スーパーロボット レッドバロン

放映

昭和48年7月4日〜昭和49年3月27日、全39回
日本テレビ系
毎週水曜19時〜19時30分

概要

ロボット博覧会に出展されるために集められた、世界各国のロボット達。 突如現れてそれを全て奪ったのは、デビラー総統率いる鉄面党だった。 人類をロボットの奴隷にしようと企む鉄面党は、ロボット工学の権威である紅健一郎博士も連れ去ってしまう。

だが紅博士は、密かに真紅のスーパーロボット・レッドバロンを完成させていた。 博士はSSIの隊員である弟・健の元に現れ、彼にレッドバロンを託す。 しかしそれはレッドバロンをも奪おうとする鉄面党の企みによるものだった。 だが紅博士はレッドバロンを鉄面党に渡すことを拒否し、健の目の前で爆死させられてしまう。

紅健は悲しみを乗り越え、兄の形見のレッドバロンを駆ってSSIの仲間と共に、鉄面党が繰り出して来るロボットと戦うのだった。

解説

ウルトラシリーズ仮面ライダーシリーズが絶好調だった時代、特撮作品はいかにこれらの作品と差別化を図るかがひとつのポイントだった。 そこで登場した本作品は、人が乗って操縦する巨大ロボットの戦いという新機軸を打ち出した意欲作だ。

…と言うと、誰でもある作品を思い浮かべるだろう。 本作より半年以上早く放映が開始されたあの大ヒットアニメ、「マジンガーZ」だ。 ともすれば本作は、マジンガー人気に便乗して作られたものと思われがちである。

が、実際のところ本作の企画は「マジンガーZ」が放映されるより前に始められており、ネタをパクったものではない。 それどころか企画の開始時期そのものが同時期だったかもしれない。 誰でも同じようなことは考えるものだ。

しかし結果として放映開始までが長すぎた本作はマジンガーの後追い作品になってしまった。 そのためマジンガーの影響を受けてしまった面もある。 が、本作の魅力は実写版マジンガーなどという言葉では語りきれないものがある。

まずその作品フォーマットだが、なんと1回で2度おいしいものとなっている。 何かと言うと、巨大ロボットの重厚感溢れる迫力ある戦いと、人間達のスピーディーなアクションが必ず毎回両方とも見られるのである。 と言うのは、鉄面党はメカロボという等身大のロボットを放ってSSIの邪魔をしたりするのだが、そのメカロボをSSIの面々が素手でなぎ倒すのだ。 そういう仮面ライダーを思わせるアクションに続いて、レッドバロンが登場すればウルトラマン風の大バトルに早変わり。 言わば両作品のおいしいとこ取り。なかなかニクいではないか。

特にSSIの面々の内、特筆すべきは紅一点の松原真理を演じる牧れい。 SSIの面々は皆そうなのだが、彼女も同じくほとんどスタント無しで激しいアクションをこなしている。 この時期の特撮アクションヒロインというと「キカイダー01」のビジンダー・マリこと志保美悦子が有名だが、彼女と互角以上の動きを魅せてくれるのだ。 もちろん(?)コスチュームも同じくミニスカートで、何のためらいも無くキックも放ってくれる。 ちなみにマリのは黒だけど真理のは白だ。…って何が?(笑)

そして肝心のレッドバロン。 ロボットならではの硬質感を実現するため、スーツの素材にはグラスファイバーを使用。 その製作費用、なんと200万円。 それだけ気合を入れた甲斐があって、非常に質感あふれる美しいものに仕上がっている。 もっともスーツが固いせいでアクションの方はある意味不向きで、レッドバロンの動きがなんだかモタモタしているような気がする。 まあそれがロボットらしい動きをリアルに見せているのだが。

また、ドラマの方は結構ハード。 なんだかトホホなドラマも多い特撮ものの中にあって、なかなか説得力あふれたドラマが展開される。 まあ巨大ロボットを暴れさせるというのは侵略手段としてはそれだけで結構説得力があるものだが、それだけでなく鉄面党の作戦も色々と知恵をしぼったものが多いのだ。 そのため、緊迫した雰囲気の話が多い。

もっとも、続く宇宙鉄面党編になるとなんとなくトホホっぽくなってしまう。 なぜか特撮ものはテコ入れするとトホホになってしまうものなのだ。 しかし全体的には完成度は高い。

物語は第26話までの鉄面党との戦いと、その背後にいた宇宙鉄面党との戦いを描く最終回までの2部構成となっているが、特に各部のラストが結構衝撃的。 まず鉄面党との最後の戦いで、SSIは2名の仲間を失う。 なんとそれが、隊長とチーム内のギャグメーカーという、およそ死とは無縁そうな二人だというんだから凄い。 この二人の最期のシーンは意表を突かれるためなかなか衝撃的で、戦いがハードであることを改めて思い知らせてくれる。

更に最終回。 ラスト近くまで、なんとも御都合主義的な展開で進み強引にめでたしめでたしになるといった雰囲気だったのだが、ラストで雰囲気は一変。 機械化社会への警鐘を残し、物語は重々しく幕を閉じる。 それまでの雰囲気が雰囲気だけに、ラストシーンがずっしりと心に残る。

ちなみに本作の脚本を書いたのは、上原正三、藤川桂介、伊上勝といった大御所がメイン。 ツボを押さえているのはさすがといった感じである。

制作した宣弘社はそれまで「シルバー仮面」に「アイアンキング」と、なんともクセのある作品を送り出してきていた。 (しかし一番有名な作品は誰がどう見ても「月光仮面」である) そして今回は正統派の巨大ロボットものを作り上げたわけだが、やはり単純にめでたいお子様作品にはならなかったのだ。

といった具合に、本作品は史上初の有人ロボットもの特撮作品であるが、それだけのものではない。 確かに画面からはマジンガーの魅力を特撮で、といった意向が見え隠れするものの、東映や円谷などの作品とは異なる独特のテイストを持つ傑作なのである。

レッドバロンとは?

身長45m。体重150t。 十万度の高熱にも耐えるバロンニウムで作られた、百万馬力のスーパーロボット。 紅健一郎博士によって作られた。 たった一人でこれだけのものを作ってしまうとは凄い人だが、それも当然、彼の正体は鏡の国から来たミラーマンである。 …わけないか? いや、どっから見ても鏡京太郎その人なのだが。

操縦席は目の部分にある。 そして操縦席で爆発等が起きても、シールドを張って致命的破壊から守ることができる優れもの。 動力は原子力のため燃料は不要だが、潤滑油として特殊オイルB・R70が必要である。 そして最初に登録された指紋と声紋の持ち主しか動かすことは出来ない。それが紅健だったため、彼専用のロボットとなった。

ん、声紋? そう、レッドバロンは操縦者が声を出さないと動かないのである。 操縦中に技の名前を叫ぶのは伊達ではない。 さすがにこれを作ったのはミラーマンだけあって、ヒーローのロマンを理解してくれてるぜ。 って、だからミラーマンじゃないっての。

レッドバロンは通信用ブレスレットで
「レッドバロン、出動ーっ!」
と命令することで発進し、健の元に飛んでくる。もちろん健の声でないと発進しない。 そして健が乗り込んだ後、まずは
「ファイトレバー、オン!」
で行動を開始する。なんとレバーを1本動かすだけで、敵に向かっていくのである。 このことから、操縦方法はかなりお手軽であることが分かる。

武器は、まず強烈なのがバロンパンチ。 はっきり言ってロケットパンチなのだが、その画面エフェクトが凄い。 画面奥から手前に向かって飛んできて、その際に画面スーパーの「バロンパンチ」という文字を打ち砕くのだ。 これを超えるインパクトのある武器はないぞ。

更に、胸からはバロンミサイル。ノドからはバロンビーム。(な、なぜノドなんだ!?) また、耳からは必殺武器、1億ボルトの高圧電流エレクトリッガーを発射する。

更にレッドバロンは作中で次々と強化されていった。 まずは飛行中でも使えるアームミサイル。 なんと握り拳が手首からパックリと二つに割れて飛び出すミサイルだ。 全ての指が真っ二つになるのだが、指がバラバラになって落ちたりはしない。 こ、この手はどういう構造になってるんだ?

また、宇宙鉄面党との戦いに備えて更なる強化がなされた。 宇宙飛行も可能な真紅の翼、スペースウィングス。(ジェットスクランダーなどと呼ばないように) 両肩に装着し、一撃で敵を撃破する強力ミサイル、ドリルアロー。

そしてそれだけにとどまらず、レッドバロンはもっともっと強化されていった。 レッドバロンは無敵のスーパーロボットなのだ!

SSIとは?

SSIは Secret Science Institute の略称。現代の忍者と称される、科学秘密捜査隊。 ボスの大郷を始めとする5人のメンバーで構成され、いずれも格闘や射撃等のエキスパートである。 何しろ全身機械のメカロボを素手で叩きのめしているのである。その実力は半端ではない。 そして忍者と称されるだけあって、彼らは全員普段は隠れみのとして別の仕事を持っている。

また忍者と称されるだけあって、彼らの仕事の内容はよく分からない。 鉄面党が活動を開始してからは鉄面党と戦い続けているが、本来の仕事は何なのか謎である。 が、警部が見ている前で堂々と拳銃を撃ったりしていることから、政府公認の秘密の特務機関であろうことは推察できる。 そして宇宙鉄面党の出現に伴い、ついに彼らは地球防衛隊の傘下に入り、隠れみのの仕事をやめてSSIの活動に専念することになる。

使用する車両は普通のジープとバイクに加え、専用車のアイアンホークがある。 さすがSSIの車で、なんだかタクシーみたいなカラーリングなので街を走っていてもさほど目立たない。 が、れっきとした武装車である。 それ以外にも、バズーカ砲みたいな物騒な武器も使う。

彼らの実力が半端ではないのも道理で、それは彼らの訓練ぶりを見ればよく分かる。 なんと地雷地帯を車やバイクで突破したり、レッドバロンが本気で攻撃してくる中を突破したりするのである。 レッドバロンがマジでエレクトリッガーを撃ってくるんだぞ。威嚇じゃなくてちゃんと狙って撃っているのだ。お、恐ろしい。 こんな調子で訓練してたら、メカロボごとき素手で倒せる超人になるわ、そりゃ。

敵の組織

鉄面党

第1話〜第26話まで登場。
デビラー総統率いるロボットの組織で、全人類をロボットの奴隷にしようと企む。 万国ロボット博に展示されるロボットを奪い、戦闘用に改造して破壊活動に使用する。 見ようによってはセコいやり口だが、予算や開発期間を考えると実に現実的な賢いやり方である。 が、それはSSIにそのロボットの性能や弱点などを最初から知られているということも意味しており、諸刃の剣となっている面がある。
別に自前でロボットを作る力がないのではなく、最初と最後だけは自前のロボットで戦っている。
等身大のロボットであるメカロボを多数配備し、手下として使っている。

宇宙鉄面党

第27話〜第39話まで登場。が、実のところは第23話から尖兵が地球に現れている。
謎のボス・ギラスQが率いる組織で、火星に本拠地を構えている。それまでの鉄面党は末端組織に過ぎない。 自前で作ったロボットを使って地球を襲う。
メカロボに代わるロボット兵を使用。だが顔がフランケンシュタインみたいで、はっきり言ってメカロボの方がかっこいい。 しかしこいつらは全員サーベルを持っており、攻撃力はメカロボより上のようだ。

登場人物

紅健(岡田洋介)
レッドバロンを操縦できる唯一の人間。SSIの隊員で、無邪気とも不敵ともつかぬ何とも言えない笑顔がトレードマーク。 4年前に両親と弟が行方不明になり、また兄を目の前で殺されたために天涯孤独の身の上となる。
さすがSSIの隊員で、身長45メートルのレッドバロンの肩に地上からジャンプして飛び乗ることができる。人間業とは思えん。 そして性格の方も、熱血漢と言うのとはちょっと違う。なかなか冷静に状況を見極めており、意外と聞き分けが良い。 これもさすがSSIの隊員と言ったところか。
普段は自動車修理工場で働いている。未成年だが、パチンコが好きなようだし第11話では堂々とビールを飲んでいる。おいおい。
松原真理(牧れい)
SSIの紅一点。未成年。普段は通信社のカメラマンとして活動している。なんとなく健に気があるように見える。 勇敢な性格で、射撃も格闘も他の隊員にひけは取らないが、お約束でよく敵に捕まる。 最初は素手でメカロボと戦っていたが、途中から鞭をビシバシいわせるようになる。ああ、女王様。(ぉぃぉぃ)
坂井哲也(加藤寿)
SSIの隊員。射撃の腕前は超一流。普段は自動車のセールスマンをしている。 クールなようで、いざとなると熱く燃える男でもある。イマイチ目立たないのだが、ちゃっかり最後まで登場している。
掘大作(保積ペペ)
SSIの隊員。未成年。でもビール飲んでた。 半ばギャグメーカーで頼りなげだが、隊員としての実力は相当なものだ。 普段はバイクで通信社の原稿運びをやっている。 大助という弟がいて、弟思いの優しい男である。 第26話で体内に爆弾を埋め込まれ、仲間に鉄面党の秘密基地の場所を告げて爆死する。
大郷実(大下哲夫)
SSIのボス。温和な性格で皆から慕われているが、必要とあらば非情な決定も下す男。 普段は自動車修理工場を経営している。 第26話で、デビラー総統を倒してレッドバロンの秘密の設計図を取り返すが、そのまま宇宙の鉄面党基地に連れて行かれることを知って自ら爆死を選ぶ。
三神四郎博士(潮哲也)
第27話より登場。SSIの新たなリーダーとして活躍する。 スペースウイングスを開発した科学者だが、バイクのテクニックや射撃・格闘技の実力は相当なもの。 登場時は全然科学者らしくないとSSIの面々に怪しまれたほどである。 よく、ここ一番という時においしいところを持っていくが、さすがライオン丸と言えよう。(違うって)
熊野一平警部(玉川伊佐男)
SSIと親交が深い人で、通称自転車刑事。サイレン付きの自転車を乗り回しているトボケたおじさん。 なんだかギャグシーンが多いが、実は警視庁科学捜査課の実力者(?)である。 超合金製の傘を開いて銃弾を跳ね返し、仕込み銃でメカロボをなぎ倒す。 それでもやられて捕まることが多い。
水木ひかる(雨宮貞子)
第18話以降、時々登場する熊野警部の部下。フランス帰り。 仮にも警察官なのに何を考えてるのか、超ミニスカでうろつき回る。
デビラー総統(伊海田弘)
鉄面党の首領。一見ただの白髪のおじさんだが、その非情さは相当なもの。 その正体はサイボーグ。第26話で大郷に倒される。

全話リスト

とりあえずリストのみ
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