デビルマンレディー 第20話 「骸」

脚本 赤星政尚  絵コンテ まついひとゆき  演出 大庭秀昭  作画監督 丸英男
ワシントンのサミュエルソンラボに行っている前田はアスカの過去を調査しようとする。 だがアスカのデータは抹消されていた。その前田に、キムボールという男が接触してくる。

片や、一人さまよっていたジュンの目の前に一体のビーストが現れる。 ハーピー!? 倒したはずのビーストがなぜ? ジュンは変身して戦うが、その驚きがおさまる間もなく、更にカザールが、レグザイモが現れてレディーを包囲する。

電撃で彼らを葬るレディー。だが安心したのも束の間、倒したはずの彼らがまた起き上がる。 一度死んだ彼らはもう二度と死ぬことはない…? 逃げ出すレディー。その前に、新たに現れたスパーゲルが立ちはだかる!

戦い続けるレディー。と、あるビルの屋上に一つの光を見つける。 ナペリウスだ。一度死んだビーストを「骸」として復活させ、操る者。 ナペリウスと対峙するレディー。 そのレディーを囲む「骸」たち。首を切断されたハーピーが、平然と自分の首をくっつける。 再び戦いが始まる。

一方、千佳たちはデパートに忍び込んで服や食料を調達していた。 そこには、ためらいながらも和美も一緒についてきていた。 と、屋上の方から不気味な振動が響いて来る。危険を察知して逃げる千佳たち。

が、逃げる途中で突如天井が崩れ落ちる。そこへ落ちてきたのはレディーだった。
「和美…?」
「ジュンちゃん…」
が、再会の言葉を交わす間もなく、レディーに襲いかかる骸たち。 和美は千佳たちに引っ張られて逃げていってしまう。

そこに、レディーの存在を知った山崎の率いる部隊が攻撃を仕掛けてきた。 その攻撃にまぎれてレディーは逃げ延びる。 追おうとするナペリウスの後ろに、いつの間にかサトルが立っている。
「泉さん、もういいよ」
「ぼくが、もっと面白いことやるから」

元の姿に戻り、疲労で崩れ落ちるジュン。その前にアスカが現れる。誰かがジュンの居所を通報したらしい。

一方、アメリカの前田はキムボールとニュージャージーのある家で落ち合う。 キムボールは言う。ここはアスカが18歳まで過ごした家で、アスカが父親を殺した場所でもあると!

ホテルの一室。シャワーを浴びていたアスカは人の気配を感じとる。カーテンを開けると、一人の少年が立っていた。
「誰?」
「殺しに来たんだ、お姉さんを」
軽く微笑むアスカ。
「いいけど、何か着させてくれない?」
「この格好じゃ恥ずかしいわ。たとえ相手が…」
「ビーストでもね」
少年はサトルだった。

アスカはサトルに銃を向ける。
「へえ、僕を撃つんだ。自分の父親を撃ったみたいに」

キムボールは前田に語る。4年前、世界で初めてデビルビーストが発見されたのはニュージャージー。 それはここ、アスカの家だったのだ。そしてそのビーストとはアスカの父親。

ベッドで眠っていたジュンは銃声で目覚める。 アスカがサトルを撃ったのだ。しかしサトルは平然と起き上がる。 その姿に、自らの進化を誇っていた父親の姿がダブる。アスカはサトルに次々に銃弾を浴びせる。
「違う! 進化が必要なのは、選ばれた者だけ…それが私」
「人間は私が進化するための礎…そう、私が滅ぼしてあげる」

しかし血まみれになって倒れたサトルの口に笑みが浮かぶ。 と、アスカの銃を持つ手が勝手に動き出す。アスカの意志と無関係に、アスカの口に銃口を突っ込む! 響く銃声!

ビースト因子に遺伝性はない。だがキムボールは言う。確かにアスカはビーストではない。が、人間でもない! しかしその時、家はCIAに包囲されていた。それに気付いたキムボールは前田に、自分が集めたアスカのデータが入ったディスクを渡す。 そして突如変貌を始めるキムボールの体。キムボールはデビルマンだったのだ。CIAの銃撃が始まる。
「日本に帰ったら、不動ジュンに伝えてくれ」
「君こそがデビルマンの希望だと…!」
キムボールは身を挺して前田を逃がす。

アスカはなんとか銃弾を外した。その意志の強さに感心したそぶりを見せ、サトルは窓から出ていってしまう。
「追いなさい、ジュン!」
「…あなたが何をやろうとしているのかは分からない」
「何を言ってるの?」
「でも、これだけは分かった。人を自分の礎としか考えていないあなたは、私の敵だわ」
にらみ合うジュンとアスカ。

逃げ延びた前田は、キムボールから託されたディスクを調べていた。 それによると、アスカ蘭だけが保有しているというオーキッド因子という特別な因子があるようだ。 ビースト因子と何が違うのか…。 更にアスカのプロフィールを調べる前田は、驚くべき事実を知る。
「アスカ蘭は…男!?」


いよいよ物語も佳境。ついにアスカの正体・その目的に迫り始める。 原作デビルマンを知る人なら、もう完全にアスカ蘭と飛鳥了がダブって見えてくるはず。 その見方は果たして正しいのか? それはこれからのお楽しみ。

今回登場するデビルマン・キムボール。 ほとんど御都合主義で、なんであんたはアスカのことそんなに詳しいんだよ状態なんだが、まあいいか。 そんなに気になるほどでもないし、さっさと話は進んでもらわないと困る。

今回から新しくアスカの秘書として、小暮泉が登場する。 彼女は自衛隊からの密命でアスカの監視役を請け負っている。 ん? 小暮泉ってどこかで聞いたような…。 って、白々しいこと言うまでもなく、彼女の正体はナペリウス。 彼女はサトルからの密命でアスカの監視役を請け負っているのだ。 ああややこしい。

そんで自衛隊の瀬田から泉に電話がかかってきた時、なんとそれを受けたのは霞頂太。 しかも泉の声色で応答している。そんな芸もあったとは…。芸達者やのう。 ちなみにその頃、泉は「骸」をジュンと戦わせていたので電話どころじゃなかった次第。

その骸なんだけど、どっから見ても東映作品なんかでお馴染みの再生怪人軍団。 こういうポイントを押さえてくれるからこの作品はいいんだよなあ。 しかし何度倒しても甦るから、再生怪人は弱いというお約束を裏切っている。 こういうところで意表を突くから侮れない。…でもその骸はどさくさまぎれに退場しており、全然決着がついてない。 う〜む、うまくごまかしたな。

一方の和美。いつの間にやら完全にアングラガールズの仲間に溶け込んでしまっている。 例えば多香絵なんかは最初は和美を嫌ってたんだけど、どうももはや全員に仲間として認められている模様。 それで今回ジュンと出会ったことで、千佳たちにもジュンのことが伝わったということらしい。 かくして千佳たちにとってもジュンは希望の存在となるのである。

さてさて、今回もう一つ注目すべきなのは…と言うか注目しようと思ってたのが、サトルとアスカのご対面。 放送当時、絶対二人には何か因縁があると思ってたんだけど、なんと初対面で何の関係もない間柄だった。なんてこったい。 そしてサトル、アスカに会いに来たのはいいけど結局何もせずに帰ってしまう。なんなんだ、こいつは。

しかし、よく見ればその目的は明らかだ。ジュンを精神的に追いつめるのが大好きなサトル。 彼はジュンの理解者であるアスカをジュンの目の前で殺すことで、ジュンを更に追いつめようとしていたのだ。 が、話が妙な展開になって、ジュンの方から勝手にアスカを敵対視するようになってしまった。 それを見切ったサトルはあっさり手を引いた…ということだろう。

となると、次の目的も見当がついてしまう。 ジュンの心の支えを次々と消していくのが目的であるから、もはや次のターゲットは自明とも言えよう。 その話は次回以降にて。


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