─2001 SUMMER TOUR─
ミスター・ムーンライト ─月光旅人─



 初めて生で観たキャラメルボックスの舞台です。(2年ぶりに上川さんが出演するということで、チケット争奪戦はかなり熾烈だったとか…)
 キャラメルボックスの舞台を欠かさず観ている友達に誘われて行ったんですが、どんなお芝居なのか、正直、期待半分不安半分だったんです。そもそも「演劇」は難しい、わかりにくいという先入観がありまして…。
 でも、実際に観てびっくり。
 内容がとてもわかりやすくて、所々笑ってしまうシーンがあって、でもストーリーは切なくて。本当に面白かったです。

 格好いい役者さんという印象の上川さんが演じるのは、不器用だけど友達思いの優しい男性でした。かすみの事情を知って奔走する姿は、見ていてこう、応援したくなりますね。職場の同僚や上司もいい人ばかりで、類は友を呼ぶという感じ。(中でも館長さんにはもう何度も何度も笑わせていただきました♪)
 刑事コンビも楽しくて。石岡はいざという時格好いいのに、普段はかなり滑っているし、竜ヶ崎は一見真面目だけどどこかお茶目だし(笑)。
 登場人物それぞれが魅力的で、人間関係がいいなぁと思います。
 そして、結城。生真面目な人です。妹であるかすみの幸せを、ただひたすらに願っていたが故に、彼女の死を嘆くあまり、くすぶっていた怒りを露わにして、復讐(…になるのかな…)しようとするわけですが。
 事件を、かすみの死を、そして彼女の想いを、どうしようもなかったのだとは認めなかった結城の心、そんな兄を止めようとしたかすみの気持ち、そして鹿島の行動。
 かすみの伝えたかった言葉を代弁してくれる人がいたことが、何より彼女にとっては嬉しかったのではないかと思います。鹿島の存在に救われたのではないでしょうか。かすみも、そして、結城も。
 観終わった後に、暖かな余韻の残る話でした。

 ちなみに、この舞台ではちゃんとかすみも登場しています。とはいえ台詞は一切なし、鹿島の勤務先である図書館に通っている人という形なので、一見すると脇役のように見えますが。彼女に気づくのは最後の最後なんですけど、これを知った時、もう一度観たい!と思ったんですよね。
 お芝居を観ていると、やはりまず目が行くのは物語の中心人物ですが、その周囲で他の人物はそれぞれの演技をしているわけで。でも、一度観ただけでは役者全員の動きを追うのは不可能です。特に今回はかすみが舞台のどこにいたのか、何をしていたのかが気になったんですけど、残念ながらチケットは完売。非常に心残りでした。
 …ので、クローズド・サーキットに行っちゃったんです(笑)。
 カメラ視点なので、画面の外で何が起きているかが見えないんですよね。その辺りは非常に気になったんですけど、それでもラストシーンで、石岡が「かすみの手紙を結城に見せる」と言った時。
 それまで本の背表紙を見ていたかすみが、ふと顔を上げて、彼を振り返っていたんです。
 その演技を見られたのがとても嬉しくて。
 この時、「舞台を観るなら2回は劇場に行こう!」と心に誓ったのでした(笑)。

 それにしても、TVで何度か見たことのある上川さんが、こんなに飛んだり跳ねたりしているとは思いませんでした(笑)。(でも後で「スケッチブックボイジャー」のビデオを見た時の驚きは、この比じゃありませんでしたけど…まさに愕然(笑)。でも舞台の上川さんは弾けていて楽しいです♪)
 あと、神戸初日版では、とあるシーンで上川さんが予定より早くに出てきてしまい、慌ててその場を取り繕っている所があります。これはかなり笑いました。他の役者さんも驚かれたでしょうねぇ…。皆様台本通りストーリーを進めているのでその場を取り繕う上川さんが非常に浮いてます(笑)。

 キャラメルボックスの舞台は、これまでにも何度か誘われたんですが、行かなかったことを深く後悔しました。こんなお芝居が観られる劇団があったなんて。
 でも、最初に生で観たのがこの話だったのは大きかったと思います。それまでのビデオも友達に借りて観ましたが、中でもこの作品は特に面白かったですし。
 というわけで、すぐにサポーターに加入しまして、現在に至っています。


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