デビルマンレディー 第14話 「家」

脚本 長谷川圭一  絵コンテ まついひとゆき  演出 太田博光  作画監督 寺沢伸介
誕生日の夜、父親が帰って来たと思って戸を開ける娘。 しかしその娘は母親と共に死体となって発見された。まるで獣に襲われたかのような傷と共に…。

そして坂沢は悪夢から目覚めた。愛しい妻と娘を失った、忌まわしい過去が頭から離れない。

ジュンは和美が誰かに呼び出されて出ていったことを知る。湯浅の事務所から電話があったというが、湯浅は何も知らない。 と、ジュンに電話がかかってくる。和美!?…いや、知らない男だった。 男は和美を預かったと言い、ジュンを呼び出す。

呼び出された先の家には「坂沢」という表札があった。荒れ放題となったその家にその男…坂沢がいた。 坂沢はジュンの正体を知っているようだった。うろたえるジュン。 そして坂沢が招いた庭に、縛られた一人の人物がいた。和美!?

その頃、ホテルのロビーでずっと湯浅を待っていた和美はフロントに呼ばれてメッセージを受け取っていた。 その主は…坂沢! 和美はジュンに何か良くないことが起きているのを感じる。

庭で縛られていたのはアル中の男だった。そして…その男はジュンがよく知っている匂いを放っていた。 坂沢はビーストの存在を公表するだけでは満足できなくなっていた。 ジュンのことを調べる内に、のうのうと暮らすジュンのことが許せなくなったのだ。
「今まで何人殺した! 和美の両親は何人目だった!」
「違う! 私は殺してない!」
「高校時代の友人は! モデル仲間は! 皆お前が殺したんだろう! お前のその手で!」
ジュンの脳裏に今までの忌まわしい記憶が甦る。
「殺したくて殺したんじゃない! 私は誰も殺したくなんてなかった! 信じて!」

だが坂沢はジュンに、アル中の男を殺すように迫る。ジュンが男を殺す様をカメラに収め、世間に公表しようというのだ。 と、その時、坂沢の娘が好きだったピアノの音が聞こえてきた。動揺する坂沢。 しかしジュンには分かる。この気配は…!

あの時の少年、サトルだ。 そしていつの間にかアル中男の縛めは解かれており、男はビースト・アギトに変身する。

その頃、DBP反応検出の報を受けたアスカ達は現場に向かっていた。 ビースト・クラーンが現れる。

アル中男はジュンをおびき出すため、サトルの命令でわざと捕まったのだった。 坂沢の妻と娘を殺させたのもサトルなのだ。アギトは坂沢とジュンに襲いかかる。 しかしジュンは坂沢のことが気になって変身できない。

クラーンの前に、なんとベイツが現れる。
「自分の体を誇れぬ者がなぜ…なぜ真のデビルマンだと言うのだ!」
「心も体も弱い者が…なぜだ!?」
ベイツはクラーンを荒々しく一方的に倒す。

傷つくジュンを見た坂沢は、辺りを照らしていたライトをブチ壊す。
「俺は何も見えない! 見たくもない!」
坂沢に感謝したジュンはレディーに変身し、アギトをあっさりと葬り去る。 更にレディーはサトルに殺意を向ける。 が、その前にガーディアン・クロウが立ちはだかる。

その時、坂沢がサトルにガソリンをふりかけた。 そしてサトルを押え込んで、ライターの火を放つ。

全てが炎に包まれた。レディーはかろうじて坂沢を救い出すが、坂沢は間もなく息を引き取ってしまった。 そこに、サトルの侮蔑の言葉が投げかけられる。サトルは傷ひとつ負っていない。レディーはサトルを睨みつける。
「言ったはずよ。お前だけは殺すって!」
「…無理だよ」
サトルは羽根を広げて舞い上がる。 追うレディー。 が、その前にガーディアン・クロウ達が立ちはだかる。なんという数だ! レディーはなす術もなく地に叩き落とされる。

ジュンが気付くと、市ヶ谷のベッドの上だった。
「前にも言ったはずよ。生き残りたいなら強くなれってね」
アスカの冷徹な言葉が突き刺さる。
「アスカ! 私たちのしてること、ほんとに意味があるの?」
「何を今更…」
アスカは冷ややかに言って出て行く。 そして一人ジュンはつぶやく。
「もし…全て無駄だとしたら…」


牙ビースト・アギト

体長 3.2m、体重 600キロ

アル中男が変身。上半身が口。単なるヤラレ役。

触手ビースト・クラーン

体長 5m、体重 1トン

警官が変身。どこから見てもタコ。単なるヤラレ役。


いよいよ話が動き始める。その序章として、サトルの再登場、そして坂沢の死が描かれる。

もともと第3話だけに登場する予定だったサトルだが、今後はレギュラーとなり、何かにつけて登場するようになる。 坂沢の妻と娘を殺したのは実際にはハーピーだが、もちろん命令したのはサトル。 その理由は、娘と遊んであげている内に自分の正体を感づかれたからということらしい。 と、ここで、サトルはなんでまた人間の女の子なんかと遊んでたんだ、という疑問が出て来る。 しかしサトルって結構気まぐれっぽいから、そういうことかな。

ちなみに、ジュンはサトルのことを「あなた」とか「お前」としか呼ばない。 何しろジュンはサトルの名前を知らないのである。それどころか、最後までその名を知ることはないのだ。 サトルもいちいち名乗ったりしないしね〜。 かくしてジュンは、名前も知らないガキと戦うことになるのだ。

なお坂沢、今まで思わせぶりに引っ張ってきた割には結構あっさり死んでしまうような気がする。 …と、初見の時は思っていたのだが、最終回まで見終えた今となっては、そりゃーここで退場する以外しようがないなあと思ってしまう。 確かに少々あっけないのだが、今後の展開にとっては邪魔な使い道の無いキャラ(そこまで言うか)なので、ここで消えてもらうのが正解だろう。

しかしどうせならここまで単に思わせぶりに動くだけではなくて、もう少し坂沢の事情というものを小出しに出していった方がキャラの深みが増したのではないかと思うのだが。 今まで、妻と娘の話らしきものが一言くらい語られた程度で、後は単にジュンの周りをかぎまわっているだけの怪しいおっさんでしか無かったからなあ。 あっけないのはそのせいだろう。こういうところは残念。

けど坂沢、よりによって黒崎あおいと紺野ひとみの話を持ち出すとは。 ジュンの二大トラウマとなったこの二人との戦い、まずは今回ジュンの心をエグるのである。


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