怪獣やっつけ隊の謎を追え

科学特捜隊、ウルトラ警備隊、MATなど、総称してとりあえず怪獣やっつけ隊と呼んでおくが、これらは一体どういう組織なのか? 大怪獣や高度な科学を持った宇宙人を相手にするにしては人数が少なすぎるし、拠点の数も少ないようだ。 しかし妙に強力な武器を持っているし、しかもその筋の許可も無く隊長の一存で市街地で対怪獣用の攻撃兵器を使用できる組織のようだ。 なんて恐ろしい。彼らは一体何者なのか!?

更に普段の彼らの行動を見てみると、ちゃんと仕事をしているようで実は知り合いの家に寄ってサボっていたり、民間人のお見舞いに行ったりもしている。 ならばヒマかと思えば、定期訓練だ宇宙パトロールだ、と色々忙しいようでもある。 しかしいざ出撃となると、ちょっとした事件で全員が出撃するなんてこともしばしば。 ちょっと待て。その間に別の事件が起きたらどーするんだ! なんなんだ、こいつらは!

ところが、ここで冷静に分析してみると彼らの正体が見えてくる。 まず、彼らを軍隊などと比較してみると、自国領地内に突如現れる怪獣/宇宙人が主な相手であるという特徴がある。 これは詳しく言うと、

  1. 敵はいつどこに現れるか分からない。
  2. 敵は一概に強力である。
  3. 敵を発見した時点で既に市街地に侵入されている。
というようなことだ。

1について考えてみると、これは逆に敵はいつまでたっても現れないかもしれないということである。 戦争のように、だんだんとそういう雰囲気になってくれればまだいいのだが、敵は何の前触れもなく唐突に現れる。また現れないかもしれない。 そんな不確実なもののために予算を浪費するのは馬鹿みたいだ。 で、とりあえず話を2に移すが、こういった強力な敵を倒すためにはやはり強力な武器が必要になるわけである。 更に3だが、これは敵の出現に迅速に対応しなければならないことを意味する。

おっ、どうやら見えてきたようだ。 敵の出現は不確実なので予算はあまり使いたくないが、いざ現れたら予算をつぎ込んだ超兵器で対処しなければならない。 しかも現場に急行しなければならない。難しいところだ。 こうなると偉いさんのお伺いを立てている暇はない。 隊長の一存で出撃できる、そういう組織にしないと役に立たないだろう。

そして予算を最小限に押さえるにはどうするか? 敵に超兵器を使わなければならないのだから、研究開発・維持費を削減するわけにはいかない。 と、すると人件費を削るくらいしかなさそうだ。 少人数でも敵に対処できる、そういう兵器を作って本来100人必要なところを5人に抑えることができれば大したものだろう。 おまけに超高速で飛ぶ戦闘機を作れば現場まですぐに行くことができ、あちこちに拠点を作る必要がなくなり更に予算が削減できる。 ということで、彼らは兵器開発に主眼を置くことによって、人件費と設備投資費を節約するという道を選んだのではないだろうか? でもあんな凄い武器を開発する予算があるなら普通の戦闘機を10機作った方が戦力になるような気もしないでもない…。

では、人数を最小限に抑えられていながら何故彼らは結構ヒマそうにしているのか? 答えは簡単。彼らは本当にヒマだからだ。 え?それじゃ答になってないって?まあまあ。まだ先があるからそう焦らずに。

なぜ彼らはヒマなのか?彼らの敵は怪獣/宇宙人である。 そんなものはそう頻繁には現れないだろう。 仮にテレビの放送と同じく週に一度くらいしか現れないとすると、週に6日は何もすることがないわけだ。 その間は当然訓練やパトロールにいそしむわけだが、いつ現れるか分からない怪獣のことを考えてピリピリしているとすぐに参ってしまう。 おまけに彼らは基本的に24時間戦う戦士。少しは休まないとやってられない。 ということで彼らには、勤務中でもサボることが多少は大目に見られているのではなかろうか。

しかしそれでは規律が守られないって?ところが安心めされよ。 彼らの制服はやたら派手なカラーリングになっている。 これは一般人を避難させたりする際に目立つようにという配慮もあると思われるが、もうひとつの効果も得られることに注目したい。 普段から目立ってしまうため、町で何かするとすぐに見つかってしまうのだ。 例えば本屋でえっちな本を立ち読みしたりすると、すぐに町中の噂になるだろう。 これでは不用意な行動は取れないというものだ。自然と、サボるにしてもほどほどの行動しか取らないようになるだろう。 おお、うまい具合になっている。ちゃんと考えられているのだなあ。

さて、彼らが全員で出動するのかはなぜかを考えてみよう。 先に述べた通り、彼らは必要最小限の人員で構成されている。 実際同時に複数箇所に怪獣が現れたりすることはほとんど無かったわけだし、何かあれば全員で行動するというのがセオリーなのではなかろうか。 人員削減によってギリギリの人数で構成されている以上、せいぜい連絡用に一人だけ基地に残すというのが限界。 うーむ、苦しいんだなあ。 しかし実際ほとんど怪獣を倒せてないんだから、もっと人員増強した方がいいと思うんだけど…。

やはりGNP1%がどーのこーのとか言う、予算を始めとする政治的なしがらみがあるんだろうか。 日本では自衛隊が何かとやり玉にあがるが、怪獣やっつけ隊も日本では立場が辛いのかもしれない。 しかし、出てくる子供は大抵怪獣やっつけ隊にあこがれていることを見ても、世間では敵視されていないようだ。 せいぜい世論を敵に回さないようにがんばってほしいものである。


ウルトラシリーズメインページに戻る
特撮メインページに戻る