【古代ローマ神名事典】 Ver 4.18
A.U.C.2758(A.D.2005)/10/25改訂
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注:「^」は、「小さいル」です。
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アイーウス・ロクーティウス[AIUS LOCUTIUS(LOQUENS)]
紀元前390年のガ^リア人の来襲をローマ人に告げたと考えられる神(声)。
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アーウェ^ルンクス[AVERRUNCUS]
禍を転じる神。
アウステル[AUSTER]
南風(または南西風)の神。
アウトマティア[AUTOMATIA]
運の女神。
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アウローラ[AURORA]
曙(暁、夜明け)の女神。太陽神ソールと月の女神ルーナの姉妹。ギリシ
ア神話のエーオースにあたる。
アエスクラヌス([AES-])
青銅貨の神。息子は銀貨の神アルゲンティヌス。
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アエキタース([AEQUITAS])
公正さ、公正なふるまいを司る神。
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アエテルニタース([AETERNITAS])
ローマの、「永遠」「不死」の化身(男?)。
アエラ・クラ([AERA CURA])
ローマの地獄の女神。
アッカ・ラレンティア[ACCA LARENTIA(LAURENTIA)]
元々はイタリアの大地女神であった。しかし共和政末期の伝説ではローム
ルスとレムスを養育した遊女という事になっている。
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アクィロー[AQUILO]
ローマの北風の神。ギリシア神話のボレアースにあたる。
アゲノリア([AGE-])
行動に駆り立てる女神。
アドエオナ([ADEONA])
来る事、近づく事を司る女神。一度親元を離れた子供が家に帰って来るの
を導く女神。
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アドラステーア[ADRASTEA]
人々をその行為に応じて賞し、または罰する女神。大神ユーピテルと必然
の女神ネケシタースとの娘。
アッピアス[APPIAS]
ローマの妖精。ミネルウァ女神のあだ名。
アッピアデス([APPIADES])
アッピア上水道の近くに神殿があった5柱の女神(コンコルディア、ミネル
ウァ、パークス、ウェヌス、ウェスタ)の事。
アフリクス([AFRICUS])
ローマの西南風の化身。
アブエオナ([ABEONA])
去る事、発つ事を司る女神。親元を離れた子供の保護女神。
アブンダンティア([ABUNDANTIA])
あまり名の知られていない、ローマの豊饒、成功、幸運の女神。
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アポ^ロー[APOLLO]
光明と理性の神。芸術・医術・弓術の守護神。この神はもともとギリシア
神話でもローマ神話でもなく、ナポリ湾北端のクーマエからもたらされた。
ローマに於いてはユーピテル大神とラートーナ女神の息子、ディアーナ女
神の兄弟。ギリシア神話のアポロン神にあたる。前434年、疫病が発生し
たため市民の健在を祈ってアポ^ロー神殿の建立を誓願し、前431年に建設
した。アポ^ローは外来の神なので神殿はポーメーリウムの外、フラーミニ
ウス競技場とホリトーリウス広場の間に置かれた。
アモル[AMOR]
恋愛の神。クピードーのあだ名。「愛」の意から。
アルゲンティヌス([ARGENT-])
銀貨の神。アエスクラヌス神の息子。
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アーレクトー[ALECTO]
復讐の女神達(フリア。ギリシア神話のエリニュス)の一人。復讐或いは
罪の追求の女神。
アレモニア([ALEMONIA])
ローマの、母親のお腹の中の(まだ生まれていない)子供の養育を司る女
神。
アンギティア[ANGITIA]
ローマの蛇?の女神。中部イタリアのマルシィ市の人々の間で特に崇拝さ
れていた。メーデイアやキルケーの姉妹。
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アンゲローナ[ANGERONA]
秘密を司り、古代ローマの神性を守る女神。閉じた口に指を置いた姿で描
かれる。
アンテウォルテ[ANTEVORTE]
ローマの、未来を司る女神。
アンナ・ペレンナ[ANNA PERENNA]
聖山事件の時、自分で焼いたパンを無償で提供した老婆が、崇められたも
のか。イタリア本来の神であるが、誤ってディドーの妹アンナと混同され
る事がある。
イヌウス[INUUS]
畜群の保護を祈る際に呼びかける古いイタリアの神。家畜の群れを繁殖さ
せる神々。ファウヌス神の別称。後にパーン神と同一視され、本来の性格
は忘れられた。
インディウィア([INDIVIA])
嫉妬の女神。
インディギテス・ディー([INDIGITES DII])
ローマ土着起源の神々。特別な状況の時にだけ祈願される。彼らは家、家
畜小屋、納屋、畑、牧場などの守護神であった。
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インテルキードーナ[INTERCIDONA]
斧で切る事を司る神。
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イーンフェリー・ディー([INFERI DII])
下界を司る神々。
インポルキトル([IMPORCITOR])
三回目の耕作を司る神。一回目の耕作はウェルクウァクトル神、二回目の
耕作はレデラトル神が司る。
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ウァクーナ[VACUNA]
サビニ族の女神。ウィクトーリア、ベ^ローナ、ディアーナ、ミネルウァ、
ウェヌスなど、色々な女神と同一視されているが、古代に於いて既に何の
職分を司る女神か忘れられていた。
ウァティカヌス([?])
子供の泣くのを守りする神か。
ウァロニア([?])
谷間の神か。
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ウィーカ・ポタ[VICA POTA]
古代ローマの勝利の女神。ウィクトーリア女神の添え名。その神殿はVelia
の町(ルカーニア西海岸の町)のふもとにあった。
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ウィクトーリア[VICTORIA]
勝利の女神。戦場より戻った戦勝将軍により特に礼拝された。ギリシア神
話のニケにあたる。
ウィトゥムヌス([VITUMNUS])
母親の子宮で子どもに生命を与える神。
ウィトゥラ[VITULA]
ローマの勝利の女神。
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ウィルギナーリス([VIRGINALIS])
処女性を司る女神。処女としてのユーノー女神の別称。
ウィルギネンシス([VIRGIN-])
処女性を司る女神。
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ウィルトゥース([VIRTUS])
勇武・徳の女神。
ウィルビウス[VIRBIUS]
あまり名の知られていないローマの神で、主にディアーナ女神の配偶者と
して記述される。ローマ近郊のエーゲリアの聖なる森(あるいはネミの聖
なる森とも)で特に崇拝されていた。
ウゥルトゥルヌス[VULTURNUS(VENTUS)]
東の風(東南東の風)を司る神。ギリシア神話のエウロスにあたる。
ウェスタ[VESTA]
かまどの火の女神。家庭、ローマの守護女神。サートゥルヌス神の娘。ギ
リシア神話におけるヘスティアにあたる。その起源は、最初ローマの家々
で個人的に信仰されていたという事以外はほとんど分からないが、最終的
に国家的信仰にまで発展した。ウェスタ女神への奉仕はヌマ・ポンピリウ
ス王(前715〜673)によって準備された。パラーティウムの丘のウェスタ
女神の神殿ではローマ国家の神聖な火が燃やされ、厳しい戒律に従って30
年間巫女をつとめる「ウェスタの巫女たち」によって守られる。ローマで
新しい年が始まる3月1日に、火は新しくされることになっており、この
聖火は紀元後394年まで燃やされていた。ウェスタ女神の最も重要な神殿
は前3世紀にフォルム・ロマーヌムに建てられた円形の神殿であり、この
神殿の炉の火は、ローマの創設者アエネーアースが故国トロイアから持参
したものであると伝えられた。。この神殿は都市国家の安全を象徴する。
ウェスタ女神の像が置かれた神殿は存在しない。その祭Vestaliaは6月7
日〜15日に行われ、最初の日「penus Vestae」にはいつも閉じられている
ウェスタ神殿の聖域の奥への門が開けられ、裸足の女性達が奉納物を捧げ
る。祭の最後の日には神殿が払い清められた。ウェスタ女神の聖なる動物
はロバである。おそらくそのロバの荒々しい鳴き声が、淫らなプリアープ
ス神から女神を守ったのであろう。ウェスタ女神はロングドレスを着て頭
を覆った厳格な女性として描かれる。その右手は横に寄りかかり、左手に
は王笏を持つ。芸術作品などではウェスタは炉の炎とともに描かれる。
ウェヌス[VENUS]
極めて古いラテンの神であり、草木と庭園、ぶどう園の保護女神。クピー
ドーとアエネーアースの母。ユーリウス・カエサルは、自分がこの女神の
子孫であると主張した。のちにギリシア神話のアプロディテと同一視され
る様になると、愛と美を司る女神であると見なされるようになった。その
信仰の起源はラティウムのアルデアとラーウィーニウムにある。ウェヌス
の神殿で知られているもののうち最も古いものは前293年にさかのぼり、
8月18日に落成されている。後にこの日にVinalia Rusticaの祭が催され
る様になった。2つ目の祭であるVeneraliaは4月1日に、ウェヌス・ウェ
ルティコルディア(Venus Verticordia)の為に祝われた。この女神はの
ちに、悪からの守護女神と見なされた。その神殿は前114年に建てられて
いる。前215年のトラジメーヌ湖畔の戦いの敗北の後には、カピトリーウ
ムの丘にウェヌス・エリキナ(Venus Erycina)の神殿が建てられた。こ
の神殿は4月23日に公式に開かれ、その祭であるVinalia Prioraもこの
日に行われることとなった。
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ウェーリタース[VERITAS]
真理の女神。サートゥルヌス神の娘。
ウェルクウァクトル([VERCVACTOR])
一回目の耕作を司る神。二回目の耕作はレデラトル神、三回目の耕作はイ
ンポルキトル神が司る。
ウェルミヌス([VERMINUS])
牛につく虫を司る神。
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ウェー・ヨウィス[VE-JOVIS(VEDIOVIS,VEIOVIS)]
ローマ最も古い神々のうちの一神。治癒の神であり、後にギリシア神話の
アスクレピオスと関係があるとされる様になった。あるいは、復仇神とし
てのユーピテルであるとする説もある。主にローマ市とボウィー^ラエ(Bo
villae:アッピア街道沿いのラティウムの町)で崇拝されていた。神殿は
カピトーリウムの丘とティベリス島に建てられており、春には疫病を防ぐ
為にヤギが犠牲に捧げられた。ウェー・ヨウィス神は矢(あるいは稲妻)
の束を手に抱え、ヤギを伴った若い男の姿で描かれる。ウェー・ヨウィス
神は、恐らくエトルーリアのウェイウェ(Veive)神が元になっている。
ウェルトゥムヌス[VERTUMNUS(VORTUMNUS,VERTIMUS)]
エトルーリア人の変わる年の神、即ち、四季の移り変わりと果実が熟する
事を司る神。庭と果樹と果物の守護神。ポーモーナ女神の夫。様々な形態
に変わる力を持ち、それによってポーモーナ女神の愛を得た。ウェルトゥ
ムヌス神への信仰は前300年頃にローマに紹介され、前264年にアウェンティ
ーヌス丘に神殿が建てられた。その祭(Vertumnalias)は8月13日に行わ
れた。像がエトルーリア人の町に建っていたという。
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ウォルカーヌス[VOLCANUS(VULCANUS)]
イタリアの古い「火の神」。火、特に破壊的な火と、鍛冶の神。また恐ら
く火山の、荒ぶる神。そのため、ローマでは祭祀の場 volcanal が市域外
にあった(一説には、公設の火葬場)。ウォルカーヌス神の鍛冶の仕事場
はエトナ山のふもとにあり、そこで見習い工と共に神々や英雄の為の武器
を作るとされた。ユーピテル大神とユーノー女神との息子。ウェヌス女神
の夫。古典期には祭での犠牲の式を除き元来の性格は忘れられ、ギリシア
神話のヘパイストスと同一視された。ウォルカーヌス神はボナ・デア女神
と密接な関係があり、8月23日(『ローマ市建設以来の歴史』1.37.5.注
によれば13日)に行われる祭(Volcanalia)を共有していた。この祭は
地中海でひでりが続く最中の、最も火事の危険性が高い時期に行われ、祭
司はティベリス河で捕えた魚を、生きたまま、「人間のかわりに」火に投
じた。神殿が通例町の外にあったのは、自然の火の危険性の為であった。
前215年に、フラーミニウス競技場に神殿が建てられた。オースティア港
ではウォルカーヌス神は穀物貯蔵庫を火から守ってくれる神々の筆頭であっ
た。
ウォルティナ([?])
さやの女神。
ウォルトゥルヌス[VOLTURNUS]
カンパーニアのウォルトゥルヌス川に関係のある川の神。8月27日にその
祭があった。
ウォルトゥムナ[VOLTUMNA]
エトルーリア同盟の守護女神。
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ウォルピア[VOLUPIA(VOLUPTAS)]
快楽の女神。
ウォルムナ([VOLUMNA])
子ども部屋の守護女神。
エウェントゥス・ボヌス([EVENTUS BONUS(BONUS EVENTUS)])
仕事の成功を司る神。良い結果をもたらす神。その像がローマのカピトー
リウムのユーピテル神殿の近くにあった。
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エーゲリア[EGERIA]
ネミ湖畔アリキアのディアーナ女神の聖なる森に棲む泉の女神。深い知恵
を持ち、ヌマ王に様々な助言を与えた。カメーナエ諸女神の一人であり、
出産の女神としても崇拝されていた。
エドゥサ([EDUSA(EDUCA)])
乳幼児がものを食べる事を会得するのを助ける女神。
エポナ[EPONA]
馬とラバ、ラバ追いの女神。元々はガ^リア人にとっての女神。
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オッカートル[OCCATOR]
馬鍬で土をかきならす事を司る神。
オバラトル([OBARATOR])
耕作を司る神。
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オーピス[OPIS]
元々はディアーナ女神の従者か。誕生の手助けをする女神らしい。
オプス[OPS]
豊かさの源としての大地の女神、一般には豊饒や富の女神。収穫の女神と
してコーンスス神と密接な関係にある。サートゥルヌス神の姉妹で妻。神
殿のうちの一つはサートゥルヌス神殿の近くにあり、そこで8月10日に祭
が行われた。他にも12月9日に祭が行われた。フォルム・ロマーヌムでは
収穫の守護女神ケレースと聖域を共有していた。オプス女神の主要な神殿
はカピトーリウムの丘にあり、カエサルはそこに国庫を置いた。ギリシア
神話のレアにあたる。
オルクス[ORCUS]
死の神。宣誓を司り、偽証する者に罰を与える神。プルートーに仕える。
ギリシア神話におけるタナトス。
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オルボーナ[ORBONA]
子供をなくした両親によって祈られ、再び子供を得られる様に祈願された
女神。
カエルス[CAELUS(COELUS)]
天の神。テ^ルース女神の夫で、サートゥルヌス、ウォルカーヌス、メル
クリウスなどの父。ギリシア神話に於けるウラヌス神。
カエレスティス[CAELESTIS]
天上の神。ユーピテル神の別称。
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カーカ[CACA]
ローマの炉辺の女神。兄神カークスが盗んだ牛の隠し場を教えたので、そ
の報償として神殿を与えられたという。カーカ女神は後にウェスタ女神に
継承された。
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カークス[CACUS]
元々はローマ以前の火の神であったと考えられるが、徐々に火を吹く悪魔
と考えられる様になったらしい。ウォルカーヌス神の子。カーカ女神の兄
神。
カストル[CASTOR]
→ディオスクーリーの項を見よ。
カティウス[CATIUS]
少年の保護神。
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カプター[CAPTA]
ミネルウァ女神のあだ名。
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カプローティーナ[CAPROTINA]
豊穣多産の女神。ユーノー女神の呼称の一つ。
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カメーナエ([CAMENAE(CASMENAE)])
元々はローマの古い、井戸と泉の女神たち。後にギリシア神話の「芸術の
女神たち(Muses)」を意味する事となった。ローマでは、ポルタ・カペ
ナの聖なる森で特に崇拝された。
カルディナ([CARD-(CARDEA)])
敷居、特に扉の蝶番の女神。従って家族生活を司り、また健康をも司る。
小さい子供を悪霊から守る守護女神。
カルナ[CARNA]
人間の健康を守る女神。身体の諸器官、特に心臓を働かせる女神。人間生
活の保護女神。
カルメンタ[CARMENTA(CARMENTIS)]
カメーナエたちの一人で、子供の誕生と予言を司る女神。神殿はローマの、
カルメンタ門の近くにあり、そこに革の服を着て入ったり、革製品を持ち
込む事は禁じられていた。祭は1月11日と15日に行われ、特に女性たちに
よって祝われた。ウァ^ローによればカルメンタは、出産の時の赤ん坊の
頭の向きに対応して、逆向き(Postverta)と前向き(Prorsa)の二人い
る事になっており、それぞれポスト・ウォルタ女神とポ^リマ女神ともい
う。
カンデリフェラ([CANDELIFERA])
誕生、出産の女神。カルメンタ女神、ルーキーナ女神と同一視される。
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キュベレー[CYBELE]
本来はフリュギアの女神で、神々の母と考えられたが、紀元前204年、ハ
ンニバルをイタリアから追い出す力になってくれるというので、ローマで
も祀られるようになった。時にオプスまたはマテル・マグナとも呼ばれ、
黒い石の形である。神殿は前191年に完成し、毎年祭儀が行われたが、そ
の祭典は騒々しく自由奔放な踊りで街中を練り歩くという、ローマの道徳
観と相容れないものであった為、ローマ人が参加する事は禁止されていた。
『人生の短さについて』の注(P204)によると、「この祭典には、去勢さ
れた神官だけが参加でき、彼らは狂人の真似をし、わめき叫び、太鼓や小
鼓を打ち鳴らして狂乱した」という。
キンクシア([CINXIA])
結婚の女神。
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クィエース([QUIES])
休息の女神。
クィリティス([QUIRITIS])
サビーニー族の、母、母性の守護女神。
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クィリーヌス[QUIRINUS]
サビーニー族起源の軍神。後に、ロームルスが死後昇天してなった神であ
るとされた。ロームルスの妻ヘルシリアも死後ホーラ女神となって、再び
天上で妻となったという。しばしば髭をはやし、一部聖職者、一部軍人の
服を着た姿で描かれる。その祭は2月17日に祝われた。
クニナ([CUNINA])
ゆりかごの女神。子供の女神。従って、幼児の守護神でもある。
クバ([CUBA])
ゆりかごの中の子供を守る女神。
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クピードー[CUPIDO]
恋愛の神。ウェヌス女神の息子。アモル(愛の意)とも呼ばれる。弓と矢
を持ち、羽の生えた小さな男の子の姿で、その矢を心臓に射られた人は、
恋に落ちる。ギリシア神話のエロスにあたる。
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グラーティアエ[GRATIAE]
優雅の三女神の事。ギリシア神話に於けるカリス。
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クリーミースス[CRIMIS(S)US]
シチリア島の南西部にある川、クリーミースス川の神。
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クレーメンティア[CLEMENTIA]
慈悲と仁慈、寛大と寛容の女神。
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クロアーキーナ[CLOACINA]
下水道の神。ウェヌス女神のあだ名ともいう。
ゲニウス([GENIUS])
出生、及び生まれた人間の性格と生命とを司る神。男性は一人一人が、そ
れぞれ自分のゲニウスに守られていると考えられていた(女性はユーノー
女神)。また、家父長の守護神でもある。羽を持った裸の少年の姿で描か
れる。
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ゲニターリス[GENITALIS]
出産の女神としてのディアーナ女神の称号。
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ケレース[CERES]
古代ラティウムの草木(穀物・収穫)と豊饒の女神。子供への母親の愛情
を司る女神。ケレース女神への信仰は、大地の女神テ^ルースへの信仰と
密接な関係にある。サートゥルヌス神の娘で、ユーピテル大神との間にプ
ローセルピナを生んだ。ギリシア神話に於けるデメテルと同一視される。
アウェンティーヌスの丘と大競技場の間に神殿があり、リーベル、リーベ
ラ神と一緒に崇拝された。神殿は前493年の執政官スプリウス・カッシウ
ス・ウェケ^リヌスの奉献という。ケレース神はまた平民の神ともされ、
その神域はは避難所、平民の拠点でもあり、神殿、財庫、文書庫、境内で
の市を管理する按察官は、護民官と並ぶ平民の指導者であった。古くは畑
荒らし等の犯罪を穀神ケレースのもの(sacer)として死刑に処し(十二
表法八表九条)、後には平民トリブーヌスの不可侵性を犯した者を同様に
扱った。祭は4月19日に行われた。王笏と、花あるいは果物の入った駕籠
を持ち、麦の穂で作った冠をかぶった姿で描かれる。
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コーピア([COPIA])
富裕と豊饒の女神。フォルトゥーナ女神のお供の一人。
コラティア([?])
丘陵の女神か。
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コールス([CORUS])
ローマの北風、あるいは北西風の神。
コンウェクトル([CONVECTOR])
収穫をもたらす神。
コンコルディア[CONCORDIA]
調和・結合、平和・和解の女神。ローマ国民の市民、諸団体の和合一致の
女神。多くの神殿で崇拝されており、またローマ史のいくつかの時期にコ
ンコルディアの神殿がつくられたが、その最も古いものは前367年にカミ^
ルスによってフォルム・ロマーヌムに建てられたものにさかのぼる(この
年は、貴族と平民の抗争がひとまず終結した年であった)。また、前121
年のグラックス(弟)の死後、グラックス兄弟らと元老院との抗争が終結
し、秩序が回復したことを宣言しようという意図のもと、執政官オピーミ
ウスによってもコンコルディアの神殿がつくられた。当時神殿は豪華な芸
術品の数々で飾られており、元老院の代用としても使われたり、キケロー
がカティリーナに対する弾劾演説を行ったりした。長い外套を着て座り、
左手に生け贄の杯を持ち、右手には豊饒の角を持った姿で描かれる。
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コーンスス[CONSUS]
イタリアの非常に古い、農業、特に収穫の神。穀物の貯蔵を司る神。穀物
は地面の下に貯蔵された為、コーンススの祭壇も地下にあった。祭は8月
21日と12月15日に行われ、その間は覆いが外された。祭の大きな催し物は、
コーンスス神の神聖な動物であるラバのレースであった。コーンスス神は
豊饒の女神オプスと密接な関係にある。後に秘密の助言を与える神と見な
される様になった。
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コーンセンテース・デイー[CONSENTES DEI(DI)]
ローマでユーピテル大神を含む12人の最高神を指す。その構成は明らかで
ないが、恐らくユーピテル、ネプトゥーヌス、マールス、アポ^ロー、ウォ
ルカーヌス、メルクリウスの六男神と、ユーノー、ミネルウァ、ディアー
ナ、ウェヌス、ウェスタ、ケレースの六女神より成っていたと思われる。
コンディトル([CONDITOR])
作物の収穫の神。
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サートゥルヌス[SATURNUS]
種蒔き、あるいは蒔かれた穀物の神。三男神(ユーピテル、プルートー、
ネプトゥーヌス)、三女神(ユーノー、ケレース、ウェスタ)の父。妻は
オプス女神。フォルム・ロマーヌムのサートゥルヌス神殿で毎年12月17日
に祭が行われた。この神殿はカピトーリウムの丘のふもとにあり、ローマ
の国庫が置かれていた。サートゥルヌス神の祭であるサートゥルナリアは
一年の主要な催し物の一つで、もとは一日だけ行われていたが、後に7日
間行われる様になった。この祭の期間中、仕事は停止され、主人と奴隷の
役割は逆転し、道徳上の規制は緩められ、贈り物が交換された。サートゥ
ルヌス神への供物は、ローマの伝統に反して、頭に何も被らない状態で捧
げられた。しかし、祭の重要さと反対に、サートゥルヌス神自身の知名度
は高くなく、その名前が広く認識される様になったのは、3世紀にギリシ
ア神話のクロノスと同一視される様になってからであった。
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サラーキア[SALACIA]
海の女神。ネプトゥーヌス神の妻。
サリトル([SARITOR])
草取りと、くわで耕す事を司る神。
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サルース[SALUS]
個々人と国家の、健康と安全、繁栄の女神。「ローマ人民の公共の繁栄の
女神」として、紀元前302年にクィリーナーリスの丘に神殿が建てられた。
のちにサルース女神は、より個人の健康を守護する女神として考えられる
様になった。その象徴は蛇と杯であり、祭は3月30日に行われた。
サンクス[SANCUS]
サビーニー族から輸入されたローマの古い神で、宣誓と良い信仰を司る。
"Semo Sancus Dius Fidus"とも呼ばれる。
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シルウァーヌス[SILVANUS]
ローマの古い森林・荒れ地の恐ろしい神。また、国境線をも司る。豊饒の
神としてのシルウァーヌス神は、畑と家畜の守護神であり、ファウヌス神
と密接な関係にあった。ギリシア神話のパーン神と同一視される。収穫さ
れた最初の果物がシルウァーヌス神に捧げられた。その象徴は刈り込みナ
イフと松の木の大枝である。
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スアーダ[SUADA(SUADELA)]
説得、特に恋愛に於ける口説き文句を司る女神。ウェヌス女神の従神。
スタタヌス([STATANUS])
子供が初めて遠くへ行って、帰ってくるのを、その妻のスタティナ女神と
共に見守る神。
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スタタ・マーテル[STATA MATER]
火に対する守護女神。したがってウォルカーヌス神と関係がある。スタタ
・マーテル女神は、時にウェスタ女神と同一視された。フォルムにはスタ
タ・マーテル女神の像が置かれていた。
スタティナ([STATINA])
スタタヌス神の妻。スタタヌス神と共に、子供が初めて遠くへ行って帰っ
てくるのを見守る。
スタティリヌス([STATI-])
立つことを司る神。
ステルクティウス[STERCUTIUS]
施肥の神。
スティムラ[STIMULA]
女性の恋情・情欲を刺激する女神。
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ストレーニア[STRENIA(STRENUA)]
サビーニー族起源の、強さと力を司る女神。ローマでは年の初めに礼拝さ
れた。その聖域は聖道(Via Sacra)にあった。
スビグス([SUBIG-])
不詳。臣従の神か。
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スピーニエンシス[SPINIENSIS]
茨の神。とげのある植物を取り除く時に祈願される神。
スブルンキナトル([SUBRUNCINATOR])
草取りを司る神。
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スペース[SPES]
希望を司る女神。その聖域は野菜の市場にあった。スペース女神は豊饒の
角と花を持った若い女性の姿で描かれる。
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スンマーヌス[SUMMANUS]
夜の雷光の神。ユーピテルと区別された。スンマーヌス神の神殿は大競技
場にあり、6月20日には菓子が捧げられた。恐らくエトルーリアが起源で
ある。
セイア([?])
地中にある穀物の種子の保護女神。
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セークーリタース([SECURITAS])
安全と防衛を司る女神。ローマ帝国の安寧を確実なものとする為に祈願さ
れた。
セゲティア([SEGET-?])
作物の神。
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セーモー[SEMO]
作物の神。
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セーモーニア([SEMONIA])
作物の女神。種をまくことを司る。
センティア([SENTIA])
小さな子供に意識・認識をもたらす女神。
ソスピタ[SOSPITA]
救済・守護の女神。ユーノー女神の呼称の一つ。山羊の皮を被った姿で表
される。
ソムヌス[SOMNUS]
眠りの神。ソムヌス神はアエネーアースの舵取りであったパリヌールスを
ルカーニアの岸で眠らせ、その死の原因となった(『アエネーイス』V,838)。
_ _
ソーラーヌス[SORANUS]
ローマ北方のソラクテ山上で崇拝されていた神。狼の崇拝と関係がある。
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ソール[SOL]
太陽神。ギリシア神話のヘリオスにあたる。この神はあるいは、クィリー
ナーリスの丘の神殿で、"Sol Indiges"(太陽祖神)として崇拝されていた。
2番目の神殿は大競技場の競技トラックの近くにあったが、それはソール
神が4頭立て馬車の御者の守護神であると考えられていた為である。エラ
ガバルス帝はシリアから太陽神を最高神として導入し、太陽神は国家の神
となった。
ソルス[SOLS]
運を司る神。
タキタ[TACITA(DEA TACITA)]
沈黙の女神。死の女神。
_ _
タラーシオー[TALASIO]
ローマ人の婚姻の神。ギリシア神話のヒュメーンにあたる。
_
タルペーイア[TARPEIA]
断崖の岩の保護女神か、或いはタルペーイウス氏族の祖神と思われる。後
に伝説化され、サビーニー族との戦争の際ローマを裏切って殺された乙女
の事だとされた。
_
デア・ディーア[DEA DIA]
ローマの古い穀物の女神。成長を司る女神。ケレース女神と同一視される。
_
ディアーナ[DIANA]
イタリアの古い、樹木・自然と多産・出産の女神。大神ユーピテルとラー
トーナ女神の娘、アポ^ロー神の姉妹。王政の終わり頃もたらされたとい
う。ギリシア神話のアルテミス女神と同一視される。ディアーナ女神はま
た、カプア近くのティファタ山と聖なる森でもともと崇拝されていた月の
女神でもあり、ラテン同盟の女神でもある。古いイタリアの神であったた
め、ラティウムのアリキア市郊外にも神域があり、アリキア、トゥスクル
ム、ティブルなどが協同祭祀した。その姿は、鹿を伴った女性狩猟家とし
て描かれ、祭は8月13日に行われた。祭では奴隷の休息と参加が認められ
ていた。
ディエスピテル[DIESPITER]
ユーピテル大神の別称。「神々の父」の意。
_ _
ディオスクーリー[DIOSCURI]
ユーピテル大神の双生児、カストル(Castor)とポ^ルークス(Pollux)
の双子の兄弟の事。ローマでは特に神(商業を司る)として崇拝された。
元々彼らはスパルタ、シシリア、南イタリアで神として祭られており、ロ
クリス人の戦いを助けたという話がローマに伝わって、紀元前499年(前
496年の説もある)のレーギ^ルス湖畔の戦いの話となったらしい。ロー
マ人が近隣のラティーニー族とここで戦った際に、二人はローマ軍の先頭
に立って戦い、その後ウェスタ神殿の近くのユートゥルナの湖で馬に水を
飲ませていたのを見た者があり、戦闘の最中に時の独裁官アウルス・ポス
トゥミウス・アルブス・レーギ^レーンシスは二人の神殿の建造を誓った
というのである。イタリア中央部ではトゥスクルム市が信仰の中心であっ
たので、彼らの崇拝(特にカストールの)は、トゥスクルムから移入され
たらしい。また、レーギ^ルス湖畔の時と同様な話が、第3次マケドニア
戦争(前168年)のマケドニア王ペルセウスの敗北についても語られてい
る。これによれば、ペルセウス王がマケドニアの地でローマ軍に捕らえら
れた時、ローマで二人がプーブリウス・ウァティニウスなる者の前に現れ
て、その事を告げたので、彼はそれを元老院に報告したところ、信用され
ずに牢に投げ込まれたが、やがて公報が入ったという。カストール神殿は
フォルム東南端にあり、よく元老院の集会に使われ、修復、再建を経て長
く保たれた。神殿はカストールとポルクスの双子神両方を祀るが、普通、
前者の名前だけで弟の名前は省略された。
_ _
ディース[DIS(DIS PATER)]
冥府の神。
ディスコルディア([DISCORDIA])
闘争と不和の女神。マールス神とベ^ローナ女神のお供の一人。ギリシア
神話のエリスにあたる。
ティブルトゥス([TIBURTUS])
ティベリス川の支流であるアニオー川の神。
_
ティベリス[TIBERIS(TIBERINUS)]
ティベリス川の神。
_
ディーラエ[DIRAE]
復讐の女神達。フリアと同一か?
_
デーウェ^ラ[DEVERRA]
掃く事を司る神。働く女性、助産婦の保護女神。
デイ・ルクリイ([DEI LUCRII])
利益を司る神。やがてメルクリウスに取って代わられた。
デキウス[DECIUS]
さいころ遊びの神。
デキマ([DECIMA(DECUMA)])
出産の女神。ノーナ女神とモルタ女神と共に「運命の三女神(Parcae)」
を構成する。
_
テ^ルース[TELLUS(TERRA,TERRA MATER)]
大地の女神。懐妊するという意味における地の女神。ギリシア神話のガイ
アにあたり、またケレース女神にも等しい。神殿はフォルム・パキスにあ
り、前268年に建てられた。祭は4月15日に行われ、お腹に子供がいる牛
が犠牲に捧げられた。1月24日〜26日にはテ^ルース女神とケレース女神
に敬意を払う"Sementivae"が催され、この期間中両女神に種と種をまく人
への守護が求められた。ファーマ女神は娘であると考えられていた。
テルミヌス[TERMINUS]
ローマの境界の標の神。境界を示す石は神の力を持つ神聖なものであると
考えられていた。ヌマ王の時代に神殿が建てられたという。畑の境の所で
犠牲を供える。その犠牲には生きたものを供えるが、最初は血の出ていな
いものを供えていた。平和の守護者で正義心の使者であるテルミヌスは、
殺戮を伴わない浄いものでなければならないという事からであった。毎年
2月23日に祭が行われ、人々は境界の石に新たな力が宿る様に聖別された
血を注ぎ、花輪を置いた。
テ^ルモ([TELLUMO])
地に生み出させる神。自然の成長を司る神。テ^ルース女神の男性形。
_ _
テンペスターテース[TEMPESTATES(TEMPESTES)]
嵐の女神。
ドゥエ^ロナ([DUELLONA])
ローマの女神。
トゥティリナ([TUT-])
収穫した作物を保存する女神。
トタンス([TOTANS])
雷を鳴らす神。ユーピテル神の別称。
ドミティウス([DOMITIUS])
妻を家にとどめておく神。
ドミドゥカ([DOMIDUCA])
子供が家に無事に帰るのを守り届ける女神。
ドミドゥクス([DOMIDUCUS])
花嫁を新しい家に導き入れる神。
トリウィア[TRIVIA]
交差道路、十字路を司る女神。「三叉路」(ラテン語でtrivium)の語源で
あり、3つの顔を持つ女性として表される。あるいは、月の女神としての
ヘカテー女神やディアーナ女神の神殿がしばしば三叉路の場所にあった為、
それらの女神と同一視される。
ナエニア([NAENIA])
葬儀の女神(ネーニア女神と同一か?)。
_
ナースキオ([NASCIO])
ローマの、誕生を司る女神達のうちの一人。
_
ヌーンディナ([NUNDINA])
誕生した子供がその名前を授けられる、誕生から九日目を司る女神。
_
ネケシタース[NECESSITAS]
必然・宿命の女神。大神ユピテルとの間に賞罰の女神アドラステーアを生
んだ。
_
ネーニア([NENIA])
挽歌の女神。
ネメストリヌス([NEMESTRINUS])
森林の神。
_
ネプトゥーヌス[NEPTUNUS]
海の神。ユーピテル大神の兄弟。本来はローマの古い水を司る神か。元々
格別強大な神とは見なされておらず、その起源に就いてはほとんど知られ
ていない。最初にローマで大きく紹介された時点で既にギリシア神話のポ
セイドンの性格を持たされていた。ネプトゥーヌス神はまた、競馬と馬の
守護神でもある。神殿のうちの一つは、最も大きい競技場のうちの一つ、
フラーミニウス競技場の近くにあった。他に聖域がカンプス・マルティウ
スにあり(前25年)、そこでは7月23日に祭が行われた。三つ又の鉾がそ
の象徴である。
_
ネリオー[NERIO]
軍神マールスの配偶女神。時にミネルウァ、ベ^ローナとも同一視されて
いる。
ノウェンシルス([NOVENSILUS(DI NOVENSILUS)])
エトルーリアの9柱の偉大な神々のローマに於ける呼称。
_
ノードゥトゥス([NODUTUS])
節を司る神。穀物の茎に節を作る神。
_
ノーナ([NONA])
妊娠の女神。ノーナ(第九を意味する)女神は子供が生まれる9ヶ月目の
妊娠した母親の祈りの対象であった。後にノーナ女神はモルタ女神、デキ
ナ女神と共にローマの運命の三女神を形成した。
_
ノールティア[NORTIA]
エトルーリア人の運命の女神。
パウェンティア([PAVENTIA])
突然の驚きや恐怖から子供を護る女神。
パウォル([PAVOR])
元々軍神マールスの従者で、「恐怖・戦慄」という意味を持つ。第3代王
トゥ^ルス・ホスティーリウスによって、神として崇拝する様定められた。
_
パークス[PAX]
ローマの平和の女神。小さな聖域がカンプス・マールティウスのアラ・パ
キスにあり、神殿がフォルム・パキスにあった。祭は1月3日に行われた。
その象徴物はオリーブの枝と豊饒の角と王笏である。
パタレナ([PATALENA])
果樹の花の守護神。
バックス[BACCHUS]
ローマの、酒と酔いを司る神。ユーピテル大神とCadmus王の娘Semeleとの
息子。ギリシア神話のディオニソスにあたる。
パルカ[PARCA(複数形PARCAE)]
運命の三女神(Nona, Decima(Decuma), Morta)の通称。ギリシア神話の
モイラ(複数形モイライ)にあたる。本来は誕生の女神であったらしい。
パルトゥラ([PARTULA])
あまり名の知られていない、誕生の女神。分娩に関わる。
パ^ロル([PALLOR])
元々軍神マールスの従者で、「恐怖・驚愕・蒼白」の意味を持つ。パウォ
ルと同じ様に、第3代王トゥ^ルス・ホスティーリウスによって、神とし
て崇拝する様定められた。
_
パレース[PALES]
ローマの極めて古い家畜(特に羊)や牧人・羊飼いの保護女神。家畜の健
康と多産をも司る。また田園の女神。男神であるともされ、時に男女の複
数の神とも考えられた。その祭は4月21日(伝説上のローマ建設の日)に
羊飼いたちによって行われた。
_
ピエタース[PIETAS]
神々、祖国、父母などに対する敬愛の念を表す女神。その神殿はカピトー
リウムの丘のふもとに、前2世紀のはじめ頃からあった。
_
ピークス[PICUS]
古代ローマの農業の神。サートゥルヌス神の息子。予言の力を持つ。
ピクムヌス([PICUMNUS])
あまり名の知られていない、地の成長と豊饒を司る神。また結婚生活と子
供の誕生及びその成長の守護神。
ヒッポナ([HIPPONA])
馬を司る女神。ガ^リア人の女神エポナから派生した女神で、ローマの兵
士たちによって移入された。
_
ピールムヌス[PILUMNUS]
あまり名の知られていない、杵を司る神。ユーピテル大神の息子。兄弟神
のピクムヌス神と共に、小さい子供の成長を促し、病気から守ってくれる
神。この二神の援助を確かなものにするために、人々は子供が生まれると
余分のベッドを作った。また、インテルキードーナ神とデーウェ^ラ女神
と共に、産褥にある婦人と赤児とをシルウァーヌスの禍から守る神である
とも言う。ピールムヌス神はまた、人々に穀物をひく事を教えた神である
とも信じられていた。
_
ファウォーニウス[FAVONIUS]
西風の神で、春風を指す。
ファウスティタス([FAUSTITAS])
家畜の飼い主の保護女神。
ファウナ[FAUNA]
ローマの大地母神、豊饒の女神。森の神ファウヌスを女性にした神。或い
はファウヌスの妻か姉妹、もしくは娘。予言を行い、ボナ・デアとも称す
る。
ファウヌス[FAUNUS]
サートゥルヌスの孫。ローマ古来の森の神、農産物・家畜の保護者で、予
言を行う。
_
ファートゥア[FATUA]
ファウヌスと同じ性格で、彼と共に祀られていたイタリアの女神。
_ _
ファートゥム[FATUM(FATA)]
運命の女神。
ファブリヌス([FABULINUS])
あまり名の知られていない、子供を司る神。子供が最初に言葉を発した時、
この神に捧げ物をする事になっていた。
_
ファーマ[FAMA]
名声・噂・世論の女神。テ^ルース女神の娘。
_
ファメース[FAMES]
飢えの神。
_
フィディウス[FIDIUS(DIUS FIDUS)]
信義・真実・誓いを司る神。サビーニー起源の神。最も重大な誓いを立て
る時には、フィディウス神に掛けて誓われた。前466年の執政官スプリウ
ス・ポストゥミウス・アルブス・レーギ^レーンシスによって、その神殿
が奉献された。
_ _ _
フィデース[FIDES(FIDES)]
信義・忠誠・誠実・信仰の女神。ローマ共和国への忠誠を表す為に崇拝さ
れた。祭祀は古いらしいが、神殿は前3世紀中葉の執政官アウルス・アウ
リウスが建てた。カピトーリウムの丘のその神殿では、ローマ共和国と外
国とがその条約を誠実に履行する事が約束され、神殿の壁に条約(信義の
文書)が示された。
フェッソナ([FESS-])
疲労の女神。
フェブリス([FEBRIS])
熱病(マラリア)から人間を守る女神。ローマに三つの神殿を持ち、その
一つはパラーティウムの丘とウェーラーブルム(パラーティウムの丘に近
いローマの一地区)の間に位置していた。
フェブルウス[FEBRUUS]
浄めの神。2月はこの神の月である。
_ _ _
フェーリーキタース([FELICITAS])
幸福・恵みの女神。
フェレトリウス[FERETRIUS]
偽誓者を打つ神、或いは戦勝を与える(平和をもたらす)神としてのユー
ピテル大神のあだ名。
_
フェレンティーナ[FERENTINA]
ラテン同盟の守護女神。ラティウムの山上都市フェレンティーヌムの女神。
_ _
フェーローニア[FERONIA]
ラティウム、中央イタリアで信じられた古い女神。この女神に豊作を祈願
する。農業を保護し、病気を治癒するとされ、その神域は交易の場でもあっ
た。その神殿はカンプス・マルティウスにあった。被解放自由人の保護女
神でもある。祭は11月15日に行われた。
フォルクルス([FOR-])
戸の神。
フォルス[FORS]
フォルトゥーナ女神と対になっている、偶然・機会の神。
_
フォルトゥーナ[FORTUNA]
幸福(幸運)・豊穣多産の女神。母親たちから特に崇拝されていた。セル
ウィウス・トゥ^リウスがもたらしたという。豪華な服を着て立った姿で
描かれる。豊饒の角、舵、ボール、目隠しがその象徴である。神殿はロー
マからラティーナ街道を4哩。遺跡が現存する。Fortuna Muliebris(フォ
ルトゥーナ・ムリエブリス:婦人の〔ための〕幸運の女神)は、別伝では
寡婦に限って参詣を許し、神殿も寡婦が建立、奉献したという。元来、フォ
ルトゥーナ女神は各地で祀られたが、特にアンティウムが多様なフォルトゥ
ーナ信仰の中心であった。
フォルトゥナ・バルバタ([FORTUNA BARBAT-])
ひげの神。
_
フォルナークス[FORNAX]
パン焼きかまどの女神。
_
フォーンス[FONS(FONTUS)]
井戸と泉の神。ヤーヌス神とユートゥルナ女神の息子。祭は10月13日に行
われた。
_
プター([PUTA])
ぶどうの木などの木を刈り込む時にそれを見守る女神達。
_
プディーキティア[PUDICITIA]
慎み深さ、貞淑を司る女神。
ブボナ([BUBONA])
馬と牛、家畜の女神。ガ^リア人の女神エポナに等しい。
フリア[FURIA(FURIES)]
復讐の女神。ギリシア神話のエリニュスにあたる。
_
プリアープス[PRIAPUS]
非常に人気のあった豊穣(男性生殖力)・肥沃の神。特に果樹園やぶどう
園を司るとされ、また船乗りや漁師の守護神でもある。その姿はロングド
レスを着ているが、生殖器が露わになった状態で描かれる。ローマ人達は
サテュロスの様なプリアープス神の像を置いたが、それは赤く塗られ、非
常に大きな男根を持っており、庭には同じ様なかかしが置かれた。豊饒を
祈願する為には、果樹園に蜂蜜やミルク、時にロバが捧げられた。元々は
プリアープス神は小アジア(特にヘレスポントスのランプサコス)からも
たらされた豊饒の神であり、その地方の神々の中でも最も重要な神であっ
た。紀元前400年頃にギリシアにもたらされたが、その時にはそれほど人
気があったわけではなかった。プリアープス神の象徴は刈り込みナイフで
ある。
_
フリーナ[FURINA(FURRINA)]
恐怖を与え、死や下界に関係のあった古代イタリアの女神。盗賊の女神。
(『プルターク英雄伝十』P112にはこうある。フーリーナ、もしくはフ^
リーナ。古くて不明なローマの女神。後にはギリシャの復讐の女神エリ
ニュエスに当たるフリアエと混同された。その社は対岸ヤーニクリウム
の丘の麓で、スプリキウス橋(月の女神の神殿の北西、トリゲミナ門の
傍)の傍にあった)
プルウィウス[PLUVIUS]
雨を降らす神。ユーピテル大神の呼称の一つ。
フルクテスカ([FRUCT-])
田園の神々のうちの、果実・結実の女神。
フルグラトル([FULGURATOR])
雷光の神。ユーピテル大神の別称。
フルゴラ([FULGORA])
雷光の女神。雷光から守る女神。
_ _ _ _
プルートー[PLUTO(PLUTON)]
下界(地下)の王神。死の判断を下す。プローセルピナの夫、ユーピテル
大神やネプトゥーヌス神の兄弟。ギリシア神話のハデスにあたる。
プレマ([PREM-])
不詳。圧迫の女神か。
_
プローウィデンティア[PROVIDENTIA]
先見の女神。将来に対する深慮を司る女神。
_
プローセルピナ[PROSERPINA]
ローマの農業の女神。ユーピテル大神とケレース女神との娘神。プルート
ー神の妻。ギリシア神話のペルセポネにあたる。
_
プローヌバ([PRONUBA])
花嫁の保護女神。花嫁としてのユーノー女神の別称。
プロミトル([PROMITOR])
納屋から収穫物を持ち出す事に関係のある神。
_
フローラ[FLORA]
花と豊饒と春との女神。前238年にクィリーナーリスの丘に小さな神殿が
建てられ、大競技場の近くに聖域を与えられた。その祭フローラリア祭は
4月28日〜5月1日。陽気で奔放な祭りで、大競技場での劇的な見せ物や
猛獣との闘いが呼び物だった。フローラは花冠をつけた若い美女として描
かれる。
_
プロールサ/ポストウェルタ([PRORSA POSTVERTA])
働いている女性達によって求められた二人一組の女神達で、(前方(prorsa
)、あるいは後方(postverta)を向いた)子宮の中の子どもを保護する。
いくつかの原典によれば、カルメンタ女神の別の面であるともいう。
_
ヘカテー[HECATE]
月のない暗闇夜の女神。後に狩猟、魚取り、魔法、道路の女神とされ、ディ
アーナ女神やルーナ女神と同一視された。
_
ペクーニア([PECUNIA])
財産の女神。
_ _ _ _
ペナーテース[PENATES(DI PENATES)]
イタリアの古い、家の食料戸棚(貯蔵)の神々。納屋の霊だったろうとい
うが、早くから家の神、共同体の神として私的、公共的に祭られ、のちに
だんだんと、家、国家、ローマ人の守護神へと変化した。常に「di Pena
tes(神々)」と記され、神の固有名は古代に既に不明であった。その崇
拝はウェスタ女神とラレース神と密接な関係があった。「家の神(penat
es privati)」は特に竈に宿るとされ、ラレース神と共に家の守護神で、
炉べりで日々の食事を捧げられ崇拝された。ローマ国家は自分自身のペナ
ーテース神を持っており、「国の神(penates publici)」と呼ばれた。
ペナーテース・プーブリキは、アエネーアースがトロイアからラーウィニ
ウムに伝え、ここからアルバを経てローマに伝来したと信じられた。ロー
マの公職者は就任の際、ラーウィーニウム市の社に詣で、また、公的宣誓
はユーピテルとペナーテースにかけて誓った。ペナーテース神殿には、執
政官たちが年に一度参詣していた。
_
ヘルクレース[HERCULES]
ギリシア神話のヘラクレスのローマ名。禍除けの神として崇拝された。
ペルトゥンダ([PERTUND-])
不詳。突き貫く事を司る女神か。
ペルフィカ[PERFICA]
物事を成就する(完成させる)女神。
ペ^ロニア([PELL-])
撃退・放逐の女神。
_
ベ^ローナ[BELLONA]
ローマの兵士達の間で人気のあった、戦いの女神。軍神マールスの姉妹、
妻あるいは娘とも考えられ、マールスに伴うものと考えられた。神殿がカ
ピトーリウムの丘にあり(前296年に建てられ、前48年に焼け落ちた)、
祭が6月3日に行われた。ベ^ローナ女神の象徴は剣であり、ヘルメット
を着け、槍とたいまつで武装した姿で描かれる。エトルーリア起源で、ギ
リシア神話のEnyoにあたる。
ポエナ[POENA]
罰・処罰の女神。復讐の女神。
ホスティリナ([HOSTI-])
平等の女神。
ポスト・ウォルタ[POST-VORTA(POSTVERTA)]
ローマ人の出産の女神。過去を司る女神。ポ^リマ女神と姉妹であり、飛
翔の供であり、あるいはアルカディアのマイナロス山の女神。これから起
こる事を歌ったという。カルメンタ女神の項を参照。
ポティナ([POTINA])
飲み物を司る女神。子供の最初の飲み物、あるいは子供が飲む水薬と関係
があるという。
ボナ・デア[BONA DEA]
"良い女神"。古代イタリアの豊饒の女神で、既婚女性に特に崇拝されてい
た。女性の処女性と母性の両方を司る。ファウヌス神の娘で、時にファウ
ナとも称する。神殿がアウェンティーヌスの丘にあったが、その秘密の祭
(10月4日)は神殿で行われず、顕要な官職者の家で行われた。女性だけ
が参加でき、男性の代表者や動物でさえ立ち去らねばならなかった。この
女神はまた治癒の女神でもあり、病人は神殿の庭で看護された。ボナ・デ
アは玉座に座り、豊饒の角を持った姿で描かれる。治癒の象徴である蛇が
その象徴である。
_
ボヌス・エーウェントゥス[BONUS EVENTUS]
好い収穫、ひいては成功の神。
_
ホノース([HONOS])
士気と戦争の名誉を司る神。いくつかの神殿がローマにあった。槍と豊饒
の角を持った若い戦士の姿で描かれる。
_
ホノル[HONOR(HONOS?)]
名誉と尊敬、徳を司る神。
ポプロニア([?])
激しい嵐から財産を守る女神。時としてユーノー女神の呼称としても用い
られる。
_ _
ポーモーナ[POMONA]
ローマの果実と果樹との女神。刈り込み用のナイフがその象徴である。
_
ホーラ[HORA]
ロームルスの妻のヘルシニアが、ロムルスの神格化されたクィリーヌスと
共に神格化されたもの。女神として崇拝された。
ポ^リマ[PORRIMA]
婦人たちの崇拝するローマの女神。ポストウォルタ女神と姉妹であり、飛
翔の供であり、あるいはアルカディアのマイナロス山の女神。昔起こった
事を歌ったという。カルメンタ女神の項を参照。
_
ポ^ルークス[POLLUX]
→ディオスクーリーの項を見よ。
ポルス([PORUS)
豊饒の神。
_
ポルトゥーヌス[PORTUNUS(POSTUNES)]
ローマ人の海港、或いは門の守護神。元々は鍵とドア、及び家畜の神であ
った。港の神として、穀物が収められた倉庫を守護する。その神殿はフォ
ルム・ボアリウムの近くにあった。祭は8月17日に行われ、その祭では、
不幸から身を守るために火の中に鍵を投げ入れる。ポルトゥーヌス神の象
徴は鍵である。
ホントゥス[HONTUS]
地獄の神。
マイエスタ([MAIESTA])
名誉と崇敬を司る女神。ウォルカーヌス神の妻。一説によれば5月の名は
この女神にならってつけられたといい、一説ではマイエスタ女神がマーイ
ア女神だという。
_
マーイア[MAIA]
古代イタリアの女神。メルクリウス神の母神。5月はこの女神の名が付け
られ、メルクリウス神に捧げられていた。ウォルカーヌス神と密接な関係
があり、時にファウナ女神、オプス女神と同一視される。
_ _
マートゥータ[MATUTA]
古代イタリアに於ける早暁または曙光の女神。しかし寧ろ、お産と成長の
女神として崇拝され、後にマーテル・マートゥータ(Mater Matuta)と呼
ばれ新生児、及び海と港の守護女神として知られた。その神殿はフォルム・
ボアーリウム(牛の市場があった)にあり、6月11日にそこで祭が行われ
た。その祭は、初婚の女性だけに開放されていた。アウローラ及びギリシ
ア神話のEosと関連して考えられる。
マトロナリス([MATRONALIS])
結婚した女性を司る女神。結婚した女性としてのユーノー女神の別称。
_
マーニア[MANIA]
死の女神。ラレスの母とされる。
_
マリーカ[MARICA]
イタリアの古い半女神。ファウヌス神の妻で、ラティーヌス(ラウレントゥ
ム王でアエネーアースの義父)の母。
_
マールス[MARS]
戦いを司る神。軍神。元々はローマの古い、春、成長、自然、草木、豊饒
を司る神であり、牛の守護神であった。ユーピテル神とユーノー女神の息
子。伝承によれば、イーリアー(レア・シルウィア)との間にロームルス
とレムスをもうけた。それ故マールス神はローマ建設者の父という事にな
り、ローマ人は自らを「マールス神の息子」と称した。その主神殿はカピ
トーリウムの丘に、ユーピテル神殿とクィリーヌス神殿と共にあり、マー
ルス・グラーディーウス(GRADIVUS:マールス神の別称)の神殿には、出
陣前のローマ軍が集合した。マールス・グラーディーウスが戦争の開始を、
マールス・クィリーヌスが戦争の終結を司る。マールス・ウルトル(復讐
神マールス)神殿は、アウグストゥスによって、フィリッピの戦いでカエ
サルの仇を討った事を記念して建てられた。カンプス・マールティウス(マ
ールス神の広場)は市の城壁を越えて置かれ、マールス神に捧げられてい
た。この場所で兵士達は訓練され、競技者が養成された。その祭はいくつ
もあったが、10月19日のものでは、冬の前に戦士達の武器が清められ倉庫
に保管された。マールス神は、羽根飾りの付いたヘルメットと盾を持った
完全装備の戦士として描かれる。その聖なる使いは狼とキツツキであり、
またFuga(飛行の化身)とTimor(恐怖の化身)を同伴する。3月(Marti
us)はマールス神の名前が付けられていた。ギリシア神話ではアレスにあ
たる。
_
マントー[MANTO]
マントゥス市の建設者オクヌスの母で、予言する半女神。
マントゥルナ([MAN-])
不詳。従順の女神か。
ミセリコルディア[MISERICORDIA]
ローマの憐れみの女神。
ミネルウァ[MINERVA]
ローマの知恵の女神。家政の女神。医学、芸術、染色、科学及び貿易の女
神であり、戦争を司らない。サビーニーの神との伝えもあるが、汎イタリ
ア的な技芸の神。ユーピテル神の娘。ローマでは共同体の守護神としてカ
ピトーリウムの丘に神殿があり、ユーピテル神、ユーノー女神と共に崇拝
され、有力な三神を形成していた。他にも役者や手工職人の組合の拠点だっ
たアウェンティーヌス丘にも祀られ神殿があった。その最も主要な祭は毎
年3月19〜23日から催され、職人達によって祝われた。6月13日にはより
小さな祭が催された。ミネルウァ女神は数と楽器を創案したと信じられた。
ローマ第二代王ヌマによってエトルーリアからもたらされたという。後に
ギリシア神話のアテネ女神と同一視された。
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ムータ[MUTA]
沈黙の擬人化、妖精、または女神。LaraまたはTacitaとも称する。
ムルキア[MURCIA]
不精の女神。本来はウェヌス女神の添え名。その神殿がアウェンティーヌ
ス丘とパラーティウムの丘の間の谷間にあった。
メッソル([MESSOR])
農業、特に収穫の神。
メディトリナ([MEDITRINA])
ぶどう酒と健康の女神。その名は「病気を治す者」を意味する。その祭は
10月11日に行われた。
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メフィーティス[MEPHITIS(MEFITIS)]
特に火山地帯と沼地で崇拝された女神。元はヒールピーニー(Hirpini)
人の女神であって、地面から吹き出す毒気を払うという。
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メーナ[MENA]
婦人の生理を司る女神。
メルクリウス[MERCURIUS]
商業と利得、商人と旅行者の神。ユーピテル大神とマーイア女神との息子。
神々の使神。そのほか雄弁・窃盗・道路の神であり、また死者の霊を下界
へ案内する神。ギリシア神話のヘルメス神と同一視された。その神殿はア
ウェンティーヌスの丘の大競技場の近くにあり、その創建は紀元前495年に
さかのぼる。神殿はいくつかの定期市と関係づけられていた。その主な祭
は5月15日に祝われ、カペーナ門(アッピア街道の起点)の近くのメルク
リウス神の井戸の水を商売人達が頭と商品に浄めとしてまきながら行われ
る。
メ^ロナ([MELLONA])
蜂蜜の神。ミツバチの守護女神。
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メーンス[MENS]
正しい考え方の女神。精神、意識、知性の女神。その祭は5月8日に行わ
れた。
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モネータ[MONETA]
警告する女神。成功・幸運の女神。「警告する女性」の意味で、女神とし
て最も高いユーノーが地震を警告してからそれに与えられた名称・別称。
またその神殿で貨幣の鋳造が始められたことから、貨幣の意味をも指し、
英語の money の語源となった。
モルス[MORS]
死の神。
モルタ([MORTA])
死の女神。パルカエの一人。
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ヤーナ([JANA])
あまり名の知られていない、ローマの女神。ヤーヌス神の妻。
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ヤーヌス[JANUS]
ローマ古来の門と扉の神。「神の中の神」と称せられた、天地の守護神。
元来のヤーヌスは門およびこれに宿る霊を指し、古くから信仰された。
フォルムに作られたヤーヌスの門を通って軍隊、使節が出発し、ヤーヌス
神は出発と通過の神となった。また始まりと終わりを司り、それゆえ前と
後ろを向いた二つの顔を持つ。毎朝の祈りや開戦、種まき、収穫、結婚、
誕生、葬儀、その他あらゆる人生の重要な出来事の始まりに於いて、まず
最初にヤーヌス神への呼びかけがなされ、祈願された。神々への祈りもヤ
ーヌス神への呼びかけから始まる(最後はウェスタ女神)。ヤーヌス神は
また、原始的な生活から文明への、田舎から都市への、平和から戦争への、
少年から青年への変化などを表している。フォルム・ロマーヌム近くにあ
る神殿には、日の出と日没を象徴して東と西に門があり、その中央のヤー
ヌス神像は、前方と後方を同時に見られる様に双面の像となってた。その
門は、平和時には閉ざされ、戦時には開かれていた。もともとローマの11
月はヤーヌス神の月(Januarius)であったが、後に年の終わりと始まる
を司るべく、1月に移された。その二つの顔は、元は一つのみがあごひげ
のある姿で描かれていたが、後に二つともあごひげが描かれる様になった。
また、その右手には鍵を持っている。
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ユウェンタース[JUVENTAS]
古くからの、ローマの青春・若者の女神。主として青年男子の保護神。少
年達は初めて大人としてトーガを着る際に、ユウェンタース女神にコイン
を捧げた。その神殿はカピトーリウムの丘にあり、ユーピテル神殿より古
いものであった。また、第2の神殿が大競技場の中にあった。
ユガティヌス([JUGA-])
結婚の神。
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ユースティティア[JUSTITIA]
ローマの正義の女神。豊饒の角と天秤を持った女性の姿で描かれる。後に
は、目隠しをして天秤と剣(あるいは王笏)を持った姿で描かれる様になっ
た。
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ユートゥルナ[JUTORNA]
井戸と泉の女神、ラティウムの泉と河を支配している女神。フォルム・ロ
マーヌムのウェスタ神殿の近くの井戸にはユートゥルナ女神の名が冠され、
ラクス・ユートゥルナエと呼ばれた。この井戸の水は、国家的な奉納の際
に使われた。ある伝えでは彼女はヤーヌス神の妻であり、フォーンス神の
母であるという。
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ユーノー[JUNO]
元来はローマの古い月の女神。ローマ国家に助言し、守護する女神。若い
戦士に活力を与える女神。出産、また女性一般の守護女神(女性的気質の
神格化)で、ゲニウス神の様に一人一人の女性の守護女神でもある。ロー
マの女性は各自のユーノー女神を持った。「Juno Juga(結びのユーノー)」
「Juno Lucina(出産のユーノー)」「Juno Lux(光のユーノー)」
「Juno Luna(月のユーノー)」などの様々な別称を持ち、神々の女王と
も呼ばれる。前4世紀初めウェイー市から移されたという(Liv.5.22.)。
サートゥルヌス神の娘、あるいは姉妹で、大神ユーピテルの妃。ユウェン
タース女神、マールス神、ウォルカーヌス神の母。ギリシア神話のヘラ女
神と同一視された。共同体の神としてのユーノーは、ローマとローマ帝国
の保護者として「女王(Regina:女王ユーノー Juno Regina)」と呼ば
れ、ユーピテル、ミネルウァと共に3柱一組でカピトーリウムの丘で崇拝
され、また、他の多くの都市でも崇拝されていた。その祭のうちの最も盛
大なものは3月1日に行われて子羊と牛が犠牲に捧げられ、他に7月7日
にも祭が行われた。6月の名前(Junius)はユーノー女神にちなんでいる。
王冠をかぶった荘厳な姿で描かれ、孔雀がその象徴。
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ユーピテル[JUPPITER]
ローマ人最高の神。光と空の神。雷光を司る。国家とその法の守護者。正
義・誠実・名誉などの徳目を象徴し、ローマ軍を戦勝に導き、全ての軍事
行動をとる際に助けを求めて祈願する戦士の守護神。また、偽証する者を
罰する神。「王なるユーピテル(Juppiter Rex)」とも呼ばれる(ただ
し民衆による呼称で、祭祀の正式呼称ではない)。ギリシア神話のゼウス
神と同一視される。サートゥルヌス神の息子、ネプトゥーヌス神とユーノ
ー女神との兄弟。ユーノー女神の夫。カピトーリウムの丘にその神殿があ
り、ユーノー女神、ミネルウァ女神の神殿と一組になっていたが、その中
でも最も重要な神殿であった。その神殿は単にローマで最も重要な聖域で
あるにとどまらず、政治の中心地でもあった。そこで条約が結ばれ、戦争
が宣言され、戦勝した軍隊指揮官は感謝を捧げに訪れた。ユーピテル神は
またラテン同盟の守護神でもある。その象徴は稲妻と鷲で、鷲はまた、そ
の使者でもある。
ラウェルナ[LAVERNA]
不法に手に入れた利益を司る女神。従って、盗人、詐欺師、詐欺の女神。
神域がローマのラウェルナリスの門の近くにあった。
ラクタンス([LACTANS])
農業の神。
ラクトゥルヌス([LACT-?])
乳の女神。
ラタリウス([LATARIUS])
ラテンの神を意味するユーピテル神の別称。
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ラートーナ[LATONA]
アポ^ロー神とディアーナ女神との母。ギリシア神話のレト女神にあたる。
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ラール[LAR](一般に複数形 ラレス[LARES(LASES)])
ローマ古来の下級神達。「ラレス・〜」と名の付く神々は、全てこの中に
入る。ローマのあらゆる家に小さな祭壇が設けられ、そこで崇拝されてい
た。
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ラールンダ[LARUNDA]
地下を司る女神か?
ラレス・ウィアレス([LARES VIALES])
道路、旅行者の守護神。
ラレス・コムピタレス([LARES COMPITALES])
十字路の守護神。
ラレス・ドメスティキ([LARES DOMESTICI])
家の守護神。
ラレス・プラエスティテス([LARES PRAESTITES])
国家の守護神。
ラレス・ファミリアレス([LARES FAMILIARES])
家族の守護神。
ラレス・ペルマリニ([LARES PERMARINI])
海、海路の守護神。
ラレス・ルラレス([LARES RURALES])
陸地の守護神。
ラレンタ([LARENTA])
大地の女神。また、タキタとも呼ばれる沈黙の女神。祭が12月23日に行わ
れた。
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リビティーナ[LIBITINA]
死者と葬儀の女神。その神殿には葬儀に必要なものが総て整えられており、
ここで人々は墓掘り人や葬儀用の品を借りることが出来た。後にリビティー
ナ女神はウェヌス女神と同一であると考えられる様になった。
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リーベラ[LIBERA]
リーベル神の女性形、あるいは妻。のちにはプローセルピナ女神と同一視さ
れた。
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リーベラーリタース[LIBERALITAS]
寛大、高潔を司る神。
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リーベル[LIBER(LIBER PATER)]
ローマ古来の生産と豊穣の神。のちにバッコス神と同一視され、酒の神と
もされた。その女性形、あるいは妻はリーベラ。祭は3月17日に行われた。
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リーベルタース[LIBERTAS]
自由の女神。元々は個人の自由を司る女神であったが、後にローマ国家を
司る女神となった。神殿はアウェンティーヌスの丘にあった。その姿は多
くのローマの貨幣に描かれ、フェルト頭巾(解放される奴隷に被せられた)
と月桂冠と槍を持った姿で表される。
リマ([LIMA])
敷居の女神。
リメンティヌス([LIMENT-])
敷居の神。
リリティーナ([?])
死んだ人に関する務めを監視する女神。プローセルピナ、あるいはウェヌ
スと同一であるとも考えられていた。
ルア[LUA]
戦場で流された血を償う女神。捕獲した武器を燃やす儀式の際に祈りが捧
げられた。
ルガリス([LUGALIS])
結婚の女神。ユーノー女神の別称。
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ルーキーナ[LUCINA]
出産・誕生・多産の女神。光をもたらす女神。出産時の痛みを取り除き、
出産とその後の経過を保障する女神。元来ユーノー女神の呼称であったか、
或いは後に「光の中から子供をもたらす者」としてユーノー女神の形容語
として使われる様になった。エースクィリアエの丘に神殿があった。
ルケティウス([LUCETIUS])
光の神。ユーピテル神の別称。
ルシナ([RUSINA])
畑や牧草地の守護神。
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ルーナ[LUNA]
ローマの古い月の女神。後にはディアーナ女神やヘカテー女神と同一視さ
れる様になった。その神殿はアウェンティーヌスの丘に、紀元前6世紀に
建てられたが、ネロの時代の大火で焼失した。ギリシア神話のセレネに等
しい。
ルペルクス[LUPERCUS]
農耕と羊飼いの神。オオカミから羊を守護する神。
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ルベンティーナ[LUBENTINA(LIBENTINA)]
色欲の女神。ウェヌス女神の呼称の一つ。
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ルーミナ[RUMINA]
子供に乳を飲ませる母(乳母)と、乳を吸う子どもの保護女神(人間も動
物も)。その神殿はフィクス・ルミナレス(ルーミナーリス・フィクス:
乳母女神のイチジク:ロームルスとレムスが雌狼に養育されたパラーティ
ウムの丘にあったイチジクの木)のそばにあった。
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ルーミリア([RUM-])
幼い子供の養育を司る女神。
ルンキナ([RUNCINA])
刈り入れに関係のある神。
レデラトル([REDERATOR])
二回目の耕作を司る神。一回目の耕作はウェルクウァクトル神、三回目の
耕作はインポルキトル神が司る。
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ロービーグス[ROBIGUS]
小麦をさび病やべと病などの病気から守る神。ロービーグス神はフローラ
女神と共に崇拝されていた。その祭は4月25日に行われた。
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ロービーゴー[ROBIGO]
小麦の女神。恐らくロービーグス神の女性形。
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ローマ[ROMA]
ローマを司る女神。玉座に座りかぶとをかぶって、槍と剣を持った姿で表
される。玉座には盾がかけられている。その顔はローマの象徴として一般
にコインに描かれていた。ローマ女神とウェヌス女神の神殿は、ローマの
ウァリア丘にあり、ハドリアヌス帝が紀元121年に神殿の建設をはじめ、
紀元140年頃にアントニヌス・ピウス帝の時に完成した。
(『世界の大遺跡6 ローマ帝国の栄光』(講談社)によれば、1世紀に作
られた女神ローマ像はカピトリーノにあり、左手には世界を象徴する球を
持っている。ウィクトーリア女神と共に、ローマの支配と力の女神であり、
属州では皇帝と並んで礼拝された、という)
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構成・文:DSSSM:dsssm@cwa.bai.ne.jp
イラスト:CHAMI