─2004 SPRING TOUR(1)─ |
今回は久しぶりの時代劇。しかも菅野さん登場となれば、個人的に期待も高まります(笑)。 いきなりですが、このお芝居、話の雰囲気は最近の作品「裏切り御免」に近いかな、という印象を受けました。もちろん内容は全く違いますけど、「TRUTH」や初演「風を継ぐ者」よりも、「裏切り〜」と空気が似ているというか……うまく、説明できませんけれども。 テーマは多分「嵐」。己の内面に抱えている、狂気のような感情。 我が身に抱えていた嵐を自覚し、死への恐怖で刀を持てない鉄。 鉄の過去の姿に憧れ、その幻を追い続ける亥三郎。 過去の罪を葬り、強さだけで世を渡ろうとする黒江。 そして、黒江の姿に過去の自身の姿を重ねる鉄…。 タイトルには、荒れ狂う嵐がいつか過ぎ去り、澄んだ空に虹がかかって欲しいという鉄の願いが込められているのではないかと思いました。 おっちょこちょいでお人好しで、戦いを極端に怖がる鉄が実は…という内容にあっさり騙されました(笑)。それなりに腕の立つ人だろうなとは思ってましたが、現代劇で演じる事の多い菅野さんの役を連想してしまったせいかしら。青葉に「亥三郎を巻き込まないで欲しい」と頼むくだりは、腕が立つから無茶をする彼を心配してるんだなぁ、と思ってましたし。 正体が判明してからも、聞き覚えのある二つ名と鉄の性格が全く違っていたので違和感が強かったんですけど、だからこそクライマックスの台詞は彼の抱える「嵐」、あるいは狂気とも言えるものの大きさが伝わってくるようでした。 庫兵衛が真に求めるのは鉄だとわかっていながら、それでも手に余る仕事を引き受け、常に危ない橋を渡る亥三郎。細見さん演じるこの人物は、庫兵衛に認められるに足る力が欲しい、強さを渇望する一方で、鉄への苛立ちを燻らせつつも、彼が再び刀を取るのを待っている…そんな感じです。 何のかんの言って義理堅くて、憎めないし、格好いいしで魅力があります。さつきさん扮するえんとの仲もまた良いですね〜。 青葉はとにかく一本気。懸命な姿と彼女の境遇に、周囲が力を貸してあげるような子、でしょうか。最初は少し困っていたはずのおしまが、本来の面倒見のいい性格であれこれ彼女の世話を焼く所は人情味があっていいなぁと思いました。坂口さんらしい楽しさもふんだんにありましたし(笑)。 (ところで、鉄の性格と青葉の男装で、少しだけ「るろうに剣心」を連想してしまったんですけど…私だけかな??) で。岡田達也さん演じる黒江。 故郷で人を殺め、その過去を隠して新選組に入り、腕を頼りに頭角を現した人物。過去の事件を知る山下親娘を口封じのために殺害。同様の理由で青葉の命も狙っている。はっきり言って感情移入しようのない悪役です。キャラメルボックスでここまで徹底的な悪役って他に思い浮かびません。 でも、ここまで悪に徹していると、むしろ格好良いんですよ(笑)。 剣の腕は抜きん出ているし、最後なんて1対7の立ち回りも演じます。(これがまた見応えあるんです!) 先に観た友達から「今回同情の余地がない悪役」と称されていましたが、それでも個人的に良かったです。(「嵐」の波多野に次いで好きかもしれません(笑)) 今回予想外だったのが城之内を演じる畑中さん。上に誰かがいる二番手の位置が多かったんですが、今回は新選組隊士の責任者です。隊士三人の中では最も腕が立ち一癖二癖ある黒江を要所で抑える役所。常に黒江と城之内に振り回される隊士・末次の存在もあって、結構はまり役だと思いました。 ちなみに、左東さんが演じたこの末次は、今井さんを思わせる所がありました。不器用ながらも一生懸命に頑張る役が似合うのかもしれませんね。 また、「裏切り〜」の時も思いましたが、温井さんは特に和装が似合うと思います。「ALONE〜」での紅子のようなはっちゃけてる役も好きですが、今回の役も良かったです。 今回も、いつもの笑いあり、ひたむきさあり、優しさあり、というキャラメルらしいお芝居でした。そしてやはり殺陣は迫力ありました! |