必殺仕置人

放映

昭和48年4月21日〜10月13日、全26回
朝日放送・TBS系
毎週土曜22時〜23時

概要

極悪人、闇の御前が打ち首になった。しかしその首は、無実の百姓のものだった。 百姓の娘から話を聞いた念仏の鉄たちは、仇を討てば金になるという錠の言葉につられて事情を調べる。 そして彼らは、闇の御前と奉行が結託して私利私欲のために無実の人間を犠牲にしたことを知る。 怒りに燃える彼らは、闇の御前たちを始末し、奉行を切腹に追い込む。

そして鉄たちは、これからもこのようなお上が裁けない悪党を仕置する、仕置人をやっていくことに決めたのだった。

解説

中村主水が初登場する記念碑的シリーズ。 とは言っても、主水シリーズ第1段として見るとかなりの異色作になっている。 元々この作品では主人公は念仏の鉄であるためか、主水が殺しをしない話が多々見受けられるし(と言うより殺しをする方が珍しい!?)、主水が出てこない話もある。 それに、単に相手を殺して終わるというだけではなく、非常に手の込んだことをやる場合もよくある。 例えば第1話では、悪い奉行を殺さずに心中の片割れにして切腹に追い込んでいる。

更にこのシリーズ全体の特徴として、メンバーが素人である、という点が挙げられる。 いや、他にも素人が出てくるシリーズはあるが、グループとしての素人くささという点では仕置人が突出しているのではなかろうか。

なにしろ、頼み人の前に主水を含めて全員が顔を晒して話を聞くなんてこともあるし、頼み人の目の前で仕置きをしたり頼み人にとどめをささせたり、なんてこともやったりしている。 これは裏稼業としては掟を破りまくっていて最低だ。

ところがそんなことを彼らが気にしないのは、これを稼業だと思ってないからだ。 実はここに仕置人の本質があると思う。 彼らは職業としての殺し屋を営んでいたわけではなく、単に自分たちのやりたいように殺しを行なっていただけだ。 それで金が稼げるんだから言うこと無し。

このシリーズ以降、このような素人根性丸出しの一味は登場していない。 まさに素人独特の自由奔放さを味わえるこのシリーズ、必殺シリーズの中でも異色作と言えるのではなかろうか。

登場人物

中村主水(藤田まこと)
北町奉行所の同心。 奉行所では昼行灯と呼ばれて馬鹿にされ、家に帰れば種なしカボチャと呼ばれて馬鹿にされる。 そんな彼が生きがいを見いだしたのが「殺し」。 許せぬ悪を葬り去る極悪となることで自分の存在意義を感じるようになる。 そのため、この頃の主水は非常にエネルギッシュ。 実に楽しそうに仕置に臨み、相手が奉行だろうが大奥の大物だろうがためらわずに依頼を引き受ける。 この時期が主水にとって一番幸せな時期だったんだろう。 そのためか、最終話でグループ解散となった時、主水も仲間と一緒に旅立とうとする。 得物はもちろん、腰の刀。
念仏の鉄(山崎努)
観音長屋で骨つぎを営んでいる破戒僧。金にうるさく、女好き。 かつて佐渡の金山に送られたことがあり、そこで主水と知り合った。 殺し技は骨はずし。相手の首の骨や背骨を外す。
棺桶の錠(沖雅也)
観音長屋に住む棺桶屋。琉球生まれ? 熱血漢で、結構暴走しがち。 得物は手槍。
おひろめの半次(津坂匡章)
観音長屋に住むお調子者の瓦版屋。下調べ担当。
鉄砲玉のおきん(野川由美子)
観音長屋に住むちゃきちゃきの江戸っ子の女スリ。下調べ担当。
天神の小六(高松英郎)
身の安全のため牢屋に住む大親分。主水に一目置いており、仕置に協力する。
中村せん(菅井きん)
主水の義理の母。いつも主水に嫌みを言う。
中村りつ(白木万里)
主水の妻。この頃は夫婦関係は非情に冷え冷えしている。

全話リスト

第1話と最終話のみあらすじを記載。
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