TUNNELS OF BLOOD
─バンパイア・クリスマス─


 実はこの話、一番印象に残っているのが地下水道のあの会話なんです。
 クレプスリーの台詞があまりにもわざとらしく聞こえるのは私だけでしょうか?(笑)
 ダレンは必死で頑張っていましたけど、どうも、何故か、クレさんの台詞が…。もしここにガブナーがいたら、間違いなく大笑いしそうな気がします。

 クレスプリー以外のバンパイア・ガブナー登場。気は優しくて力持ち、という印象のお兄さんですね。クレスプリーとのコンビが楽しくて。このガブナーとの会話でバンパイア将軍、元帥といった言葉が出てきますが、驚いたのが子供をバンパイアにするのはルール違反らしい、ということでした。ガブナーの慌てぶりからいってもかなりの大問題みたいですけど…。裁判沙汰なんて話になるし、思わずクレさんの身を心配してしまいました。が、この件は後の話になる模様。

 デビー、可愛いですね。ダレンとの初々しいやりとりが微笑ましくて。最初はダレンも振り回されますが、そのうち溶け込んで仲良くなっていくのも良い感じです。また、エブラ外見に関して、彼女がまったく偏見を持たずに普通に接していた事にほっとしました。直前で、エブラの遠慮にダレンが反論する部分があっただけに。
 2巻でも思いましたけど、エブラって本当にいい子です。(だからこそ最後の拷問シーンは余計に痛々しい…(泣))

 ダレンのクレプスリーに対する感情の変化が、今回の大きなポイントになると思うんですが。これはやはり人間の血を飲んだことで、ダレン自身がバンパイアの血を受け入れられるようになった、と言う部分が大きいと思います。クレプスリーに寄りかかりつつも一線を置いていた頃は認められなかった感情なのではないかな、と。
 ガブナーの言葉に素直に頷いたことも、吸血鬼騒ぎでクレプスリーに疑いを向けたことも、クレさんを信じていたがゆえのような気がします。後者は信じていたからこそ裏切られたかもしれない、という疑惑がまさったように感じられたので。
 だからこそ、マーロックの存在が明らかになった後の「お互いを信頼するべきだ」というクレさんの言葉が嬉しかったです。…この一件について知らせなかった理由が「血なまぐさい話を聞かせたくなかったから」と言う辺りに、ダレンに対しては過保護で甘いクレプスリーの一面を再認識させられますけれども(笑)。
 あと、彼女ができたと知っても人間とのつきあいを否定しない所とか、ホテルで催されるクリスマスパーティを楽しみにしているであろうダレンのために、滞在をクリスマスまで延ばそうとするクレさん、やっぱり優しいなぁ。(というか甘い?(笑))

 「善悪は見方によって変わる」は至言ですね。これを説明するクレプスリーの真摯な態度が印象的です。
 あと印象的だった台詞はクレプスリーの「たわけ!」だったりします(笑)。
 …ああ、やっぱりこの方の訳は素敵だわ…!

 ダレンが血を飲んだから、というのもあると思いますが、確実に師弟の絆は深まっています。また、信頼するという言葉が面はゆくも嬉しそうですね、クレさん(笑)。


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