VAMPIRE MOUNTAIN
─バンパイア・マウンテン─


 3巻から一気に6年後の話です。
 6年の月日が流れているだけあって、地の文、ダレンの言動がしっかりしてきているな、なんて感心したのもつかの間、エブラとの年齢差がかなりショックでした…。2巻3巻と仲のいい二人を見ているうちに、身体の成長に差があることを忘れていたんですよね。
 このことで、ダレンは半バンパイアになって初めて得られた友達にも、置いて行かれることを認識したんじゃないでしょうか。同時に、そういう別れがこれから先、何度も訪れるであろうことも。

 バンパイアマウンテンへの道のりは本当につらそう…。いくら半バンパイアとはいえ、ダレンもよく頑張ったなぁと思います。
 再会したガブナーは相変わらず。面倒見のいいお兄さんで素敵ですね。
 途中から同行することになったストリーク一家がほのぼのしてます。特にルビが可愛くて。
 熊との戦いはまさに手に汗握りました。でも、この辺りでも、ダレンはずいぶん冷静に状況を把握して立ち回っているという印象があります。とどめの刺し方がかなりすごい…(汗)。
 そして、ハーキャットが可愛い!!見た目は確かに怖いけど、独特の喋り方といい、仕種といい、好きですね〜。

 バンパイアマウンテンに到着してからは新キャラがどんどん登場します。それぞれ個性豊かで魅力的なんですが、一番はやはりカーダでしょう!(笑)
 まさかバンパニーズと交流を持つバンパイアがいるとは思いませんでした。しかも和解を考える彼の思考に再度びっくり。彼の考え方はバンパイアの中でも希有なようですが、互いに歩み寄ることができるはず、という意見には成程と思いました。こういう人もいるんですね。
 反面、誇りを重んじ、戦いに身を置くことを望むバンパイアの中では平和主義者のカーダは異質な存在になりますから、バンパイアたちからは軽んじられている部分がありますが、むしろ読者には彼の主張は伝わりやすいと思います。

 そして、ダレンとエラの勝負はダレンの根性が見物ですね。エラは少し怖いけれど、勝負に挑んできた彼を認めてくれたシーンが嬉しくて。この辺り、口ではダレンの無茶を咎めつつも誇らしげなクレプスリーの気持ちがわかるような気がします(笑)。
 また、彼の身を案じながら試合経過を見守るカーダもいいですね〜。ダレンにとっての彼は目線の近いお兄さん、という感じでしょうか。

 試練の話が出た時、ダレンを後押ししてくれたエラと、試練を阻止しようとしたカーダ、双方の言葉が嬉しかったです。意見としては正反対ですが、エラは厳しい言葉の中にダレンを認めているのがわかりますし、カーダの反対意見はダレンの身を案ずるが故。それぞれがダレンのことを慮って意見を主張したわけですから。
 当のダレンはクレプスリーに迷惑を掛けたくない、自分のために罰せられるなんて嫌だ!と思う……師弟愛ですね(笑)。
 だけど、失敗したら死ぬと気づかずに試練を受けると宣言する辺りがダレンらしいというか…。カーダの慌てぶりがそれを如実に現していると思います(苦笑)。

 それにしても、結局クレさんがダレンを弟子にした明確な理由ってなんだったんでしょ…??

 今回、新たな謎も出てきたわけですが、これらが今後どのように繋がっていくのか、まだまだわかりません。この話は特にプロローグ、前哨という印象が強いですね。次の巻から始まる試練で物語がどういう展開を見せるのか、続きが楽しみです。


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