大魔神逆襲

1966年12月10日公開
カラー,ワイド
本編87分

解説

大魔神3部作の最後の作品。 さすがに3作目ともなると変化がついてくるもので、今回は魔神の心を動かすのは乙女の真心ではなく子供の純真な心。 …って、それだけしか違ってなかったりして。

いやいや、まだまだ内容は全然違う。 まずはオープニングで、のっけから暴れ回る魔神。(しかも体の端々しか映らない!) 自然災害は魔神が起こすものだと人々が信じていた…ということを言いたいシーンなんだけど、どう見ても魔神が恐い悪者にしか見えん。

で、そのまま本編に突入。あれ?クレジットは? と思ったら、映画の最後にクレジットが出て来る。ほらほら、今までと違うでしょ。

…って、んな強引に違いを探さなくても、この映画は今までと一味違う。 なんといっても主人公が子供。しかも4人もいる。 演技の拙い子供たちをメインにすえる理由はただひとつ。 子供向け映画路線を明確にしたということなのだ。

残念ながら大魔神シリーズはここで打ち止めとなってしまうが、続くガメラシリーズでこの路線が爆発。 次の「ガメラ対ギャオス」で完全に路線が固まり、そのままあらぬ世界にトリップしてしまう。(ぉぃぉぃ)

ところがこの映画ではまだそこまでいってない。 単なる子供の冒険劇にとどまっている。 いや確かに、ショッカーの戦闘員を翻弄する少年仮面ライダー隊の隊員のごとく、侍を翻弄する子供たちの姿が描かれたりはしている。 が、そこであまり笑う気にはなれない。 そこが時代劇の不思議なところ。

少年仮面ライダー隊の隊員が戦闘員をコケにしてると、
「この戦闘員、アホか」
と思えるのだが、時代劇で子供が侍をコケにしてると
「ほう、手練の侍を手玉に取るとはのう、この小僧共、やりおるわい」
などと思ってしまうから、あら不思議。 …って、そんなの私だけか? いやしかし、時代劇ということで現実感が薄く、また子供の行動も控えめなので、多少変でも無理なく見られる…と思う。

ただ惜しむらくは、メインで描かれるのが子供たちの冒険であるため、敵である飛騨守と村人たちとの関わりが深く描かれなかったこと。 そのため飛騨守が単なる典型的悪者にしか見えなかった。 敵だけじゃなくて味方もそう。これまた典型的な弱者としてしか描かれていない村人たちが虐げられていても、いまひとつ感情移入できない。 もっとドラマとして、悪の力を振るう飛騨守と耐えるしかない村人の様子を描いてくれた方が良かった。 そもそも村人たち、誰が誰だかよく分かんない。 こんな調子だから、村人のピンチに大魔神が現れても、大魔神が飛騨守を倒しても、爽快感があまり感じられない。

ということで、ドラマとしては前2作には劣ると思う。 大魔神も湖を二つに割るみたいなブッ飛んだ神通力は使ってくれないし、全体的なパワーはやっぱり落ちてると言った方がいいだろう。 とは言っても大魔神3部作のトリである。大魔神について語りたければ必見だ。

ところで主人公4人のうち、金太は一人だけ死亡、また兄を探しに来た大作の兄は既に殺されていた。 結局ハッピーなのは、無事に父親に会えた鶴吉・杉松兄弟のみ。 一見さわやかに終わったようだが、これって実は悲惨な終わり方なのでは…?

P.S.
主人公の鶴吉くん、どこかで見たことあると思った人は鋭い。 彼は当時テレビの画面でも、「マグマ大使」のロケット人間・ガムとしてお目にかかることができたのだ。

ストーリー

大雪・洪水などの災害が全て魔の山に棲む荒神の神技と信じられていた頃…。

荒川飛騨守は、瓜生の里の村人を捕らえて地獄谷で強制労働させていた。 もう大雪が近い。 地獄谷から逃げる方法は、魔神の御山を越えるしかないのだ。 一人だけ里に逃げ延びた三平は、村人にそのことを告げて息を引き取る。

だが、よりによって場所が魔神の御山であり、また村一番のきこりである三平でも駄目となると、誰も山に入ろうとはしない。 そこで、鶴吉・大作・金太の3人の子供は、自分達で村の人々を救い出そうと魔神の御山へと出発する。

やがて、後をつけてきた幼い杉松が加わり、ついに4人は魔神の御山に入っていった。 だが、不気味な森や険しい山道が彼らの行く手を阻む。 それでも4人は、懸命に先へと進むのだった。

飛騨守の手の者に見つかりつつも、なんとか逃げ延びた4人。 4人はついに魔神の御山を越えることに成功する。

一方、地獄谷では、いつまでたっても三平が戻らないので業を煮やした大作の兄、庄八が二番手として逃げ出そうとする。 が、失敗し、皆の目の前で見せしめとして硫黄の泉に落とされてしまった。

そんなことはつゆ知らぬ4人の子供たち、なおも先に進む。 飛騨守の侍から飯をかすめ取り、いかだを作って川を下り、ひたすら先に進む。

しかし、そううまく事が運び続けるわけもなかった。 まずいかだが壊れ、金太が川に流されてしまう。 そして雪が降り始め、一晩で辺りは銀世界となってしまう。

地獄谷では工事が終了していた。 そして飛騨守は隣国に攻め込むべく、村人達に国に抜ける間道を教えろと迫る。 硫黄の泉に連れて行かれ、脅迫される村人たち。

鶴吉たちは雪の中で眠りそうになり、飛騨守の侍に狙われる。 だが神の使いの鷹が舞い下り、侍たちを倒してくれる。 しかし鷹はその戦いで息を引き取ってしまう。また大作と杉松は目を覚まさない。 鶴吉は、自らの身を神に捧げて神の怒りを鎮めようとする。

その頃、鷹が流す血に呼応するように御山の武神像が血を流していた。 そして鶴吉が崖から身を投げたその時、武神像が腕を振り上げ憤怒の形相に変わった。

目を覚ました大作と杉松は鶴吉を探す。 すると鶴吉が身を投げた場所が神々しく光り輝き、そこから鶴吉をかかえた大魔神が姿を現した。

地獄谷では、口を割らない村人たちが硫黄の泉に落とされようとしていた。 その時、神の使いの鷹が現れると共に吹雪が起こり、そして地響きをたてて大魔神がやって来た。

兵を蹴散らし、突き進む大魔神。 飛騨守は完成したばかりの砦に逃げ込み、大魔神を迎え撃つ。 が、丸太落としも大筒もその歩みを止めることはできない。 砦は次々に崩れ去っていく。

もはや逃げ惑うしかない飛騨守。 大魔神は剣を抜き、地に突き立てる。 すると大地が割れ、崖崩れが起きて兵は全滅する。

飛騨守を無造作に掴んだ大魔神は、硫黄の泉の上で飛騨守を剣で一突きにする。 絶命した飛騨守は、硫黄の泉の中へと落ちていく。

嵐は去った。 鶴吉は無事に父親にめぐり合い、皆は大魔神に祈りを捧げる。 すると大魔神は元の武神像の姿に戻り、辺りは晴れ渡った。 そして武神像は雪のごとく舞い散っていくのだった。

スタッフ

製作...永田雅一
企画...奥田久司
脚本...吉田哲郎
音楽...伊福部昭
監督...森一生
特撮監督...黒田義之

キャスト

鶴吉...二宮秀樹
金太...飯塚真英
大作...堀井晋次
杉松...長友宗之
荒川飛騨守...安部徹
三平...仲村隆
松永大膳...名和宏
かね...北林谷栄
庄八...山下洵一郎
黒木東馬...守田学
吉兵衛...早川雄三
小六...浜田雄史
矢田...堀北幸夫
吾十...石原須磨男

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