山間にある、園部音也画伯の屋敷。そこを訪れたファンの女の子・二宮和枝を、音也の義姉の真名子が迎える。 が、和枝は急に倒れてしまう。出されたお茶に一服盛ってあったのだ。 ほくそえむ真名子。真名子は和枝を縛り上げる。
一方、坂沢は和美や湯浅に接近していた。 坂沢は湯浅にジュンがHAの面々と会っている写真を送り付け、取り引きを申し出る。
栃木県の山中で、縄の跡がある女性が発見された。アスカはジュンを連れ出す。 その女性は傷口から3分の1の血液が抜き取られており、また傷口からはビーストに含まれているのと同じ蛋白質が発見されたのだ。
とある暗い洞窟。恍惚の表情の男の前に、縛られた和枝がつるされている。 そして、やめろと言う男の声を無視して、不気味な触手が和枝の体を這い回り、そして突き刺し、血を吸い取っていく…。
現場の周りを調べるジュン。その前に、真名子が現れる。 ジュンは真名子の家に招かれる。そしてジュンもまた一服盛られ、捕まってしまう。
縛り上げられ、つるされたジュン。 真名子は洞窟に閉じ込めていた男・音也にジュンの血を吸うよう迫る。 音也の下半身は蛇淫と化しており、女の血を吸うことで生み出す体液が女にとって最高の媚薬になるのだ。 真名子はそれを求めているのだ。 捕らわれた女性達は、うっとりした表情で蛇淫の体液をなめ回していた。
嫌がる音也の意志とは無関係に、蛇淫はジュンに鎌首をもたげる。 だが血を吸おうとした時、ジュンは変身する。 蛇淫への攻撃で音也が苦しむのにレディーは一瞬ためらうが、音也の願いでレディーは蛇淫を絞め殺す。
逃げる真名子をレディーは追う。 真名子は蛇淫をレディーに差し出そうとするが、レディーの怒りはおさまらない。 しかし、脅え震える真名子の姿を前に、レディーは振り上げた拳を下ろして立ち去ろうとする。
その時、音也から分離した蛇淫が現れ、真名子を丸呑みにして殺してしまった。 そしてレディーも呑み込まれるが、レディーは内部から蛇淫を粉砕する。
湯浅は坂沢と会って、彼の申し出を断った。
その現場をジュンに見られていたが、湯浅は二人は無関係なはずだと言って立ち去ろうとする。
と、そんな湯浅の背中にジュンはもたれかかる。
「すぐに無関係に戻るから、今だけ…」
ジュンの口元に、蛇淫の体液が光っていた…。
大蛇ビースト・蛇淫
体長 5m、体重 2トン
蛇のビースト。体には血走った血管がみなぎっている。 そんでもってこいつは人間の男の下半身がビースト化したもの。 …って、妙な想像をしないように。 下半身の一部じゃなくて、全部がビースト化したものだぞ。 つっても、その妙な想像の方が正しいんだよな、実は。(笑)
最初、そのまんまのイメージでデザインが描かれてあっけなくボツになったそうだ。 どんなデザインだったんだろ。ううっ、気になる。
シリーズ中最大の異色編。 どちらかと言うと外国ホラー映画の雰囲気だったこれまでとはうって変わって、純和風の怪奇物の雰囲気で話が繰り広げられる。 なんか昭和初期か戦後すぐくらいって感じの古風な感じがする。
…って、実際この話を見るとそんなことどーでもよくなるんだよな。 何が異色って、設定から画面作りまで全て淫靡な快楽に満ちたこの話。 あらすじ書くのに苦労してしまう。ヘタすりゃただのエロ話になっちまうし。 しっかしまあ、こんな話よくテレビで放映できたなあ。
けど、こんな話が悪いかと言うとそうは思わない。 永井豪作品のベースには大抵エロスとバイオレンスが漂う。レディーの原作版だってそう。 ならば、人間のバイオレンスの業を描く本作において、人間のエロスの業を描く話があっても別におかしくもなんともない。 むしろ、何かにつけてセクシャルなイメージが見え隠れするこの作品において、こんな話が出て来るのはある意味必然とも言えよう。 …って、ホンマかいな。
まあしかし、男女間の関係をほうふつとさせる今回のような話は、どっちかと言うとこの作品では異色ということになってしまう。 そんなこの作品自体が異色ではあるのだが、とにかく今回の話は何にしても異色作なわけだ。
さて今回をもって1クールが終了し、1話完結のビースト狩りの話は一応終わりを告げる。 いよいよ次回より話のフォーマットが変化していき、後半に向かって話が動き始めるのだ。