厳しい南町への転勤が決まって閉口している主水。そんなある晩、彼は竹串を使う凄腕の殺し屋を目撃し、彼もまた顔を見られてしまう。
そして下っ引きの亀吉を従えての南町での勤務が始まった。そこで主水は主人の近江屋利兵衛に切りかかった奉公女、おみよを捕らえる。
彼はただの痴話喧嘩として処理しようとするが、なんとおみよは死罪になってしまう。
数日後、髪結いのおこうという女が彼に接近する。おこうは主水に、彼が仕置人であったことを知っており、近江屋利兵衛を殺してくれるようにと頼む。
その言葉に驚き、拒否する主水。その主水におこうは言う。
「中村はん、いっぺんお仕置きをした人間は、一生その首かせから抜け出せんのと違いますか?」
やがて主水に、おみよの妹、おいとが接近する。それをおこうの仕業と見ぬいた主水はおこうを糾弾する。
おこうは主水に裏稼業への復帰を促すが、彼は頑として承知しようとしない。
そこでおいとは復讐のため単身近江屋に乗り込むが、逆に利兵衛に弄ばれてしまう。父親は首をくくり、おいとは井戸に身を投げる。
おこうにその葬列を見せられる主水。だが主水は動こうとしない。おこうはそんな主水を見限ってしまう。
しかしその主水の目にはある決意が宿っていた。その彼を見つめる、あの凄腕の殺し屋・市松。
彼は主水に死んでもらうと言うが、主水はその前に人を殺してくれと言う。思わず笑い出し、承知する市松。
主水は捨三に、事件の裏を探らせる。そしておみよたちの父親が、彼女が奉公に出ざるをえないようにわざと怪我をさせられたことを知る。
市松を訪ねる主水。その主水の動きを封じ、首筋に突きつけられる市松の竹串。だが、その市松の脇腹には主水の脇差しが突きつけられていた。
「殺しの数は俺の方が上だぜ」
竹串を引く市松。
一方、捨三は友達の印玄を仲間にしようと、裏稼業のことを彼にしゃべってしまっていた。
それを聞き、印玄に対し刀を抜こうとする主水。
「生きるも地獄、死ぬも地獄。どこかで仏に会ったら、俺は仏を殺すかもしれん」
その凄惨な迫力に、主水は刀をおさめる。
おこうに会い、おいとの書き置きを読もうとせず金だけを受け取った主水。利兵衛が長崎に発つ前に船着き場で仕掛ける。
そして無事に仕置が終了するが、市松が利兵衛を殺った現場を女の子に見られる。
躊躇せず女の子に竹串を突き立てようとする市松。だがその女の子の目は全く動かない。
その女の子は盲目だったのだ。それを知った市松は、優しく女の子を船まで連れていってやるのだった。
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