多香絵たちは再びビースト収容施設に捕らえられていた。 検査と称してそれまでに何人もの収容者達が処理されているという噂があり、不安がる今日子。 だが施設には真紀猛も捕らえられており、彼は多香絵の支えとなっていた。
そして街は何事も無かったかのように復興しつつあった。
「ビーストなどいなかった…最初からいなかったことにされていく、もうすぐ」
「人の心を持ったまま、なりたくもない獣に体を変えてしまった…体だけじゃない、心までも」
「そんな私たちに、生きる権利などないというのならそれでもいい」
「でも、地獄に落ちるなら、それだけのことをしてから」
「虚ろな神を気取るあなたを、この手で殺してから…」
「アスカ…」
そのアスカはジュンを待っていた。
アスカの周りを舞う天使たち。
そして戦闘機がスクランブルする。レディーが接近しつつあったのだ。 だがその頃、多香絵たちは検査に連れ出されようとしていた。
戦闘機の攻撃をものともせず、次々と撃墜していくレディー。 一方、収容施設では猛たちが反乱を起こし、脱出計画を開始していた。 ついにデビルマンの姿となった猛と共に、多香絵たちは一番警備が手薄な処理場へと向かう。
空を悠然と進むレディー。 突如その前に光が現れる。 それは…天使!? 途端にレディーは自分が水の中にいることに気付く。
ふと光を感じ、上へ泳いでいくレディー。 そこは古代風の静かな緑の園だった。 ここは一体…いぶかしむレディーの前に、アスカが現れる。
アスカの所業を非難するレディー。 が、アスカは平然と言う。 人間はもう終わりの種、獣の道に堕ちるか、より高い位階に登ることができるのかが試されているのだと。
ローブを脱ぎ捨て、全裸になるアスカ。その下半身を見てレディーは驚く。その体は!
「あなたは…何!?」
脅え始めたジュンに、アスカは淡々と語る。
自分の体こそが人の行き先を決めるものなのだ。
だが、アスカの持つ因子はそれだけではただの異端に過ぎない。
彼女自身が新しい存在にならなければならないのだと。
処理場に入り込んだ多香絵たちは、そこが処理場などではなく何かの儀式の場所であることを知る。 そしてその部屋に現れる、白い衣の神官たち。
アスカはレディーを抱きしめ、ジュンが今まで自分に服従し続けた理由を語る。
ジュンはアスカを愛しているのだと。服従することこそがジュンの愛だったのだと。
アスカは静かにレディーを横たえる。何もできず、アスカのなすがままになるレディー。
「うれしそうね、ジュン」
「私の体を受け入れるのが、そんなに待ち遠しかった?」
「でもね、私の方がずっと待ち遠しかったのよ。早くあなたを抱いてあげたいって」
「最後のビーストとしてあなたを犯し、私が神の子になる、この日を…」
そしてアスカはレディーと体を重ねる。
神官たちに囲まれる多香絵たち。そこで多香絵たちはその場所の本当の意味を知る。 そんなことのために今まで多くの者たちが殺されたのか…! 絶望しかける猛たちだが、多香絵はまだジュンが自分達の希望だと信じていた。
その時、身も心もアスカに屈してしまったレディーが天井から落ちてきて、奈落の底へと堕ちていく。 その姿を目の当たりにした多香絵の絶叫が響く。
天から光がさしてきた。 光に包まれ、聖なる翼を得たアスカは天へと登っていく。 そしてアスカの姿を見た世界の人々は、神が降臨したことを知った。
ついに最終決戦開始。 ジュンはとうとう自らの意志で、アスカを倒すべく行動を開始する。 それに合わせて、今回と最終回はエンディングテーマが以前のものに戻る。 いやー、ラスト直前で、ジュンもやっと主人公らしくなってきたね。
…と言いたいところだが、あっさりジュンは負ける。 最初から全てがアスカの思い通りに進んでいたんだから勝てるわけがない。
さあ、ついにアスカの正体が明らかになる。 原作デビルマンのファンにとっては待ってましたという展開ではなかろうか。 上のあらすじを読んだだけではよく分かんないかもしんないけど、映像でも直接の描写はない。まあ当たり前だ。 今だから言える、第18話でのアスカの注射の正体は性ホルモン抑止剤。 つまりアスカが自分の体を完全な女性のものに変化させておくためのものだったのだ。 その投与をやめた今、アスカの体は本来の形に戻ったというわけ。 男であり、女であり、男でもなく、女でもない、本来の姿に。
オーキッド因子の正体は何か? オーキッド、すなわち蘭。それはアスカを指す言葉でありそれ以外の何者をも意味しない。 唯一にして無二なるもの。その象徴するものは、すなわち神。 たった一人しかその因子を持つ者が現れなかったのは、ある意味必然である。 だからこの因子には彼女の名が付けられたのだろう。 そして神となる者が性を超越した存在であることも必然なのである。
今までに処理場で消えていったビースト達。 猛はその理由を聞いて憤慨するのだが、その理由について作中では最後まで全く説明がない。 そこで補足しておくと、これはアスカが覚醒するための儀式で生け贄にされたのだ。 全てのビーストを葬り去った時、アスカは神として覚醒することができる。 処理場はその儀式の場所だったというわけ。 単なるアスカの個人的事情で何千何万という者達が殺されていったのだ。
そして最後のビーストとしてジュンが選ばれた。 だがここで言う最後のビーストというのは象徴的な意味合いである。 文字通り全てのビーストを殺すという意味なら、人類を全滅させねばならないから。 ビーストの頂点たる存在になったデビルマンレディー。 その事実こそが最後のビーストという意味であり、そのレディーを葬り去ることで、アスカは神の資格を得たのだ。
…なーんて説明すると神がかってて、理屈が好きな人はついて来られなくなるかな。 理屈っぽく説明するとすれば、最強のビーストたるジュンを倒すことでアスカの意識レベルが頂点に達し、それが引き金となって神の因子が覚醒したといったところか。 精神状態の話だから、あまり論理的にも言えないけど。
しかしアスカがジュンを倒す方法というのがその…。 まあそりゃ、この上ない精神的ダメージを与えるという点では、殺すよりもっと手っ取り早くジュンを倒す方法だとは思うけど…。 ここ、あらすじでどう書こうか迷ったけど、ハードに書くとお下劣になるしソフトに書くとなんか余計にやらしいし。 うーん、どう書いても、そーゆーシーンなんだからどうしようもないっすね。 イメージ的なシーンならまだしも、そのまんまなシーンだし。 しかしテレビアニメで、いたしてるシーンを直接描写してるものはあるけど、いたすシーンを直接描写してるのって初めてじゃない? …って、何を言っとるんだ、私は。
えー、おほん。 かくしてアスカは神として覚醒した。 そのアスカは一体何をもたらそうというのか? それは最終回で明らかになる。
ところで一方、また捕まってしまって脱出しようと懸命な多香絵たち。 この半年間、ジュンがのほほんと暮らしていた間に苦労してたんだろうなあ。 ジュンがまた助けてくれると信じてね。 とは言っても、助けに行かなかったジュンを責めるわけにもいかないだろうけど。 ジュンはそんじょそこらのヒーローと違い、精神的には普通の女性だったんだから。
しかしとうとう真紀猛、デビルマンに変身! あの青い体はまさしくアニメ版デビルマンをほうふつとさせる。 しかも人間体に戻ったらどういうわけか服も元通りというところがこれまたニクいじゃないですか。 でもその変身の掛け声、リズムはまさに「デ〜ビ〜ル!」なんだけど、ちゃんと言ってくれないのがイヤだあ! まあ言ったら言ったで、悪ノリもええかげんにせえ!となるんだけど。(なんと勝手な)