eZ80Acclaim!を探る


ああ芳しき衝動買い

 それはある春の日の昼休み。ふと「ああ、ザイログは最近どうしてるかな」とそのホームページを開いてみたところ、画面中央部にeZ80Acclaim!の開発キットが$99.95で提供中とのこと。んー、えらい安いなぁとページをどんどん進んで行ったら、いつの間にか1セット注文していました…。

 なんでも、2003年のElectron D'Or誌にてProcessor of the Yearに輝いたとかで、キャンペーン価格らしいです。通常は$399のところを、特別価格$199.95で販売ということもあったようですが、それを上回る大盤振る舞い。しかも期間限定ともなんとも書いてないんですよね。
 実は以前にも「手に入るんなら、欲しいかも」とザイログの製品説明ページから飛べるショップを見てみたことがあったのですが、品切れみたいで諦めたんです。で今回はというと、アクセスしたDigi-Keyにちゃんと在庫数があって注文可能で、送り先のCountry選択のリストボックスに"Japan"の文字があったことから、迷わず注文に踏み切ったわけです。なお後から気づいたのですがDigi-Keyには日本語サイトもあって、送料はこちらが安いみたいですね。おかしいなぁ、USPostalを選択したから安くつくと思ったら、$44くらい請求されるみたいだ…。

 なお、今回発注したのは開発キットですがDigi-Keyにてチップ単位の購入ができるようです。さらに開発キットについてくるCPUボードも単体で入手できますが約2万円するようで、当面は開発キットを買っていたほうが安いみたいですね。


eZ80F91と開発キット

 開発キットに同梱されているCPUボードに搭載されるeZ80Acclaim!というのは、最近のザイログの型番でeZ80F91/92/93というシリーズになっているようです。というかeZ80って出始めはeZ80190とか従来と大差ない型番だったのが、かなり変わってきてるんですなぁ。で、採用されているプロセッサはeZ80F91。まぁそのページにもありますが特徴を日本語でざっと挙げると

という感じ。まぁeZ80なんで50MHz動作ってのは普通なんですが(1命令1クロックが多くを占めるはずなので、KC80の実績からZ80実クロックの4倍のそくどで動くはずです。つまりは200MHz相当?)、イーサネット内蔵とか、フラッシュメモリ内蔵とか、クロックもPLL発振させるとか、しっかり今時のプロセッサ風に作ってある印象を持てます。最後のがよくわかりませんが…。

 開発キットには上記CPUを搭載したCPUボードが入っているようです。ここには少なくともLANのコネクタとIrDAの送受光器がついているみたいで、その他のI/Oはコネクタを介して外部に出力されることになるようです。
 CPUボードが載る"Development Platform"にはCPUボードにはないI/Oコネクタとか、増設メモリとか、回路増設用スペースがあるみたいです。あ、それと電源回路。5×7ドットのマトリクスLEDもあって、それを点灯させるサンプルプログラムもついているらしいです。
 開発ソフトも付いています。ZDS II(Zilog Development Studio II)というやつで、統合環境になっています。Cコンパイラも付いています。ZDSはZ380の時代に試用版をダウンロードしてみたことがあります。そういえば、いつの間にかZ380の姿がないですね…。
 さらにエミュレータZPAK IIとターゲットを接続するため?のZDIターゲットI/Fモジュールもついています。いや、エミュレータまでつけますか!!実は最近トラ技の付録についたH8ボードのために、日立のE7エミュレータを買おうかとかなり心が傾いていたんですけど、ZPAK IIがあるならどうでもいいですね(すでに手段と目的が入れ替わっている)。このエミュレータがLAN接続できることもあり、4ポートぐらいのもののようですがイーサネットのハブまでついているようです。なんかすごい、すごすぎ。これ全部を$99.95でいいんですか?絶対元とれてないと思うんですけど。


翌日

 発送を知らせるメールはないけど、状況確認してみたらとりあえず発送したらしいですね。少し前にUSPostalの実績があるのですが、それからしても約半月で到着するようです。ああ、楽しみ。


届きました

 毎日のように状況確認してたんだけど、そのページが更新されないままいきなり到着しました。注文してまる5日なんて、ミネソタってそんなに近かったんでしたっけ。

 EMS便で届きました。書いてる時点では家の人に受け取ってもらったままなんでよくわからんのですが、関税かかってないんかな。
 その中身。裏表同じ柄です。

開けてみました

 なんかいろいろぎっしり入ってますね…。
 中身を全部取り出してみました。ザイログのページとかチラシにもこんな写真ありましたけどね。
 ボード。eZ80の載ったボードが、あらかじめ'Development Platform'に取り付けられて袋に入っています。なんとなく一体でわかりにくいですが、左上部分がeZ80ボードになります。
 そしてこれが主役のeZ80F91。使われているのはQFP品ですが、BGA品もあるようです。末尾のSCはコマーシャル品、ECになるとインダストリアル品(温度拡張されている)になるようです。
 その左にあるAMDのマークが入っているチップは「NetPHY」という名の、Ethernet物理層の回路をワンチップで組めるLSIのようです。
 ボードの端にはこのように、LED内蔵型RJ45コネクタが装備されています。HALOのやつって、パルストランス内蔵型なんでしたっけ?
 'Development Platform'にあるコネクタ類。ここのはシリアルで、右がRS485、中央が「コンソール」、左がモデム(実態は普通のシリアル)ということになっています。シリアルポート自体はeZ80に内蔵されていますが、ドライバICは外付けで必要です。もちろんボードには搭載されています。
 モデムの装着場所。電話用のコネクタはありますが、モデムそのものはありません。コネクサント社のソケットモデムなるものを取り付ければモデム機能が使えるようになるらしいです。
 電源部とLED。左下のちょっと変わったコネクタがDCジャックで、その右にレギュレータが並びます。
 LEDは7×5ドットで、ドライバICが行×列で接続されているので、ダイナミック点灯させる必要があります。
 拡張部分。ここに二階建てにしたユーザー回路搭載のボードを載せることになります。もっと簡単なのでよければ、フリースペースにSOP ICを載せて手配線…ということなのでしょうか。
 中央やや左上の四角いチップはSRAMで、これだけで512KB。左右に並ぶランドに同じものを載せると2MBになります。
 大きいほうがJTAG端子、小さい方がZDI。ZDIにはエミュレータを接続し、デバッグに使用します。
 ちなみに、裏面はこんな感じ。今のザイログのマークである'Z'が映える黒くてほとんど部品のない面です。なんか、eZ80のボードが端からはみ出てるんですが…。
 これがエミュレータ、ZPAK II。シリアルとEthernetのどちらでもインターフェースできるようです。ターゲットとは小さいポッドを介して接続します。エミュレータ自体、結構小さいですね。
 開発ツールは、DVDのようなトールケースに入っています。といってもメディアはCDですけどね。Cコンパイラとか、全部入っているというのは嬉しいですよね。
 ところで、クイックスタートガイドの表紙がZ8Encore!用になってるのはなんでなんでしょう…(中身はちゃんとeZ80Acclaim!用になってましたが)。
 5ポートHubが入ってます。もちろん100M/10M対応。ザイログのeZ80評価キットのページではアライドテレシスのHubになっていたのですけど、実際にはよく知らないメーカーのものになってますね。まぁどうでもいいんですが。
 ACアダプタが3つもついてきます。うち二つ(袋に入っていないものと右上)はボードとZPAK IIの電源で、残るひとつがHubの電源ですね。ボード用のものは輸出を考慮してか三種類の交換プラグまでついています。
 シリアルケーブル。片方がオス、もう片方がメスになってます。ボードとPCと接続する時は、ボードのコンソールコネクタにつなぐことになるのでしょうか。
 そして感動のEthernetケーブル、しかも3本。ええっと、ボード⇔Hub、ZPAK II⇔Hub、Hub⇔開発用PC、という使い道ですかね。
 マニュアル。といってもこの開発キットのマニュアルで、eZ80そのものではありません。キットとかの回路図はいろいろ載ってますがね…。その他のドキュメントはCDにあると思います。
 登録カード。オンラインサインアップすると、無償サポートや無償アップグレード、メールによるニュースレターが受けられるそうです。

登録してみたら

 eZ80 CPUのドキュメントを読もうと思ってCDの中身を見てみたけれど、どうもいろんなドキュメントがあったりなかったりする様子。結局はザイログへ見に行かないといかんかなぁといろいろ探してたら、なんかザイログ謹製リアルタイムカーネルがダウンロードできそうな雰囲気。でもユーザーIDを要求されるので、どうも登録が必要なんじゃないかと思ってアカウントを作成してみたら案の定そういうことでした。登録作業が失敗したような画面は出たものの、それ自体は成功した模様でIDもちゃんと作成されていました。

 そしてログオンしてみたら…ZDS IIの最新バージョンのほか、ザイログとIARシステムズの作ったネットワークのドライバとTCP/IPスタック、そしてリアルタイムカーネルがライセンス条件受諾だけで無償ダウンロード。ええっ、ほんとにこれ一万円くらいぽっきりで全部もらえるの?!太っ腹〜♪。


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