| タイトル |
第1話 | 「問答無用」 |
寅の会という句会において、
「八丁の 堀に中村 主水かな」
という句が詠まれた。寅の会…それは江戸の仕置人を束ねる元締・虎が催す、仕置の競りの場である。
そして何者かの依頼によって、主水が仕置の標的になったのだ。
寅の会に出席していた念仏の鉄は、仲間を使って主水を自分達のアジトに誘い込む。
その主水は矢切の庄兵衛の牢破りを防いだ功績で定町廻りに復帰でき、表稼業に精を出そうとしていた。
そのため、鉄が裏稼業を続けていると知って鉄と会わなかったことにしようとする。
が、鉄は主水に、掟破りと知りつつ危機を告げる。そしてそれを聞いた主水は、自らの業の深さを思い知り、再び裏稼業を始める決意を固める。
その晩から、主水は早速命を狙われる。更に仕置人の一人は主水に取り引きを持ちかけるが、その男は死神に仕置されてしまう。
主水はしばらく身を隠すことにするが、上司の筑波の愛人のお兼が主水を訪ね、主水を刺そうとする。お兼は矢切の庄兵衛の女だったのだ。
お兼は逆に自分が深手を負ってしまう。駆けつけた鉄と共に主水はお兼を医者に連れて行こうとし、その道すがら、庄兵衛は自分が斬らなくても打ち首になることが決まっていたと語る。
「だまされた」と言って息絶えるお兼。そして鉄の調べで、筑波は庄兵衛と取り引きをしていたことが分かる。
筑波は庄兵衛の一件を調べる主水が邪魔で、寅の会に仕置を依頼したのだ。
その晩、主水が潜んでいた小屋を襲撃する仕置人たち。だが、そこにいた鉄と巳代松が逆に彼らを仕置する。
一方の主水は筑波を訪ね、彼を仕置する。自分を認めて取りたててくれた上役だと思っていた彼を。
かくして主水はまたもや闇の世界に身を投じるのであった。
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第2話 | 「情愛無用」 |
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第3話 | 「現金無用」 |
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第4話 | 「暴徒無用」 |
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第5話 | 「王手無用」 |
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第6話 | 「偽善無用」 |
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第7話 | 「賃借無用」 |
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第8話 | 「裏切無用」 |
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第9話 | 「悪縁無用」 |
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第10話 | 「女房無用」 |
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第11話 | 「助人無用」 |
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第12話 | 「親切無用」 |
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第13話 | 「休診無用」 |
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第14話 | 「男狩無用」 |
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第15話 | 「密告無用」 |
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第16話 | 「逆怨無用」 |
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第17話 | 「代役無用」 |
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第18話 | 「同情無用」 |
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第19話 | 「元締無用」 |
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第20話 | 「善意無用」 |
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第21話 | 「質草無用」 |
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第22話 | 「奸計無用」 |
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第23話 | 「訴訟無用」 |
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第24話 | 「誘拐無用」 |
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第25話 | 「濡衣無用」 |
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第26話 | 「抜穴無用」 |
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第27話 | 「約束無用」 |
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第28話 | 「妖刀無用」 |
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第29話 | 「良縁無用」 |
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第30話 | 「夢想無用」 |
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第31話 | 「牢獄無用」 |
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第32話 | 「阿呆無用」 |
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第33話 | 「幽霊無用」 |
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第34話 | 「軍配無用」 |
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第35話 | 「宣伝無用」 |
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第36話 | 「自害無用」 |
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第37話 | 「生命無用」 |
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第38話 | 「迷信無用」 |
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第39話 | 「流行無用」 |
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第40話 | 「愛情無用」 |
寅の会の仕置人一味のいさかいを目撃した正八。長次一味の女、お徳に新しく男ができ、足抜けしようとして殺されたのだ。
正八からその話を聞き出し、涙する死神。お徳が惚れた男とは死神だったのだ。そして死神は、お徳を殺した仕置人を始末する。
再び死神と出会った正八。正八は死神が追われていることを聞き、人里離れた小屋にかくまう。
そして正八は死神の頼みで、巳代松の名を語って投げ込み寺からお徳の仏を引き取る。だがその寺には長次がいて、死神のことが知られてしまう。
更に、正八が巳代松の名を語ったせいで奉行所が巳代松を探し始める。あわてて主水と鉄は巳代松を旅に出させようとするが、銭がない。
が、翌日は寅の日だった。寅の会に赴く鉄。だが、その日は句がないという。焦る鉄。
その時、長次が虎に、死神の落とし前をつけるようにと迫った。そして死神の命が百両から競りにかけられることになる。
が、鉄はいきなり十両という安値をつけて競り落とす。なんとしても金が必要だったからだ。
アジトに集まる鉄の仲間達。そこで相手が死神と聞いて態度が変わった正八は皆につるし上げられ、死神の居場所を吐かされてしまう。
一方、長次は小屋の近くに潜んで鉄たちを待ち受け、漁夫の利を得ようとする。
それに気付いた鉄たちは、逆に長次の一味に襲いかかる。やがて鉄たちは首尾良く一味を全滅させる。
そして鉄たちは、死神を倒すべく小屋に乗り込むが…。
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第41話 | 「解散無用」 |
巳代松が仕置を終えた。だがその途端に巳代松は町方に囲まれ、お縄になってしまう。誰かにはめられたのだ。
だが巳代松の罪状は盗人になっていた。これには何か裏がある…。そして巳代松は同心・諸岡の手で激しい拷問にかけられていた。
一方、寅の会。虎は寅の会を解散させると言う。それを聞いた仕置人の辰蔵は、辰の会を作ろうともくろむ。金のためなら何でもござれの外道の会だ。
そして辰蔵は鉄を辰の会に誘う。そうすれば巳代松を解き放つと言うのだ。片や虎は鉄に、自分に万一のことがあれば後を頼むと告げる。
虎は自分が身代わりとなって巳代松を引き取ろうとする。だが諸岡はそう簡単には巳代松を放さず、仕置人全員の素性を探ろうとする。
苦悩する鉄たち。やがて鉄は自分たちを張っていた男を捕まえ、辰蔵の元へとたどり着く。
そして鉄は自分が辰の会に入ることで巳代松を取り返そうとする。しかし辰蔵は、鉄と巳代松と、もう一人の凄腕の刃物の使い手が一緒でなければ駄目だと言う。
一方、虎は奇襲を受けて刺されてしまう。駆けつけた鉄に
「鉄さん、外道を…頼む」
と言い残し、金を渡して虎は息絶える。寅の会の詠み手の吉蔵が裏切ったのだ。
虎が、寅の会の最後の頼み人となってしまった。
主水は辰蔵の前に顔をさらす覚悟を見せるが、鉄は主水を制して自分が辰蔵の元へ向かう。
辰蔵を脅迫し、巳代松を救おうとする鉄。だが鉄は辰蔵の仲間に捕らえられ、自慢の右手を焼かれてしまう。
そして巳代松は拷問で生きる屍になったという。憤慨する正八。そして主水は決意を固める。
主水はりつに離縁を言い渡し、行動を開始する。
まず勝手に巳代松を解き放ち、おていと正八に渡した主水。辰蔵の元へと向かう。
そして諸岡を呼び出した主水は、諸岡を三度四度と叩き斬る。
そのまま辰蔵の元に殴り込んだ主水。手下を次から次へと斬り捨てる。逃げる辰蔵。
一方、大八車に巳代松を乗せ、吉蔵を追っていたおていと正八。巳代松に竹鉄砲を撃たせて吉蔵を仕置する。
片や、逃げ回っていた辰蔵。小屋の中に隠れるが、そこでくたばっていたはずの鉄が突如起き上がる。
フラフラながら辰蔵を襲う鉄。辰蔵は鉄の腹を短刀でえぐるが、鉄もまた黒焦げの右手で骨外しをきめる。
そのままフラフラと出て行く鉄。出ていった後をただ見送ることしか出来ない主水。そして鉄は、しけ込んだ女郎屋の布団の中で息絶える。
おていは巳代松を連れて江戸を出ていった。
そして主水には、いつものように袖の下を取りつつしぶとく生き続ける日々が戻って来たのだった。
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