この作品はスタッフがなかなか豪華。シャンソン歌手の高英男などのキャストだけじゃなく製作陣も凄い。 監督・脚本・音楽の名前を見てご覧なさい。なかなか凄い面々でしょ。
この作品で描かれるのは極限状況に置かれた人間たちのエゴ。
ここら辺は東宝の「マタンゴ」にも通じるものがある。
特に、次期総理候補の真野の自分勝手ぶりは「そこまでやるか、おい」と言いたくなるほど。
誰かを吸血鬼の犠牲にしようというところで、唯一の外国人であるニールに
「彼女は外人だ。後くされが無くていい」
なんて言ったりもする。
無論それだけではなく、どう見たって善人側である金髪美人のニールも、死にたくないばっかりにライフルで主人公の杉坂を撃つなど、もうエグいったらまあ。
そして肝心のゴケミドロ。昔私はコケ+ミドロだと思ってたんだけどそうではなく、これはゴ+ケミ+ドロ。 ゴはキリストが処刑されたゴルゴダの丘のゴ。頭骨を意味する接頭語。 そしてケミはケミカル。科学的処置を受けたと言う意味。(科学じゃなくて化学だと思うんだけど…) ドロはアンドロイドの抄訳。
まあ語源はともかく、何やらドロドロした雰囲気は名前からも伝わってくる。実際ドロドロしてるんだけど。 額から入り込むこいつは人間を吸血鬼に変えてしまう。 それ自体は定番だからいいとしても、額からこいつが出入りするシーンは子供の頃見るとかなり痛々しげで気持ち悪かった。 額がパックリと割れたままだし。今見るとなんてことないけど。
そして衝撃のラストシーン。 こんな結末を持ってくる特撮映画は初めて見たので、子供の頃からずっと脳裏に焼き付いていた。
まあ、チープな特撮や微笑ましいほど典型的なアダムスキー型円盤など、人によっては気に入らないところもあるかと思う。 が、とにかく凄い映画だ。一見の価値はある。
だがしばらくして、機は謎の光る飛行物体とすれ違った。 その途端、機の計器は狂いエンジンは火を吹き、機はどこかに不時着してしまう。
辺りは夜になっていた。杉坂を始め、何人かの人間が生き残っていた。 だが、寺岡が無線機を壊したために救助を呼ぶことができない。 しかも、水がなくなってしまう。苛立つ乗客たち。
やがて寺岡が目を覚ます。寺岡は暗殺者だったのだ。彼は朝倉を人質にして、機から脱出する。 そして寺岡は、谷間で光る円盤を目撃する。 最初は逃げようとする寺岡だったが、操られるようにフラフラと円盤に吸い込まれていく。 その一部始終を見ていた朝倉は、悲鳴をあげて気絶する。 彼女は寺岡を追って来た杉坂に救い出される。
寺岡がどうなったかを知るために、恐怖で錯乱している朝倉に百武が催眠術をかけた。 彼女が見たもの。それは、寺岡の額がパックリと裂け、そこにドロドロの青い物体が吸い込まれていくところだった。
その話を聞いた気の弱い松宮は百武に、その話が嘘だと言うように詰め寄る。 が、その拍子に百武は崖から落ち、そのため松宮は皆の手で操縦席に監禁される。 そこで、機の扉にノックの音がした。寺岡が戻って来たのだ。寺岡は額が割れたまま意識不明となっており、機に運び込まれる。
一方、次期総理候補の代議士の真野は、兵器産業の重役の徳安にその腹黒い本性を暴きたてられていた。 自分が利用されているだけと知った徳安は逆上し、ライフルを持って皆を機から追い出す。 が、そこで寺岡が目覚めて徳安を襲う。そしてようやく扉が開いた時、皆が見たものは全身の血を抜かれた徳安の死体だった。 更に、皆が知らぬ間に徳安の妻・法子が寺岡に連れ去られる。
ようやく夜が明けた。皆は法子を探す出すが、法子は何者かに操られていた。 そして彼女は語る。彼らは宇宙生物ゴケミドロ。地球を侵略するためやってきたというのだ。 そして法子はミイラとなって死んでしまう。
そこで真野と宇宙生物学者の佐賀は、吸血鬼の対策を見つけ出すために誰かを犠牲にすることに決める。 最初真野は唯一の外国人であるニールに目をつけたが、操縦席に閉じ込めていた松宮が暴れ出し、彼を使うことに決める。 反対する杉坂。だが、ニールがライフルを構え杉坂を脅迫する。杉坂と朝倉は逆に操縦席に閉じ込められ、松宮は機外に放り出される。
やがて現れる寺岡。松宮は密かに隠していた時限爆弾で機内の皆を脅す。 が、近づく寺岡に脅えた松宮は機体にぶつかり、そのはずみで爆弾が爆発して松宮は吹っ飛んでしまう。 更にその爆発で佐賀は足をやられる。
真野は一刻も早く逃げ出そうとするが、杉坂は佐賀を置いては逃げられない。 そこで真野とニールだけが逃げ出す。 しかしその途上で寺岡が出現。真野はニールを盾にして逃げ出す。寺岡に血を吸われるニール。
そして寺岡は真野を追う。機にたどり着いた真野を杉坂は救うが、逆に真野は機の扉を閉め、杉坂と朝倉は外に置き去りにされる。 二人を襲う寺岡。だが杉坂は、側にあったガソリンのバケツを寺岡にぶつけて彼を焼死させる。ボロボロに風化する寺岡。 しかしその隙にゴケミドロは寺岡の体内から脱出していた。
ゴケミドロは佐賀にとり憑いた。真野は佐賀に血を吸われて死んでしまう。 杉坂と朝倉は機を離れて逃げ出す。それを追う佐賀。 そして逃げる途中で上からの落石が発生し、退路を断たれる杉坂。追いすがる佐賀。 だが杉坂はなんとか落石を避け朝倉と共に逃げ、佐賀は逆に崖から落ちてしまう。
必死で逃げる二人。 一方の佐賀は円盤に呼び戻され、ゴケミドロは佐賀の体を離れて円盤に戻る。佐賀の体は風化し、風に散っていく。
逃げていた杉坂と朝倉はようやく町にたどり着く。 そしてそこで彼らの見たものは…。
製作 | ... | 猪股堯 |
脚本 | ... | 高久進・小林久三 |
音楽 | ... | 菊池俊輔 |
監督 | ... | 佐藤肇 |
杉坂英 | ... | 吉田輝雄 |
朝倉かずみ | ... | 佐藤友美 |
寺岡博文 | ... | 高英男 |
佐賀敏夫 | ... | 高橋昌也 |
徳安 | ... | 金子信雄 |
真野剛造 | ... | 北村英三 |
徳安法子 | ... | 楠侑子 |
百武 | ... | 加藤和夫 |
機長 | ... | 西本裕行 |
松宮 | ... | 山本紀彦 |
ニール | ... | キャッシー・ホーラン |