ガンの予防とハーブ

「ガン予防の基本的な考え方」では、発ガンの原因と、発ガン抑制物質の存在について説明しました。ここでは、ハーブの発ガン抑制作用について簡単に紹介して行こうと思います。

1.食品中の発ガン抑制物質

日本人に胃ガンの発生率が高い事から、日本では早くから食物とガンの関係について多くの研究がなされ、ヘテロサイクリックアミンとその抑制効果についても、緑黄色野菜を中心に調べられてきました。これらの研究を通じて今までに報告された代表的な発ガン抑制物質を挙げておきます。 その他にもクロロフィル、リボフラビン、イオウ化合物、ポリフェノール等が知られていますが、その働きも良く判っていない発ガン抑制物質も多く、さらにどのような発ガン抑制物質が食品に含まれているのかなど、これからの研究が期待されます。


2.ハーブの発ガン抑制効果

緑黄色野菜を中心に発ガン抑制物質の研究が進んできましたが、神戸大学の金沢助教授を中心とするグループによりハーブについての研究が行われています。
同グループでは、焼き魚や肉などから、1日当たりに摂取するヘテロサイクリックアミン類の量ををトリプP2に換算して約20ngと見積もり、この変異原性(突然変異を起こす率;発ガンの引き金になる)をハーブがどの程度抑えるのか調べました。
トリプP2に対する変異原性抑制効果
ハーブ抑制率ハーブ抑制率
イタリアンパセリ チャービル
オーデコロンミント ディル
オレガノ パイナップルミント
カレープラント パセリ
クールミント フレンチタラゴン
コリアンダー フローレンスフェンネル
コーンサラダ ペパーミント
ジンジャーミント ベルガモット
スイートバジル ラベンダー
スイートマジョラム レモングラス
スピアミント レモンバーム
セージ レモンベルベナ
ソレル ローズマリー
タイム ローマンカモミール
チャイブ ローレル

◎ 100〜70%、 ○ 70〜40%、 △ 40% 以下


トリプP2に対する変異原性抑制効果
野菜抑制率野菜抑制率
アオジソ ニラ
ウド ニンジン
キャベツ ブロッコリ
ゴボウ ミツバ
サヤエンドウ ミョウガ
サンショウ メタデ
セリ レタス
タケノコ ワケギ
トマト

◎ 100〜70%、○ 70〜40%、△ 40% 以下


野菜の中にも抑制効果の高いものもありますが、ハーブ類に◎が多いのにお気づきと思います。このように、ハーブ類には、緑黄色野菜に匹敵する、あるいはそれ以上の活性があることが解りました。
昔からハーブ類は、食物としての利用だけでなく薬としても用いられることが多かったくらいですから、緑黄色野菜に含まれるのとは別の発ガン抑制物質も存在するのではないかと考えられてます。


3.デザイナーフーズ

1990年、アメリカ国立ガン研究所は、「デザイナーフーズ・プログラム」を発表しました。これは、主として植物性で、ガンを予防する成分を多く含むようにデザインされた食品のことで、今まで述べてきた研究を実際にどのように生活に取り入れればよいかを示すものです。日本でも名古屋大学の大澤助教授を中心として多くの科学者により提唱されていて、この中にはハーブ類も含まれています。
1.野菜
タマネギ、ニンニク、トマト、ナス、ピーマン、ジャガイモ、ニンジン、セロリ、パースニップ、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ、キュウリ
2.嗜好品
緑茶、紅茶、ウーロン茶
3.香辛料
ショウガ、ウコン、ローズマリー、セージ、タイム、バジル、タラゴン、ハッカ、カンゾウ、アサツキ、オレガノ
4.穀類、油糧種子
玄米、全粒小麦、大麦、大豆、亜麻
5.果物
オレンジ、レモン、グレープフルーツ、メロン、イチゴ
ここに挙げた、約40種ほどの食品にガンを防ぐ可能性があると考えられています。これらの食品を中心とした献立によってガンを予防する食生活を実践していきましょう。


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