デビルマンレディー 第3話 「翼」

脚本 小中千昭  絵コンテ・演出 榎本明広  作画監督 中村あきら
モデルの仕事中にジュンを見つけた和美は手を振るが、ジュンは足早に立ち去っていく。 ジュンの態度の変化に困惑する和美。電話でジュンに問い詰めるが、
「もう…私と関わらない方がいいわ」
と言われて一方的に電話を切られる。

ジュンは行きずりの男にナンパされてノコノコとバーについて行く。 憂鬱そうなジュン。が、男が手洗いに立った時にアスカが横に座る。 驚くジュンにアスカは平然と、飼い犬の居場所くらい把握できないでブリーダーは務まらないと言う。 そして、早く獣としての自覚を持てと。
「獣なんかじゃ…ない」
「私から逃げたい? 逃げたっていいわ…」
「でも、今度あなたが獣になったら、その時はあなたが処理の対象になるのよ」

店を飛び出し、家路につくジュン。 と、トンネルの中で、目の前に突如一人の少年が現れる。 少年は問う。
「共に進化する仲間を、どうして殺めるの?」
「進化は、行き詰まった人類の唯一の抜け出せる道。それを、否定するの?」
脅えるジュン。少年は更に話を続ける。
「分からないの? だったら分からせてあげるよ」
「あなたの恋人を、殺してあげる」
少年の顔に残虐な笑みが浮かぶ。
「淫らな女だなあ。まだ娘じゃないか、あの子は」
そして少年の体が突如変貌を始め、小さな蛾に変わる。 驚くジュンを尻目に、飛び去る蛾。 そこでジュンはようやく思い当たる。まさか和美が!?

和美に電話するジュン。だが、和美は入浴中で電話に出るわけがない。 あきらめて電話を切り、和美の家に急ぐジュン。

のんびり入浴する和美。 その頃、携帯の呼び出し音を聞いて和美の部屋に入った父親は、和美でない何者かが部屋に入って来るのを目撃する。

「お風呂あがったぁ〜」
背を向けてじっとテレビを見ている母親にそう言って、自分の部屋に向かう和美。 部屋の戸が開いているので、父かと思い部屋の中をのぞく。 果たしてそれは父だったが、父の足は地についていなかった。そしてその背後から父をぶら下げている大きな黒い影。 悲鳴をあげ、母の元に駆けつける和美。 だが、母は不気味な虫に体を食い破られていた。 またしても和美の悲鳴が響く。

ようやく和美の家に着いたジュン。悲鳴を聞き、庭に飛び込む。 窓から見える、脅える和美と…デビルビースト! ジュンは、怒りと共に変身する。デビルマンレディーへと!

飛び込んだレディー。その怒りの力でビースト・レグザイモを叩きのめす。 凄まじいパワーの前に崩壊する家。そしてレグザイモはなす術も無く絶命する。 その時、後ろに新たなるビースト・ハーピーが現れた。
「この家の家族は、お前が殺したんだ。お前がいたから死んだんだよ」
そしてハーピーは空から襲いかかる。今まで殺された、進化した仲間たちの怨みをこめて。 ハーピーはレディーを掴み、空高く舞い上がる。 そして、高空からレディーを地に向けて投げ落とす。

地に吸い込まれていくレディー。だがその時、レディーの背から翼が生えた。そして軽やかに空に舞い上がる。 驚くハーピーの隙をつき、ハーピーの背に回るレディー。 そしてハーピーの翼をもぎとり、逆にハーピーの方が地に落ちていく。 電柱に激突し、ハーピーもまた死を迎える。

瓦礫となった家の中に、気絶して倒れている和美の姿があった。 空からそれを見て、涙を流すレディー。
「カ…ズ…ミ…」


鼠ビースト・レグザイモ

体長 3m、体重 600キロ

気持ち悪い沢山のムカデみたいな蟲を操り、人間を内部から食い荒らさせる。 本体には、背中の骸骨がヒャヒャヒャと笑う以外にこれといった能力はない。

第20話で、ナペリウスの力で甦って再びジュンと戦う。

猛禽ビースト・ハーピー

体長 2.8m、体重 400キロ

空を飛ぶ。それだけが取り柄。おっと、初の女性ビーストで、しかも言葉をしゃべるぞ。 そしてさりげなく第1話や第14話でも暗躍している。サトルの右腕だったのか?

第20話で、ナペリウスの力で甦って再びジュンと戦う。


序盤のターニングポイント。ジュンが初めて自分の意志で変身すると同時に、和美の不幸が始まる。 ええと、ストーリーの方で白々しくデビルマンレディーなんて書いたけど、こんな呼び方は全くされてない。 でも今後、便宜上こう呼ぶことにする。

今回のビースト襲撃、どっから見ても「アグウェルとゲルマー、牧村家を襲う」の図。和美は入浴してるし。 そして、今回初登場のサトルが指令塔としてのシレーヌの役を果たしているのと同時に、ハーピーが実動としてのシレーヌの役割を果たすという凝った構造。 なんつっても、ジュンを掴んで空飛ぶんだもんなあ。まるっきりそのまんま。 …と、なんのことか分からない人は原作デビルマンを読むべし。名作だ。絶対読め!

さて、今回初登場のサトル。って、2クール目に入らないと再登場しないので、多分その時には大抵の人が忘れてしまってると思うけど。 ま、OPにはしっかり出てるけどね。 それでいきなり「和美をダシにジュンをいたぶる作戦その1」を展開し、早くもその陰険ぶりをアピール。 ちなみに元々サトルは今回、蛾のビーストとして登場する予定だった。 が、レギュラー化が決まったために蛾としての設定だけが残った次第。

そして各種設定も色々急展開。 まず、初めてのしゃべるビースト、ハーピーが登場。ビーストは単に獣のように暴れるだけの存在ではないことをアピール。

そして翼を広げて空を飛ぶジュン。 更にラストシーンで、変身後に初めてしゃべる。 自分の意識をコントロールできるようになり始めているということだが、まだまだ。

また、今回注目すべきは和美の悲鳴。 なんのこっちゃと言うと、普通アニメの女の子の悲鳴って、いや例えスプラッタムービーのヒロインだってそうなんだけど、キャーッて感じの美しい悲鳴じゃない。 それがこのデビルマンレディーという作品になると、モデルの女の子だっつーのに、顔を歪ませて凄まじい阿鼻叫喚。 そういうところがなんともリアルっぽくて真に迫っていて、ナイスだと思うんだけど、どう?

なお、ビーストの犠牲になる滝浦(父)と滝浦(母)。 このお母さんの方が、レグザイモの蟲に食い破られて体内から蟲がはみ出してる様子はムチャクチャ気持ち悪い。 本放送時、夜中にリアルタイムで見ていた私は「ぐえーっ!」となってしまった。 こういうシーンが嫌いな人は要注意。安心してると回想シーンに出てきたりもするしね。


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