| タイトル | 登場怪獣/宇宙人 |
第9話 | 「電光石火作戦」 | ガボラ |
脚本 山田正弘 特技監督 高野宏一 監督 野長瀬三摩地
台風13号の直撃で、あちこちに被害が出ていた。相手が台風では科特隊はお呼びではないので、イデやアラシは力を持て余す。
だが、台風の被害を受けた人にとっては深刻な問題だ。キャンプを張っていた少年団では、食料が予備の分まで流されてしまったためリーダー格の二人が町まで取りに行くことになる。
しかし台風の被害のせいで道を進むこともままならない。
一方、復旧作業を続けていた町では、地底から怪獣ガボラが出現して大騒ぎとなる。
ガボラはウランが大好物で、ウラン貯蔵庫に向かって突き進んでいる。もしそこがガボラに襲われたら、辺り一帯が放射能で汚染されてしまう。
科特隊は早速出撃する。
現場に着いた科特隊は、防衛線を張って火炎放射でガボラを威嚇する。
そしてめでたくガボラは方向を変えるが、変わった向きが悪かった。その方向には少年団のバンガローが!
そこでハヤタは一つの提案をする。ヘリにウランのカプセルをぶら下げて飛び、ガボラを30キロ離れたところに誘導してしまおうというのだ。
そしてハヤタがその危険な役を買って出る。
飛び立つハヤタのヘリ。が、ハヤタが地上を見ると見送りの人間が足りない。
なんとホシノ君と、それにフジ隊員までもがヘリに隠れて乗り込んでいたのだ。しようがないのでハヤタはそのまま飛ぶ。
そして誘導は成功し、ガボラはヘリの後を追い始める。
ガボラはウランを食べる時にも放射能を出すので、カプセルは人のいないところで切り離さなくてはならない。
が、あと3キロというところで人影を発見する。少年団の二人組だ。だがガボラは既に耐え切れずにヘリの攻撃を始めている。
ハヤタは危険ながら、一旦ヘリを降ろしてホシノ君とフジ隊員に二人を誘導してもらうことにする。降りる二人。
ハヤタは無事に最終地点に着いた。そしてカプセルを切り離そうとする。だが、装置の故障でカプセルが切り離せない。
そしてガボラの放射能光線がヘリを直撃する。墜落し、炎上するヘリ。そしてハヤタは地面に投げ出されてしまう。
と、ガボラが迫る。しかし落としたベーターカプセルがガボラの前に!
間一髪、ハヤタはベーターカプセルを手にする。そしてフラッシュビームがハヤタの体を包み込む。
ウルトラマンはガボラの前に立ちはだかる。ガボラのヒレをもぎ取るウルトラマン。
そして叩きのめされたガボラは絶命する。
科特隊は少年達をバンガローに送ると共に、食料を届けてあげるのだった。
今回出て来るガボラ、なんだか妙に有名な奴らしい。
何しろ、出てきた途端におっちゃん達からガボラだと呼ばれているし、子供でもガボラだと知っている。
科特隊の情報でもガボラは放射能光線を吐く怪物だと分かっているし、ガボラの皮膚は鋼鉄の5倍も固いなんてことまで分かっている。
なんでそんなに有名やねん!
…と、これには理由がある。元々この話は、パゴスが再登場する予定だったのだ。
よく見れば、ストーリーが「虹の卵」によく似てるでしょ?
パゴスだったら、人々が妙に詳しいのも道理というもの。
どうしていきなりオリジナル怪獣になったかは定かではないが、着ぐるみの破損のせいではないかという説がある。
予算の都合で、古い怪獣の着ぐるみを改造して使いまわすのは当時から当たり前。
そもそも元を正せば東宝のバラゴン。これがまずパゴスになって、その後ネロンガになった。
そして次にはマグラになり、その次にパゴスに戻るはずだったのだが、パゴスの首がつぶれたかなんかで急遽ガボラに改造されたようである。
大変ですねえ。ちなみにこのガボラ、めでたくバラゴンに戻って「怪獣総進撃」に出演したそうな。
ところで今回もまた、スペシウム光線なしで勝負が決まっている。ガボラはなんで死んだのかよく分からんほどあっけなく死んでしまうのだ。
これも脚本がパゴスだった頃のなごりか?
そしてラストシーン。ヘリが墜落したのに平気なハヤタを不思議がる少年がハヤタにそのことを問うのだが、その時の呼びかけが
「あのー、おじさん」
だって。うぷぷ。ハヤタは笑いながら無事であることをアピールしていたが、その心の中では
「うるせーこのガキ! 俺はまだ25だぁ〜!」
とか言っていたかもしれないね。うぷぷ。
|
第10話 | 「謎の恐竜基地」 | ジラース |
脚本 金城哲夫 特殊技術 高野宏一 監督 満田かずほ
(注 : 満田監督の名前は本当は平仮名ではなく「禾斉」という字である)
モンスター博士と呼ばれる男が、飼っている動物達に餌をやっている。そして湖にボートを出し、そこにも餌を投げ入れる。ジラースという動物のために…。
平凡な湖である北山湖で、魚の異常繁殖が発生した。釣り人達が次々に訪れる。
そして科特隊では、何か湖に異変があったのではと特殊潜航艇を繰り出す。
しかし、特に異常は見られなかった。ただ、調査したアラシは気付かなかったのだが、水中には黒い影がうごめいていた…。
そしてキャップの計らいで、彼らは特別休暇をもらうことになった。
少年グラフ誌の記者が北山湖に向かっていた。ネス湖の恐竜のことで、恐竜に詳しいモンスター博士こと中村博士の取材に向かったのだ。
そこで二階堂教授の話題が出る。彼は15年前にネス湖の探検に向かい、行方不明になった人だった。
その晩、イデは少年グラフ誌の久保記者と一緒に夜釣りに出かけるが、湖中に何か巨大なものがいるのを見つける。
そして、怪しい男が湖から戻って来る。二人はその男を追うことにする。
二人は秘密の洞窟を通ってどこかの部屋に出る。そこは、モンスター博士の研究室だった。
そして二人はモンスター博士に銃を突きつけられる。モンスター博士は二人に自分の秘密を見せる。
水中から現れる巨大な怪獣。これがジラースだった。
イデと連絡が取れないことに不審を持ったハヤタとアラシは本部に連絡し、捜索を開始する。
そしてキャップとフジ隊員も北山湖に急行する。
その頃、北山湖では釣り人が湖に毒を放り込み、魚の大量捕獲を企んでいた。
果たしてそれは成功するが、同時に湖からジラースが現れる。側にいた科特隊は、すぐに迎撃態勢を整える。
が、モンスター博士がそれを止めようとする。なんと彼の正体は二階堂教授だった。だが二階堂教授は上陸してきたジラースに踏み潰される。
その頃、監禁されていたイデはようやく通信機の修理を終えて救援を要請する。
キャップ達が救助に向かいなんとか脱出できるが、ジラースは間近に迫っていた。その時、ハヤタはウルトラマンに変身する。
ジラースと対峙するウルトラマン。ジラースの破壊光線は岩をも一撃で砕く。だがウルトラマンも負けずにスペシウム光線で岩を破壊する。
緊張が高まり、激突する両者。ウルトラマンに挑発されたジラースは、たやすくエリ巻を取られてしまう。
怒ったジラースは何度も突っ込むが、ウルトラマンは軽くいなす。
やがて冷静さを取り戻したジラース。再び静かな緊張が高まる。すれ違う両者。その時閃光がほとばしった!
再び対峙する両者。だが、口からの鮮血と共に倒れたのはジラースの方だった。ウルトラマンは、ジラースの首にエリ巻をかけてやる。
その屍に向かって、二階堂教授は自らの命尽きる時まで這い寄ろうとしたのだった。
この話は見所が多い。
まず、魚が異常繁殖したくらいで、わざわざビートルで特殊潜航艇を運ぶ科特隊。な、なぜいきなりそんな重装備!? まずは車で水質調査しに行くとかじゃないのか!?
ひょっとして、時の総理がその地方の出身とかで、裏から根回しがあったのだろうか?
…と思ってたら、実は単に科特隊が暇なだけだった。全員休暇もらってるし。訓練も兼ねた調査だったってことね。
で、やっぱり休暇中も青いブレザーの面々。ここでイデのせくしぃなシャワーシーンが拝めるので、ファンの人は必見。(ぉぃぉぃ)
そして、少年グラフ誌の記者が乗る自動車が凄い。怪獣の顔みたいな装飾がしてあって、ほとんど気分はライジンゴー。
こんな車に赤面もせず乗っているとは、少年グラフ誌の記者って一体…。
そしてモンスター博士へのインタビュー。彼は得意げに、
「1億7千年ぐらい前に生きていたネス湖の恐竜…」
という。さすがだ。億単位の年数なのに、千年単位で正確な値をはじき出すとは。
で、現れるジラース。こいつの正体がゴジラであることはもう有名すぎる話だが、正確に言うと首は「怪獣大戦争」のゴジラで、胴体は「モスラ対ゴジラ」のゴジラ。
なぜそうなったかは不明だが、無理矢理つないでその部分をエリ巻で隠してあるのはさすが。
更に今回のハヤタの変身。またしてもくるくる回るフラッシュビームだ。
そして今回のウルトラマンの戦いは非常に独特。
戦いが「ゴジラ対ウルトラマン」もどきだからだろうか、パフォーマンスの連続。
互いの腕を見せびらかす岩破壊合戦に始まって、ジラースを挑発して笑うウルトラマン。
そしてジラースのエリ巻を使って闘牛士の真似。ウルトラマンが闘牛を知っているとは…。
しかしこういうお遊びのような戦いとは裏腹に、ストーリー自体は哀しい。
なにしろジラース、湖から出てきただけなのに殺されているのだ。
それも、無理矢理ネス湖から連れてこられて人間に育てられていた。ジラースに罪はない。
ジラースが倒れた時から、悲壮な音楽が流れはじめる。ラストでアップになるジラースの死に顔。可哀相だと思わない?
ちなみに、湖に毒を投げ込む極悪釣り人の一人は「ウルトラQ」の戸川一平こと西条康彦。
実は戸川一平本人かもしれないが、それは不明。
それと、ワンシーンしか出てこないけどホテルのボーイはひょっとして古谷敏?
|
第11話 | 「宇宙から来た暴れん坊」 | ギャンゴ |
脚本 宮田達男 特殊技術 高野宏一 監督 満田かずほ
野原で遊んでいたホシノ君を始めとする子供達は、空から落ちてきた光る物体を発見する。
その不思議な物体は、ビー玉になれと思えばビー玉に、レーシングカーになれと思えばレーシングカーになるのだった。
ホシノ君はそれを科特隊に持っていき、そしてその石の科学的分析が進められた。
やがて、その分析結果が公表された。その石は、地球上には存在しない物質で構成されている、生物の特質を持った鉱物なのだった。
この石は人間のテレパシーを受けて、自由に姿を変えることができるのだ。
その記者発表終了前、ある男が机の下にトランシーバーを密かに忍ばせておいた。
そして男はトランシーバーを通じて話し掛けて石をロケットに変え、自らの元へ飛ばしてまんまと石を盗み出してしまった。
ホテルに逃げ込んだ彼は、これからは全てが自分の思いのままだと浮かれる。そしていたずらをしてやろうと、石を人間大の怪物ギャンゴに変える。
ホテルのあちこちに怪物が現れ、人々はひっくり返る。大笑いする男。
そして更に調子に乗った男は、石をもっと巨大なギャンゴに変える。だが、巨大化してホテルを突き破ったギャンゴのせいで、男は瓦礫の下敷きになって気を失ってしまう。
男が意識を取り戻して怪物のことを忘れない限り、ギャンゴはずっと実体化したままで暴れて続けてしまうのだ。
出動する科特隊。地上の熱戦砲とハヤタのビートルが攻撃を加えるが、弱ったと見せかけたギャンゴの奇襲でビートルは海中に墜落してしまう。
だが水中でハヤタはウルトラマンに変身する。
ギャンゴを迎え撃つウルトラマン。だが、あの男の脳波で生まれただけあってずる賢いギャンゴには、ウルトラマンも手を焼く。
あの手この手でウルトラマンをコケにして攻撃をかわすギャンゴ。やがてカラータイマーが点滅を始める。
だがその時、病院に収容されていたあの男が目を覚ました。そしてギャンゴはかき消すように消えて、元の石に戻ってしまう。
その後、科特隊本部にて。地球上にこういうものがあっては困る。そう言ってハヤタは部屋を出て行く。
やがて、宇宙の彼方に向かって飛んでいくウルトラマンの姿があった。
ご存知、青島幸男がゲスト出演するので有名な話。
石を花嫁に変えて鼻の下を伸ばし、ギャグを一発かましてくれる。
それだけでなく全体的にコメディー調で、ウルトラマンまでギャンゴのペースに乗せられてギャグ満載の戦いを繰り広げてくれる。
まあこんな話もたまにはいいでしょ。
冒頭、工場横の野原で馬跳びをして遊ぶ子供たち。ううっ、今じゃ絶対見られないよな、こんな光景。ほのぼのしてていいねえ。
ところでテレパシーで石が変化すると解説されていながら、なぜかトランシーバーからの声だけで石は変化してしまう。
テレパシーまで電波になって飛んでいくのか? 凄いぞ。
そして対ギャンゴに駆り出された兵器。またしてもAサイクル光線車が混じってる。ギャンゴのアンテナを吹っ飛ばしたり、ギャンゴに吹っ飛ばされたりして大活躍。
片やウルトラマン。ギャンゴの前に出るなり、いきなりシュワッシュワッと言いつつ指でヘイユーカモ〜ンなポーズをしてギャンゴを挑発する。
前回といい今回といい、なんか普段よりハイになってるぞ、ウルトラマン。何かあったのか?
でも実はいつも通り真面目に戦うウルトラマン。ギャンゴに騙されてひっくり返され、上に乗っかられてしまう。
そこでウルトラマン、ギャンゴの脇腹をコチョコチョ。おいおい、どこがマジメやねん。
更に海にハマってしまったので、ギャンゴに水をかける。ガキかお前は!
そして、かがんだギャンゴに馬跳び! ええかげんにせえ!
|
第12話 | 「ミイラの叫び」 | ミイラ人間、ドドンゴ |
脚本 藤川桂介 特殊技術 高野宏一 監督 円谷一
洞窟から7千年ほど前のミイラが原形そのままに発掘された。
その洞窟には、巨大な生物の壁画が描かれていた。
ミイラは科学センターに安置されたが、その晩、勝手に実験装置が動作してミイラに放電を始める。
そして、ミイラは蘇生して動き出し、警備員を惨殺して逃走してしまう。
連絡を受けた科特隊は早速出動する。
岩本博士の言葉によれば、このミイラは死んでいなかった。一種の冬眠状態のまま生きていたのだという。
博士は、7千年生き延びた謎を解くために生け捕りにしてくれと頼む。
やがて下水道でミイラが発見され、警官隊が地上へと追いたてる。
が、ミイラは怪力であり、しかも目から放つ怪光線のために次々に警官が倒されていく。
そしてその頃、ミイラの発掘現場で地震が発生していた。
やむをえず科特隊は、スパイダーでミイラを倒してしまう。
その時、発掘現場から巨大な怪獣が姿を現した。
連絡を受けたキャップ達はビートルで出撃する。怪獣ドドンゴは、目から怪光線を放って辺りを破壊しつつ、ミイラの元へ突き進もうとしていた。
科特隊は地上に降り、アラシはイデが発明したバリアマシンを装備してスパイダーでドドンゴの目を狙う。
バリアマシンのおかげで怪光線も平気なアラシは、ドドンゴの右目を粉砕する。
が、残った左目の光線が岩を吹っ飛ばしたため、アラシはやられてしまう。
援護して残る左目を粉砕するイデ。そしてハヤタはウルトラマンに変身する。
両目を失ったドドンゴなどウルトラマンの敵ではない。ウルトラマンのスペシウム光線がドドンゴを粉砕する。
発掘さえしなければずっと眠っていられたのに…。静かに横たわるドドンゴの死体を前に、皆はそう思うのだった。
久しぶりに登場する岩本博士。物理系の人のはずなのだが、なぜか古代遺跡の発掘に同行している。
この人も全くもって専門不明なんだよね。初登場からして生物学やってるし。
そしてミイラの復活。その連絡を聞いたイデだが、「うん、うん、了解」の短いやりとりで、警備員がミイラと格闘して殺されたこと、更に警官が殺されたことなど、全ての報告を受け取っている。
凄い。電話の相手は要領よく報告をまとめる達人に違いない。科学特捜隊に入れたらどうだろう。
やがて現れるドドンゴ。科特隊は目を潰すというエグい作戦をたてるが、そのドドンゴ。
片目を潰された後なのに、両目が無事なカットがあるぞ。私は見逃さない、フッフッフ。
そしてハヤタはウルトラマンに変身するのだが、この時にキャップに背後から攻撃しろと言われており、単独行動を取った時にすぐさま変身している。
おいおい、キャップから指示を受けただろうが、ウルトラマンであるより前にあんたは科特隊の隊員としてだな…と思っていると、なんとウルトラマン、後ろから攻撃していった。ううむ、なんか律義だなあ。
しかし背後から馬乗りになったウルトラマン、ドドンゴの尻を叩いて走らせる。
…やっぱり最近ハイだぞウルトラマン。
ところで久しぶりにカラータイマーが凄く早い。点滅までわずか50秒。まあ戦い自体が凄く短いのだが。
そしてハヤタに戻るウルトラマン。なんとそのハヤタに戻るシーンが描かれている! これは貴重だ!
なおついでに言うと、ハヤタがウルトラマンではないかと怪しむイデの姿も描かれている。
怪獣やっつけ隊の面々がウルトラマンの正体を疑問に思わないというお約束はこの時点では存在しなかったわけだ。
これは初期から何度か怪しむ様子が描かれていたのだが、ひょっとしたらイデがハヤタの正体を看破して云々、という話も予定されていたのかもしれない。
でも実際のところ、こういう伏線は生かされることなく闇に葬られてしまったわけだけど。
|