樹木剪定作業中に重大な事故となった労働災害事例(インターネットで公開されている事例です。原文を引用)
関係法令
労働安全衛生規則第 518 条第2項
「事業者は、前項(事例1参照)の規定により作業床を設けること墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。」
事例集
○高さ8m程の街路樹であるケヤキの剪定を行うため、作業員2名が、移動はしごで枝部に上がり、歩道側と車道側に分かれて剪定作業を行っていたところ、歩道側を作業していた作業員が、枝から移動しようとした際に、4m下の歩道に転落し、およそ3週間後に脳挫傷により死亡した。
○近隣住宅の日照の障害になっていた公園の樹木の剪定を行なうため、桜の木に2連アルミ梯子をかけて登り、枝に足をかけて剪定ばさみと鋸を使い枝を剪定及び移動を繰り返していたところ足をかけた直径約4pの枝が折れ、約5m下の土手へ墜落し、さらに土手を転がり水路へ転落した。保護帽は着用。安全帯は腰に巻いていたが、使用していなかった。
○街路樹(ユリの木)の高さ約10mの枝に乗り、安全帯のフックを別の枝に掛けて剪定作業をしていたところ、枝が折れ、墜落した。
○個人宅の庭木(椎の木)に登って剪定作業中、足を掛けていた枝が折れ、約5.4m下のコンクリート通路に墜落した。
○共同住宅敷地内の樹木(高さ約12mのエノキ)の剪定作業中、高さ約5mの枝から墜落した。
○職人は、高さ約5メートルの木に登り、左手で枝を持ち、右手のはさみでせんていしていたが、握っていた枝が折れ、約3・7メートルの高さから落下。アスファルトの地面に頭を打ちつけ、約9時間後に脳挫傷で死亡した。
○上田市内の寺院庭木の剪定作業で、高さ6メートル、胸高直径20センチメートル程の樫の木の枝を払っていたところ、ハシゴの高さ約5メートルの位置から誤って転落し、頭部挫傷等により事故発生から4日後に死亡した。
○街路樹の剪定作業中、街路樹が根株から倒れ、はしごと共に落下して道路に激突した
○樹木の剪定作業で、地上5.2mの枝上で作業していた被災者が、枝が折れるとともに地上に落下したもの。
○高さ8m程の街路樹であるケヤキの剪定を行うため、作業員2名が、移動はしごで枝部に上がり、歩道側と車道側に分かれて剪定作業を行っていたところ、歩道側を作業していた作業員が、枝から移動しようとした際に、4m下の歩道に転落し、およそ3週間後に脳挫傷により死亡した。
○プラタナスの街路樹の剪定作業中、足場にしていた樹の枝が折れ、3.2m下の歩道に墜落、頭蓋骨骨折のため、翌日死亡。
(コメント) プラタナスは銀杏ほど高くもなく、柳と違い折れにくい樹であるという理由から、事業者も被災者も安易に大丈夫だと判断した。
○脚立の上で枝の剪定中、切った枝が脚立に当たり、脚立が倒れ墜落した。
○5月30日に健康福祉局社会福祉施設において、62歳、女性、用務職員が外フェンスから飛び出していた枝の剪定していたところ、バランスを崩しフェンス外周の擁壁(斜度65度)端から3.3m下の道路上に墜落した。高所作業にあたるものの安全帯等の保護具は着用していなかった
送検事例
剪定作業現場で、脚立を使って植え込みの剪定作業を行っていた作業員が、脚立が外れたはずみで転落し、死亡する災害が発生した。 |
作業はA社が請負っており、作業には「三脚脚立」を使っていたA社の作業員Xが被災した。 |
作業状況(開き止め用のフックが欠損したまま使用させる) |
Xは作業にあたり、まず三脚脚立を剪定作業の位置にセットすることとした。この三脚脚立には、チエーンを用いた開き止めが備わっていたが、チェーンを掛けるフックが1年ほど前から欠損していたため、トラロープとチェーンを結び、ロープを背面脚に結び付けて使用していた。 |
しかし、作業当日、トラロープは外されていた。そして、作業が始まってしばらくした頃、三脚脚立の開き止めがなかったため、バランスを崩して脚立が倒れ、Xもはずみで転落した。 |
災害原因(保護帽をかぶらず、控えもとらず作業を行う) |
A社の工事部長Yは、開き止めが欠損した三脚脚立を1年余りに渡って修理することなく使用さていた。こうした不安全状態を放置していたことが災害発生の原因といえる。 |
また通常であれば、転倒防止のため三脚脚立に控え(近くの木とロープで結ぶなど)をとってから作業に当たっていたが、今回はこの控えをとっておらず、また被災者は作業帽もかぶっていなかった。適正な安全脚立の使用をはじめ基本的な対策を講じていれば防げた。 |
このため、墜落・転落災害防止のための必要な対策を講じていなかったA社とYが、労働安全衛生法第20条第1号、労働安全衛生規則第528条第3号などの違反の疑いで送検された。 |