とは言っても、その王道を突っ走る展開が心地良い。 全然ひねくってない、ストレート過ぎる御都合主義的な展開。 これが非常にすっきりしていて、複雑なストーリーばかり見せられる昨今においては、逆にストレートにこちらのハートを揺さぶってきて凄くいいんだよね。
はっきり言うと、私はこの作品のラストで泣いてしまった。もう感動すること間違いなし! …って私は結構すぐ泣くんで、あてにはならんかもしれんけど。
今回の冒頭5分間は前作までのダイジェスト。 ビデオ作品でわざわざダイジェストなんか見せなくてもいいような気もするのだが…。
今回の見所は、今度もやっぱりイクサー2、それはすなわちイクサー1を見ろということ。 最後まで自分の誕生理由に忠実であり続けたイクサー2は、かなわぬと知りながら戦いを挑んでイクサー1に敗れさる。 何よりイクサー1がかっこいいからイクサー2の最期が光っている。 名悪役として素晴らしい最期を遂げてくれた。いいぞ。
そして最後のビッグゴールドとの決戦は非常に抽象的な戦いが繰り広げられるんだけど、もうここら辺になるとクライマックスの雰囲気に酔っているため気にならない。 醒めてる人は色々と文句をつけたくなるところだろうけど、ここは素直に最後まで酔ってなさいって。
そして酔ってると、最後にイクサー1はどうやってあんなことしたんだ?なんて疑問も出てこない。 ああ元に戻ったのね、良かったなあと単純に思うだけ。
かくして酔いしれたまま感動が全身を包み込む。そういう風に接しないと充分には楽しめないよ、これ。
人によってこの結末は評価が分かれると思うけど、私は肯定派だ。 総じてこの作品、私は特撮ヒーロー的展開に酔いしれることができる人にお薦めするけど、いかが?
それは昔の話。そして今…。
イクサーΣと対峙したイクサーロボ。緊張が高まる。 イクサーロボは渾身のエネルギー波を放つが、イクサーΣは微動だにせずエネルギー波は完全にはじかれる。 驚く渚とイクサー1。そして間髪を入れず、天からイクサーΣのエネルギー波がイクサーロボを襲う。 イクサーロボの右腕が切断された。
膝をついたイクサーロボ。そこにイクサーΣが迫る。 イクサーロボはなすすべもなく倒され、更にイクサーΣは渚のコクピットを踏み潰そうとする。 それを見た小夜子は、思わず飛び出してきて渚の応援をする。
それを見たイクサー2は、セピアの制止を無視して小夜子を踏み潰す。 泣き崩れる渚。と、その時、イクサーロボが立ち上がった。 そこにパンチを見舞うイクサーΣ。が、イクサーロボはそのパンチをしっかりと受け止める。 イクサーロボに凄まじい力がみなぎってきていた。イクサー1もその力に驚く。 そしてイクサーロボはエネルギー波を放つ!
エネルギー波で受けてたつイクサーΣ。が、セピアはイクサー2の非情さに動揺していた。 その上、イクサーロボのパワーはもはやイクサーΣとは比べ物にならない。 イクサーΣのエネルギー波を弾き返し、イクサーロボのエネルギー波がイクサーΣを襲う。 イクサーΣが大爆発を起こす。 イクサー2はその寸前にテレポートして逃げ出した。
戦いは終わった。小夜子はイクサー1のリングで守られていて無事だった。 二人は小夜子を安全な場所に連れて行く。
傷の治療をするイクサー2。イクサー2にはセピアが乱れた理由も渚のパワーの源も理解できない。 イクサー2、そしてビッグゴールドは、渚に興味を持ち始めた。
小夜子を避難させた二人はビッグゴールドを倒しに行こうとする。 が、その二人の前にイクサー2とその部下レッダス・ブルーバが現れる。 そしてレッダスがイクサー1の相手をしている間に、ブルーバは渚をさらっていってしまう。 異空間に閉じ込められたイクサー1。傷をおしてかろうじてレッダスを倒すが、自らも力尽きて倒れてしまう。
一方、渚はノバに連れ込まれていた。 ビッグゴールドは渚を殺そうとするが、イクサー2は自分が欲しいと言う。 ビッグゴールドは渚の処理をイクサー2に任せる。
防衛軍の宇宙ステーションも破壊され、地球はもはやビッグゴールドの支配下にあった。 そんな中、イクサー2は渚に自分のパートナーになるように脅迫する。 脅える渚はイクサー1に助けを求める。
その時、異空間で倒れているイクサー1の前にイクサーロボが現れ、イクサー1を合体させ通常空間に戻る。 気がついたイクサー1は渚が呼んでいることを知り、イクサーロボでノバに突撃する。 しかしノバの反撃で、イクサーロボはボロボロに崩れていく。 が、イクサー1は最後のフルパワーを出し、ノバに突っ込む。
ノバ内部に降り立ったイクサー1は渚の声が聞こえた方に急ぐ。 だがブルーバとその部下のモンスターがその前に立ちふさがる。エネルギーが尽きたイクサー1はまともに戦えない。 と、ブルーバたちが退却する。そして奥から歩いてくる影がひとつ。 それは渚だった。
歩み寄るイクサー1。だが渚はそのイクサー1にビームを放つ。 そこにイクサー2の声が響く。彼女は自分のパートナーだと。
そして渚はイクサー2の命令を受け、イクサー1にとどめをさそうとする。
だがその時、イクサー1に渚の心の声が響く。渚は自分の意志では動けなくなっていたのだ。
「撃って!私を殺して!」
構えるイクサー1。が、渚を撃つなどイクサー1にできるはずがない。
が、そこに更に渚の声が響く。
「お願い、戦って!イクサー1!」
イクサー1は涙を流しつつ、絶叫すると共に渚を撃つ。倒れる渚。
すぐさま駆け寄るイクサー1。自分を取り戻した渚は、ありがとうと言って息絶える。
泣き続けるイクサー1。その時、渚の魂がイクサー1とひとつになった。それに気付くイクサー1。
「これが…これが…シンクロ!」
凄まじい力がイクサー1からほとばしる。周りを囲んでいたモンスター達が一瞬で消し飛ぶ。
更にブルーバを一太刀で倒すイクサー1。
そのイクサー1の前に立つイクサー2。
イクサー2は悟っていた。今のイクサー1には勝てないことを。だがイクサー2は道を譲らない。
「お姉様には…イクサー1には勝つ!」
「私はそのためだけに作られた、イクサー1を殺すためだけに作られた、イクサー2だ!」
イクサー1の目は悲しみに満ちていた。が、イクサー2の決意を悟り剣を抜く。
イクサー2が渾身の一太刀をイクサー1に振り下ろす。
が、イクサー1はそれをかわしイクサー2を斬る!
「お姉様…私も…渚のようなパートナーが…欲しかっ…」
イクサー2は倒れた。
イクサー1は異様な気配を感じる。ビッグゴールド!
テレポートし、イクサー1はビッグゴールドの前に立つ。
「ビッグゴールド!お前を倒す!」
イクサー1の攻撃を受け、ビッグゴールドはその正体を現す。
凄まじいエネルギー波を放つビッグゴールド。が、イクサー1は反撃を開始する。
「行きますよ!渚!」
その力の激突で、ノバが崩壊する。
更に両者は宇宙まで飛び出し、その対決はクトゥルフの船にまで及ぶ。
やがてビッグゴールドの断末魔が響き渡る。
イクサー1は勝ったのだ!
イクサー1はビッグゴールドとひとつになった。 イクサー1は渚の一番の願いをかなえることにする。 地球を、元の姿に!
…平凡な朝。平凡な女子高生の加納渚は、今日も遅刻寸前であわてて学校に向かう。
と、その登校途中、渚は妙な格好をした少女と出会う。
その少女は渚を、懐かしいような悲しいような潤んだ瞳で見つめている。
思わず立ち止まり目を合わせる渚だが、すぐに学校に向かって走り出す。
少女はそんな渚をずっと見送っていた。
「さようなら、渚」
イクサー1はクトゥルフの船に戻った。
彼らをずっと見守るために。
そして、彼らの新たなる旅が始まった。
製作 | ... | 久保書店・久保鐵男 |
プロデューサー | ... | 三浦亨 |
原案 | ... | 平野俊弘・阿乱霊 |
脚色・絵コンテ・キャラクターデザイン | ... | 平野俊弘 |
メカニックデザイン | ... | 荒牧伸志・本猪木浩明・大張正己 |
モンスターデザイン | ... | わたなべぢゅんいち |
音楽 | ... | 渡辺宙明 |
監督 | ... | 平野俊弘 |
制作 | ... | AIC |
イクサー1 | ... | 山本百合子 |
加納渚 | ... | 荘真由美 |
イクサー2 | ... | 戸田恵子 |
セピア | ... | 安藤ありさ |
サー・バイオレット | ... | 塩沢兼人・島本須美 |
ビッグ・ゴールド | ... | 塩沢兼人 |
小夜子 | ... | 渡辺菜生子 |
司令 | ... | 沢木郁也 |
艦長 | ... | 屋良有作 |
渚の母 | ... | 福純寛子 |
渚の父 | ... | 屋良有作 |
まみ | ... | 柴田由美子 |