デビルマンレディー 第15話 「鴉」

脚本 古怒田健志  絵コンテ・演出 大庭秀昭  作画監督 丸英男
撮影中にマネージャーから両親の話を持ち出された和美は、あの事件のことを思い悩む。 どうしても思い出せない、あの時何が起きたのか。 そして坂沢から来た、「あなたは一人で暮らすべきだ」という手紙。 今までのジュンの不審な態度が思い浮かび、和美の心は揺れ動く。

その頃、白昼に街灯などに死体が突き刺さっているという事件が続発していた。 百舌の速贄…HAは、ビースト達の組織的な活動が始まったと見ていた。 またその目的のひとつに、ジュンの抹殺が含まれているということも。 その言葉を聞き、ジュンの脳裏にサトルの姿が浮かんで来る。 そして用心のため、ジュンの仕事の送迎も前田が担当することになったのだ。

学校の帰り、和美は無意識にかつての家に向かっていた。 詳細は思い出せないあの時の恐怖。そして家の跡地に着いた時、涙がこぼれ出る。 その時、和美を呼ぶ声がした。一人の少年がいる。
「かわいそうに。みんなあの女のせいだよ」
その少年、サトルが微笑み、去って行く。 そして近くの電柱にはなんと百舌の速贄、そしてその上に立つカラスのような謎の化け物!

ジュンはアスカが姿を見せないのを不審に思うが、アスカは今はアメリカのサミュエルソンラボに行っているという。 そして前田に送られての仕事帰り、ジュンのマンションの近くで騒ぎが起こっていた。 向かいのマンションからジュンを監視していた男が、無惨に殺されていたのだ。 前田は男がHAの一員であることを知り、自分の知らないところでHAが動いているのに苛立つ。

その頃、ショックを受けたままマンションに帰って来た和美の姿があった。 そしてそのショックが、和美の忌まわしい記憶を呼び起こしていた。 両親の死の様子が甦って来る。悲鳴をあげる和美。

部屋に入った和美。だが部屋にはカラスが山と群れていた。 更に二人の男が和美の目の前でカラスの化け物…ガーディアンクロウに変身する。 二人は和美を襲おうとする。が、それをサトルが止める。

部屋に戻ってきたジュン。だがそこにはサトルがいるだけだった。 サトルは和美を拉致してジュンをおびき出す。怒りに身を震わせるジュンは、変身してサトルを追う。

和美を取り返そうとするレディー。 だが、無数のガーディアンクロウがレディーの行く手を阻む。 サトル達はスクラップ置き場に降りる。

やがて、和美は目覚めた。そしてあの夜、自分を救いに現れた黒い影が今、目の前にいるのを知る。
「ジュン…」
「そうだよ、言ったろ。全部あの女のせいだって」
和美の目から涙がこぼれる。
「怨むといいよ。不動ジュンを」

懸命に戦うレディー。
「和美ぃーっ!」
だがそこに金属ネットが被せられ、レディーの動きは封じられる。 そこでガーディアンクロウのくちばしがレディーの体をついばむ。

が、レディーの執念の力が電撃となってガーディアンクロウを粉砕する。 唖然とするサトル。

レディーは和美が倒れていた場所に降り立つ。 しかしそこには誰もいなかった。サトルも、和美も…。


鴉ビースト・ガーディアンクロウ

体長 2m、体重 400キロ

実は前話から登場していたのだが、メインとなるのは今回なので今回紹介。 同種のものが何羽もいて、群れて行動する。

「百舌の速贄」を実行。 別に猟奇的趣味ではなく、それを見た人間のビースト因子を誘起するのが目的。

同種のビーストが多数現れるというのは珍しいが、何のことはない、要するにこいつらはいわゆる「戦闘員」である。 けどなぜ同種のビーストになったのかという説明は一切なし。 しかし説得力を放棄してまでこういう心憎いファクターも取り入れるあたり、やはり侮れない作品だねえ。


ついにジュンの日常が崩壊し始める。 その手始めとして、今までジュンを支えてきた和美との「家族ごっこ」が終わりを告げるのだ。 とうとうジュンの秘密を知ってしまった和美。 かくしてジュンと和美の距離は非常に遠くなってしまう。

相変わらず陰険なサトル、「和美をダシにジュンをいたぶる作戦その2」を展開する。 もっともサトルはジュンを今回で殺してしまうつもりだったようだが、戦闘員ごときに負けるデビルマンレディーではない。 渾身のデビルビーム(違うってば)でガーディアンクロウを葬り去る。強いぞ。

なお、あらかじめ断っておくけど、今回のラストは、和美が自分の意志でジュンの前から姿を消したという設定である。 画面を見ただけでは全然分からないんだけど。 ここをちゃんと分かるように描写してくれないと、次回の話がスムースに流れない。 これは今回の残念なところである。

しかしまあ確かによく考えてみれば、サトルが和美を誘拐していっても何の意味もない。 別に人質として盾にするつもりはないし、和美は殺すより生かしておいた方がジュンをいたぶるのに役立つし。

そしてサトルは一方で、いよいよ大規模な動きを見せ始める。 「百舌の速贄」を皮切りに、ついにビーストが社会の表面に出始めるのだ。

またどうでもいいんだけど、第11話以来、向かいからジュンを監視していた兄ちゃん、あっさりガーディアンクロウに殺されて退場。 あんたの出番、これだけかい!


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