ゴジラの逆襲

1955年4月24日公開
モノクロ、スタンダードサイズ
1時間22分

解説

前作「ゴジラ」が大ヒットしたため、急遽作られた続編。 だが「パート2は駄作」というジンクスがある通り、どう好意的に見ても前作に遠く及ばない作品になっている。 そりゃあ短期間であわてて作ればそうなるのは当たり前だ。 しかしゴジラが出るというだけで充分だった時代である。そのため観客動員数824万人という結果を残した。

前作から引き続き登場するのは山根博士のみ。それもゲスト的扱い。 今回は大阪を主な舞台として、新怪獣アンギラスも迎えてゴジラが大格闘を演じるという趣向。 ところがそのアンギラス、物語が終盤に向かう前にゴジラに殺されてしまう。 このことからも分かる通り、この作品は怪獣対決映画ではなく、やはりゴジラ単体にスポットを当てた映画なのだ。

この作品、前作が素晴らしすぎるせいもあるのだろうが、どうもイマイチに感じる。 まず、主役の月岡を始めとする人間たちのドラマがゴジラとうまくつながっていないこと。 これは巨大怪獣ものでは最も注意しなければならないことだ。後期ウルトラシリーズでもこういうことはありがち。 特に主役が民間人であればこういうことは起きやすくなるのだが、この作品では見事にそれが起きている。 そもそも月岡がゴジラに絡む理由がない。なぜ月岡はゴジラ捜索に協力しているのか? 会社が壊滅しても淡々としているし、親友の小林が死んだ時も結構あっさりしている。これでは共感などできないではないか。

肝心のゴジラ絡みの演出も疑問が残る。何よりゴジラが暴れるシーンにBGMが全くないのが変。 派手に暴れているにも関わらず、なんか単調な感じがするのだ。 最後の爆撃シーンもややしつこく、冗長な感じがする。

そして、アンギラスとの格闘シーンではなぜかフィルムの早回しが行われている。 ゴジラが動く時は、その重厚感を出すために普通は遅回しをするものなのだが。 これはアンギラスの敏捷性を演出するためかもしれないが、ゴジラも一緒になって速く動くのでは違和感ありまくり。

初期の東宝特撮は名作揃いなので、その中に埋もれてしまい本作はあまり批判されることはなかったように思う。 が、私の印象では、この作品はシリーズでも下位の方にランクインする作品である。 中期シリーズのような独特の味もなく、単なるB級モンスターパニック映画にしか見えないのだが、どうだろう。

登場怪獣

アンギラス (ANGURUS)

身長60m、体重3万t。

学名アンキロサウルス。1億5千万年ほど前に棲息していた恐竜の一種だが、シベリアで眠っていたところを核実験により甦った。 非常に狂暴で、他の生物に対して激しい敵意を抱く。

脳が体の各部に分散しており、そのため動きは非常に敏捷である。

ストーリー

魚群を求めて飛行機で飛んでいた(株)海洋漁業の月岡は、同僚の小林が不時着したと聞いて岩戸島に向かう。 が、そこにゴジラと謎の怪獣が現れ戦いを開始し、そのまま2匹は海に消えていった。

二人の証言から、謎の怪獣はアンキロサウルス、通称アンギラスだと分かった。 そして山根博士を招いてゴジラ対策が検討されることになったが、既にオキシジェンデストロイヤーが無い今、有効な対策は見つからなかった。

必死でゴジラを捜索する防衛隊。やがて大阪湾にゴジラが現れる。 避難する人々。月岡たちもまた避難する。一方のゴジラは防衛隊による照明弾の誘導で海に引き返しつつあった。

だがその頃、囚人たちが護送車から脱走し、車を奪って逃げていた。 そして追いつめられた囚人たちはガソリンタンクに突っ込んでしまい、辺りは炎上。 そこでゴジラは向きを変えて大阪に戻って来た。

攻撃する防衛隊。だがゴジラは平然と上陸する。 そしてまた、大阪に上陸するもう一匹の怪獣がいた。アンギラスだ。 防衛隊が攻撃する中、ゴジラとアンギラスは戦い始める。 辺り一帯を火の海に変えつつ、2匹の戦いの場は内陸部へと進んでいく。

もはや防衛隊もなすすべはなく、2匹は大阪城へと到達。 そして大阪城を瓦礫に変えた頃、ついに決闘に決着がついた。 ゴジラに喉笛をかみ切られたアンギラスは息絶え、ゴジラの放射能火炎によって焼き尽くされたのだ。 そしてゴジラは海に消え、行方不明となる。

廃虚と化した大阪の町。海洋漁業も瓦礫と化してしまった。 しかし社員たちの雰囲気は明るい。そして小林は新たな仕事のために北海道支社に飛ぶ。

しばらくして、月岡とフィアンセの秀美も北海道に飛ぶ。 そして宴会で再会を懐かしんでいたが、そこへ会社の船がゴジラによって沈没させられたという連絡が入る。 そこで月岡は防衛隊と共にゴジラ捜索に出て、ついにゴジラを発見する。

氷に覆われた神子島に上陸したゴジラ。防衛隊はそれを逃がすまいと爆撃を開始する。 が、ゴジラには全く通用しない。そんな最中、ゴジラを監視していた小林機が放射能火炎にやられて墜落する。 その際に山頂に激突して雪崩が発生し、ゴジラを襲う。これだ。

防衛隊は山頂を爆撃してゴジラを雪崩で埋めようとする。が、破壊力が足りない。 そこでロケット弾を搭載して出直すことにする。その間に氷の山を蹴散らし逃げ出そうとするゴジラ。 だがそこへ防衛隊の航空機隊が到着する。月岡もその隊に参加していた。攻撃を開始する防衛隊。 そして何機かの犠牲を出しながら、次々と雪崩が起こされていく。 やがてゴジラはついに、氷の山に埋もれ去ったのだった。

スタッフ

製作...田中友幸
原作...香山滋
脚本...村田武雄・日高繁明
音楽...佐藤勝
特技監督...円谷英二
監督...小田基義

キャスト

月岡正一...小泉博
山路秀美...若山セツ子
小林弘治...千秋実
山根恭平...志村喬
田所博士...清水将夫
荒木信吾...沢村宗之助
田島...土屋嘉男
井上やす子...木匠マユリ
山路耕平...笠間雪雄

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