デビルマンレディー 第17話 「飢」

脚本 長谷川圭一  絵コンテ・演出 殿勝秀樹  作画監督 をがわいちろを
炎に包まれる森。その中を逃げる異形の者達。 だがヘリが容赦鳴く銃撃を加える。 ヘリからその様子を見るアスカ…。

いつになく輝いた瞳で撮影に臨むジュン。が、撮影中に突如ジュンは変身し、周りの人々を惨殺する。
「それが君の本性だよ」
冷ややかなサトルの言葉を聞き、ジュンは自分がしたことの結果に恐怖を抱き、叫ぶ。 …と、ジュンはそこで目が覚めた。どうしてこんな夢を…?

湯浅に仕事を辞めると電話するジュン。湯浅はあわててジュンを呼び出す。 が、ジュンは待ち合わせ場所に着く前にHAに拉致される。 そして湯浅の前には前田が現れていた。前田は湯浅に金を渡して、手をひけと警告する。

ジュンは市ヶ谷に連れて行かれる。ジュンを保護するというのがHAの言い分だ。 だがジュンが通された部屋は、あの監視カメラとベッドしかない部屋だった。
「私…ついに檻に入れられたわけね」
その頃、ジュンのマンションでは、自分がかけた電話の留守録を自分で聞く羽目になって泣いている和美の姿があった。 ジュンちゃんはどこへ?

ジュンは体の内側から沸き上がって来る衝動に震えていた。 獣として覚醒して以来、ジュンはビーストを殺すことで欲望を満たし、精神の均衡を保ってきた。 その禁断症状が現れてきたのだ。 だがHAはそんなジュンを冷ややかにただ監視するだけである。 ビーストが増加して組織的活動が活発になってきた今、一人のハンターの力などもはや無用だというのだ。 ただ一人反発する前田。

ジュンは衝動を制御できなくなっていた。 黒崎あおいと紺野ひとみの幻影がジュンを苦しめる。絶叫するジュン。 あわてて看護婦がやってくる。が、その目の前でジュンは変身する。
「私は、獣を…お前たちを、殺す!」
レディーは看護婦に襲いかかる。

出動する山崎たち。
「制御できぬハンターなど、ビーストと同列だ。獣は、我々が始末する」

看護婦を引き裂こうとするレディー。が、腕を振り上げた時、壁に貼られた自分のポスターが目に入る。 妖しく輝く、内に獣を秘めた瞳。忌々しい自分の瞳。レディーはジュンの意志を取り戻す。

しかしその時、山崎たちが突入してきて、容赦なく攻撃を加えた。建物外部に逃げるレディー。 前田は山崎を止めようとするが、武装ヘリまで出撃して攻撃は続行される。

辺りは炎に包まれ、レディーは包囲される。 その時、一つの影が丸腰でレディーに近付いていく。アスカだ。
「可哀相に。恐かったのね、ジュン」
「アスカ…」
変身が徐々に解けていく。
「ジュン、死なせないわ。今はまだ…」

その頃、サトルは北野祐一を仲間に加えていた。暗い空を天高く舞うストラス。 そして後に続いて羽ばたく三つの影。夜の町並みを眼下に、サトルがつぶやく。
「あの光を、全て消してしまおうよ」

人々はまだ、何が起こっているのか本当のことを知らない…。


原作にも見られた、戦いを求めてジュンの獣性が暴走してしまう話。 原作のジュンは前向きな性格なのでそんな事は早くにふっきれてしまったけど、アニメのジュンはそうはいかない。 これからどんどんジュンの心は壊れていくのである。

百舌の速贄を見て獣性がうずき、危うく変身しそうにまでなるジュン。まるっきりビーストと同じである。 そうここで、デビルマンとデビルビーストは肉体・本能に違いはない、ただ精神状態が異なるだけだということを再認識させられるのだ。 それを認めてしまったからこそ、ジュンの心はどこへ行っていいのか分からなくなってしまうのだ。

そしてまたしても、ジュンを苦しめるのは黒崎あおい&紺野ひとみのお二人さん。
「私は…私は血に飢えてなんか」
「じゃあなんで私を殺したのよ」
「あなた、あんなうれしそうな顔で私を引き裂いたくせに」
「違う!あの時は私、仕方なく!」
「仕方なく、私の背骨を砕いたわけ」
「うそ。いやらしく笑ってたじゃない」
「愛していたのに」
「愛していたのに」
てな具合にジュンの心を切り刻む。 もうこうなったらどうしようもない。ボロボロ。

一方、こちらも結構苦しんでいる和美。 マネージャーの家に転がり込んでいたが、そこでは自分は邪魔者だというのを感じ取る。 かくして和美はこれから色々な場所を転々とすることになる。 天涯孤独の女子高生が、バッグひとつが全荷物。そしてうろうろ住処を探す。大変だねえ。

そんなジュンたちとは裏腹に、着々と準備を進めているのがサトル。 北野祐一を仲間に入れて、既にいた3人(今回はシルエットのみ)とクルセイダーズ四天王が結成される。 つってもそんな呼び名は今回も今後も全く出てこないけど。 私は本放送当時この4人を勝手に四天王と呼んでいたが、ホントに四天王と呼ぶと分かって少しひっくり返った。なんつー安直な。 まあしかし、リアルな側面と、70年代アニメっぽいハッタリを効かせたような側面とを併せ持つのがこの作品の特徴でもある。 だから四天王なんてベタベタな呼び方も結構似合ったりするのだ。

それにしても、何回見ても北野祐一のフィギュア色塗りシーンは気に入らない。 マジンガーZにあんな色塗るんじゃねえよ、こら!


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