この光景




例えば
お父さんが息子とキャッチボールをしていたり

例えば
お母さんが娘のために
おいしいシチューを作っていたり

例えば
老夫婦が手をつないで仲良く散歩をしていたり

そんなあたたかい光景を見るとね
胸の奥がきゅーっとなるんだ
ボクの胸もあたたかくなる
幸福感……っていうのかな
目の前が霞んで、青い空の向こうに
キミの笑顔を思いだすよ
……ああ、キミはこの光景の為に
生きていたんだね


人ハツヨイヨ、コンナニモ
砂漠シカナイコノ星デ
ソレデモ笑顔ヲ忘レテイナイ


でもね。同時に切なくなるんだ
キミがこの光景を見られないなんて
なんて世の中はうまくいかないのだろう
キミの代わりというわけにはいかないけど
せめてこの光景を、ボクの記憶に刻んでおくね
キミは喜んでくれるだろうか


心ノ中ノキミガ笑ウヨウニ
僕ガ歩イテイケルヨウニ


ああ、胸の奥がきゅーっとする
こんなにも幸せなのに、なぜだろう
目の前が、涙で霞んでしまうんだ


人ハツヨイヨ、コンナニモ
ダカラボクモ
人デアリタカッタ……ノニ……


ボクはもっと
ボクはもっと
ボクはもっと

もっと、もっと、もっと

ボクはもっと……
 
ツヨクナリタイ





NOVELへ戻る

トップへ戻る