デビルマンレディー 第22話 「願」

脚本 長谷川圭一  絵コンテ・演出 下司泰弘  作画監督 柳沢テツヤ
爛々と光る瞳とうなり声。四天王になぶられるレディーの前で、和美は覚醒しようとしていた。 和美は獣のごとき叫び声を放つ。

と、その時、自衛隊のヘリがビルを攻撃し始めた。レディーを捨て去り、ヘリを攻撃する四天王。 そしてサトルは四天王と共にその場を立ち去ってしまう。

茫然自失となり、ヘリの墜落で炎上する中へ落ちていくレディー。 彼女は既にジュンへと戻りつつあった。 が、その時、炎の中へ落ちようとするジュンを、翼を持った影が抱えあげた。 その影は、ジュンを抱いて空高く飛んでいく。

朦朧とする意識の中、ジュンは昔のことを思い出していた。 方向音痴で、オーディションのビルを間違えてジュンの控え室に飛び込んできた一人の女子高生。 彼女はジュンのファンで、オーディションに遅れそうなのも忘れて、ジュンに会えたことに大喜びしていた。 その太陽のように明るい子は、滝浦和美と名乗った。

場所は海岸、ようやく目覚めたジュン。その顔を覗き込んでいるのは和美だった。
「私、ずっとジュンちゃんの側にいていいんだよね」
「だって私、もうジュンちゃんと同じだもん」
「やっと、同じになれたんだもん」
和美を抱きしめるジュン。
「いいよ。ずっと一緒に、いよう」

ビースト因子が活性化した人たちは次々と因子保有者収容施設へと連行されていた。 多香絵たちも連行されてしまう。抵抗した多香絵を殴った隊員を、いきなり現れた真紀猛が殴り返す。

小暮泉はアスカの自信に満ちた態度に警戒心を持つが、サトルは全く気にする様子がない。 佃島では、ビースト因子保有者達が自由に振る舞っていた。サトルは勝利を確信しているのだ。

かつての千佳たちの隠れ家へと向かうジュンと和美。 和美はこれからのことに不安を抱く。だがこれからのことはジュンにも分からない。 和美をおんぶして進むジュン。その温かさに、いつしか和美は眠ってしまっていた。

隠れ家に着いて眠っていたジュンは、インフェルノの悪夢を見て目覚める。 そこに突如アスカが現れる。 アスカは忠告に来たのだと言う。今夜一晩、ここを絶対に出るなと。まだジュンを失いたくないのだと。 アスカは何をしようとしているのか…。目覚めて側に来た和美が言う。
「私、分かるよ。あの人、凄くたくさんの血を流すつもり!」
「あの人、自分だけのために恐ろしいことをしようとしている」
「私たち、それを止めなきゃいけないんだ。きっと、止めなくちゃ!」
だがジュンは自分一人で行くと言う。和美は人のままでいてほしいと。

自衛隊が突如行動を開始した。大部隊が佃島に向けて出動しようとしている。 そんなことは小暮泉には聞かされていなかった…。

佃島に着いたジュン。ジュンはサトルにアスカの真意を告げる。 ビーストをわざと爆発的に増加させ、更に一ヶ所にビーストの戦力が集中するのもわざと見過ごす。 そうして油断させ、一気に叩く。それがアスカの狙いなのだ。

だがサトルはジュンの言うことなど聞かず、四天王をけしかける。 が、そこに自衛隊の攻撃が始まる。無数の戦闘機によるミサイル攻撃。 ビルは瞬時に倒壊し、辺り一帯は炎上する。

やがて炎も鎮まった頃、瓦礫の中から立ち上がるレディー。そこにナペリウスが現れる。 レディーを襲う無数の「骸」。倒しても倒しても何度でも襲って来る。 その時、ジュンを追いかけてきた和美が投げた傘が、ナペリウスの第3の眼を貫く。 消えゆく「骸」たち。ナペリウスを押さえつける和美。
「逃げて!ジュンちゃん! 私だって、もう私だって、ジュンちゃんのこと!」
が、怒ったナペリウスが、和美の背中を貫く!
「守れる…はず…」
崩れ落ちる和美。

「和美ーっ!」
怒りに燃えるレディーはナペリウスに向かって突っ込んでいく。 と、傘が開いてナペリウスの視界を奪う。そしてレディーの刃がナペリウスをとらえる!

レディーは和美に駆け寄る。和美が震える声で言う。
「私…もっと強くなるよ」
「強くなって、ジュンちゃんが背負っているもの、少しでも軽くしてあげるんだ」
やがて和美は息絶える。

和美を背負って昔のマンションに戻って来たジュン。 ジュンは和美の亡骸を抱いて、いつまでも泣き続けるのだった…。


ついにプログレスしてしまった和美。 最初から和美がビースト化することは予定されていたそうだが、その姿は画面上ではシルエットで映されるのみ。 和美にビースト化は似合わん、ということだろう。 ちなみに和美を演じる村井かずさは
「ラッコのビーストがいいな〜」
などと言っていたそうだが、ンなわけないってば。

しかしこれでいつもの日常を失ってしまった和美。 ジュンの日常を支えるべき彼女から日常が消え失せてしまえば、もう先に待ち受けるものは分かりきっている。 かくして和美は今回で最期の時を迎えるのだ。

それは当然予想されてしかるべきなんだけど、初見の時に私はちょっと意外に思った。 というのは和美の最期。私はてっきり、自衛隊なり何なりに和美が殺されて、それでジュンが最後の戦いに赴く決意を固めるんだろうと思ってたのだ。 なんか思いっきり原作デビルマンに影響されてる予想だな〜。んが、今回の最期。

これじゃあジュンは怒りの持っていきようもなくて、またしても心が迷走してしまうだけじゃないのか? かくして実際、ジュンは余計に何もする気が無くなってどんどん戦いから遠ざかっていってしまうのだ。 もうラストが近いのにどうすんだよ。

さて一方、なんか今まで余裕こいてたサトルがボコボコにやられる。 いや、直接やられるわけじゃないんで相変わらず表情は余裕たっぷりなんだけど、どっから見てもアスカにしてやられたぞ状態。 アスカを完全に甘く見ていたようで、どうやらアスカの正体や目的に関してはよく知らないらしい。 旧人類を見下してしまう、そこが進化した者の欠点なわけやね。

でも余裕たっぷりなのは、いくらビーストが殺されても人間がいる限りビーストは増え続けるからというのもあるだろう。 人が獣になる…それを防ぐことはできないのだ。

ちなみにアスカだけど、その目的はビーストを倒すことではない。そんな単純な女ではないのだよ、彼女は。 ビーストを倒すのは手段に過ぎない。その真の目的は…もっと先にならないと分からんのだ。うむむ。

なお、レディーにやられてしまったナペリウス。 一見、これで死んでしまったかと思うんだけど、伊達に四天王やってなくて、しっかり生きてて次回に登場する。 和美の命を賭けた努力は一体…。

レディーの勝因は和美が投げた傘だけど、この傘はとある男からもらった物。 それはビーストに襲われそうになったところを救ってくれた、金髪の片腕の男。
「お前、レディーの匂い、する」
と言って傘をくれる。どこの誰かはもうお分かりね。 あれだけレディーにボコボコにやられたのに、実は生きてたのだ、 でも頭の方はちょっとイッちゃってる。パンチドランカーみたいなもんかな。


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