ウルトラマン 作品リスト 4

タイトル登場怪獣/宇宙人
第13話「オイルSOS」ペスター
脚本 金城哲夫  特殊技術 高野宏一  監督 円谷一

中近東で油田やタンカーが炎上する事故が起きていた。だがその原因は全くつかめなかった。
そして日本。不思議な光が海の中を移動し、そこから現れた怪獣がタンクローリーを炎上させてしまう。 早速科特隊が出撃するが、海は穏やかで何の異常もない。
と、その時、ビートルが怪光を発見した。そしてタンカーが炎上する。 海の中から怪獣ペスターが姿を現した。
岩本博士の説によれば、怪獣は油を食べて生きているという。 そして怪獣の腹には油が詰まっている。怪獣自体が爆弾のようなものだ。 一見倒すのは簡単そうだが、もししくじって上陸されたらとんでもないことになってしまう。
ペスターをおびき出すため、海にガソリンのドラム缶が撒き散らさせる。 そして首尾良くペスターは現れ、ドラム缶を食い始める。 だがそこで加えたビートルでの攻撃は外れ、ペスターは湾内に侵入する。
キャップは湾内での発砲を固く禁止する。が、海中から現れたペスターに、イデは反射的に発砲してしまう。 怒ったペスターが炎を吐き、湾内は炎に包まれる。そしてペスターは上陸し、炎は製油所にも広がっていく。
キャップはイデに再び発砲を命じる。今度はミサイルが命中し、ペスターは倒れる。
だが炎はどんどん燃え広がっていく。 発砲した件を製油所の人に非難され、イデはいたたまれなくなって飛び出していく。 一人で懸命に消火作業を行なうイデ。だが回りを炎に包まれ、イデは倒れてしまう。
ハヤタはウルトラマンに変身する。ペスターが断末魔の炎を吐くが、スペシウム光線で撃破する。
そして手から放つウルトラ水流が炎を消していく。こうして無事に炎は収まり、イデも無事に助けられたのだった。

前話のドドンゴ同様、二人で入る着ぐるみが登場する。 実は前回も今回も、名義は高野宏一になっているが実際には特撮も円谷一が担当している。 さすがは御大円谷英二の実子、一味違うことをやろうという意欲が見てとれる。
しかしその意欲作のペスター、ムチャクチャ弱い。はっきり言って科特隊にやられた…いやそれ以前に自滅したも同然。 ウルトラマンの役目はペスターを倒すことじゃなくて、火事を消火することなのだ。 一応怪獣と戦わないとさまにならんので申し訳程度にスペシウム光線だけ撃ってるけど、完全に付け足し。
まあそれはそれで構わんし、単なる水芸にウルトラ水流などというたいそうな名前が付いてるのも別に気にしない。 だけどね、ただの水芸でカラータイマーが1分30秒で点滅するというのは軟弱だぞ、ウルトラマン。
ちなみにウルトラマンの顔がゴワゴワなAタイプマスクは今回で見納め。次回からハンサムになったBタイプマスクで登場する。 そうか、なんか最近ウルトラマンの戦い方がハイだと思ってたら、さては怪獣を倒すのが快感になってきてたな? それがストレス解消になって、顔の吹き出物も治ったんだな、うんうん。
なお、刑事役で「ウルトラセブン」のマナベ参謀こと宮川一郎が登場。
第14話「真珠貝防衛指令」ガマクジラ
脚本 佐々木守  特殊技術 高野宏一  監督 実相寺昭雄

給料日、イデを引き連れて銀座にショッピングとしゃれ込んだフジ隊員。 だが、自分の誕生石である真珠は最近価格が高騰していた。養殖真珠が壊滅的ダメージを受けたらしい。
真珠貝を避難させるべく運搬していたトラック。その前に怪獣が現れ、なんと真珠を食べ始める。 早速出撃する科特隊。特にフジ隊員は、女の執念で殺気立っている。
ビートルで攻撃を加える科特隊。が、怪獣ガマクジラの潮吹きをまともに食らって不時着する羽目になってしまう。 科特隊は一晩中ガマクジラを見張る。真珠を消化しているらしい音を聞き、フジ隊員は半泣きになってやめてと叫ぶ。
翌日、ガマクジラが移動を開始した。真珠を求めて都会に行くつもりらしい。 科特隊は2機のビートルを駆使してガマクジラを攻撃する。 そして電子網でガマクジラを釣り下げ、放電でガマクジラを痛めつける。 だがガマクジラが暴れたせいで、ハヤタのビートルが叩き落とされてしまう。
浜辺に上陸するガマクジラ。女性のアクセサリーを狙いはじめる。 ガマクジラが真珠の光を追いかけるのを見抜いた科特隊は、真珠爆弾を投下する。 ばらまかれた真珠を食べるガマクジラ。だがそれが体内で次々と爆発を起こし、ガマクジラは悶え苦しむ。
だが、爆発に耐え抜いたガマクジラはより強力になってしまう。 潮を吹きつつ前進するガマクジラ。 一方、フジ隊員に助けられたハヤタは小型ジェット噴射機を要請する。 ガマクジラに撃ち込んで、空の彼方へ追いやろうというのだ。 ビートルは小型ジェット弾を打ち込む。
その頃、ハヤタはウルトラマンに変身していた。 ウルトラマンは空へ飛んでいくガマクジラに向かっていく。 そしてガマクジラに体当たりして、ガマクジラを粉砕する。
かくして真珠は豊富に取れるようになり、科特隊の給料でも買えるようになった。 そしてフジ隊員は、イデに荷物を持たせて今日もショッピングにいそしむのだった。

いよいよ初登場、佐々木守&実相寺昭雄コンビの作品。 このコンビの作品の特徴のひとつは、「普段と異なる様子を描く」ということ。 話自体は普通っぽいこの作品だが、その特徴が早くも表れている。
まず冒頭、ショッピングするフジ隊員。それ自体珍しいのに、ウインドウに顔を押し付けて鼻がつぶれている。女性のこんなところを撮るとは…。 でもラストシーンで真珠に彩られた美しい姿を撮ってもいるので、相殺というところか。
そして、怪獣を見張ってたき火を囲む面々。このシーンは後の話にも見られる。
で、その怪獣ガマクジラ。何かとしゃれた名前が多い本作品の怪獣達の中にあって異彩を放つベタベタな名前だが、これには理由がある。 初めてウルトラマンの脚本を手がけることになった佐々木守。 怪獣の名前は円谷プロの専門家が考えてくれるんだろうと思って、脚本にはガマとクジラを合わせたような奴ということで適当に名前を書いておいた。 すると、なぜか完成作品に至ってもガマクジラのままだったというわけ。名前はちゃんと自分で考えようね。
しかしそのガマクジラ、着ぐるみ自体もなかなか独特。 まず、太めなくせに着ぐるみは皮しかないので、体がブヨブヨ。なんとも雰囲気が出たものになっている。 が、それが不幸の源だったかもしれない。真珠爆弾作戦を食らった際に凄くリアルにのたうち回るが、これは演技じゃない。 爆発した際に火花が着ぐるみの中に入ってしまって、それで中に入ってた人がのたうち回ってしまったという次第。 う〜む、恐いぞ。
それにガマクジラ、顔もラブリー。ラスト、空を飛びつつイヤそうに首を振るガマクジラは、ホントにイヤイヤ顔に見えるぞ。
第15話「恐怖の宇宙線」ガヴァドン(A)ガヴァドン(B)
脚本 佐々木守  特殊技術 高野宏一  監督 実相寺昭雄

教室に貼り出された子供たちの絵。様々な怪獣が描かれている中、オタマジャクシのような絵があった。 それを描いたムシバ少年は、怪獣ガヴァドンだと言うが皆に笑われる。 そしてムシバは、そのガヴァドンを土管に大きく描いてみた。
その晩、宇宙線の奇妙な変動がキャッチされた。 そしてその翌朝、ムシバが描いた絵は実体化してその巨大な姿を現す。 宇宙線の影響でガヴァドンは実体を持つ怪獣になったのだ。ムシバは大喜びする。
科特隊は早速出撃する。だがいくら攻撃してもガヴァドンはすぐに眠ってしまうだけだ。 待機する科特隊。そしてガヴァドンは、日が沈むと共にその姿を消してしまう。 宇宙線の影響で絵が日中の間だけ実体化することを知った科特隊は、怪獣は暴れずに寝ているだけなので様子を見ることにする。
その晩、子供たちは協力してノッペラボウのガヴァドンを強そうな姿に描き変える。 そして朝が来るとそのガヴァドンは実体化するが、やっぱり眠っているだけだった。 しかしそのイビキは相当なもので、街の機能が麻痺してしまう。 そこで科特隊は、ガヴァドンと再び戦うことを決定する。
翌朝、やっぱり眠っているだけのガヴァドンに対して総攻撃が開始される。逃げ回るガヴァドン。 子供たちはガヴァドンへの攻撃をやめさせようと、科特隊の前に立ちはだかる。 ハヤタはウルトラマンに変身する。
ガヴァドンとの戦いを開始するウルトラマン。 子供たちが始終ブーイングを浴びせる中、ウルトラマンはガヴァドンを抱えて宇宙へ飛んでいってしまう。
がっかりする子供たち。その晩、彼らの前にウルトラマンの声が聞こえてくる。 毎年7月7日の晩、ガヴァドンは星となって彼らの前に現れる、と。 そして彼らの前に、星になったガヴァドンの姿が見えるのだった。

佐々木&実相寺コンビの異色編。なにしろ子供に帰れと言われるウルトラマンなんて、そうおいそれと見られるもんじゃない。 ファンタジックな作風で、ラストは子供にも優しいウルトラマン、七夕の晩に星になったガヴァドンに会えるようにしてあげる、と手堅くまとめているが、そこに
「七夕の夜、雨が降ったらどうなるんだよぉ」
と鋭くツッコミを入れておくのも忘れない。ちなみにそれに対するウルトラマンの返事はナシ。 結局、やむを得ないこととは言え、子供たちの夢は大人たちの都合でもみ消されてしまって救われてはいないのだ。
鋭いツッコミと言えば、イデが夜の間にガヴァドンの絵を消してしまおうという鋭い案を出すが、あっさり却下されてしまった。 科特隊が落書きを消しに行くような真似ができるか、怪獣と正々堂々と戦うのだ、というわけだ。 一番安全かつ確実な方法だと思うのだが、これも科学特捜隊という組織の都合、すなわち大人の都合と見ることもできる。
イデはガヴァドンを攻撃せず見ているだけにしようとも発案していた。イデっていうのは子供っぽいせいか発明家のためか、組織の立場なんてものに縛られてなくて発想が非常に柔軟なんだよね。 こういう科特隊が攻撃的に描かれる話では、イデはそれに反発するような立場を取ることが多いのだ。
そして今回、思いきり影が薄いハヤタ。なんとムチャクチャ浅い川にはまって流されながら変身する。な、情けない。
ちなみに、子供の一人は「仮面の忍者赤影」の青影こと金子吉延。 そして土管の管理をしているコミカルなおっさんは、後に「怪奇大作戦」のSRIの所長・的矢忠を演じる原保美。
第16話「科特隊宇宙へ」バルタン星人
脚本 千束北男  特殊技術 高野宏一  監督 飯島敏宏

人類最初の有人金星ロケット・おおとりが、開発者の毛利博士自らを乗せて飛びたとうとしていた。 科特隊も念のため救助態勢を整える。だがロケットは無事に宇宙へと飛びたっていった。 岩本博士も同じ金星ロケットのフェニックス号を開発していたが、テスト不充分ということで打ち上げは延期したのだった。
おおとりから送られてくる映像を見て歓喜する科特隊の面々。 だが、そこに謎の電波が混入し、おおとりからの電波が遮られた。 すぐさまイデは新開発の、全宇宙語翻訳装置とも言うべきパンスペースインタプリタをセットする。 それによって電波が解析されると、なんとバルタン星人の姿が映し出された。 バルタン星人は新天地アール惑星を見つけたが、まだ地球をあきらめてはおらず人類に挑戦すると言う。
その頃、おおとりは謎の隕石と接触し、燃料を吸い取られてしまっていた。 バルタン星人の仕業と見たキャップ達が岩本博士に相談したところ、なんと博士はフェニックス号に使われているハイドロジェネレートロケットエンジンをビートルに装備すると言う。 そして案の定、おおとりにはバルタン星人が現れ、毛利博士にのり移っていた。
宇宙へ出撃するビートル。 だがそれこそがバルタンの狙いだった。科特隊が宇宙へ出た隙に、別の部隊が地球を襲う。 更にウルトラマンは一人しかいない。2ヶ所での攻撃には手も足も出ないというわけだ。
そして早速地球に現れるバルタン軍団。 だが地球に残ったイデは、こんなこともあろうかと新兵器マルス133を完成させていた。 一人で懸命にがんばるイデ。
その頃キャップ達は裏をかかれたことを知ったが、おおとりを発見したためそのまま救助に向かう。 しかし救出された毛利博士はビートルの制御を乱し、謎の惑星に不時着させる。そこがアール惑星だった。 正体を現したバルタンはビートルを吹き飛ばす。
変身するハヤタ。だがスペシウム光線がスペルゲン反射光によって跳ね返されてしまう。 しかしウルトラマンは、新兵器ウルトラスラッシュでバルタン星人を真っ二つにする。
その頃、地球ではバルタン軍団が猛威を奮っていた。 だがウルトラマンは、テレポーテーションで瞬時に地球に移動する。 そしてバルタン星人を再びウルトラスラッシュとスペシウム光線で粉砕する。
一方のアール惑星。キャップ達はビートルが動かないので落胆している。だがその前に岩本博士のフェニックス号が降りて来る。 キャップは岩本博士と固く握手を交わすのだった。

実相寺監督作品は、ウルトラマンがスペシウム光線を使わないことでも有名だ。 ということもあって、ここ数回はウルトラマンの戦いになんか派手さがなかった。 そんな思いを吹き飛ばすかのようなアクション編が今回繰り広げられる。 第2話も担当した飯島監督はさすが、スタンダードなウルトラマンの戦いをしっかり魅せてくれる。
なにしろウルトラマンの新たな武器、ウルトラスラッシュ(八つ裂き光輪)に、ほとんど反則技のウルトラテレポーテーションが登場。 敵のバルタンもスペルゲン反射光(反射鏡という説もある)に光波バリヤーを披露。 更に我らが科学特捜隊。宇宙用のハイドロジェネレートエンジンが初登場するだけでなく、新兵器マルス133。 スペシウム光線と同等の威力を発揮する(とは作中では言われていないが)この驚異の新兵器。 イデが自信たっぷりに
「こんなこともあろうかと2丁作っておきました」
と言う。こんなこともあろうかと…ああ、これは天才発明家だけに許されたセリフ! もう今回は最高っす。 …でも、せっかく2丁作ったのに、1つが地球で活躍しただけだった。残念。
しかし今回、登場するなりスペシウム光線を撃つウルトラマンは彼らしからぬ軽率さではなかろうか? しかも自らの寿命を縮めるテレポーテーションなんて大技を使う辺り、何か焦りのようなものを感じるのだが…。 いや、その理由はもうお分かりだろう。何しろウルトラマンはバルタン難民20億大虐殺の犯人だ。 自らの汚点の一つとなったこの事件の証人である生き残りのバルタンは、最近怪獣殺しがストレス解消・現実逃避のための趣味と化したウルトラマンにとってはすぐにでもブチ殺したくなる相手なのだ。 それが証拠に、バルタンの姿を見て最初に驚いたのはハヤタだった。まさか生き残りがいるとは夢にも思ってなかったに違いないのだ。 自らの汚点を知る証人は全て殺す…恐いねえ、ウルトラマン。
なお、ラストに登場するホシノ君はなぜか科特隊の隊員服姿。 最初はいつもの私服で現れていたから、これは次回の設定との混同ではないかと思うのだが。 何のことかと言うと、それは次回のお楽しみに。

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