戦え!!イクサー1 ACT. I

解説

第1作目。というか、元々1本しか作る気はなかったらしいが。 しかしこれだけで終わられたら、たまったもんじゃない。 もっと続きを見せろと言いたい。まあそういう声が多かったから続きが出たんだけど。

しかしこの作品自体は、今まで何度も指摘されているように、はっきり言って色々な要素を詰め込みすぎ。 美少女・アクション・ぐにゅぐにゅぬっちょん(なんのこっちゃ)・巨大ロボット。 状況説明が皆無に等しく、わけが分かんない内にいつの間にか終わってしまう。 ここで拒否反応を示すかどうかで評価が分かれると思う。

私は特撮もののお約束が頭に刷り込まれていたおかげで踏みとどまったが、ここで見限る人がいてもしょうがないかな、という気がする。 でもここで見捨てると非常にもったいない。 次巻でイクサー2が出てきてからがムチャクチャ燃えるのだから。

ディロスθ、そして次巻に出て来るイクサーΣ、とロボットの名にアルファベットが入るのは、マジンガーZに対するオマージュかと思われる。 数字が後に続いてたら完全に妖機械獣になるところ。

富士壱號の発進シーンはほとんどウルトラホーク1号。 それにこの戦艦、先端にドリルが付いてるしパラボラアンテナみたいなものからビームを出す。 ドリルもパラボラも東宝特撮に生きた男のロマン。鋭いところをついてくれる。

イクサー1の能力、そして異空間なんてものはほとんど宇宙刑事。 とにかく、全編が特撮・スーパーロボット作品へのオマージュに溢れている。

なに? オマージュじゃなくてパロディだろうって? あのねえ。パロディってのは、元ネタを曲解して似たようなものを作り、そのギャップを笑いの種にするもの。 本来の狙いそのままにカッコ良さを追求してるもののどこがパロディなんだよ!

なに? 富士壱號は笑えるって? いや、あのその、あれは単なるヤラレ役だからあれで…。 (ヤラレ役ってところで既にパロディじゃねーか)

えー、もひとつ付け加えておくと、ディロスθが飛来した時に出て来るカップルはどう見ても「機動戦士Ζガンダム」のカミーユ・ビダン&ファ・ユイリイ。 カミーユはサングラスかけて変装してた(笑)けど。ちゃんとセリフもあるぞ。

ちなみにこの作品、元々音楽は付かない予定だったので、渡辺サウンドも次巻以降よりは使用はやや控えめ。 それでもかなり燃えるぞ。

渡辺サウンドに燃える方にはお薦め。 特撮ファンにもとりあえず薦めておこう。

ストーリー

夜の町を逃げる男。その前に立ちはだかる謎の少女。 追いつめられた男は突如怪物に変貌し少女に襲いかかるが、少女は腕からビームを放ち怪物を滅ぼす。 怪物を放った「クトゥルフ」の長、サーバイオレットは彼女をイクサー1と呼んだ…。

ある平凡な朝。平凡な女子高生の加納渚は、登校途中でその少女・イクサー1に会う。 そしてその日の試験中、渚の周りが突如暗闇に覆われ、彼女は怪物に襲われる。 と思いきや、すぐに現実に戻る。幻覚だったのか? 渚はイクサー1が自分を助けたことを知らない。

更に渚は屋上で化け物に襲われる。またイクサー1が彼女を助けるが、わけが分からぬまま恐怖にかられて渚は逃げ出す。 そして渚は奇妙な世界・異空間に引き込まれる。気絶した彼女を怪物が襲おうとするが、そこに駆けつけたイクサー1がまたしても彼女を助ける。

渚が気付くと自分の部屋に戻っていた。イクサー1は夜通し彼女の家を見張る。 だが翌朝、イクサー1は隙をつかれて異空間に引き込まれる。そしてその前にボイドが立ちはだかる。 更にその隙に、寄生された渚の両親が彼女を襲う。 イクサー1はボイドを倒し、元の空間に戻って渚を救う。

イクサー1は渚に自己紹介し、自分のパートナーとして力を貸してほしいと言う。 が、両親を失った渚は錯乱しており全く話にならない。

しかしクトゥルフはその支配者ビッグゴールドの命により、既に攻撃用ロボットを地球に放っていた。 地球に飛来したロボット、コバルトが駆るディロスθは町を破壊し始める。逃げ惑う人々。 超兵器・富士壱號が出撃するが、その武器は全くディロスには通じず、一撃で撃沈される。 高笑いするコバルト。

イクサー1は渚に一緒に戦ってくれという。が、ディロスの強さを見た渚は頑なに拒否する。 やむを得ず、イクサー1は無理矢理渚を連れて行く。

天空から降り注ぐ一条の青い光。 そしてその光の中から、イクサーロボがその勇姿を現す。 渚は逃げ出そうとするが、無理矢理イクサーロボに吸い込まれてしまう。

イクサー1はイクサーロボを発進させ、ディロスと激突する。 激闘を開始するイクサーロボ。が、渚が泣きわめいているだけではシンクロできるはずもなく、ディロスに太刀打ちできない。 イクサー1は渚を叱咤する。
「自分の生まれた星を守りなさい!亡くなったご両親の仇を取るのです!」
その言葉が渚の心を動かした。 両親を殺された怒りと悲しみがイクサーロボに凄まじいパワーを注ぎ込む。

「出て行けぇーーーっ!」
イクサーロボの放ったエネルギー球がディロスを直撃する。 ディロスは吹き飛ばされ、身動きできなくなる。 そこにイクサーロボの怒りのパンチが炸裂する! パンチがコクピットを直撃し、ディロスが最期を迎える。

元に戻った渚とイクサー1。 渚はイクサー1の胸で泣き崩れる。 それを優しく抱くイクサー1。

だが、クトゥルフの侵略はまだ終わっていない。 がんばれ、渚。 戦え、イクサー1!

スタッフ

製作...久保書店
企画...久保鐵男
原作...阿乱霊
プロデューサー...三浦亨
脚色・キャラクターデザイン...平野俊弘
メカニックデザイン...本猪木浩明
モンスターデザイン...わたなべぢゅんいち
音楽...渡辺宙明
監督...平野俊弘
制作...株式会社A.I.C

キャスト

加納渚...荘真由美
イクサーワン...山本百合子
サー・バイオレット...塩沢兼人
セピア...安藤ありさ
コバルト...江森浩子

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