とは言っても、この作品はシリーズから無視することができないのが困ったところ。 この作品は「必殺仕事人III」が始まる前週に放送されたのだが、前作「新必殺仕事人」で裏稼業から足を洗った主水の裏稼業復帰が描かれている。 そして「必殺仕事人III」の第1話は主水の仕事のシーンから始まる。つまりこの作品がないとシリーズがつながらないのである。
しかし、まあ単なる娯楽作品として野暮なことは言わずに見るのが正しいだろう。 でもゲスト仕事師たちとレギュラー仕事人のからみがいまひとつなのが惜しい。 特にスケジュールの都合か、仕置人以来の再会となるはずの錠と主水は全く顔を合わせない。残念。
なお、脚本段階では半兵衛と錠は登場せず、代わりに念仏の鉄が登場することになっていたらしい。 そうなるとゲストはほとんど死人ばかり。でもその脚本通りの完成作品も見てみたいものだ。
そんな中、唐突に主水の長崎奉行所栄転が決まる。勇次は鹿蔵の仇を取りたいと思うが、主水には裏稼業に戻る気はない。 やがて、鹿蔵とつなぎを取っていたおりくが江戸に戻ってくる。おりくは鹿蔵の仇を討つため、勇次と共に上方へと発つ。
長崎への旅の途中、主水は無一文になった加代と再会する。主水は別れようとするが、加代はついてきてしまう。 そして舞坂にて。セクンデたちはそこに滞在していたが、カピタンの妹マリアが逃げたというので異人の殺し屋たちが暗躍する。 そこで加代は、秀が半兵衛と手を組んで仕事をするところを目撃する。隠れ家に戻った秀はマリアを発見する。 だがそこへ異人の殺し屋が襲撃する。半兵衛のおかげで難を逃れる秀たち。マリアは長崎に連れていって欲しいと秀にまとわりつく。 秀は加代と合流。主水に頼んでマリアを長崎に連れていってもらおうとする。だが仕事人・与市にマリアを連れ去られてしまう。
大坂に着いた主水たち。その主水に天平が接触、寅の会に招く。そこで、セクンデと商人角屋が標的となる。 その仕事をわずか百両で競り落とすおりく。おりくは主水に事情を話す。与市はおりくの仲間で、鹿蔵の養子だった。 マリアが持っていた密書から、セクンデは角屋と共に鉄砲の密輸を行なっており、長崎の貿易を我が手に握るためカピタンと江戸屋を始末したことが分かったのだ。 だが主水は仲間になることを拒否する。仕方なくおりくたちは主水を外す。
その晩、仕事に向かう秀・勇次・おりく・与市・天平・虎。しかし寅の会の裏切り者のせいで返り討ちにあう。 天平と虎は銃弾の前に倒れ、勇次は捕らえられてしまう。そしてマリアも連れ去られる。 そのことを知った主水、ついに刀を抜いて裏切り者を自らの手で始末する。主水の腹は決まった。 せんとりつを船に乗せ、おりくたちと共に長崎へ向かう主水。
一方拷問を受けていた勇次は、セクンデの手下の裏切りと棺桶の錠のおかげでマリアと共に逃げ出す。 そして長崎に着く一行。錠のおかげで船で出島に侵入する段取りがつき、傷ついた勇次も与市の荒療治で復活する。
仕事に行く前に与市は敵の凶弾に倒れる。主水・おりく・勇次・秀・錠は出島に向かう。 セクンデはおりくの手によって、鹿蔵をやったのと同じく銃弾で倒される。
そして長崎奉行所に向かう主水。だが奉行所には既に仲村主水なる人物が着任していた。 中村主水の長崎奉行所就任は間違いだったのだ。かくして主水たちは江戸に帰ることになり、旅費を浮かすために徒歩で江戸に向かうのだった。
中村主水 | ... | 藤田まこと |
秀 | ... | 三田村邦彦 |
加代 | ... | 鮎川いずみ |
せん | ... | 菅井きん |
りつ | ... | 白木万里 |
勇次 | ... | 中条きよし |
おりく | ... | 山田五十鈴 |
知らぬ顔の半兵衛 | ... | 緒形拳 |
角屋 宗兵衛 | ... | 小松方正 |
伊八 | ... | 常田富士男 |
筆頭同心 田中 | ... | 山内敏男 |
棺桶の錠 | ... | 沖雅也 |
セクンデ | ... | アイ・ジョージ |
仕掛の天平 | ... | 森田健作 |
虎 | ... | 藤村富美男 |
仲村主水 | ... | 西郷輝彦 |
名倉堂 与市 | ... | フランキー堺 |
鹿蔵 | ... | 中村鴈治郎 |