「GOSPEL」

 …というわけで、あとがきです。
 23話については、以前に「This Night」で、すべてが終わった後の話を書きました。
 (幽霊という反則ネタではありますが…)
 でも。その後も、23話ラストで悲痛な声を上げたミリィが忘れられなくて、彼らと共に生きることを夢見たまま死んでしまったウルフウッドがあまりに切なくて。もし、ウルフウッドが生き残ったら…と考えずにはいられなかったんです。
 実際、悲しみのあまりに周囲が見えなくなっていたヴァッシュがあの後すぐ駆けつければ助かったんじゃないか、と思ってしまったんですよね。確率としては非常に低いかもしれませんが、それでも可能性があるのなら、あの時、ヴァッシュが即座に教会へと駆けつけてくれることを、切に望んでしまったんです。
 パロディ小説を書く場合、「原作の話と話の間にありえる話である」ということが前提になっていると思います。ですが、私は今回あえてそれを破りました。これが、「GOSPEL」を裏に持ってきた理由です。
 以前アニメのパラレルワールドとして、ウルミリ一家の話を書きましたが、あれはアニメのストーリーとは全く離れた位置にある、いわば夢物語に近い話なんです。
 (この話も夢物語といえば夢物語ではありますが…)
 作品の流れそのものに反する話を書くことに対して、最初はかなりの抵抗がありました。書きたいけれど、アニメのストーリーではまずありえないとわかっているだけに、プロットを立てたものの書き出すことが出来なかったんです。
 でも、この件について相談した友達に、「いっそまったく違う展開として書いてみたら?」というアドバイスをもらいまして、「中途半端に流れに沿うくらいなら、違うものだと割り切って書いてみよう」と思い至りました。
 それから。本編で書き切れなかったことの補足を、少しだけ。
 シップの先生がヴァッシュに「ウルフの側にいるように」と言ったのは、治療もさることながら、彼のプラントとしての力が、潜在的に影響を及ぼす可能性を考えたため、なんです。ヴァッシュはプラントとしての力を自分の意志で使うことは出来ないはずですが、我知らず影響を及ぼすことがあるのではないか、と思ったんですね。実際、瀕死のウルフウッドが奇跡的に生還できたのは、ヴァッシュの存在によって、仮死に近いぎりぎりの状態でその身体を維持することができたおかげだという裏設定があります。

 最後になりましたが、この隠しページを見つけて小説を読んで下さった皆様、本当にありがとうございました。
 もしよろしければ、ご意見、ご感想を掲示板かメールにいただけると嬉しいです。

長山ゆう(00/01/17)


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