そんなある日、クール星人の攻撃に際して活躍した風来坊、モロボシダンがウルトラ警備隊に迎えられる。 だが彼こそはM78星雲から来たウルトラセブンだったのだ!
「ウルトラQ」で人間対怪獣、「ウルトラマン」で超人対怪獣を描いた後、今度は宇宙に目を向ける。 かくして超人対宇宙人を描く企画、「ウルトラセブン」ができあがったのだ。
前作の設定を更に発展させ、地球側には地球防衛軍という壮大なスケールの組織が登場。 更に使用する戦闘機・武器類の数々もより洗練されたものとなり、タイプの異なる3種類のウルトラホーク、そしてその個性的な発進シーンなど、見所は多い。 これは、当時人気を博した英国の人形ドラマ「サンダーバード」を意識してのことである。
と、鳴り物入りで登場したのはいいが、実際のところ、テレビ番組としては成功したとは言いがたい。 その根拠は単純明快。 平均視聴率30%を超える怪物番組だった「ウルトラマン」。 その正当な後番組であり、しかも特にライバルとなるヒーロー作品がなかったにもかかわらず、この作品の視聴率はどんどん低下し、10%台にまで落ち込んだのだ。
早くも視聴者の怪獣離れが始まっていたということもあるが、理由はそれだけではない。 はっきり言えば、ヒーロー作品としては「ウルトラマン」ほど面白くないのだ。 敵は知的な宇宙人がメインということで格闘戦の似合わないキャラクターが多数登場し、結果肉弾戦は控えめとなり地味な戦いが多くなる。 それどころか、着ぐるみ宇宙人すら出てこない話もあるのだ。
そして、なんだか煮え切らないストーリー。ヒーローの王道である勧善懲悪といった趣とはかなり違う。 なんとなく苦々しかったり、後味が悪かったりといった話がよくあるのだ。
などといったことは、少なくとも当時の子供向け作品としてはマイナスにしか働かない。 これで人気が上がっていったら大したものだ。 実際私も子供の頃初めて見たとき、「ウルトラマン」のような面白さは感じなかった。
が、現在ではこの作品はウルトラシリーズの最高傑作などと評されることが多い。 それはなぜなのか。
私が見たとき、確かに単純な怪獣ものとしての面白さは感じなかった。が、何か違う大人の雰囲気のようなものを感じた。 それはこの作品が、子供向けの単純な形式の話にすることを良しとせず、あくまで大人も楽しめるSF作品として作られたからなのだ。
ウルトラセブンに変身するモロボシダンは地球人ではなく、セブンが地球人の姿をコピーしただけのもの。 地球人の中にあって、必然的に宇宙人としての自分を意識することになる。 また相手が主に知的な宇宙人ということで、宇宙人同士の意識の対立も生まれる。 すなわち単なる活劇に終わらない、宇宙人同士の高度なドラマが生まれるということだ。
こういう基本設定なら、本格的ドラマが生み出されるのは当然の結果。 単なる勧善懲悪にとどまらず、敵にもそれなりの論理と正義がある。 そしてダンは地球人と宇宙人との間で揺れ動く。
そのダンの性格設定もなかなかのものだ。 「ウルトラマン」のハヤタ隊員は典型的なヒーローといった雰囲気で、隙のない若きエリートだった。 それは逆に、見方を変えれば彼の個性が見えてこないという意味でもあった。 あまりにヒーローらしくて、逆に人間らしくないのだ。
しかしダンは違う。超人がそのまま地球人の姿をしているだけという、ハヤタより超人らしい存在であるべき彼は、どちらかと言うとハヤタより人間らしい。 若さゆえに困難にも敢然と立ち向かう辺りはヒーローらしいが、逆に若さが甘さにつながることも多い。 若さゆえに理想に燃える彼は、現実の壁にぶつかることなど考えていないのだ。
あえてハヤタの前から取り除かれていた現実の厳しい壁は、ダンの前には平然と立ちふさがる。 最初から悪意を持って現れる宇宙人が相手なら別に問題は生じない。 だが、誤解による衝突などが発生した場合は、彼は理想的な平和共存・話し合いによる争いのない解決を望む。 しかしその望みは、宇宙人側のエゴや、時には地球側のエゴによって消え去ってしまうのだ。 宇宙人であり地球人でもある彼は、その度に苦々しい思いを味わうことになる。
もっとも本作は、こういった問題をあまり深刻に掘り下げることはなかった。 掘り下げすぎるとダンが自分の存在意義を見失ってしまい、作品自体が崩壊してしまう可能性がある。 だからそれはしようがない。
本作に関する冗談で、「セブンが出てこなければいい作品なんだけどねー」というものがある。 結局はセブンが敵を倒すという形に話を展開させて終わらざるを得ない、ヒーローものとしての体裁を保つ必要があったためにテーマを突き詰められなかった、というところを鋭くついた冗談だ。 しかし逆に言えば、ヒーローものとしてギリギリの線を保ちつつ、果敢にシリアスなテーマに挑んでいったということなのだ。
いくら視聴率が下がろうと予算がなかろうと、スタッフは全然妥協しなかった。 こうして作り上げられたこの作品。 子供の頃に見るとあまり面白くないかもしれないが、大人になって見るとその完成度に驚くだろう。 ウルトラシリーズを、いや日本のSFドラマを語る上で、絶対に外せない作品である。
なおウルトラセブンは、平成の時代に甦っている。 新作として2本のテレビ特番、オリジナルビデオ3部作、オリジナルビデオ最終章6部作が作成されているのだ。 これらはテレビシリーズ最終回の直接の続編として作られており、セブンファンなら要チェックである。
ウルトラセブンは身長40メートル、体重3万5千トン。実は身長は伸縮自在でミクロ化も可能。 飛行速度はマッハ7。
頭部のパーツはブーメラン、アイスラッガーとなって敵を切り裂く。 また額のビームランプからはウルトラビーム(エメリウム光線)を放つ。 更に強力なワイドショットという光線技も持つ。
セブンはウルトラマンのようなカラータイマーを持っておらず、当初は活動時間に特に制限は無かった。 しかし第25話でエネルギーを急激に消耗してしまい、以降はエネルギーが残り少なくなるとビームランプが点滅するようになった。 製作者側の都合を言えばこれは戦いに緊張感を生むための強化策の一環なのだが、ある意味では最終回への伏線になっているとも言える。
また何かの都合でダンがセブンに変身できない時などに、ダンはカプセル怪獣を使用する。 これは小さなカプセルに入った怪獣で、ダンが放り投げるとカプセルから出てきて敵と戦うのだ。 カプセル怪獣は、ウインダム、ミクラス、アギラの計3匹。 しかしカプセル怪獣、どいつもこいつも弱くてあまり役に立たない。所詮は家畜となった怪獣に野生の強さは望めないか…。
まだ、ダンがカプセルを入れているケースには5個のカプセルが収容されているが、その内3個しか実際には使用していない。 残る2個のカプセルにはどんな怪獣が入っているのか、永遠の謎である。
ちなみに、ウルトラヒーローとしては二人目なのにどうして「セブン」なのか。 これはウルトラ警備隊のメンバーが6人いて、彼は7人目の隊員とでも言うべき存在だから、ということである。 もっとも6人の中にダンが含まれているので、二重に数えていることになるのだが。
隊員たちは小型レーザー銃ウルトラガンを携帯し、腕につけたビデオシーバーで連絡を取る。 そして各種特殊装備を秘めた水陸両用自動車、ポインターで移動する。
戦闘機、ウルトラホーク1号はα号、β号、γ号の三つに分かれて攻撃できる。 ウルトラホーク2号は宇宙用。宇宙ステーションV1〜V3とドッキング可能。 ウルトラホーク3号は小型偵察機。しかし武装は他の機体にひけを取らない。 その他、通常のジェット戦闘機のようなウルトラガードという戦闘機も存在する。 また宇宙ステーションにはステーションホークが配備されている。
海では潜水艦ハイドランジャーを使用し、更に地底用に地底戦車マグマライザーも配備している。
ちなみに、基地からウルトラホークが発進する際の"4th gate open !"のアナウンスは満田監督の声である。 しかしウルトラホーク以外のものが発進する場合にもこのアナウンスが使われてたりして、4th gate ってどこなのかよく分からん。
あらすじ付きなら以下を。