| タイトル | 登場宇宙人/怪獣 |
第9話 | 「アンドロイド0指令」 | チブル星人 |
脚本 上原正三 特殊技術 的場徹 監督 満田かずほ
パトロールしていたフルハシとソガは、ダンを探す金髪美女と出くわす。
そこでついモロボシダンだと名乗ってしまったフルハシは、危うく殺されそうになる。
女の逃げ際に奪ったブローチ。そこに書かれていた謎の文字の解読結果は、「アンドロイド0指令」というものだった。
責任を感じたダンはソガと共に女を捜索し始める。
そしてふと子供達の遊び場に立ち寄ったダンたちは、子供達のつけているワッペンがあのブローチの裏に描かれていた模様と同じ模様であることに気付く。
そのワッペンは、おもちゃ爺さんがおもちゃのおまけに付けているものだった。ダンたちは爺さんのマークを開始する。
やがてアマギの調査で、ブローチもワッペンも同じ宇宙金属でできていることが分かる。そしてワッペンはある特殊な周波の受信装置になっているのだった。
爺さんをマークしに行くソガとダン。だが途中で例の女を見つけ、デパートの中へと追いこむ。
しかしそれは陽動作戦、そしてダンを倒すための罠だった。
二人の前に現れた爺さんと女。そして爺さんは語る。今夜0時にアンドロイド0指令が発令される。
それは、ワッペンからの信号で子供達を催眠状態にして操り、更に子供達に配ったおもちゃの武器の数々が全て本物となり、子供達は武器を持って大人達に攻撃を開始するというものなのだ。
おもちゃが本物になるものかと笑うソガ。だが爺さんの合図でおもちゃ売り場のおもちゃが本物となり、戦車が、飛行機が、ロボットが、ダンとソガを襲う。
その激しい攻撃に、ダンとソガはなすすべもない。そして二人は、爺さんと女に追い詰められる。
だがそこでダンはセブンに変身し、形勢は逆転する。
セブンは女をエメリウム光線で粉砕する。女はアンドロイドだった。
追い詰められた爺さんはチブル星人の正体を現す。しかしセブンは難なくエメリウム光線でチブル星人を倒す。
そして何事も無く午前0時が訪れた。チブル星人の野望はこうしてついえたのである。
チブル星人の作戦は、子供を使う恐ろしいものではあるのだが、配ったワッペンをその子供が持ってないと通用しない。
かなり成功率の低い作戦のような気がするのだが。
なにしろそのワッペン、今の私の目から見れば大した代物とも思えず、すぐ捨ててしまいそうな気がするのだ。
実際ダンたちは子供が道に落としていったのを拾って調べたのだが、当時の子供にとってはそれなりに魅力あるものだったんだろうか?
でも実はセブンの舞台って大体1990年代頃なんだよねえ。
って、それを言い出すと爺さんが売っているおもちゃ自体がどーのこーのという話になって、このエピソードが全体的に崩壊してしまいそうな。
ううむ、近未来ものを作るって難しいもんだねえ。
まあそれはともかく。デパートにまんまと誘い込まれ、窮地に陥るダンたち。
さすが頭脳派のチブル星人、ダンがソガと一緒なので変身出来ないことを計算に入れて強敵ウルトラセブンを的確に追い詰める。
…が、そこで予想外の事態が。なんとダン、ソガに当て身を食らわせて気絶させて変身した!
ひ、ひどい。しかしさすがのチブル星人も同様らしく、正義の勇者ウルトラセブンが仲間を殴ってまで変身するとは思ってなかったため、敗北。
さすがだウルトラセブン。考えうる全ての事態を想定して作戦をたてたであろうチブル星人の頭脳を超えた見事な作戦。
細かいことは気にせず、
「ソガ隊員、すまん!」
の一言で済ませばいいんだよね。結果オーライ。ヒーローは何やってもヒーローだから許されるのだ。はっはっは。
ちなみに制作第11話の今回の変身シーンは、おなじみの「デュワッ!」と共にウルトラアイを装着するものが初登場。
ようやくパターンが確立した。
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第10話 | 「怪しい隣人」 | イカルス星人 |
脚本 若槻文三 特殊技術 的場徹 監督 鈴木俊継
交通事故で足を怪我し、別荘で療養していたアキラ少年。彼は隣家の住人の様子がおかしいのに不審を抱く。
ずっと座ったままで、何か作っているその不気味な男。アキラは姉に何度も訴えかけるが、全く相手にされない。
そんな彼の様子を知ったアンヌは、ダンと共に見舞いに来る。
その時、アキラの別荘では死んでいる鳥が空中で静止したままという怪現象が起きていた。
それを見たダンは、その場所へ飛びこんでいく。そしてアンヌの目の前で、ダンは消えてしまった。
不思議な空間をさまようダン。その前に、妙な装置と共に隣家の男が現れる。
男はイカルス星人と名乗った。イカルス星人は四次元の世界をコントロールする装置を発明し、四次元から地球を攻撃しようとしているのだ。
それを聞いたダンは変身しようとするが、変身できない。カプセル怪獣も放つことができない。そしてダンは気絶させられてしまう。
イカルス星人は円盤で攻撃を開始する。そこでウルトラホーク1号が出動するが、円盤は消えうせてしまう。
そしてまた別の場所に突然現れ、いいように破壊を繰り返す。
その頃、気付いたダンはアンヌたちの声が聞こえることに気付く。円盤が四次元空間に出入りする際に亀裂が生じたらしい。
しかし出口が見つからない。しかもダンの体の自由が利かなくなってくる。
そこでダンは、思いきってあのコントロール装置を破壊してしまう。すると、無事に元の空間に戻ることができた。
そのダンの前に現れる男。男はイカルス星人の本性を現す。ダンもウルトラセブンに変身する。
セブンは円盤からの攻撃に苦しめられるが、円盤はホーク1号に追われて逃げ出す。
そして再び対峙するセブンとイカルス星人。イカルス星人は全身から放つアロー光線でセブンを襲うが、アイスラッガーがイカルス星人を粉砕する。
また円盤は、ホーク1号と2号の攻撃で粉砕されたのだった。
今回の殊勲者アキラ少年だけど、こう言っちゃ悪いけど要は単なる暇人の覗き魔。
歩けないから隣の人がふと気になってずっと見てたってのは分からん話じゃないけど、24時間(睡眠時間含む)も観察するなよぉ。
そしてそんなアキラ君を見舞いに来たアンヌだが、最初は私服で見舞いに来ていた。
はて、ウルトラ警備隊の隊員なら常に制服着用だと思うのだが、休暇だったのか?
そしてアンヌ、今度はダンを誘って今度は制服で見舞いに。つまりまぎれもなく勤務中に私用の行動を取っている。
そーかそーか、要するに暇人なのかぁっ!
まあ事件が起こると緊張感たっぷりだから、普段はリラックスしておくのも仕事の内、てのも分かるけどね。
お二人さん、仲良くしたまえ。
それにしても、四次元空間という言葉を使うあたりが昭和40年代って感じだねえ。ううっ、懐かしい響きだわ。
それで、その四次元空間で変身しようとしたりカプセル怪獣を使おうとしたりしたダン。
変身はともかく、カプセル怪獣の方はちゃんと回収したんだろうか?
未使用の2個のカプセルの内、少なくともひとつは今回なくしてしまったので使わなくなったという説は無し?
しかしダンはかなり無茶な奴だということが今回分かる。謎の空間にいきなり飛びこむし、アンヌ達が止めるのも聞かずにコントロールマシンを壊すし。
まあヒーロー特権で結果オーライにはなるんだけど、前回といい今回といい、何しでかすか分からん恐るべき男だ。
けどコントロールマシンに関しては、大事なマシンと一緒にダンを置いておいたイカルス星人の甘さを批判すべきか。
「お前を見くびっていたようだ」
なんつってるけど、イカルス星人をアホと言うか、ダンを無茶と言うか、微妙なところだなあ。
ちなみに制作第7話の今回の変身もおなじみの声付きパターン。声くらいアフレコで入れられるから、制作順に関わらず今後はおなじみのパターンが続く。
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第11話 | 「魔の山へ飛べ」 | ワイルド星人、ナース |
脚本 金城哲夫 特殊技術 的場徹 監督 満田かずほ
岩見山で、若者達が突然死するという事件が多発する。しかも死因は全く不明なのだった。
そこでウルトラ警備隊が出動することになり、ダンとソガが一帯の予備調査に出発する。
だがソガがなんだか不安そうだ。その日は13日の金曜日だからだった。
それを笑い飛ばしたダン。しかし調査途中でダンもまた謎の死をとげてしまう。
ダンの弔い合戦として調査を続ける警備隊。そして岩見山の洞窟で、警備隊は突然死を起こす謎の攻撃を受ける。
応戦して、謎の怪人を撃退する警備隊。すると敵は、銃のようなものを落としていった。
分析の結果、驚くべきことが分かった。その銃は、命を吸い取りフィルムに焼き付ける生命カメラだった。
そして犠牲になった人達は、肉体は死んでいるが命はフィルムの中で生き続けているのだ。
一方、洞窟を見張っていたソガは謎の怪人、ワイルド星人にカメラを返すよう懇願される。
ワイルド星人は種が老化して死に絶えようとしているため、若い生命が必要なのだという。
だがそんな勝手な言いぐさは聞けないソガ。そこでワイルド星人はソガに襲いかかる。
やがて、ソガから基地にフィルムを持ってくるよう連絡が入る。そこでキリヤマとフルハシは洞窟に向かう。
だがそこに現れたのはワイルド星人で、ソガと引き換えにフィルムを要求する。
キリヤマはフィルム缶を渡してソガを救出する。だが缶は空っぽだった。怒ったワイルド星人は宇宙竜ナースを呼び出す。
キリヤマ達はホーク1号で攻撃する。
片や、命を元に戻す方法を探っていたアマギは、カメラで体を撮影すれば再び命と肉体が融合することを知る。
そしてダンは元の姿を取り戻した。
一方ワイルド星人を倒したものの、警備隊はナースに苦戦していた。そこへウルトラセブンが飛んでくる。
ナースと戦いを開始するセブン。セブンはナースの怪力で絞めつけられて苦しめられるが、逆に力でナースをバラバラにして勝利を収める。
そして犠牲になった人達も皆無事に元通り生き返ることができたのだった。
ソガの縁起を担ぐ性格という設定が初お目見え。本日は13日の金曜日。
まあ宇宙人のダンとしてはそんなものは笑い飛ばすのも無理はない。…って言うか、ダンってよくそんなことまで知ってるなあ。
しかし笑い飛ばしておいて死んだらなんかカッコ悪いね。
そう、今回は、ヒーローものの主人公があっけなく死んでしまうというとんでもねー話でもある。
しかしこういう時、ダンが死んだと聞いて泣き崩れるのは当然アンヌの役目なのだが、泣いているのはソガ。
なぜかと思えば、なんと今回の話ではアンヌが出ないのである。こういうおいしい話で出ないとは、なんとも残念な。
しかしその代わり、隠れたゲストは豪華である。
ダンの死亡を医者が確認するシーン。その時の三人の医者は、なんと脚本家の上原正三、金城哲夫、赤井鬼介なのである。
特に何かと出たがりの金城哲夫は、これ以外のエピソードでも出演してたりするので要チェック。
また、ワイルド星人にすり替わられてしまった牧童・幸村の死体を演じる(変な言い方…)のは上西弘次。
ウルトラセブンのスーツアクターである。
しかしキリヤマ隊長。いくらダンが死んだからって、単なる調査だったのにいつの間にか敵の攻撃を受けたことになっているのは問題あると思うぞ。
敵の存在はまだ確認されていないはずでは?
なんかキリヤマ隊長(だけに限らんけど)って勝手に、敵が現れたことにしてしまうところがあるんだよねー。
そういう思いこみの激しいところがあるかと思えば、ソガを救うためにフィルムを渡すようなふりして、まんまと空のケースでワイルド星人をだますんだから。
さすが隊長、したたかな古狸!
さあ、そのフィルム、体を撮影すれば再び魂とひとつになり、それを現像すれば元通りになるというわけなんだけど、
現像されたダン、なんとスクリーンから飛び出してくる。凄いぞ。更にラストシーンで、なぜか馬に乗って登場する。
今回は変身シーンがないんだけど、その代わりのサービスか?(って何のサービスだよ…)
ちなみにダンの現像に使われていたものものしい機械、単なるセットではない。
実はこれがあの有名なオプチカルプリンターなのだ。(知らない人は「ウルトラQ」の解説参照)
魂と肉体を「合成」するために用いるあたり、なるほど納得な使い方である。
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第12話 | 「遊星より愛をこめて」 | スペル星人 |
脚本 佐々木守 特殊技術 大木淳 監督 実相寺昭雄
いわゆる「幻の12話」。円谷プロが公式にこのエピソードを欠番としており、現在このエピソードを普通に視聴する手段は存在しない。
ちなみに私も未見ではあるが、その理由を知りうる限りここで述べる。
話自体は普通。肉体を核汚染されてしまったスペル星人が、健康な血液を求めて地球にやって来る。
そして子供達に腕時計を配り、その時計から血液を採取しようとする、といった話。
特に問題はない。
だが問題は、再放送していた頃に起こった。
小学館の学習雑誌の付録の怪獣カードに、スペル星人が「ひばく星人」として紹介されていたのだ。
そもそもそのスペル星人、全身ケロイド状で、デザイナーの成田亨が「こんなのデザインするの嫌だ」と言ったとか言わないとかいう、それだけでいわくつきのもの。
で、その怪獣カードをたまたま見た中学生の女の子が、実はその父親がある被爆者団体の委員をしていて、父親に「被爆者を怪獣扱いしている」と告げた。
その父親はすぐに出版社に抗議を行ない、またそのことを知った他の被爆者団体も相次いで抗議を行なった。
途端に問題は大きくなり、出版社はもちろん円谷プロその他関係者もろもろを巻き込んだ社会問題となってしまったのだ。
そこで円谷プロや出版社は、第12話の放映はもちろん、それに関するあらゆる情報を出版物から取り除く、ということで合意を取った。
かくして12話は「幻の12話」となったのだった。
セブンの話を見たことがある人ならご存知の通り、セブンはウルトラシリーズとしては異色作で、登場する宇宙人・怪獣の名前がオープニングにも本編にも表記されない。
そのためもあって、登場する宇宙人や怪獣は、その名称はともかく別名・異名といったものはかなりいいかげんに流布していたようである。
最初スペル星人はその性質から「吸血宇宙人」という異名を持っていたらしいのだが、なぜか途中で変わってしまったらしい。
話の内容には何の問題もないので、もし異名が変わっていなければ今でも普通に視聴できたはずである。
なおストーリー自体はセブンのエピソードとしては普通の出来らしいが、佐々木&実相寺コンビが作ったエピソードということでファンとしては見ておきたいところだろう。
またもうひとつ注目すべきなのは、あの江戸川由利子/フジアキコこと桜井浩子がゲスト出演しているということ。
やはりファンとしては見逃したくないところだろう。
だが現在、当時抗議を行なった各種団体ももはや責任の所在が分からないところすらあり、その全てから了承を取るのはほぼ不可能と思われる。
なんでも初のLD化の際に12話収録のため了承を取ろうとしたが、こういった理由のために断念せざるをえなかったという話を聞いたことがある。
また最新のDVD版にも12話は収録されなかったし、もうこれからも12話を公式に見ることはできないだろう。
しかしビデオテープがアングラで出回ったりしているし、海外では平気で放映されているようだし、見るのは不可能、というわけでもない。
とは言っても、円谷プロ公式見解として12話は欠番となっているので、制作者の意向を汲んで、無闇にこの件について騒ぎ立てないようにしたいものである。
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