この作品では大映イズムがイマイチに感じる。次の「ガメラ対ギャオス」がかなり大映パワー溢れるものなだけに残念だ。 しかし、ロケットが壊れて宇宙空間を平気で飛ぶガメラ、日本に来たと思ったらそのまま赤道まで飛んでいってしまい、更にバルゴンが虹を出すとすぐに大阪に現れる。 一体こいつの行動範囲はどうなっとるんだ!と怒鳴りたくなるあたりはなかなか大映イズムに溢れている。 実は飛行速度マッハ3というのは嘘で、亜光速かもしんない。
この作品がイマイチに感じるのはガメラ名物の子供が出ないからという点が大きい。 子供が大人を差し置いてストーリー進行を仕切ってしまうムチャクチャさがガメラの良さのひとつであるはずなのに。 とは言っても、真面目な怪獣映画かというとそうでもない。 いつの間にか自衛隊に口を出す立場になる圭介とカレン、バルゴンを誘導している危険なところにダイヤを奪いに現れる小野寺など、何気なく変。 でもやっぱり子供が出ないとガメラじゃないなあ。 子供を出さずに普通の怪獣映画を作ろうとしているあたり、そういう意味ではガメラシリーズの異色作と言えよう。(ムチャクチャゆーとる)
ニューギニアの伝説に伝わる、千年に一度現れると言われる魔物。オパールのような卵から孵化する。 本来は10年くらいで巨大化するが、赤外線を浴びたために急激な成長を遂げた。 舌の先から零下100度の冷凍液を吐く。背中からは物体を消滅させてしまう殺人虹光線を放つ。
水に長い間浸かっていると皮膚が溶けて死んでしまう。 ダイヤの光が好きで、伝説によればダイヤを湖に沈めるとそれを追って湖に沈み死んでしまうという。
一方、平田一郎は戦時中に見つけた巨大なオパールを入手すべく、弟の圭介などの仲間をニューギニアの洞窟に向かわせる。 だが現地では洞窟には魔物が出るという言い伝えがあった。それでも強引に進む一行。 そしてついにオパールを発見するが、一味の小野寺は欲を出し、圭介を生き埋めにしてオパールを持って逃げる。
だが水虫治療用の赤外線を浴びたオパールからトカゲのような生物が生まれて巨大化し、神戸に上陸、大阪に向かう。 冷凍液を吐く怪物に自衛隊は手も足も出ない。自衛隊は遠距離からミサイル攻撃しようとするが、怪物は背中から虹を放ちミサイルを発射前に爆破する。 しかしその虹のエネルギーに引かれて唐突にガメラが現れる。 ガメラは炎を吐いて怪物を攻撃するが、冷凍攻撃のために凍り付いてしまう。
現地人のカレンに救われて日本に戻って来た圭介はカレンと共に大阪に向かう。 カレンは自衛隊に、怪獣バルゴンはダイヤの光を好み、更に水に弱いことを告げる。 そして先祖代々伝わる5千カラットのダイヤの光でバルゴンを誘導し、溺死させようと提案する。 だが実行してみても、バルゴンはダイヤの光に見向きもしない。
医者の佐藤は、バルゴンが赤外線によって異常成長した特異体質であることを指摘する。そのために通常のダイヤの光では誘導できないのだ。 そこで自衛隊は、赤外線によって増幅したダイヤの光でバルゴンを誘導する作戦を実行する。 ダイヤによって琵琶湖に誘導されるバルゴン。だがそこに小野寺が現れ、ダイヤを奪う。 そして逃げようとした小野寺は、ダイヤごとバルゴンに食われてしまう。バルゴンを退治する手段は無くなった。
カレンに頼まれてバルゴンの虹が破壊した跡を見に行く圭介。そこで鏡だけが残っているのに気付く。
バルゴンの虹は殺人光線ではないかと推測する圭介。
「そう断定して差し支えないでしょう」
という博士。
かくしてバルゴンの虹を反射させてバルゴンを葬るべく、巨大なミラーが作成される。
そして反射作戦は成功するが、一度傷ついたバルゴンは二度と虹を放とうとはせず、バルゴンにとどめを刺すには至らなかった。
その頃、大阪では氷が溶けてガメラが甦っていた。そしてなぜかまっすぐ琵琶湖に向かう。 ガメラは琵琶湖でバルゴンと対戦、バルゴンを琵琶湖に引きずり込んで勝利する。 バルゴンの断末魔の虹が消え行く中、ガメラは飛び発ちどこかへ去って行く。
製作 | ... | 永田雅一 |
企画 | ... | 斉藤米二郎 |
脚本 | ... | 高橋二三 |
監督 | ... | 田中重雄 |
音楽 | ... | 木下忠司 |
平田圭介 | ... | 本郷功次郎 |
カレン | ... | 江波杏子 |
小野寺 | ... | 藤山浩二 |
平田一郎 | ... | 夏木章 |
佐藤 | ... | 藤岡琢也 |