仮面の忍者赤影 魔風編

概要

飛騨の里に魔風忍群が襲ってきた。 名高い飛騨一族を倒すことで名を上げることと、飛騨一族に伝わる秘宝、黄金の仮面を手にいれるためだ。 赤影の父であり飛騨一族の頭領である影烈風斎は、黄金の仮面の秘密を知る唯一の人物にして青影の姉である陽炎に仮面を託して逃がす。 かくして赤影たちと魔風忍群との間で、陽炎と黄金の仮面をめぐって熾烈な争いが繰り広げられることになったのだ。

解説

「あけましておめでとうございます」でほのぼのと始まる。 なんとついに赤影も信長たちと無関係となり、飛騨一族のために、日本の平和のために自発的に戦っている。

再びコミカルな面が見られるようになるが、シリアスであるべき時にはしっかりシリアスにしてくれるため安心して見ていられる。 しかし魔風雷丸のひょうきんぶりはなんとかならないのかなあと思わないでもない。 けど何より、最後の呪文が「ぱよよ〜ん、ぴよよ〜ん、ぷよよ〜ん…」というのはなんとかならんのかぁ? …実は安心して見ていられない作品かもしんない。

今回は青影の姉で盲目の美少女、陽炎(時美沙)が重要人物となる。 彼女はだてに影一族の一員ではなく、盲目ながら二里四方の音を聞き分けるし芯が強い女性。 でも特に忍術が使えるわけではないし、魔風十三忍の前では赤子同然。いい味出してる。

もう一人イチ押しなのが、第3話から第8話に登場した猿彦。 最初は赤影に従うふりをしてスパイしてたけど、それがばれたらなんと本当に魔風を裏切ってしまう男。 最後には双子の弟の犬彦を刺して死んでしまう。弟を殺すと自分も死んでしまうと知っていたのに。 なんかすごく印象深い。

で、これがなぜ本当に魔風を裏切ってしまったのか一切説明が無い。でも考えてみるとなんとなく分かる。

赤影たちと共に行動する内に赤影たちの情や正義にほだされたのか? いやいや、赤影の信用を得るために仲間すら殺すほどの男、そんな甘いタマではない。 そもそも彼が裏切るのは赤影に正体がばれてしまってから。その時に何が起きたのか?

まず正体がばれてしまってはスパイとしての価値がなくなってしまう、さりとて自分の忍術では赤影にはかなわないことは分かっている。 となると自分の存在価値がなくなってしまう。でも彼にもプライドはある。自分は無用などとは思いたくない。 そこで彼は思い切った手段を取った。魔風を裏切ったふりをして赤影たちの仲間になったように見せかける、というふりをして実は本当に魔風を裏切ったのである。

実は魔風なんだけど赤影たちの仲間になったように思わせる、というだけでは芸がない。 それでは今までと変わらないし、赤影たちをだまし通せる可能性も低い。そもそもそんな見苦しい真似は忍の美学に反するではないか。 彼は本当に仲間も裏切ってしまうことで、雷丸すら手玉に取った、いや取ろうとしたのだ。 自分の頭領すら翻弄するとは実に愉快ではないか。一見すっとぼけていて実はしたたかな猿彦のことだ、そういう行動を取っても不思議でないような気がする。 この強烈な自己主張によって、彼は自分の存在意義を再認識したのではあるまいか。

しかし残念なことに魔風雷丸はそれほど甘い相手ではなかった。 すぐに彼は捕まり、単に犬彦を死なせるわけにはいかないから、という理由で殺されずにすむ。 そうなるとまた彼の自己主張が始まる。自分は既に魔風においては殺されたも同然の忍者だ。 だったら本当に死んでやればいい。彼は魔風の本拠に戻り、雷丸の目の前で弟の犬彦を刺し殺す。 まさかそんなことをするとは誰も思っていない、そこに彼の行動理由がある。

魔風を裏切っているわけだから行動としては赤影たちを助けるものになっているんだけど、どちらかと言うと雷丸をギャフンと言わせたい(死語)という方が大きいと思う。 多分雷丸を快く思ってなかったのではないか。魔風十三忍には雷丸に反発している者もいるし。 しかし猿彦ほど強烈な人物はいなかった。やっぱり彼が一番好きだなあ、うん。

敵一覧

魔風雷丸
魔風忍群の頭領。その正体は空飛ぶ単眼のとかげ忍獣ジジゴラ。第13話で黄金の仮面の真の力に敗れ去る。
小文字右兵
炎と火薬の使い手。第1話で赤影たちに捕まり自爆する。
夜目蟲斎
鎧虫怪獣グロンの使い手。第2話で青影に急所のあごをやられて死亡。グロンもあごが急所だった。
雲間猿彦
岩をも断ち切る忍法はがね鞭の使い手。赤影の仲間になったふりをして赤影たちの動向を探る。 犬彦とは双子で、自分の聞いたことを瞬時に犬彦に伝えることができる。 第6話で赤影たちに正体がばれるが、第7話より本当に赤影たちの仲間になる。 しかし第8話で犬彦を殺して息絶える。
雲間犬彦
猿彦の双子の弟。猿彦と違って左頬に大きなほくろがある。 第8話で猿彦に刺し殺されるが、二人は片方が死ぬともう片方も死ぬため猿彦も一緒に死んでしまう。
血汐将監
ヒルの怪物、ギロズンの使い手。ギロズンは人間程度の大きさだが、人を吸い寄せて白骨にしてしまう。 第4話で赤影にやられて傷ついたところを、赤影の信頼を得るために猿彦に殺される。
闇の黒蔵
顔がのっぺらぼう。変装の名人。第5話で赤影に倒される。
口無水乃
油と炎を吐く岩石怪物ガガラを操るくのいち。母親を人質に取られているため雷丸に逆らえない。 第6話でガガラの爆発が元で死亡。その際にもう一度甦るガガラを青影に託す。 ガガラは第7話でザバミと戦って今度こそ死んでしまう。
足切主水
大カニ怪獣ザバミの使い手。第8話で赤影に倒される。するとザバミは消えてしまった。
引導坊
忍法ろくろ杖で杖を巨大化させる。第9話で息子のため赤影たちと戦うが、息子を救われたため改心する。
花粉道伯
人喰い植物ばびらんの使い手。鼻から輪をぶら下げている変な奴。雷丸に言わせると、ばびらんを使うには
「めしべとおしべのまぜこぜあわせ、らりろん、ちららりろん、ちりちりらりろん、ちららりろん」
が重要だそうだが、忍者でない私にはさっぱり分からん。第10話でばびらんを倒されると死んでしまった。
不動金剛丸
魔風地雷火陣という光線技(?)を使う。第11話で赤影と白影に敗れる。
でっかでっか東馬
大男なのに青影に化ける。怪力の持ち主。第13話でその実力を発揮する間もなく赤影にやられる。

魔風編 作品リスト

タイトル
第1話「魔風忍者の来襲」
長い戦いも一段落し、正月気分で飛騨を懐かしむ青影。しかしその頃、飛騨の影部落には鎧怪獣グロンが現れていた。 魔風雷丸は魔風忍群を率いて影部落を襲撃し、飛騨一族は窮地に陥る。 そして赤影の元に仲間が危機を伝えてくるが、それは魔風忍者の小文字右兵だった。赤影は右兵を倒し、飛騨へと急ぐ。 その頃、飛騨の烈風斎は意を決し、陽炎に黄金の仮面を託して黒影・紅影を護衛につけて逃がす。 一方の赤影の前にはグロンが立ちふさがっていた。
第2話「鎧怪獣グロン」
グロンに太刀打ちできない赤影たちはなんとか逃げ出す。 ところがその間に魔風忍群は影屋敷に突入し、影烈風斎の元へたどり着く。 烈風斎は忍法を駆使して雷丸たちと戦うが、雷丸のだまし討ちによって倒されてしまう。 そして赤影たちが影部落にたどり着くが、時既に遅く影一族は全滅していた。 赤影たちは瀕死の仲間を見つけるが、それは雷丸の変装だった。雷丸はグロンを呼び寄せ赤影たちを襲う。
第3話「忍法はがね鞭」
魔風忍群は陽炎たちの行方を探るべく影の里の村人たちを拷問にかけていた。それを助ける赤影。 一方黒影は一度里に戻り、その惨状を知る。そして陽炎の元に戻った黒影と入れ替わりに紅影が魔風の下忍に化けて赤影の元へと走る。 だが通信用の巻き貝から足がつき、猿彦に襲われる。そこへ赤影が現れ、猿彦は降参して仲間になる。 紅影から陽炎たちの居所を聞いた赤影たちは陽炎の元へと向かうが、猿彦と犬彦の能力によって既に魔風忍群は動き出しており、ギロズンが陽炎たちに迫る。
第4話「吸血怪獣ギロズン」
ギロズンによって、陽炎は拉致される。一足違いでやって来た赤影たちは二人を見たという老婆に導かれて道を進むが、そこで黒影の死体を発見する。 老婆は血汐将監だった。魔風の下忍とギロズンに襲われる赤影たち。紅影もギロズンにやられてしまう。 一方、雷丸は陽炎を拷問していたが、秘密を得ることはできない。 一旦魔風の元に戻っていた猿彦は魔風に捕まっていたふりをして赤影たちの元に戻り、陽炎の居場所を教える。 だがそこにはギロズンが待ち構えていた。
第5話「顔のない忍者」
飛騨の山一帯を張り巡らす魔風の網。赤影と青影はなんとか逃げ延びるが、青影は毒針にやられて熱を出す。 青影を看病する赤影。だが水を汲みに行った際に敵に襲われてしまう。 やがて赤影は青影の元に戻り、白影・猿彦と合流する。赤影の提案で隠れ家を移る4人。 しかし青影は赤影が魔風の下忍と話しているのを目撃する。その赤影は闇の黒蔵の変装だったのだ。
第6話「岩石怪物ガガラ」
猿彦のせいで居場所を知られた青影はガガラに襲われる。赤影たちは駆けつけるが、ガガラには全く攻撃が通用せず、青影はさらわれてしまう。 青影を盾にして陽炎を脅迫する雷丸。ついに陽炎は仮面の秘密は影の神像にあるとしゃべってしまう。 そして雷丸は口無水乃に青影を殺すよう命じるが、青影に自分の弟の面影を見た水乃は青影を逃がす。 一方影の神像に来た雷丸だが、実は陽炎は嘘を教えていたのだった。そこへ現れる赤影、黄金の仮面を取り返す。 しかし陽炎を救おうとしたところでガガラが現れる。
第7話「怪獣ががら対ざばみ」
正体がばれたにもかかわらず、再び赤影たちの元に現れた猿彦。今度こそ赤影たちの味方になると言う。 そして猿彦は再び魔風の元に戻るが、雷丸は猿彦を疑う。そこで猿彦はにせの黄金の仮面を持ってきて陽炎の居場所を聞き出す。 だが雷丸はそれが偽物であると気付き、犬彦に仮面強奪を命じる。犬彦は青影から仮面を奪取する。 一方赤影と白影は陽炎を救いに行くが、それは罠でありザバミが襲ってくる。そこへ、青影がガガラと共に助けに来た。
第8話「魔風堂の怪獣」
雷丸は、陽炎を奪われたものの黄金の仮面を再び手にしたのを機に、飛騨を離れ魔風の里に帰ることを決める。 一方赤影たちは再び猿彦と遭遇、雷丸は魔風堂に行ったと告げる。だがそれは犬彦の変装だった。猿彦は裏切り者として半殺しの目にあっていた。 魔風堂に来た赤影と白影だが、犬彦が白影を人質に取ったことで赤影は手を出せなくなる。 しかしそこへ青影に救われた猿彦が登場。犬彦を刺し殺して自分も息絶える。そこで雷丸は一旦退くがザバミが襲ってくる。
第9話「こども忍者術くらべ」
息子鬼丸に忍術を教える引導坊。だが雷丸は鬼丸を人質に取り、引導坊に陽炎奪取を命じる。 しかし鬼丸は魔風の下忍達を蹴散らして逃げ出した。一方赤影は安全のため青影と陽炎を飛騨に返す。 ところが飛騨への帰途、鬼丸が襲ってくる。互いに術を駆使する青影と鬼丸。だが鬼丸が崖下に落ちそうになった時青影が助け、二人は友達になる。 一方赤影たちに引導坊が襲撃を加えていた。引導坊は赤影たちをだまして硫黄ガスの部屋に閉じ込めるが、そこへ青影たちがやってくる。
第10話「人喰い植物ばびらん」
陽炎をばびらんに奪われてしまった赤影たちは伊豆の魔風部落を探す。そこで魔風から逃げ出した人足を見つけるが、現れたばびらんに食われてしまう。 魔風は村人たちをこき使って何かの工事をしていたのだ。手がかりを失った赤影たちだが、川に助けを求める扇子を見つけて辺りを探す内、倒れている娘を見つけ出す。 娘に導かれて赤影たちは奇妙な森にたどり着く。だが娘の正体は花粉道伯だった。まんまとばびらんの巣におびき寄せられてしまった赤影たち、ばびらんの攻撃を受ける。
第11話「とかげ忍獣じじごら」
魔風の本拠を探す赤影たちは、ようやく魔風から逃げ出してきた百姓を助け出し、その場所を知る。 しかし魔風の下忍たちの攻撃が激しいため、赤影たちは青影だけを残して正反対の方向に姿を消す。 青影は一人で下忍たちをだましていたが、嘘がばれて逃げ出す。そこへジジゴラが現れる。 一方の赤影たちは魔風の本拠にたどりつくが、それは罠だった。百姓の正体は不動金剛丸だった。
第12話「決戦魔風忍群」
青影を捕らえた雷丸は、再び陽炎に黄金の仮面の秘密をしゃべるように迫る。 その陽炎の脳裏をこれまでの出来事がよぎっていく。 グロンの攻撃、影屋敷からの脱出、ギロズンの来襲、闇の黒蔵の襲撃、ガガラとの戦い。 ガガラとザバミの戦い、つかの間の青影との再開、ばびらんとの戦い、ジジゴラの襲撃。 そして雷丸は赤影をおびき出すため地獄谷に青影と陽炎を磔にする。
第13話「六大怪獣包囲陣」
地獄谷にやって来た赤影と白影。だが青影と陽炎を盾に取られて手が出せない。 雷丸は陽炎から聞き出した金山からは何も出てこないと言い、本当の秘密をしゃべるように赤影に迫る。 だがその時陽炎たちの側に赤影が現れる。赤影と共にいた白影は人形で、白影が赤影に化けていたのだ。 二人を助ける赤影。そして白影の凧で全員逃げ出すことに成功する。
だが逃げる途中で青影が腹痛を訴える。そこでやむをえず全員野宿することに決める。 しかしその晩青影が起き上がり、黄金の仮面を奪って雷丸の元に行く。 実はそれは青影ではなく、でっかでっか東馬だった。赤影と白影は青影を尾行してきたが、本物の青影を盾に取られて捕まってしまう。 そこはジジゴラの口の中だったのだ。青影は眠っている五大怪獣に囲まれていた。
そこで青影は陽炎が練習していた呪文を見よう見まねで唱えてみる。すると黄金の仮面が巨大化して雷丸を下敷きにしてしまう。 やむをえず雷丸、赤影たちを助けるが、自分が助けられると態度を一変させ、五大怪獣とジジゴラを使って赤影たちを襲う。 ギロズンの毒ガスで動きを止められ、ガガラの炎が、ザバミの泡が赤影たちを襲う。
一方、眠っていた陽炎は青影たちの危機を察知して起き上がる。そこで陽炎は迷わず呪文を唱える。 すると黄金の仮面から強大なエネルギーが放たれ、次々と怪獣たちを一撃で倒していく。この強大なエネルギーこそが黄金の仮面の真の秘密だったのだ。 最後に倒れたジジゴラ、なんと雷丸の姿になって息絶える。魔風は滅んだ。
そして黄金の仮面を付けた赤影、赤い仮面を譲り受けた青影、白影、陽炎は飛騨へ帰る。 飛騨の里を再興するために。

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