デビルマンレディー 第23話 「命」

脚本 長谷川圭一  絵コンテ・演出 殿勝秀樹  作画監督 をがわいちろを
施設に収容された多香絵たちを始めとするビースト因子保有者。多香絵達はジュンが自分達を助けに来てくれると信じていた。 だがジュンはその頃、和美を失ったことで茫然自失となっていた。

一方、佃島ではサトルと四天王による逆襲が始まっていた。 だがアスカはそんなことには全く無関心で自衛隊に任せっきりにする。 アスカは次の段階に進むべく準備を進めていた。米国大統領補佐官と会っているアスカ。

因子保有者収容施設を襲撃し、彼らを解放しようとするサトルと四天王。 しかしベイツの言葉にも無関心なジュンは、襲撃の様子を見ても戦う気を起こそうとしない。 片や施設の襲撃を無視してヘリに乗り込もうとしていたアスカは、前田に銃をつきつけられていた。

施設では、逃げようとした因子保有者達が山崎率いる部隊によって次々に殺されていた。 そして今、多香絵達が狙われる。 その頃、ジュンは施設の様子を背にして肩を震わせていた。
「こんな…こんな殺し合い…」
「いつまで続ければ気が済むの!」
ジュンは変身し、施設に向かう。

山崎に銃口を向けられる多香絵たち。だがその前にレディーが立ちはだかる。 レディーは山崎たちの砲撃をあっさりかわし、山崎のバズーカの砲身をひねりつぶす。 山崎たちは撤退を余儀なくされる。

アスカに銃口を向けつつ、事の真相を暴き立てる前田。 アスカはビーストの発生をもコントロールしていた。 最もビーストと接触率が高いはずの自衛隊やHAの中にビースト化した者がほとんどいないのはなぜか。 既に因子を抑制する抗体は完成しており、彼らに接種されていたからだ。全てはアスカの目的のために。 しかしまた、アスカにはその抗体は必要なかった。なぜならアスカはこの地上でただ一人、絶対にビースト化しない人間だからだ。 そう、彼女だけが持つ、オーキッド因子の正体とは…!?

施設の外に出たレディー達。が、その前にサトルと四天王が現れる。 合体し、巨大な体となる四天王。そしてそこにサトルが合体する。 これが…魔王ゼノン!
「不動ジュン! お前も死ね! 死んであの子に詫びるがいい!」

「お前たちはいつだってそうだ! …人の苦しみをもてあそび、悲しみを、せせら笑う!」
レディーはギガイフェクトを発現させる。 対峙するレディーとゼノン。

前田は気付いた。 コロラドで焼き払われた街…それと同じく、日本もアスカの実験場だった!? ビーストの増殖率と抑止力を測るための巨大な! そしてもう日本は用済み…。
「なぜこの国を選んだんだ!」
「フフッ、私の最も嫌いな人間が、生まれた場所だから…かしら?」
こともなげに言い、立ち去ろうとするアスカ。 だが怒りを隠せない前田は、アスカに向けて引き金を引く。 が、アスカもまた振り向きざまに銃を抜く。

響く銃声。倒れるアスカ。 …が、血を流して絶命したのは前田の方だった。 無傷で平然と起き上がるアスカ。

戦うレディーとゼノン。しかしレディーはゼノンの凄まじい攻撃になす術がない。 ついに倒れるレディー。そこへゼノンのとどめの一撃が迫り来る。 が、それを受け止めた者がいる。ベイツだ。 ベイツはゼノンに向かっていく。ゼノンの剣に貫かれつつ、ベイツはゼノンの動きを止める。
「あなたのこと…好きでしたよ、私の…デビルマン…レディー」
ゼノンはベイツを両断する。 そこへ、レディーの怒りの一撃が放たれた。ゼノンを含め、辺り一帯がレディーの放った雷撃の光に呑み込まれる!

「強いね、君は…」
「でも無駄なんだよ。僕には分かっていた。人という種に未来がないことを」
「それが滅びずに済むには、獣となって生き延びるしかないってことを」
半壊した橋の上でうずくまり、つぶやいているサトル。その言葉を聞いてか聞かずか、はるか彼方を見つめているジュン。
「だから…僕は…」
サトルは砂となって崩れ落ちる。

その頃、自衛隊員のビースト化が始まっていた。抗体の効果が切れたのだ。 今まで抑制していた反動で、彼らより狂暴化したビーストとなって暴れ回る。 その様子を冷静に見つめるアスカ達。アスカは米国艦隊の中にいた。

もはや日本は崩壊寸前だった。 山崎はビースト化した瀬田を射殺する。 そして真相を知った彼は、自分がビースト化する前にと、銃口を自分に向けて引き金を引く。

虚ろな表情で歩いていたジュン。もはや全ての目的を失った彼女は、星空の下で静かに横たわるのだった。


和美を失い、もう何をする気力もなくなってしまったジュン。 しかし神経が高ぶっていたためか、キレる。 そして戦いで完全に燃え尽きてしまい、何もかも放り出して今回は終わってしまう。うーむ。 普通のバトルものアニメなら最終決戦に向けて主人公が熱く燃え上がる時期だというのに、凄い展開だな、しかし。

ところで今回、ある意味では最終回その1と言える。 一部のキャラを除くほとんどのキャラに決着がつけられるからだ。死、という形で。 実際、死ぬ以外の道が無かったキャラばかりである。

サトルと四天王はもちろん敗北を運命付けられた者で、死ぬしかない。 また和美に傘を渡したイッちゃってる兄ちゃんことジェイソン・ベイツは、
「あなた…生きてたんだ」
なんてジュンに言われる始末だが、実際今の状況では存在意義を失ってしまっている。 まだ彼にできることがあるとすれば、多分に屈折してはいたけれど本物だったジュンへの愛を成就させるため、彼女のための礎となること。 かくしてゼノンと戦えば、それはすなやち、死を待つのみ。

片や前田。アスカに近づくのは必然だったわけだが、近付きすぎればどうなるかは明白。 そして彼女に利用されるだけだった存在のHA日本支部や自衛隊の面々、全て用済み。 かくして全員死亡。アスカ一人のエゴのために。

で、結局日本はアスカの実験場で、日本人は皆アスカのモルモットだったわけだが、実はそれだけではない。 アスカの真の目的はまだ果たされていないのだ。それを知ることができるのはもう少し先。アスカの考えは非常に深いのだ。

まあそれはともかく、今回死んだ面々。 まずベイツだけど、ジュンのことをデビルマンレディーと呼んでいる。 実はこの「デビルマンレディー」という言葉は、番組タイトルなのに今回しか登場しないのだ。 そういう貴重なセリフを最後に言えて、ベイツもさぞ満足だっただろう。(ホントか?)

そしてもうひとつ要チェックなのがサトル&四天王の魔王ゼノン。 その名の由来はもちろん原作デビルマンの魔王ゼノンなのだが…え? 何? 知らない? だから原作デビルマンは名作だから読めって何回言ったら分かるんだぁ! あ、ゼノンはアニメ版にも出てたね。そっちでもいいから見なさい。

んで、そのゼノン。 実は予告編で見慣れない巨大なボスっぽい奴が映ったのを見て、これはサトル&四天王の5人がレェェェッツ・コ・ン・バ・イ・ン!して登場する最終ボスに違いない!と思ってたんだが、ちょっと違ったけどそうだった。

合体するのは予想通りだったんだけど、ちょっと違ったというのは、なんで永井豪作品でコンバインせにゃならんのだ、ということ。 んなわけないよねえ。そう、四天王が合体した時のシルエットを見るとすぐに分かった。 こ、これは、グレートマジンガー! そしてそこに火の鳥となったサトルがファイヤー・オン! すっげえー! やってくれるぜ!

これ、ゼノンというのを出すと言われたデザイナーの丸山浩が、まんまゼノンにするのもなんなので自分の趣味でグレートマジンガーのイメージでデザインを仕上げた。 ちゃんと頭部がブレーンコンドルになってるところがポイント。 するとそれを目ざとく見つけた平野監督、サトルをファイヤー・オンさせてしまったという次第。

かくして「グレートマジンガー対デビルマン」という、東映まんがまつりもびっくりのビッグイベントが出来上がったのだ!(ぉぃぉぃ) さすがだねえ。こういうのがあるからこの作品は好きなのだ。


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