| タイトル | 登場宇宙人/怪獣 |
第5話 | 「消された時間」 | ビラ星人 |
脚本 菅野昭彦 特殊技術 高野宏一 監督 円谷一
地球の頭脳と呼ばれるユシマ博士が防衛軍極東基地に視察にやって来た。
だがその本当の目的は、博士が発明したユシマダイオードを使って基地に超遠距離レーダーを設置することだった。
だがその晩、宿舎の時間が止まった。ユシマ博士は基地に来る途中で、ビラ星人に洗脳されてビラ星人の手下になってしまったのだ。
ビラ星人は時間を止めている間にユシマ博士に指令を出す。
翌日、レーダー室の視察にやってきたユシマ博士は、レーダーを強化するふりをして逆にレーダーを破壊する。
そして作業を頼んだダンに疑いの目が向くようにする。
レーダーが使えなくなったので偵察による監視を強化する地球防衛軍。その頃、ビラ星人の宇宙船団が地球に近づきつつあった。
ダンはユシマ博士が自分の正体を知っていることに気付き、博士を監視する。
そして背後にビラ星人がいることを知るが、博士に襲いかかったため逆に捕らえられて独房入りとなる。
やがてビラ星人の船団が地球にやってくる。ユシマ博士はウルトラホークを発射不能にしようとする。
だがダンは独房の中で変身しユシマ博士を止め、船団を迎え撃つべく飛び立つ。
ウルトラホークとセブンのために破壊される船団。そして巨大化したビラ星人が現れる。
セブンはビラ星人と戦い、アイスラッガーで真っ二つにする。
ユシマ博士は元に戻り、ダンの嫌疑も晴れたのである。
今回登場したユシマ博士は、29歳で博士号を5つも持ってる凄い人。
…でも29歳にしては老けてるような気がする。
ちなみにユシマ博士を演じるのは山本耕一。ザ・ぼんちの「そうなんですよ、川崎さん」のギャグで有名な人。
何?知らない?うむむ、このギャグ自体も20年以上前のものだからなあ。
さて変身パターンだけど、第1話と同時進行の制作第6話である今回は、第1話と似た変則パターン。
顔の前で腕をクロスして、腕をどけるとウルトラアイが装着されている、というもの。
うーむ、これはこれでなかなかかっこいいぞ。
しかしセブンに変身して、最初にやるのが牢破りなんだよなあ。牢をボロボロに壊したりして。
どうやって牢から出たのか思いっきり怪しまれると思うんだが、どうなったんだろう。
最後も、ユシマ博士が気付く前にあっさり自由の身になってるし。
少なくともユシマ博士が気付かないとダンの嫌疑は晴れないと思うのだが…。
ところで第1話と同時進行と言えば、今回のビラ星人、第1話のクール星人と同じく操演人形だ。
しかし今回はそれで格闘戦をやってしまうというのだから偉い。
大した格闘にはなってないんだけど、その意欲を買いたい。
最後に、この話で気になるのがユシマ博士をダンが基地まで送るシーン。
ダンは、ユシマ博士が「あんなこと」を言ったので、自分が宇宙人だと知っているのかと不審に思う。
けど、「あんなこと」とやらを言っているらしきシーンが全く見あたらない。
まさか私、どっかのシーンがカットされてるバージョンを見たの?
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第6話 | 「ダーク・ゾーン」 | ペガッサ星人 |
脚本 若槻文三 特殊技術 有川貞昌 監督 満田かずほ
アンヌの部屋に、突如黒い影が現れた。その怪しい影は遠い都市から来たと言い、怪我をしているのでしばらくそっとしておいてほしいと頼む。
人間を恐がっているその影を見て、アンヌとダンはそっとしておいてやることにする。
しかしその頃司令部では、宇宙から定期的に送られてくる謎の怪電波のせいで緊張が高まっていた。
黒い影はダンやアンヌとすっかり打ち解け、自分が宇宙都市から来た宇宙人であることを明かす。
ダンに召集がかかった。宇宙都市ペガッサが地球の軌道変更を要請している。
動力部が故障して地球の軌道上に乗ってしまった宇宙都市ペガッサが、地球に激突しようとしているのだ。
ダンは黒い影がペガッサ星人と思って問い詰めるが、影はあくまで白をきる。
地球の軌道を変えればいいじゃないかと軽く言う影。が、地球の軌道が変えられないと知って驚き、影は黙り込む。
一方マナベ参謀は、ペガッサ市の修理が間に合わない場合には都市を破壊することを決定する。
ダンは、破壊の前にペガッサ市民を地球に迎え入れることを提言する。
しかし爆弾を積んで飛び立つホーク1号。が、その爆弾ではペガッサを破壊できないため、任務変更となる。
新爆弾を積んだ爆撃機が到着するまで、ペガッサ市への警告と避難民の地球への誘導を行うこととなったのだ。
だがダンの必死の呼びかけにもかかわらず、都市からは何の応答もない。そして爆弾によって都市は破壊される。
その頃、黒い影が動き出していた。彼は、地球の軌道変更が不可能な場合に地球を破壊すべく送り込まれたペガッサの工作員だったのだ。
爆弾を起動するペガッサ星人。駆けつけたダンは変身し、ペガッサ星人を追い払って爆弾を宇宙へ運び出す。
平穏な日が戻った。アンヌとダンは暗闇を見る度、あのペガッサ星人は今頃どうしているかと思うのだった。
これまで勧善懲悪的な話ばかりだったが、今回は趣が違う。
他の特撮作品ならこういうものは異色作となるところだが、セブンに関して言えばこういった話こそが持ち味。
セブンらしいエピソード第1号と言える。私はこの話が大好きだ。
"ULTRA SEVEN"をBGMにしてスマートな演出で流れるように最後まで見せられるが、実は苦々しい話。
悪人不在、いや悪人しかいないと言えるかもしれない、なんとも言えない話だ。
子供の頃見た時は、セブンとペガッサ星人の戦いが全然決着がついてないのでなんじゃこりゃと思ったものだが、今見ると実に味わい深い。
ペガッサ星人は銃で攻撃してくる、つまり超能力など何も持っていない。しかもアイスラッガーで攻撃されたらそそくさと逃げてしまう。肉体的能力に関しては我々人類と同じようなものだ。
その上、それまでのダンやアンヌとの気の合う会話。精神的な面も、ペガッサ星人は人間と同じなのである。
その、同じような生物同士が、相手を滅ぼすか自分が滅ぶかという同じ立場に置かれてしまった。
本来なら地球を破壊しようとする宇宙人など単なる悪人でしかないのだが、同じ理由で先に相手の住処を破壊したのはこちらだという事実。
そのため、セブンもペガッサ星人とまともに戦わない。こんな状況では、たとえ相手が地球を破壊しようとしていても、倒すわけにはいかないではないか。
ダンは一応第三者的な立場にあるから、地球人よりは熱心にペガッサ市民をなんとか救おうとしていたのだが、一介の隊員にそんな決定権はなし。
だから余計、ペガッサ市民への避難勧告を出せると知って喜んだ。
「わぁー!」
…やっぱりダンって、妙に無邪気。子供みたいに喜ぶなぁ、お前は。
さて注目の今回の変身シーン。制作第3話の今回は、第4話同様におなじみのパターンで声がないもの。
もひとつ注目すべきは、今回のメイン舞台となるアンヌの自室。ウルトラシリーズで女性隊員の部屋なんてめったに見られないよぉ。えへっえへっ。…っておい。
えー、しかしアンヌ、なんとミネラルウォーターなんか持ってる。昭和40年代にミネラルウォーターとは珍しい。
しかもそのビン、「MINERAL WATER」ってそのまんまなラベルが貼ってあるぞ。
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第7話 | 「宇宙囚人303」 | キュラソ星人 |
脚本 金城哲夫 特殊技術 的場徹 監督 鈴木俊継
ハンターが怪物に襲われる事件が発生した。その頃、宇宙ステーションV3では宇宙からの怪電波をキャッチしていた。
怪物は続いてガソリンスタンドに現れ、ガソリンを飲み干して人を襲う。その通報を受け、ウルトラ警備隊が出動する。
フルハシたちは近くの山で小型宇宙船を発見、これを爆破する。
その頃、V3のミズノ隊員が怪電波の解読を終えていた。これはキュラソ星からのもので、凶悪な殺人鬼である犯罪者303号が逃亡したとのことだった。
そしてキュラソの殺人鬼は人を殺しつつ都内に侵入する。ウルトラ警備隊は緊急警戒警報を発令する。
キュラソ星人は一般家庭に侵入して立てこもる。連絡を受けて警察とウルトラ警備隊が包囲するが、キュラソ星人はひそかに逃げ出す。
そしてアンヌを催眠状態にして極東基地に侵入する。整備中のβ号を奪って逃走しようとしているのだ。
アンヌを人質にして逃げるキュラソ星人。だがウルトラ警備隊の面々は、アンヌの身を案じて手を出しあぐねる。
その時、ダンが無謀な提案をする。α号とγ号で発進し、ドッキングしようというのだ。
逃げるβ号の燃料が尽き始めていた。チャンスとばかり、接近するα号とγ号。
そしてドッキングは成功し、ダンがキュラソ星人を押さえ込んでいる間にアンヌは救出される。
炎を吐き、ダンを襲うキュラソ星人。たちまちβ号は黒煙に包まれる。ダンは隊長にβ号を切り離すように言う。
切り離され、落ちていくβ号。その時、ダンはウルトラアイを手にしていた。
β号は墜落し、炎上する。しかしそのβ号からはひそかにウルトラセブンが飛び出していた。
巨大化するキュラソ星人。だが、攻撃は無用だ。炎の中に立つキュラソ星人は、やがて体内のガソリンに引火して自爆してしまう。
キュラソ星の連邦警察からお礼の電報が届いた。そしてこれを機に、地球とキュラソ星との交流が芽生えることだろう。
ついに画面に登場したV3。でも隊長の出番はまだね。
さて今回はなんとも異色な話。何が異色かって、セブンが敵と全く戦わないというのだから驚き。
ダンがセブンに変身した理由というのが、ホークから脱出するため、ただそれだけなんだからねえ。
しかしまあ初めて見た時ならともかく、全ての話を知った後で改めて見た今では、とりたてて不思議でもないかなと思ってしまうところがセブンという作品の特殊なところね。
そして今回、さりげなく初めて悪意を持たない宇宙人が登場する。…って、画面には出てこないけど、キュラソ連邦警察を始めとするキュラソ星人の皆様方ね。。
地球に逃げてきたのは単なる凶悪犯だし、まあ普通は大抵の住人は善人のはずだよね。
すなわち今回のテーマは、ダンのセリフによれば
「宇宙でも、この地球でも、正義はひとつなんだ!」
ということで。
でもキュラソ星と友好関係を築くのはどうかと思うぞ。
キュラソ星の連中が地球に来たら、高級ガソリンをふるまわないといかんからねえ。高くついてたまらん。
ちなみにガソリンスタンドを襲った凶悪キュラソ星人もしっかりハイオクガソリンを飲んだようだ。
ついでに言うと、警備隊に通報してきたガソリンスタンドの店員は「ウルトラQ」の戸川一平こと西条康彦。
なお制作第8話の今回、変身シーンは、前回同様おなじみのパターンで声がないもの。そろそろパターンが安定し始めたかな。
しかしよく分からんのは、アンヌを操ってまで逃げようとしたキュラソ星人、なぜホーク2号じゃなくてβ号を盗んだんだ?
格納庫までアンヌに案内させるくらいなら、ちゃんと宇宙に出られる機体を選ぶべきだと思うんだが。
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第8話 | 「狙われた街」 | メトロン星人 |
脚本 金城哲夫 特殊技術 大木淳 監督 実相寺昭雄
タクシーの運転手が突如乗客に暴行を始めた。そんな、怪我人や死人が出るような事件が相次いでいた。しかもその中心には、常に北川町の住人がいるのだった。
北川町をパトロールしていたフルハシとソガはライフル魔に出くわす。
その男はおとなしい性格だったが、なじみの銃砲店で話していて突如ライフルと弾丸を奪って逃げ出したという。
またしても北川町…。ダンはその裏に何かあると感じ、ライフル魔の取調べに立ち会う。
そしてその帰り道、ダンは無人のトラックに襲われる。北川町に近づくな、ウルトラセブン!それは警告だった。
ウルトラ警備隊ではフルハシやソガが突如狂暴化する事件が発生する。それは、フルハシが北川町で買ったタバコのせいだった。
そこに隠された赤い結晶が人を狂暴化させるのだ。ダンとアンヌは航空機墜落事件を起こしたアンヌの叔父の家で話を聞き、駅前の自動販売機のタバコが原因であることを知る。
駅前で張り込むダンとアンヌ。やがてタバコを補充しに来た男が現れ、二人はその後をつける。
男は下町のポロアパートの中に消える。ダンはそこへ乗り込む。
そこにいたのはメトロン星人だった。メトロン星人は、他人が全て敵に見えるようになる赤い結晶で人間の信頼関係を崩し、自滅を誘おうとしていたのだ。
メトロン星人は円盤にダンを誘い込み、そのまま空へ飛び立つ。
発進するホーク1号は円盤を追いつめる。そしてダンはウルトラセブンに変身する。
夕焼けの街に立つセブンとメトロン星人。両者はすれ違い、振り向きざまにセブンはアイスラッガーを放つ。
そしてウルトラビームがメトロン星人を粉砕する。
こうしてメトロン星人の恐るべき作戦は失敗に終わった。だが心配せずとも、これは遠い未来の話である。
なぜなら、我々人類は宇宙人に狙われるほどまだお互いを信頼していないからだ。
セブン初の実相寺監督作品。相変わらず、不思議なカメラワークや照明と、珍しいシチュエーションが目につく。
一番有名なのがあれだね、安アパートであぐらをかいて座るメトロン星人。その前にはちゃぶ台。
もひとつ言うと、今回はタバコがキーアイテムになってるからでもあるんだけど、タバコを吸うフルハシとソガ。
…しかし、コンピュータとかがひしめいている作戦室でタバコなんて吸っていいのか、おい?
それとビジュアル面では、夕焼けでの戦い。まずは夕焼けに飛び立つホーク1号の美しさ。
そして夕焼けに映えるメトロン星人とセブンの姿。いいねえ。
しかしその戦い、ホーク1号は中にダンがいると知っててメトロン星人の円盤を攻撃してるぞ。
無茶苦茶ですな。少しは考えてから攻撃しろよ。
それともうひとつ注目すべきは、ウルトラ警備隊のテリトリー以外、すなわち我々一般市民の日常の光景。
冒頭、遊んでいる子供。町でのライフル乱射事件、警察での尋問、果ては私服姿で張り込み下町まで敵を追いかけるダンとアンヌ。
アンヌがアパートの外で待っている間、野球中継が聞こえてきたりするんだからなー。
意図的にこういったシチュエーションが積み重ねられ、セブンのエピソードとしては異様な雰囲気をかもし出している。
ストーリーとしては最後のナレーションが皮肉っぽいのがポイント。
その他、制作第10話の今回の変身シーンは、おなじみパターンでセリフなしのバージョン。
ちなみに、ライフル魔を尋問する刑事は穂積隆信。
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