帰ってきたウルトラマン

放映

昭和46年4月2日〜昭和47年3月31日、全51回
TBS系
毎週金曜19時〜19時30分

概要

環境破壊や地殻変動などで、眠っていた怪獣たちが再び活動を開始し始めた。 そして怪獣たちが街を襲撃する中、郷秀樹は危険も顧みず少年を助けたことで命を落としてしまう。 しかしそれを見ていた者がいた。地球上では長くとどまることができない、M78星雲から来たウルトラマンである。 彼は郷秀樹の行動に感動し、自分の命を郷秀樹に与えて甦らせた。 そして郷秀樹は怪獣攻撃隊MATに入隊し、ウルトラマンとなって怪獣たちと戦うのである。

解説

ピープロの「宇宙猿人ゴリ」に続く、いわゆる第2次怪獣ブームの火付け役のひとつ。 「マグマ大使」で「ウルトラマン」の先を越された円谷プロは、またしてもピープロに先を越される形になった。

最初の企画は、かつてのウルトラマンが再び地球にやってくるというものだった。 それから設定が色々と練り直され、最終的に放映された形となった。 結局ヒーローはかつてのウルトラマンとは別人という設定になったのだが、劇中ではずっとウルトラマンと呼ばれていた。 本人はいやじゃなかったのだろうか?

また、設定においても長らく正式な名前は与えられず、「帰りマン」とか「新マン」とか呼ばれていた。 だが後に、ようやく円谷プロから公式に「ウルトラマンジャック」という名前が与えられた。 でも私が子供の頃はずっと新マンと呼んでいたので、どうもジャックと呼ぶのは違和感がある。

本作品の特徴は、ハードなドラマと弱いウルトラマン。 ハードというかダークというか、人間の暗黒面をえぐるような話が結構ある。 ドラマの質は非常に高く、特にその放映月から「11月の傑作選」と呼ばれる第31話〜第34話などが有名。 「新マン」以降はお子様ドラマになった、と思い込んでいる人がいたらぜひ見てほしい。 また、ウルトラマンが怪獣に結構苦戦するのも特徴で、特訓して怪獣攻略法を編み出すなんてこともある。 これは「柔道一直線」などに代表されるスポ根ブームに影響されてのこと。

しかし、第37、38話で転機が訪れる。 ダークなドラマが頂点を迎え、レギュラー二人を殺した挙げ句にウルトラマンまで敗れてしまう。 その絶体絶命のピンチを救ったのは初代ウルトラマンとウルトラセブン。 この共演が好評であったことから「ウルトラ兄弟」のアイデアが生まれ、以降のシリーズでそれが強調されていくことになる。 またドラマ自体も一度頂点を極めてしまったことから、なんとなく雰囲気が変わっていく。

そして最終回。最後に「ウルトラ5つの誓い」として示されたものは、「腹ぺこのまま学校へ行かぬこと」を始めとする小学生向けの教訓のような言葉だった。 とても子供向けとは思えないハイレベルなドラマを展開してきた本作品の最後がこれである。 賛否両論はあろう。私もあまり納得できない。

が、実はこのラストは以降のシリーズの路線を物語っているのである。 完全に子供をターゲットとした娯楽路線。 続くシリーズにおけるウルトラファミリーの登場によるウルトラマンの擬人化、それはすなわちウルトラシリーズのSF色を吹き飛ばすものである。 SF作品から高度なドラマを志向してきたウルトラシリーズはここで子供向け作品としての方向性を明確に打ち出したとは言えないだろうか? その変遷を目の当たりにできるこの作品、ウルトラシリーズの歴史を語る上からも必見である。

ウルトラマンジャックとは?

ウルトラマン・ウルトラセブンと同様にM78星雲からやってきた。 身長40メートル、体重3万5千トン。飛行速度はマッハ5と初代ウルトラマンより速い。

武器は初代ウルトラマンと同様のスペシウム光線やウルトラスラッシュ。 また、フォッグビームやシネラマショットという光線技も持つ。 何より、第18話でウルトラセブンから贈られたウルトラブレスレットが最大の武器。 様々な形に変形するが、最も多いパターンは光線状の刃となって敵を切り裂くもの。

MATとは?

MAT(Monster Attack Team)とは国際連合機構の地球防衛組織に属する怪獣攻撃部隊。 その基地は東京湾の海底にある。

主戦力は、戦闘機として二人乗りのマットアロー1号と一人乗りのマットアロー2号。 更に宇宙用のスペースアローも存在する。水中では潜水艇のマットサブを使用。 そして地上では専用パトロールカーのマットビハイクルを使用する。 これには普段は武装はないがロケットランチャーを取り付けることが可能。

個人用武装としては、カートリッジの交換で光線などの各種攻撃が可能な小型銃、マットシュート。 そして連射可能な、やや大ぶりのマットガン。また、強力で大型のマットバズーカなど。

組織としては立場が弱いらしく、何か問題が起こる度に上層部から解散させると脅されていた。

登場人物

郷秀樹(団次郎)
ウルトラマンに変身するが、特に変身用アイテムはない。元々レーサーだったが、子供を助けた行動が認められてMATに入隊。 当初はウルトラマンとしての自分に慢心するなど、精神的に未熟な面があったが様々な経験で成長。 最終回で故郷(M78星雲)を戦争から救うために次郎少年に別れを告げて行ってしまう。 後に地球に戻り、怪人二十面相と称して少年探偵団と戦いを繰り広げたかどうかは定かではない。
坂田健(岸田森)
自動車修理工場を営んでいる。別に元SRIのメンバーというわけではない。 足が不自由になったためにレーサーの夢を断念し、その夢を郷に託す。 郷がMATに入った後も何かと彼の支えになる。第37話でナックル星人に殺されてしまう。
坂田アキ(榊原ルミ)
健の妹で郷の恋人。郷がMATに入ったことでデートする暇もなくなったとぼやいている。 第37話でナックル星人に殺されてしまう。
坂田次郎(川口英樹)
坂田3兄弟の末っ子。郷の影響で、将来はMATに入るという夢を持つ小学生。 郷を兄のように慕う。第37話で天涯孤独の身になってしまい、更に最終回で郷からも見捨てられて(?)しまう。 「ウルトラマンA」第10話にも登場するが、まだ郷のことを忘れられないその姿は痛々しい。 その悲しみを忘れるべく少年ライダー隊に入隊する…わけはない。
村野ルミ子(岩崎和子)
第38話から登場。マンションに引っ越した次郎の隣の部屋に住む女子大生。次郎の面倒を見ている。
加藤勝一郎(塚本信夫)
MATの隊長。温厚な性格。第22話で宇宙ステーションに転任してしまう。
伊吹竜(根上淳)
加藤隊長に続いて現れたMATの新隊長。鬼隊長と恐れられるが結構物分かりもいい。 第33話で現れた謎の托鉢僧が彼本人かどうかは永遠の謎である。
南猛(池田駿介)
MATの隊員で、サブリーダー的存在。実は光明寺博士が作ったアンドロイド…なわけはない。
岸田文夫(西田健)
MATの隊員。インテリで責任感が強い。情で動きやすい郷と何かと対立することも多い。
上野一平(三井恒)
MATの隊員。天涯孤独の身ながら結構ひょうきん者。
丘ユリ子(桂木美加)
MATの紅一点。通信がメインの仕事だが、怪獣相手に戦うことも多々あり。

全話リスト

とりあえずリストのみ。
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