ストーリーはもう言わずもがな。 平和な暮らしを蹂躪され、領地を追われた清く正しい領主の家の者が領地を取り返すべく奔走するがかなわず、処刑されることに。 そこに清らかな乙女の祈りが通じ、大魔神が復活し…って、こんな書き方したら前作と一緒やがな。
まあ要するに、前作同様に典型的な勧善懲悪時代劇のフォーマットそのまんま。 そして例によって現れた大魔神は、ほとんどただ歩いてるだけで悪党どもを蹴散らしていく。 解説に困るくらい単純な話だ。
しかしこの単純さがやっぱり心地よい。 早百合が火あぶりにされるって時に現れて弾上たちを蹴散らす大魔神は、お約束と分かっていてもひじょうにスカッとする。 これぞエンターテインメント。
今回、大魔神の登場がムチャクチャ派手になってる。 なんと湖を真っ二つに割り、割れた部分を水が滝のように流れ落ちていく、その間を歩いてくるのだ。 モーゼもびっくり。
前作と何が違うねん、と言われるとそのシーンくらいしか思い浮かばない(ぉぃぉぃ)のだが、時代劇ってそういうもんでしょ? 素直に楽しみましょうよ、ね。
そしてある晩、御子柴弾上は千草に攻め込んだ。 不意を突かれて総崩れとなる千草領。そして千草の領主・十郎も行方知れずとなる。
そこで弾上は千草の分家・名越に一気に攻め込んだ。 十郎を捕らえるため、領主の兵衛を殺害し、その嫡男の勝茂を捕らえたのだ。 勝茂の妹であり十郎の許婚でもある早百合は悲しみに暮れるばかりだった。
そんな中、弾上の配下の玄藩は武神像を爆破しようとする。 それを止めようとする早百合の努力も空しく、やがて火薬は爆発した。 瓦礫と化し、湖に落ちてゆく武神像の破片。
その中でもかすり傷ひとつ負わなかった早百合は、船に揺られて来た十郎を発見する。 が、十郎は怪我も治らぬ内に千草へ行こうとする。 しかしそこに玄藩の手の者が追いすがる。 その時、湖に突如高い波が起こり、追手の船は湖の底へと消えてゆく。
十郎は千草に戻り、見事に弾上を捕らえる。 が、隙を突かれて弾上に逃げられてしまい、十郎はやむなく逃げ出す。 そこで弾上は名越の者たちに、十郎を差し出さねば勝茂を斬ると言い放つ。
しかし処刑の朝、勝茂はなんとか逃げ延びる。 が、一方で戻って来た十郎は玄藩の追手に襲われる。 十郎は逃げる途中で勝茂に出会うが、二人の船は玄藩の手の者に囲まれていた。 そして彼らは捕らえられ、処刑されることになる。
まず、十郎の目の前で早百合が火あぶりにされることになる。 辺りに響く弾上の高笑い。早百合は自らの命を賭けた祈りを捧げる。
その時、一陣の風が吹き、火が消える。 一方、湖では湖底から武神像が姿を現し、怒りの形相の魔神に変貌する。 そして湖は二つに割れて道となり、魔神はその道を悠々と進んでいく。
火をつけ直そうとしていた弾上たちの元に、重い足音が響き渡る。 そして石壁を崩し、魔神が処刑場に現れた。
魔神は早百合を助け、弾上に迫る。 城に立てこもる弾上。 だが城の守りも魔神の前には何の役にも立たない。 辺りを瓦礫の山と化しつつ、魔神は弾上を追う。 ついには武神像を破壊した火薬が使われるが、魔神には傷ひとつ付けられない。
そして魔神の放った大岩が玄藩を押しつぶす。 それを見た弾上は湖へ逃れようとするが、魔神の神通力は船の動きを停めてしまう。 そして魔神の怒りの眼は炎を呼び、弾上の船は炎上する。 帆柱の上へ逃れようとする弾上。が、逃げることなどかなわず、弾上は船の上で火あぶりにされる格好となった。
そして辺りは何事もなかったかのように晴れ渡った。 早百合が祈りを捧げると、魔神は元の穏やかな武神像の顔に戻って消えていくのだった。
製作 | ... | 永田雅一 |
企画 | ... | 奥田久司 |
脚本 | ... | 吉田哲郎 |
音楽 | ... | 伊福部昭 |
監督 | ... | 三隅研次 |
特撮監督 | ... | 黒田義之 |
千草十郎時定 | ... | 本郷功次郎 |
早百合 | ... | 藤村志保 |
度々平 | ... | 丸井太郎 |
鬼子島玄藩 | ... | 北城寿三郎 |
名越勝茂 | ... | 上野山功一 |
名越兵衛 | ... | 内田朝雄 |
池長俊平 | ... | 橋本力 |
御子柴弾上 | ... | 神田隆 |
田部隼人 | ... | 平泉征 |
荒井一角 | ... | 藤山浩二 |
土肥嘉門 | ... | 水原浩一 |
吾藤三郎太 | ... | 高杉玄 |
茂八 | ... | 神戸瓢介 |
鐘撞き和助 | ... | 寺島雄作 |
くめ | ... | 橘公子 |
太助 | ... | 黒木英男 |