デビルマンレディー 第12話 「顔」

脚本 小中千昭  絵コンテ・演出 殿勝秀樹  作画監督 小林利充
ジュンは悪夢にうなされていた。真っ赤な空、廃虚の大地、そして弱肉強食の世界…。 そのせいか仕事も調子が出ず、湯浅にも心配される。

と、唐突にジュンの前にベイツが現れる。飲みに行く二人。 ジュンはベイツに、ビーストを狩り続けることの意義を問う。 いくら殺してもビーストは増え続け、やがて人間は滅んでしまうのではないかと。 が、ベイツは言う。
「あなたは世界を救おうとしてるんですか?」
「違いますよね。あなたはただビーストを殺し、その喜びに浸りたい…」
ベイツはなおも囁く。
「僕たちは、欲望に忠実であればいい…僕たちだけが生き残ればいいんですよ」

逃げ出したジュン。なおも悪夢の幻影に悩まされるが、そこに前田から電話がかかってくる。 代々木公園にビーストが潜伏していると言う。ジュンは前田と共に公園に向かう。

山崎の指示で、公園は封鎖されていた。
「獣の女に頼らないと処理できないんですか」
「我々の相手は、あくまでテロリストだ」
ジュンは冷ややかに言う。
「人間相手なら殺せるんだ…」
そして公園に入るジュン。しかし悲しげな顔で言う。
「私…人間、だよね」

公園の中で、ジュンはベイツに出会う。ベイツはジュンの戦いを見に来たという。 自分が戦いに酔いしれる様を見に来たのか…、自虐的に笑うジュン。
「どうしてそれを誇らないんです? 人を超えたあなたが…」
「人間よ! 人間だからデビルマンなんじゃない!」
「それを…それを捨ててしまったら、あなたも! 私も! ただの…ただの!」
その時、銃声が鳴り響く。そこに向かおうとするジュンを、ベイツが呼び止める。
「強さを見せて欲しい、あなたの…。そのことだけが、あなたの生き残る証しになるんです」

現場では、部隊がひとつ全滅していた。ジュンは変身する。 そしてレディーはたちまちビースト・フェイセズを発見するが、見失ってしまう。

代々木公園には地下に地下鉄の車庫があったのだ。フェイセズはそこに潜んでいた。 フェイセズ…それは人の顔を剥ぎ、己が身にまとうビーストだった。 そのおぞましさを目の当たりにし、レディーの脳裏に悪夢が甦る。

動揺するレディーに斬りかかるフェイセズ。が、それをベイツが救う。
「自らの肉体の素晴らしさをどうして誇らない、ジュン!?」

と、その時地鳴りがした。現れる巨体。フェイセズがギガイフェクトを起こしたのだ。 なぜあんな下等なビーストに…と、うろたえるベイツ。 そのベイツを襲う刃を受け止めた者。それは、ギガイフェクトを起こしたレディーだった。

先ほどHA本部から戻ったアスカが、前田に冷ややかに言う。
「この女も人間じゃないのよ。前田、余計なことを考えない方が、身のためよ」
「いえ、不動さんは今でも人間ですよ。だからこそ…」

激突するレディーとフェイセズ。アスカはお構い無しにHAに攻撃させる。 その炎の中で、レディーの翼の刃がフェイセズを真っ二つにする。

元に戻ったジュンを前田が迎える。その前にベイツが現れる。
「私は誰よりあなたが好きですよ、不動ジュン」
「あなたにふさわしいのはこの私だ、人間ではない…」


人面ビースト・フェイセズ

体長 3m〜17m、体重 500キロ〜9トン

女の子の顔の皮を剥いで自分の体にくっつけている、趣味の悪い奴。 元ネタはもちろんジンメンだが、死んだ顔を貼りつけているだけなのでジンメンよりましだ。 なに? ジンメンを知らない? こら!原作デビルマンを読め!

ウルトラ怪獣みたいな声で鳴くし、刀のような腕を振りかざす時にはマジンガーZの機械獣みたいな音が出る。 なんかよく分からんけど、効果音だけは凄い奴だ。


冒頭のジュンの悪夢。インフェルノと呼ばれるこの悪夢は、これから度々ジュンを襲う。 2クール目を間近に迎えてそろそろ後半への伏線が張り巡らされてくるのだが、これもそのひとつ。

そして今回、ベイツの再登場。 今回は、ベイツとジュンのスタンスの違いが明確に現れる。 どんどん不安定になって悩むジュンとは対照的に、ますます自信を持ちつつも自分の能力の限界に悩むベイツ。 そしてこの二人はついに…って、まだ何も起こらない。

平野監督はこの脚本を読んで「今回も闘わないの?」と言ったとか。 いやー、やっぱりまだ闘うには早いでしょう。 二人の激突はもうしばらく待たねばならない。

ところで、ガード下を歩いていたジュンにかかってきた前田の電話。
「あと1分30秒ほどで、そちらに伺います」
ちょ、ちょっと待て。ジュンがどこにいるか常に把握してるというのか? ジュンにはプライバシーも何もないのね。可哀相。

なお今回のラストシーン。去り際にベイツとアスカがキスしている。 実はこの二人、そういう関係だったのだ。 とは言っても、この作品でノーマルな男女間の恋愛などあるわけがない。(ぉぃぉぃ) 特に片方がアスカとなれば、ね。

裏設定では、ベイツはアスカの米国での「お相手」だったそうである。 さあ、そこでベイツ初登場の第8話を見返すと、時折ベイツを妙に意識しているアスカを見出すことができる。 と同時に、別に恋愛感情があるわけでもない間柄だということも見抜けてしまうのである。 ちなみに二人のそういう関係は、第18話でまた目撃することができる。 なんかとんでもねえ関係になってるんだけど…。


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