─2002 CHARENGE THEATER vol.2─
賢治島探検記



 チャレンジシアター第2弾。
 今回も東京のみの開催。6月の「銀河旋律」に行けなかったことをかなり後悔していたので、スケジュールを確認して東京遠征を決行しました。
 チケットは21日の夜と22日の昼で申し込んだところ、運良く両日とも取れまして♪それぞれ友達を誘って行きました。

 「路上でもできるお芝居を」というコンセプトの元に作られた作品。
 一体どういうお芝居なんだろう、と思っていたんですが、パンフレットを読んでみると宮沢賢治の童話を元に数人の役者がその情景を身体で表現しながら観せるお芝居、とのこと。
 6つの作品のタイトルと配役を見ながら、首を傾げたものがひとつ。
 「ひばりの母:菅野良一」…かなり興味を引かれました(笑)。

 とある大学の教授が、助手や教え子と共に宮沢賢治の足跡をたどりつつ、賢治島を探してゆく……というお話。
 何かを好きだという気持ち、それを大切に思う心……そういう温かい想いが伝わってくるように感じました。
 最初は「賢治島」そのものを疑ってかかる学生(菅野さん)に肩入れしてしまいますけど、お芝居を見るうちに、「信じればそこに賢治島がある」という教授の考え方に傾いていきますね。だからこそ、これからも、今まで発見した以上に尊敬する宮沢賢治の足跡を追っていこうとする教授の決意には、客席から応援したくなりました。
 キャラメル歴が浅い私が言うのもなんですが、ひょっとすると、キャラメルボックスの本質を現した作品かもしれないと思います。

 このお芝居では、宮沢賢治の童話を6作品上演するんですが、私が知っていたのは1作のみでした。(あまり宮沢賢治の作品を読んでいないので…)
 宮沢賢治の童話は、読んでほのぼのするよりも、切ないというにはいたたまれない作品の方が印象深いです。
 が。演じるのはキャラメルボックス。童話の地の文を出演者が回り持ちで朗読して話を進める、という感じで、所々に笑いを散りばめつつ、6つの作品を楽しませて貰いました。1話〜4話までは新人さんが主役で脇をベテランが固めるという構成。5話は前田綾さんが主役で日替わりキャストとのやりとりあり、6話は菅野さん主役の銀河鉄道。…泣けました。

 第1話「二人だけの祭りの晩(祭りの晩)」
 これはもう岡田さつきさんでしょう!山男からおじいさんから子供まで、演じわけてしまうのがお見事。

 第2話「どんぐりと山猫と馬車別当(どんぐりと山猫)」
 こちらは坂口さん。一郎の道行く先の登場人物を演じたと思ったら、今度はどんぐりまで!しかも喋り方でどんぐりの形が見えるんですよ〜(笑)。やっぱりすごいです!篠田さんの山猫も存在感があって楽しかったです。

 第3話「貝の火ただしカンテラの火(貝の火)」
 童話自体がかなり重い内容なんですよね、このお話。その分印象的でした。また、日本語って綺麗だなぁと思えたんです。ら抜き言葉でない台詞に感動(笑)。
(「〜しておくれよ」ってやさしい響きだと思いませんか?)
 まず菅野さんのつばめ。登場シーンからして擬音語で「ひゅん!」と叫ぶ(笑)。瀕死の息子を見つけた途端、「せがれ!!」と叫んではっしと抱きかかえる姿につい笑いが漏れてしまいました。
 お父さんの前田さんは男前。キツネの中村さんが松葉杖をつきながら舞台を駆け抜ける様も格好良いです!
 中村恵子さんは肉離れの治療中で松葉杖をついての登場だったんですが、松葉杖で軽やかに舞台を横切っていくんですよ(笑)。怪我自体かなり良くなっているので上演中に完治するかもしれない、とのことでしたが、説明がなければ松葉杖付きの役だと思うくらい、とってもパワフルでした。

 第4話「無口な風の又三郎(風の又三郎)」
 台詞のない劇でしたが、又三郎が現れて去ってゆく短い間はまさに風のよう。ビデオで観たファンタスティックシアターに雰囲気が似ていた気がします。

 第5話「ゴーシュ弾かれのセロ(セロ弾きのゴーシュ)」
 冒頭のリコーダーでクラシックにびっくり!これが綺麗なハーモニーなんです。
 この話はもう、ゴーシュ前田さんとセロ坂口さんで決まりでしょう(笑)。……セロですよ、坂口さん!ゴーシュの演奏に合わせて歌うんですけど、これがまた似合うんです!(笑) 「さよならノーチラス号」のサブリナに近いかな?
 日替わりキャストは長くなるので後回し。

 第6話「光速銀河鉄道の夜(銀河鉄道の夜)」
 この話は童話に入り込んでしまいましたね。最後は泣けました…。

 最後に、第5話の日替わりキャスト「子ダヌキ」役。
 初日を観た友達曰く「本筋には関わらない役なので、役者さんの個性が楽しめる」とのことで、かなり楽しみにしていました。日替わりキャストの名前は入口を降りた壁に貼ってあるので、誰が出るかは会場に入ってみないとわからないんですよね。(個人的に岡田達也さんと西川さんが観たいな〜と思ってました)

 ちなみに初日は首藤健祐さん。…え、この人も日替わりキャスト!?と名前を見てびっくり。改めてチラシに掲載されている名前を見たらなんと8人!公演自体が13回ですから平均すると2回出るかどうかという感じなんですね。
 で、その首藤さんの子ダヌキ(子トドだった模様)。動物の耳のかぶり物つきで、ラグビーボールを抱えて登場。前田さん演じるゴーシュとのやりとりの後、突然「お前のセロを渡してもらおう!」と来たんです。自分の方がセロの主として相応しい、セロを弾きこなせたら引き渡せ、ということらしくて。
 ラグビーボールを持っているときはつい「四月〜」ネタが入ってしまうので、「話が進まない!」とボールを脇に避ける首藤さん。自分で持ってきた癖に(笑)。
 何とかゴーシュ前田さんが子ダヌキ首藤さんを退け、「今日の所は諦めてやろう」という捨て台詞と共に去っていく首藤さん。…もう、笑いが絶えませんでした。
 ちなみにこのやりとり、台詞がほとんどアドリブだったみたいです。首藤さんも前田さんも、時々相手の言葉を受けて考えていたり、本気で焦っていたように見えたんですよね(笑)。

 そして2日目。張り紙を見てみると、「らくだに乗った王子様・岡田達也」!!まさか本当に岡田さんが観られるなんて!もうこれだけで舞い上がりました(笑)。
 しかも岡田さん、何と「嵐になるまで待って」の波多野だったんですよー!!
 以下、「嵐〜」込みのネタバレですのでご注意を。
「すみません、タクシーが遅れちゃって」と言いつつ登場。手話を交えて雪絵さんを紹介…するも彼女がいるはずはなく、きょろきょろ辺りを見回した波多野は中央の横穴のセットの中を覗き込んで「そこにいたんだ、ちょっと待ってて」(…いつの間に彼女はそんなところに入ったんですか(笑))
 「ニューヨークと鳥取を往復している」波多野氏、作曲だけでは食べていけないので二十世紀梨の収穫も手伝っているとか。
 で、波多野の用件は「ナルニア国物語の曲を作って欲しい」とのこと。スランプになった自分の代わりにと言われてゴーシュは怒りながらも内心焦っている模様。(隣でセロ坂口さんがかなり困った顔をしていた(笑))
 合間にゴーシュは波多野の傘が何故か子供用なのを突っ込んでみたり、「女を大切にしろっ!」発言で波多野を絶句させたり(苦笑して首を振った岡田さん、本当に声が出ない様子だった(笑))、いきなり波多野が傘を振り上げてゴーシュに襲いかかり、倒れたゴーシュをセロが庇って身を伏せたり。
 で、結局ゴーシュの弦でセロ坂口さんが歌い始めた曲は「The Riddle」!
 耳を澄ませていた波多野は曲がわかるや、セロの隣でオープニングダンスを少し披露したんですよ!(嵐のダンス、もう生で観られないと思っていたので嬉しかったですv)
 演奏が終わってから、突然波多野がゴーシュを指さして「お前は(お前はおまえは)…セロを(セロをせろを)…大切に(大切にたいせつに)…」と独りエコーで音声感応力発動。でも、ゴーシュは変化なし。「あれ?」と首を傾げる波多野に向かって、今度はゴーシュがやり返す。「お前が(お前がおまえが)出ていけば(出ていけばでていけば)次のシーンに(シーンにしーんに)進める!!」
 波多野はぐらりと揺れて、軽く頭を振ると「それでは失礼しました」とあっさり退場(笑)。
 始終客席は笑い&拍手の渦でした。私もまさか波多野が観られると思ってなかったので、本当に嬉しかったです。

 …最後がかなり長くなったのはご愛敬と言うことで(笑)。
 そういえば、この日替わりキャストは毎回録画しているのでビデオになる可能性もあるとか。これはもう是非作って欲しいです!!
 今回、遠征して本当に良かったです!楽しかった♪


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