デビルマンレディー 第21話 「印」

脚本 古怒田健志  絵コンテ 殿勝秀樹  演出 高瀬節夫  作画監督 をがわいちろを
前田が帰国して1ヶ月。 日本ではビースト化が抑制されるという全国統一予防接種が開始されていた。 これは国民全てに義務づけられているものだ。 しかし前田の調べでは、サミュエルソンラボにおいてもまだビースト化を防ぐ方法は見付かっていないはずだった。

和美を探しさまようジュン。 その和美は相変わらず千佳たちと一緒に暮らしていたが、元気がなかった。 そんな和美に千佳は自分の友達の話をする。 尻尾が生えてきて皆に気味悪がられたが、千佳はずっと一緒にいたその友達。 千佳にも尻尾が生えてきたことを知ったその友達は、自殺してしまったのだ。 千佳は涙を見せる。

統一予防接種の第二薬の投与が実施される日。 千佳たちはついに自衛隊に隠れ家を見つけられてしまい、地下を逃げまどっていた。 そんな彼女達の前に小暮泉・ナペリウスが現れ、佃島に逃げろと言う。 その佃島には、サトルが集めさせた無数のビーストがたむろしていた。

佃島を臨む、あるビルの屋上。そこに佇むジュン。そしてそこに近寄る前田。 前田はあの予防接種の正体について語る。 予防接種と偽った薬はビースト化を抑制するものではなく、むしろ逆にビースト化を促進するためのものだ。 アスカは全ての因子保有者を強制的にビースト化しようとしている。 数日以内に、全ての因子保有者のビースト因子が活性化するだろう…。

千佳たちは佃島に逃げてきたが、そこでビースト化して暴れ回る者達を見て、入っていくことにためらいを見せていた。 と、その時、千佳たちは自衛隊に囲まれてしまう。 自衛隊にいいようになぶられる千佳たち。

和美を探すべく佃島に向かおうとするジュン。前田は止めようとするが、ジュンの決意の固さを見て取り、ただ自分の想いだけを語る。
「あなたには死んで欲しくない。初めてあなたを見た時から、ずっとそう思っていました」
「分かっていたわ…。前田さんは、優しい人だもの」
ジュンは変身する。

獣扱いされ踏みにじられ、ついに千佳の怒りが爆発した。千佳は完全なビースト化を果たし、自衛隊員に襲いかかる。 が、千佳はそこで銃の一斉掃射を浴びせられた。和美の悲痛な叫び声が響く中、千佳は血の海に倒れる。 和美は怒りに身を震わせる。
「人間なんてもういい!」
「あたしも獣に! 獣に!!」

その時、そこにレディーが降りてきた。 と、間髪を入れず、突如現れたナペリウスが和美をわし掴みにして飛び去る。
「不動ジュン! おいで!」

ナペリウスを追いかけて佃島のビルにたどり着いたレディー。 ビーストの巣窟となったそのビルで、アンドラスとマルファスがレディーを迎え撃つ。 更にストラスが襲ってくる中、レディーは彼らの攻撃をかわして和美のいる屋上へとたどり着く。 そこにはサトルが待っていた。
「和美を返しなさい!」
「そうはいかないよ。この子にはどうやら、僕たちの仲間になれる素質があるみたいだからね」
ショックを受けるレディー。そんな…。

その時、四天王が一斉にレディーを襲う。磔にされ、いいように痛めつけられるレディー。 そこでサトルは気絶していた和美を起こす。レディーの無惨な姿を目の当たりにする和美。 和美はジュンを助けるようサトルに懇願するが、サトルは平然と、あの女は死ぬんだと言う。 何もできない自分に腹立たしさを感じる和美。サトルは和美にささやく。
「欲しいかい? 僕たちの力が。つまらない人間にはもう飽き飽きしてるんだろ?」
「君の中にも、あるはずだよ。ほら、その目…欲しいんだろ、力が」
涙が浮かぶ和美の瞳が輝き始める。それは…獣の眼。

磔にされたまま和美に近寄ることもできないレディー。 その目の前で、和美が悲鳴とも咆哮ともつかぬ声を轟かせる。


あっけなく1ヶ月も経ってしまった。 前田は着々とアスカの陰謀を暴く準備をしているが、ジュンは相変わらずさまよってるだけ。 この1ヶ月の間、ずっと和美を探していたようだ。 しかもそのジュン、今回明確に分かるんだけど、すっぽんぽんにコートを羽織っているだけという壮絶なファッションで街をうろついている。 その事実だけを見ると、ただのヘンタイねえちゃんだ。(ぉぃぉぃ)

前田だけど、実は今回がジュンとの別れになる。 それで最後にさりげなくジュンに告白しているが、あっさりかわされてしまった。 まあジュンは男の求愛を受けてるどころではないからね。 しかし前田も、この時点ではアスカの正体を見切っていないのだろうか。 知ってるんだったらジュンに言ってやればいいのに。

そのアスカ、本格的に動き始めている。 何ゆえかビーストをわざと増加させようとしているのだが、その目的は色々とある。 アスカの考えは奥が深いので、常人には想像し難い。まあ語ってくれるのを待ちましょう。 ビーストである泉にだってアスカの考えが全然分からないんだから。

片やサトルだけど、「和美をダシにジュンをいたぶる作戦その4」を展開する。 またしても和美をターゲットにしたサトル。 ジュンをひと思いには殺さずにわざといたぶりつつ、その目の前で彼女の心の支えである和美を人の領域から引き剥がそうとする。 それはジュンにとって殺されるより辛いことだから。相変わらずやることが陰険だねえ、こいつ。

今回、前半の主役は間違いなく千佳。いつもカラッと明るい感じだけど、その心の奥に秘めた辛い過去を和美に明かす。 そして悲しい最期。同じく人として生まれた者でありながら、人として認められず人に殺される。 人でなくなった者の視点から人の業の深さを語る。これはまさしくデビルマンのテイストだ。 なんだかんだ言いつつ、やっばりデビルマンしてるんだよね、この作品は。

デビルマンと言えば、今回から真紀猛が登場する。 いきなり古臭いバイクで登場し、んなアホな的大ジャンプでバリケードを突破する辺り、もう初登場から完全に不動明してくれている。 シリアスな展開の中で思いっきり浮いてるんだけど、こういうキャラを堂々と出してしまうところがこの作品の良さなんだよねー。 しかもただのサービス用のチョイ役かと思ってたら、後で結構活躍してくれるし。 アニメ版不動明のファンは必見だぁ!


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