デビルマンレディー 第4話 「胚」

脚本 小中千昭  絵コンテ・演出 牧野滋人  作画監督 小川夏美
力尽き、元の姿に戻りつつ地に落ちていったジュン。そして目覚めた時には、何もない部屋で点滴を受けていた。 いや、何もないわけではなく、ビデオカメラが一台、ジュンを見つめていた。そして、いくら叫んでも開かないドア。

自虐的に自らの境遇を笑い、やがて泣き伏すジュン。それをモニターで見つめるアスカ。 そしてアスカはジュンに着替えを持って来る。ようやく部屋の外に出られるジュン。 だが、このものものしい雰囲気は何? ここはどこ?

ここは自衛隊の市ヶ谷駐屯地。 ジュンは自衛隊の参謀・瀬田に会わされ、自分の仕事が超国家級の重要なものであることを念押しされる。

マンションに帰ったジュンは、ドアの前に親戚に引き取られるはずの和美が立っているのを見る。 和美は、ここに住むのだと言う。

…とある会社。残業している男の元に、一人のOLがやってくる。 二人だけの秘密。夜の密会が始まった。 だが、いつもと違い女の目が妖しく輝いていた。そして女の体から飛び出した触手が男の体を捕らえる。

ジュンは和美を部屋に招き入れる。しかし和美はあの晩のことで混乱気味だ。 その時、ジュンの携帯が鳴った。アスカだ。
「狩りの時間よ」
和美のことが気になるジュン。
「選択する権利はあなたにはないわ」
ジュンは結局、一人で不安そうな和美を置いて出ていってしまう。

迎えに来たアスカの秘書、前田。 彼はジュンがすぐに降りてきたので驚いたと言うが、それはジュン自身にとっても同様だった。 どうして、アスカの言うことには逆らえないのか。 前田は言う。
「殺し合いの戦いに、もし理由を求めているのでしたら、戦うべき本当の相手は自分の運命なんだ…そう考えたらどうでしょう」

現場に着いたジュン。ビルに根付いた植物のビーストが、どんどん巨大化しているのだ。 アスカは銃を取り、ジュンを伴ってビルに飛び込む。黙ってついていくジュン。
「どうして何も言わないの?」
「自分が猟犬として駆り出されているってこと、不条理だと思わない?」
「それとも、もうあなたは殺した時の血の匂いに酔ってるのかしら?」
「…そんなこと、私は認めないわ!。私は人よ。どんな姿になろうとも!」
「ならどうして! ノコノコ私のところへ来るの!?」
だがその答えを聞く前に、エレベータがビーストのいる階に着く。

人を取り込み、巨大化しているビースト・ジェルム。 ジュンは、アスカの命令を拒否して自らの意志で変身する。

無数の触手を伸ばして襲い来るジェルム。が、レディーは一撃でジェルムを仕留める。 その力に驚くアスカの方を見て、レディーが勝利の笑みを浮かべる…。


地衣類ビースト・ジェルム

体長 4m、体重 250キロ

子孫を残したいという本能から、男をどんどん体内に取り込んでいった初の植物型ビースト。 ちなみにハーピーに続き、これまた女性ビーストである。しばらく女性ビーストが続く。


全体的に状況がようやく落ち着いてきた感じ。 HAの力と和美の行く末を描きつつ、今回のメインはアスカとジュンの関係。

なぜかアスカに逆らえないジュン。その理由をジュンが理解するのは、最終回まで待たねばならない。 そして改めて強調される、両者の主従関係。

とは言っても、ジュンはアスカの言いなりになるだけではない。 前回、初めて自ら変身したとはいうものの、それは怒りを引き金にしたもの。 そういう意味では、今回が初めての純粋な自分の意志による変身と言える。 これは、ジュンがデビルマンとしての自分を認めたということ。 今回初登場の前田の言葉によって吹っ切れたかのどうかは知らないが、戦う決意を固めたのだ。

ジュンはこれから一応、特に拒否することなく「狩り」に赴くようになる。 でもだからと言って、デビルマンとしての自分を完全に受け入れたわけではない。 やはりおぞましい事実であることには変わりがないのだ。 そう簡単に受け入れられるか、んなこと。

…しかしアスカ、
「私の秘書の車があと4分20秒で着くから」
はないだろ。秒単位でスケジュールを刻んでどうする!? しかし前田は時間通りに着いたらしい。凄いぞ。実はマンションの横で時計を見ながら待ち構えていたのかも。

今回、なんともビースト出現の辺りがアダルトムード。 初めて見た時はちょいと驚いたもんだけど、最終回まで見た今となっては別に珍しくもない話だと納得。 デビルマンレディーとはこういう話でもあるのだ。


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