TRIALS OF DEATH
─バンパイアの試練─


 まず最初は、やはりクレさんとエラさんが元夫婦だったという事実でしょう!一気にこの二人に惚れ込みました。二人のやりとりがまたいいんですよ〜!ダレンの追求にしらばっくれようとするクレさんが、可愛いくて(笑)。「つれあい」という言葉もいいですね。こういう細かな点が、翻訳を担当されている方の腕の見せ所なのではないかと思います。さらりと読み手に入ってくる言葉を紡ぐという所に憧れます。

 第一の試練では、ダレンがパニックになる様子がリアリティありました。
 第三の試練…は、試練に向かう直前のクレさん&ダレンが印象的です。ダレンが口にしたあの言葉から、この師弟が培ってきた絆の深さを感じました。同時に、クレスプリーが浮かべたであろう表情が……。
 そして、この後はもうカーダ!まさに瀕死の重傷を負ったダレンを助けようと、必死になる彼の姿が嬉しくて。その上、ちゃんと時間を稼ぐ方法を見つけられたのは流石。頭脳派と自ら言うだけのことはありますね。
 それに、奔走するカーダへ元帥達が協力するのがいいんですよ!第一の試練の前にミッカー元帥が話していた事、バネズの言っていた「バンパイアは仲間同士で助け合う」という事を実感した部分でもありました。

 カーダといえば祝祭日。あのエラに勝利した事にはびっくりしました。そして平和主義だからって弱いわけじゃない、という彼によろめいてしまったんですけど…(笑)。やれば出来るけれどあえて避ける、それもひとつの強さだなぁ、なんて思いました。
 そのくせ地図作りの最中は何度もつまずくんですよこの人は(笑)。ああもうカーダってばそのギャップが魅力的。蜘蛛の穴に行く時のガブナー&カーダのコンビがまた楽しいんですよね〜。

 そして運命の第四の試練。絶体絶命のダレンを見かねて飛び出したハーキャットの行動がいいと思うんです!
 …実は密かにこの後のクレさんの台詞が好きだったりします。「悲しいかな、我が輩にはダレンを庇う理由が見当たりません」と。やっぱり橋本さんの邦訳は素敵です。
 ダレン擁護にまず声を上げたのがカーダなら、賛同したのはエラ。この辺りは4巻のラストと通じるものがあるように思います。もちろんどちらも好きv

 カーダの勧めで逃げるダレン。追いつくガブナー、不意打ち状態でのバンパニーズとの遭遇、そしてカーダの裏切り…。短い中に起こった出来事が多すぎて。正直、最後のカーダの向けた刃の意味が、最初はわからなかったんです。
 刃を受けたガブナー自身も、その意味を察する前に事切れてしまったのではないでしょうか。…あまりにあっけなさすぎて、実感がわきませんでした…。
(でも、刺された直後の見開きイラストが…事実だけを映している印象があって、受けた衝撃が一番大きかったかもしれません)
 
 ガブナーを殺したことは許せないけれど。幾度もダレンを救おうとしたカーダの気持ちに偽りはないと思います。バンパイアの闘争本能が落命に繋がると知っているからこそ、平和を説く彼が行おうとしているバンパイアとバンパニーズとの橋渡しもまたカーダの本心なのでしょう。
 ただ、ここでガブナーを殺めるだけの理由が知りたいんです。出来るなら殺したくなかったという彼の呟きもまた真実なら、相応の覚悟と理由があったはず。
 ダレン視点だと彼に関してはただもう裏切り者!としか見られませんが、カーダは決して仮面をかぶっていたわけでも、突然本性を現したわけでもないと思うんですよね。
 だからこそ、本心を、ダレンに聞かせて欲しいんです。
 カーダ自身の口から、はっきりと。


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