたコートのはためく姿がちらりと映った。 メリルが急いでそちらへ向かう。 赤紅のコートが覗いた小高い丘の上で、ヴァッシュは寝転んで空を見上げていた。 「ヴァッシュさんっ!」 「のあっ!?」 メリルの大声に、彼は慌てふためいて起きあがった。声の主の姿を認めると、少しばかり驚いた表情を浮かべる。 「あれ、保険屋さん。おはよ、早いねー」 にっこり笑って手をひらひらさせるその様は、非常に平和そうに見えた。 メリルはつかつかと彼に歩み寄る。側まで辿り着くと、両手を腰にあてて少し前かがみになった。ちょうどヴァッシュを見下ろす形になる。 「こんなところで何をしているんですの!」 「え、何って…」 「お出かけになる時は声をかけて下さいと、私、言いませんでした?」 「あ…はは」 「あははじゃありませんわ!」 「いや、えっとね。忘れてたわけじゃないんだけど。…あのさ」 話の途中から顔の前辺りに両手を上げていたヴァッシュは、ここで横を向いた。こころもち、顔が赤くなっている。 「話をするなら座らない?」 言われて、メリルも遅まきながら気がついた。ヴァッシュは地面に座って彼女を見上げ、メリルは彼を見下ろす形になっているのだ。素足でないといっても、ミニスカートでこの角度はまずい。 「し、失礼いたしましたわ」 メリルがその場に座り込むと、ヴァッシュはにっこりと笑いかけてきた。 頬が少し上気してしまうのは、先程の恥ずかしさによるものだろう…と思う。 ヴァッシュの左側に座ったメリルは、頬の熱が引くのを待ってから、改めて彼に尋ねてみた。 「どうしてこんな所に来たんですの?」 「うん。青空の下でね、人の声が聞きたくなったんだ」 この上なく優しい表情で、ヴァッシュは答えた。 その瞳に吸い込まれそうな錯覚を覚え、メリルは思わず自分がやってきた方角、街の大通りを振り向いた。 ぱらぱらと店が開き始め、人通りも少しずつ増えていた。街が活気に溢れる直前、もしくは活気に満ち始めた時間だろうか。 「でも、それでしたらもう少し遅い時間でもよくありませんか?」 メリルが再びヴァッシュを見ると、彼は先程の彼女と同様に道行く人々を見つめていた。 「うん。だけど、街が目覚める様はあの時間しか見られないし、聞こえないんだ。夜空に朝日が昇り始めて、空の色が変わる頃から、もう街は活動を始めてる。そういう時間を見ていたくて、さ」 不思議なことを口にする人だとメリルは思う。 こんな時、ヴァッシュはとても穏やかな瞳を見せるのだ。大切な何かを、誰かを見つめるような、愛おしさの入り交じった優しい表情で。 「…ヴァッシュさん、あの…」 不意にヴァッシュがメリルを振り向いた。何故か顔が赤くなり、彼女は慌てて言い訳をしようとした、その時。 「ミイラ取りがミイラになってどないすんねんな、ちっこい姉ちゃん」 背後から、からかうような言葉が降ってきた。振り向くと、ウルフウッドとミリィがすぐそこまで来ている。 「う、ウルフウッドさん!?」 「あー、二人ともこんなトコにいたんですかー?」 「あれ、君たちも捜しに来てくれたんだ」 嬉しそうに笑うヴァッシュにウルフウッドの罵声が飛ぶ。 「あんなぁ、朝も早よからなんでワイらまでおどれを捜さなあかんねや? 部屋におらんゆうからメシも食わんと人捜しやで」 「ゴメンゴメン、心配かけちゃって」 ウルフウッドがメリルを見やった。口元には人の悪い笑み。 「ワイは心配なぞしとらんけどな。な、ちっこい姉ちゃん?」 「私が心配していたのは、ヴァッシュさんが引き起こす騒動ですわよ」 「あ、私心配してましたよー。ヴァッシュさんがドーナッツ食べ過ぎてるんじゃないかなって」 「…それ、心配?」 誰ともなく四人は笑い出した。 「ま、それはさておき、や。朝から労働させられたんやし、それなりの見返りもらわんとな」 「お金取るの!?」 「人聞き悪いこと言いなや。朝メシくらいおごれっちゅーとんねん」 「…あ、そゆことね」 ヴァッシュが笑いながら肩を竦めた。 「ハイハイ、じゃ行きますか?」 「あ、ねぇ、ヴァッシュさん」 立ち上がろうとしたヴァッシュに、メリルがひとつ提案する。 「せっかくですから、ここで朝食にしませんか?」 ヴァッシュは彼女に意外そうな表情を向けた。 メリルが続けるべき言葉を探そうとした時、ミリィが笑顔で右手を上げる。 「はーい、賛成です!ピクニックみたいですね〜。ね、ダーリン」 何もわざわざ外で食わんでも、という言葉がウルフウッドの口をついて出そうになった。だが、傍らの娘の笑顔があまりにも楽しそうだったので、彼もつられて笑みを返す。 「ま、たまにはええか。トンガリ、財布出せ」 「あれ、買ってきてくれるの?」 「金はおまえ持ちやからな、それくらい行ったるわ」 「んじゃよろしくね」 ヴァッシュが懐から財布を取り出した。投げられたそれをウルフウッドは片手でつかむ。 「ほな行こか、ハニー」 「はい、ダーリン」 こんな会話を交わしながら、二人は仲睦まじく元来た道を戻って行った。 「楽しそうだねぇ」 「本当に」 ヴァッシュはにこにこと彼らの姿を見送っている。見送る彼の方が余程幸せそうに見えるのだが。…少しだけ、メリルは二人が羨ましく思えた。 少し時間を置いてから、メリルはもう一度彼の名を呼ぶ。 「ヴァッシュさん」 「何?」 「今度からは、前もって教えて下さいね。止めたりしませんから」 ヴァッシュが小さく笑みを返す。 「うん。ごめん、心配かけたみたいでさ」 「別にそういうわけではありませんけど…」 「あれ、心配してくれないの?」 メリルは一瞬つまったが、にっこりと笑いかける。 「ええ、心配ですわね。あなたの引き起こす事件の被害総額が」 ヴァッシュの笑みが苦笑に変わった。 |
いくつもの店が並ぶ大通りの中の一軒の果物屋で、ウルフウッドとミリィは朝食のデザートを選んでいた。 メインディッシュであるサーモンサンドは人数分買い込んである。これが済んだら飲み物を買いに行こうかとウルフウッドが考えていた時、不意にミリィが話を振ってきた。 「牧師さん、どうして先輩にすぐ教えてあげなかったんですか?」 「何がや?」 店先で、サーモンサンドの袋を手にしゃがみこんで果物を選んでいたウルフウッドは、中腰の状態で彼を覗き込んでいた傍らのミリィを見上げた。 ミリィは先程選んだオレンジを手に持ったまま、話を続ける。 「ヴァッシュさんの居場所、知ってたんじゃないかなって思ったんですけど…」 ウルフウッドは悪戯っぽい表情を見せた。 「探しもんはな、自分で見つけた方が嬉しいやろ?」 「やっぱりご存知だったんですね〜。でも、もし何かあったら大変ですよ?」 「人通りから離れたとこで寝っ転がっとるだけやったら、トマに踏まれるのが関の山や。朝も早いからガキはまだ家の中やし、酔っ払いも寝とる時間やろ?」 ウルフウッドはヴァッシュの行動に文句をつけるのが常である。だが今日は珍しくその行動を容認しているように感じ、ミリィは再度尋ねてみた。 「どうしてか、ご存知なんですか?」 ウルフウッドは肩を竦めた。 「ワイにとってはアホらしい思う理由やけどな。それ、買うか?」 「あ、はい」 「これも一緒に頼むわ、おばちゃん」 ミリィのオレンジを指差し、ウルフウッドは勘定を確認していた女性に追加を頼んで代金を渡した。 店主の女性が釣り銭を用意しようと店の中に入っていく。 そこで彼はようやくミリィの問いに答えた。 「夜明けを見ながら生活する声や音を聞きたいらしいわ」 ミリィが瞬きをした。 「どこで聞いても変わらへんと思うけどな」 ミリィは両手の中に収まったオレンジに視線を落とす。 「…違うかもしれませんよ」 「ん?」 ミリィが顔を上げた。 「私、寝坊だからあんまり早起きできなかったんですけど。たまに早起きした時は、朝の空気って清々しいなーって思うんです。夜の空気は冷たいけど、朝は一日の始まりだから、頑張ろうって気持ちが湧いてきます。大兄ちゃんたちもそうだって言ってたんですよ。朝日を見ると一日の始まりを感じる、元気を分けてもらってるみたいだって」 「…ほうか」 ウルフウッドが少し目を細めた。眩しいものでも見るように。 ここでようやく店主が戻ってきた。釣り銭を受け取り、ウルフウッドが二つの荷物を手に立ち上がる。 「片方、持ちますね」 「ほならこっちを頼むわ。それ、こん中に入れとき」 「はーい」 ミリィはオレンジをウルフウッドの持っている果物の袋に入れた。 サーモンサンドの入った軽い袋を彼女に渡しながら、ウルフウッドが尋ねる。 「ハニーは兄ちゃんや姉ちゃん、家族のことどう思とる?」 ミリィが全開の笑顔を見せた。 「もちろん、大好きです!」 ウルフウッドが嬉しそうな、懐かしげな、そしてどこか寂しそうな表情を浮かべた。 ミリィが小首を傾げたが、彼はすぐに小さな笑顔で先程の表情を覆い隠す。 「ほな、行こか。あの二人も待ちくたびれとるかもな」 歩き出そうとしたウルフウッドの腕に、ミリィが右手を伸ばす。一瞬動きが止まったが、ミリィの腕は彼の肘の下の、黒い服の袖をつかんだ。 ウルフウッドが振り返る。 「どないした?」 怪訝そうな黒服の青年に、ミリィはにっこりと笑いかけた。 「ダーリン、デザートのプリン、まだ買ってませんよぉ」 「ああ、肝心なもん忘れとったな。カンニンや。よっしゃ、特大のやつ買おか」 「わーい、ありがとうございます〜」 無邪気な笑顔を浮かべるミリィを見て、ウルフウッドは表情を和らげた。そして。 さりげなく彼女の肩に手を回す。 ミリィが少し頬を赤らめて、彼の顔を見る。ウルフウッドがウィンクしてみせると、彼女は心から幸せそうな笑顔を見せた。 「ごちそうさまでした!」 ミリィがデザートのプリンを食べ終わり、朝食の時間が終わりを告げた。 「いやー、おいしかったねぇ」 ミリィよりも少し早めにデザートのドーナッツを平らげていたヴァッシュが、心から幸せそうな声を出す。 傍らのメリルはつい笑ってしまった。 「どうかした?」 「いいえ、何でもありませんわ。おいしい朝食でしたわね」 「要はガキっちゅうこっちゃな」 ウルフウッドがくわえ煙草でからかうような笑みを浮かべる。 彼は甘いものを食べないので、一足先に朝食を終えて一服していたのだ。既に2本の吸い殻が即席灰皿の上にある。 「なんだよ、君はこの朝食がおいしくなかったのかい?」 「いや、うまかったで。ワイが言うとんのは根本的な問題や」 「どーいう意味だよ」 「言葉通りやけどなぁ」 「ほらほらお二人とも、まず片付けてしまいましょう。…あら?」 メリルが首を傾げたと同時に、ウルフウッドは左肩に何かが乗せられたような重みを感じた。 見ると、隣に座っていたミリィが彼の肩に頭を凭せかけ、寝息を立てている。 メリルが慌てて彼女の名を呼んだ。 「ミリィ、駄目ですわよ」 「ええて。しばらく寝かしといたり」 「でも」 「昨日徹夜しとったんやろ?無理に起こすんも可哀相や。ワイは構へんで」 起こした方がいいと思ったが、ミリィは眠り込んでしまっているらしい。今朝はヴァッシュを捜す為に早朝から動き回っていたのだから、余計に疲れているのだろう。確かに今起こしては気の毒だ。 隣のウルフウッドには迷惑かと思ったのだが、メリルはせっかくの彼の申し出に甘えることにした。 実際に迷惑ならばそういう雰囲気が伝わってくるはずだが、ウルフウッドにその様子はない。むしろ好意的に感じているように思えたことも、彼にミリィを任せる気になった理由のひとつかもしれない。 「では、すみませんがお願いしますわね」 「片づけ頼むわ」 メリルが苦笑した。 片づけといっても大した事ではない。ゴミをまとめてカップを片づければ、すぐに終わってしまう。 そろそろ戻った方がいいかしら、とメリルが考え始めた時。 「もう少し、のんびりしていかない?」 片づけを手伝っていたヴァッシュが提案してきた。 答える前に、メリルはミリィの様子を見る。 彼女は煙草を吹かしながら空を見上げるウルフウッドの肩で、幸せそうに眠っていた。…この様子では、しばらく目を覚まさないだろう。 今は取り立てて先を急いでいるわけでもない。 少し思案してから、メリルはヴァッシュに微笑みかけた。 「そうですわね。たまにはゆっくりしましょうか」 肯定のいらえを聞いて、ヴァッシュが再びその場に寝転がった。両手を組んでその上に頭を乗せ、再び通りに目をやる。 その隣に腰掛けて、メリルは立てた膝に両肘を軽く乗せて頬杖をついた。 そうしてヴァッシュの視線を追う。通りの人の数が少し増えているのが見て取れた。 先程はほとんど見かけなかった子供たちの笑いさざめく声。 赤ん坊を連れた母親が、顔見知りの女性と立ち話をしている。 通りに面した店々からは、威勢のいい呼び込みの声が響く。 生活している人々の声と姿。 「こうしているとね」 「え?」 「ほっとするんだ…嬉しくなってくる」 「ええ、なんだか懐かしい気持ちになりますわね」 ヴァッシュがメリルを見た。ふっとその表情が和らぐ。優しい笑みを浮かべられ、メリルはまた頬が上気してくるのを感じた。 だが、ヴァッシュはそれには気づかなかったらしい。 「そうなんだ…うん、懐かしいんだね」 ヴァッシュは空を見上げた。遠い蒼穹を眺めながら、眩しそうに目を細める。 メリルも空を見上げた。真っ青な空を背に、二つの太陽が輝いている。 青碧の瞳に空の青を映しているヴァッシュの心に想いを馳せながら、メリルは遠い空を見つめていた。 |
──了 |
5000HITのキリ番小説です。実はSTAGE-12の表紙を初めて見た時は、ウルミリにしか目が行ってませんでした(笑)。でも小説の情景を思い浮かべると、メリルに焦点が合いましたので、ヴァメリメインになってます。 でもヴァッシュはちょっと鈍感ですし、メリルは自分の気持ちをなかなか認めそうにないですし、こちらの二人はまだ道のりが険しいかも。 …実はこの話、ヴァメリと言うべきかヴァッシュ&メリルと言うべきか、ちょっと迷ってます(汗)。お読み下さった皆様はどう感じられましたでしょうか?これについて、少しでもご感想を掲示板に書いていただけると嬉しいです。 ところでうちのウルミリは、ウルフの方が積極的みたいですね〜。いえ、書き手としてもその方が嬉しいんですが(笑)。 |